すいか (2) (河出文庫)

  • 河出書房新社 (2013年8月6日発売)
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感想 : 59
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  • 本 ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412382

感想・レビュー・書評

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  • 続いて『すいか』の下巻を読了。
    上巻に続き、三軒茶屋の下宿屋「ハピネス三茶」を舞台にしたひと夏+その後の物語。
    下巻になると個性豊かな住人の面々(基子、ゆか、絆、夏子)にますます愛着が湧いた。

    2003年に放送されたドラマのシナリオ本だが、幸せというものは普遍的で、いつの時代も変わらないのだとつくづく感じさせられた。人は皆一生懸命自分の人生を生きていて、世間の当たり前から外れたって大丈夫!幸せになれる!と人々の背中を押すような、特別なことがない毎日を愛おしいと思えるような作品。

    ドラマもいずれ見てみたい。基子は小林聡美さん、勤務先同期で仲良し&三億円横領事件の犯人である馬場ちゃんを小泉今日子さんが演じているようだが、2024年のドラマ『団地のふたり』と同じキャスト!と感慨深かった。

  • 結婚や仕事、家庭の悩み。なかなか一歩踏み出せない感じ。「世間的に見たら私たちって不幸なんでしょうか。」と言いながら幸せそうだった。

  • 登場人物のキャラがそれぞれよくって、
    みんな大好き。

    軽い感じなのに、深い。

    10年後もよかった

  • 大好きなテレビドラマ「すいか」の
    脚本(文庫版)の2冊目。

    知っている話なのに面白かったー。
    目に涙が滲む。
    懸命に生きる一人ひとりを
    愛おしく感じる愛溢れる作品だ。
    どのセリフも、
    ドラマのキャストの声で聞こえてくる。

    おまけで、ドラマにはなかった
    後日の話もあり、「すいか」ファンは
    ぜひとも読むべき!

    私にとって永遠に愛する作品だ。


  • 西瓜のお化け提灯、基子さんの独立記念紅白饅頭、
    間々田さんのプチ整形[笑]
    後半も、葛藤しながらもみんなで過ごす明るい時間が
    ゆっくりと流れるハピネス三茶。

    人間が時として持ってしまう焦げた感情。
    でも、それを否定じゃなく
    そういうものは誰だって持っているけど、恥じなのは
    そのどうしようもない感情を人にぶつけてしまうこと。
    どんな嵐もきっと過ぎ去るから、どんなに自分が荒れ狂っても
    元の自分が戻ってくるのを信じて、じっと我慢するしかないと
    教えてくれる夏子さん。

    オマケのそれから10年後のハピネス三茶。
    ゆかちゃんとの約束を果たしに帰ってきた夏子さん。

    泣いたり笑ったり少し変化したりしながらも
    変わらないハピネス三茶の輪。
    「いってらっしゃい」「おかえりなさい」
    の言葉が言えることは最高に幸せなことだと改めて思う。

    1日1日、繰り返しのように積み重なっていく毎日。
    似たような1日だけど、全然違う毎日。

    ひまわり、カレー、床の穴。
    眩しすぎるほどにかけがえのない、夏の日々。
    雨の後のハピネス三茶の中庭は、
    ほんのりと優しい希望の匂いがする。

  • 下巻は6話~10話まで。

    9話かな、刑事さん(片桐はいり)に追われて逃げる馬場ちゃんが、「苦しいよ、ハヤカワ、苦しいよ」って絞り出す場面、今思い出しても涙が出てくる。オンエア当時私はどちらかというと基子寄りのふつうの会社員だったのに、なぜか逃げた馬場ちゃんの苦しさのほうに共鳴していた。あれから20数年を経た今も同じところで号泣する。

    最終話はずっと泣きっぱなし。ニアミスで会えずにいた基子と馬場ちゃんがやっと再会。馬場ちゃんは飛行機のチケットと、基子が出がけにゆかちゃんに渡されたお買い物メモ(牛乳と、卵と、コーヒーフィルター)の、どちらを選ぶか基子に委ねる。

    一度は馬場ちゃんと一緒に行こうと思った基子が(ここほぼプロポーズだった)最終的には、ハピネス三茶への戻りの切符(ゆかのメモ)を選ぶ。そして馬場ちゃんにもこっちの世界への帰りの切符として鍋の材料を書いたメモを渡す。馬場ちゃんはそのメモをおまじないのように繰り返す。

    馬場ちゃんは3億持って逃げても、全然救われなかった。たった3億で、基子たちがいる世界の幸福を手放してしまったことを彼女は嘆く。

    個人的に、クドカン脚本のドラマ『監獄のお姫様』でキョンキョンが演じた元銀行員で女囚の馬場カヨは、馬場ちゃんのパラレルな存在のような気がしてる。そして出所した馬場ちゃんは、小林聡美のいる団地に帰ってくるのだ…!

