あかねさす――新古今恋物語 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 422
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412498

作品紹介・あらすじ

和歌に込めた想いを現代へと導く胸キュンストーリーに感動です!――miwa

感想・レビュー・書評

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  • 感傷、倦怠、思慕など、色んな感情が切り取られて収められた短編集。

    新古今和歌集収録の和歌を大胆に解釈し、現代に置き換えた一時の場面と感情を描いた20の話からなる短編集。全ての作品で、冒頭に新古今の短歌が、末尾に作者のオリジナル短歌が付いています。

    どの話もとても短いので、登場人物たちに感情移入したり世界観に浸るほどではありませんが、そういう感情を持つ瞬間って確かにあるかも、と思うシーンはいくつもありました。寝る前にちょっと読むのにいい感じです。

    ちなみに、少女漫画風の表紙ですが、女性視点だけでなく、男性視点の話もあります。

  • あたしだけが立ち止まってて、あたしだけが取り残されてるって思うのは、あたしだけが間違ってるってことなんだろうか。新しい場所に行ったら、新しい人たちと楽しく過ごさなきゃいけないんだろうか。

    今ならもっと別の話ができるのに、と佐恵子は思う。揺るがない完璧なものに見える日常が、ほんの些細なきっかけで崩れてしまうことを、今の佐恵子は知っている。年齢を重ねたからといって、自覚も自信もその分勝手に身についていくわけではないことも。余裕があるように見せかけるのが上手くなるだけで、実際に余裕を持っているわけではないのだ。

  • 『新古今和歌集』の世界を、現代にリメイクしていく、恋愛短編集。
    『新古今和歌集』の和歌、現代の物語、締めは現代の和歌。
    流れが自然でするする読める。
    切なさ、苦しさ、矛盾した思い。
    時代が変わっても、人びとの思いは変わらない。
    現代語訳と解説文では味わえない楽しみ方。

  • 中学国語教科書に参考図書として掲載されていたので、読んでみた。うーん。恋愛小説はやっぱり得意じゃない。そんな私でもさらっと読めてしまう短編の数々は秀逸なのだろうとは思うが。巻末の解説を読んでピンと来た。そもそも私は高校時代、読み物として雨月物語など楽しんでいたが、古典の中の恋愛に共感したことがない(現代の恋愛小説と同様に)。その辺りの感性の差か。「恋愛小説は好きだけど、古典は難しい」と思っている人には十二分に楽しめるのではないだろうか。

  • 高校の授業で古文の恋の短歌がすごく面白くてもっと知りたいってなってから出会えた本、出会えたとき嬉しすぎたしわくわくした!個人的には後半も小説だと嬉しかった、笑

  • 新古今和歌集をオマージュしたショートショートがあり、オリジナル?の短歌もくっついている、という体裁の本。
    シンプルによかった。切り口も面白い。
    なるほど、現代社会に訳すとこういうシチュエーションね、というショートショート、そして短歌。
    異色だけれど一度でも恋をしたことがある人、そして百人一首にハマった人は響くものがあると思う。

  • こんなにいろんな感情を表現できることが素晴らしいです。

  • 大学生の時に買った本を数年ぶりにもう一回読んでみた。

    和歌から連想される現代の恋の物語。
    昔の人はこんな想いを抱えていたんだなとか、その想いを歌にあらわせるのはすごいと思った。

    学生みたいな純粋な恋から、大人のちょっとビターな恋愛まで、色々な“恋愛”の形が読める一冊。

  • 昔の和歌と小説と、それに現代版と。文化も言葉も、全部変わるのに人の気持ちだけは変わらないんだなって。何だかすごいね。

  • 2020年1月19日に紹介されました!

  • 昔の短歌と加藤千恵のショートストーリーと加藤千恵の現代的な短歌とで構成された、小説。
    全体的に共通しているのは、切なさ。
    それは、片思いの相手だったり恋人だったり友情だったり物寂しさだったり別れた相手だったりもういなくなった人だったりモラトリアムだったり、様々。
    いくつか前向きな話もあった。

    何話か3人称みたいな話もあって、新鮮だった。
    前半は経験した事のないような話でも主人公の心情に共感した部分もあったけど、後半になるにつれ同じような話が続くからかそういう気持ちは薄れていったな。
    解説の高橋久美子は元チャットモンチーの人だろうか?

  • 150502

  • やっと読了。図書館本。

    現代の歌物語といった感じ。ショートショートみたいに短い短編小説と、和歌・短歌のコラボ。

    新古今和歌集の和歌と、それを元にした現代の短歌で、短編小説をサンドした作品群。22編。

    …書名を見て、新古今和歌集の本だと思い、図書館で予約したら、現代の恋愛小説だった。
    短歌や和歌は好きなので読んでみようとチャレンジするも、なかなか作品に入り込めなくて、読み進められず、借り出し期間を延長更新して積読になりかけながらの…この連休でやっと読了。

  •  昔の歌人の歌があって、それに触発された短いストーリーと作者の歌がついていて、この構成は歌人で小説も書くという作者ならではのもの。
     歌もストーリーも恋愛に関するものが多いけれど、そういった方面に貧しい身には(苦笑)分かる~とならないのがツライところ。

  • 新古今和歌集って、ちゃんと詠んだのは初めてかも。今も昔も、想う気持ちは同じなんだな。

    もっと詠んでみたいなと思いました。

  • 新古今和歌集の歌と共にいくつもの恋の短編。昔も今も変わらぬ恋心。最後に書かれた作家の歌でまたクゥーッとなる。

  • 古典の美しさに気づいたのは、大学で女人源氏物語を読んでからだった。今も昔も人間の気持ちは変わらない。高校生のときに出逢えてたらよかったなと思う一冊。

  • 古今和歌集を現代風にアレンジした本。寝る前、お風呂で読書に丁度いい。気に入った和歌はメモして記録してます。空気感が伝わってくる一冊。

  • 短い短編が22編も。短歌に合わせた現代のお話です。
    読みやすいし、ハッとする表現もありますが、主人公達(22人)は少なからず直面する悩みがあって、それを読むのがちょっと疲れました。なるほど22人もいたらこーゆーことになるのねと、話しのできとは違うところで思いました。

  • 何話か共感しすぎてどうしようかと思った。悩んでも仕方ないのに悩んでいる姿とか、リアルなんだよね。単行本で持ってるんだけど解説が高橋久美子さんだったので購入。

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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