    と、妄想はさておき、教授とゆかちゃんの関係性も泣けたなあ。ゆかちゃん、ふだんはひょうひょうとしながらもしっかり者だけど、教授のことになると急に赤ちゃんみたいになっちゃうのね。お母さんがいなくなって、子供の頃から下宿にいた教授が、ある意味彼女にとって女性としてのお手本だったのかなって。

    教授もゆかちゃんには甘くて。死ぬときには帰ってくるって約束する場面、すごく好きだった。

    もちろん絆ちゃんのことも大好きだった。双子の片割れを失った喪失感をずっと抱えて生きてきた彼女の寂しさと、それゆえの周囲への優しさがいつも染みた。要するにみんな大好きだった。

    全10話のあとに、おまけ収録されてたのが嬉しい。数年後、すでにハピネス三茶にあのメンツは暮らしていないが、教授が帰ってくることになり、ゆかは絆と基子に招集をかける。絆は売れっ子漫画家として活躍中、そしてなんと妊娠している(一人で産むつもりらしく父親は不明、響一くんではなさそう…)

    基子はある人の結婚式に出席中だが、両親が熟年離婚すると騒いで電話をかけてきている。なんとその会場のホテルの洗い場で働いている馬場ちゃん(もちろん基子は気づいていない)(てか馬場ちゃんまだ逃げ続けてるんだ!)

    そして花嫁はなんと、刑事の生沢さん。ふと会場を見渡し、彼女が刑事時代唯一逮捕できなかった馬場万里子と目が合ってしまう。全力で逃げる馬場ちゃん、全力で追う花嫁・生沢。このあとの二人のやりとりが素晴らしい。刑事と犯人だけど、生沢さんこそが馬場ちゃんの最大の理解者だったのかもしれない。

    教授はガンになり、ゆかとの約束通り戻って来たのだった。残された時間を、彼女らは再び懐かしいハピネス三茶に戻り共に過ごす。なんだかなあ、もうここ、ユートピアなんだよなあ(涙)今も私の心のどこかにハピネス三茶がある。疲れたら、ときどき帰ろうと思う。やっぱり世界一大好きなドラマだったと改めて思いました。

  • 大好きなドラマ「すいか」。
    とにかく台詞が心にしみる作品だったので、購入。
    やっぱり、観ても、読んでも、台詞のすばらしさは秀逸。
    優しくて、おもろしくて、慈しみがあって。
    生きることが、楽しくなる。

    この本を買ってよかった…と思ったのは、
    あとがきに、作者の作品を創作するにあたっての
    「こだわり」を読めたこと。
    それは、やはり予想通り、いや、予想以上に、とてもあたたかいものだった。

    また、ドラマ終了から十年後の「ハピネス三茶」が
    読めたことも、すごく嬉しかった。
    それぞれが、ちゃんと十年を経て、ちゃんと暮らしていて、変わらず、ユニークで楽しくて、あたたかくて。

    何度も何度も読み返す脚本の本、になりそう。

  • ドラマ観たかったなあ

  • すいかほんとおもしろかったなあ、しみじみ。
    登場キャラクターみんな好き。
    また映像で観たい。

  • とてもいい。
    宝物になりそうな一冊(あ、二冊か)。

    ドラマの視聴率が最低だったなんて、信じられない。
    話の内容の他にも、基子さんやゆかちゃん、絆さんの着ていた洋服とか、いつもすごくかわいくて魅力的な要素がたくさんあったのに。

    本で読むと、( )の部分がとても楽しい。
    ト書き、という部分かな?
    特に基子さんの(煮詰まる)は、この時ドラマで基子さんはどんな表情してたか、確認したくなりました。
    泥舟のママも、ほとんどしゃべらないけどあの表情には、たくさんの思いが思 込められてたんだな〜とか。

    10年後のハピネス三茶もまた、嬉しいおまけでした。

    • ようちんさん
      え~っ!!早速本屋さんへ!
      10年後のハピネス三茶・・・??
      ああ、楽しみです!
      え~っ!!早速本屋さんへ!
      10年後のハピネス三茶・・・??
      ああ、楽しみです!
      2013/08/17
    • oyumyさん
      ようちんさん、コメントありがとうございますっ!

      そうです、10年後のハピネス三茶がおまけが(とは言えないほどのボリュームで)ついてるんです...
      ようちんさん、コメントありがとうございますっ!

      そうです、10年後のハピネス三茶がおまけが(とは言えないほどのボリュームで)ついてるんです!
      とっても素敵なドラマでしたよね。
      2013/08/17
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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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