11 eleven (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 431
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412849

感想・レビュー・書評

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  • 幻冬舎騒ぎで、津原泰水氏の作品を初めて手に取った。

    なるほど、
    あの騒ぎの渦中で、河出さんが社名でつぃったほどの作品である。
    独特で濃厚。 
    異端でありながらも堅固な人権感覚も根底にある。 
    軽薄な読み手である自分には マッチしない、異端と common decency に神経を捻りあげられるようではあるけど、なるほど、なるほど、なるほど ........

    追記
    この感触、思い出した。
    深沢七郎氏の『みちのくの人形たち』だ。
    グロテスクというかホラーというか、そういうテイストでありながらも この世を支える根底にあるものを想像させようとするような .......
    https://booklog.jp/item/1/4122056446

  •  幻想、SF、ホラー、文学など11話の作品を収録した短編集。

     自分が今まで読んだことのない物語たちでした。短編それぞれが多種多様なジャンルをまたいでいる、というのもありますが、それに加え文章もそれぞれの短編の味を最大限に引き出すため、それぞれに工夫が加えられている、そんな風に思いました。

     そうした短編たちばかりだったので初読での評価が非常に難しい、というのが正直な印象…。自分の理解の範疇を越えているように感じた短編もいくつかあって、あらためて小説の世界は広いのだな、と感じました。

     そんな中印象的だったのは、異形の家族がたどり着く新たな運命を描いた「五色の舟」。幻想的かつ圧倒的な物語の力、想像力の強さを感じさせられます。これまでも、そしてこれからもこういう作品は生まれないように思います。

    「微笑面・改」は自分の顔の前に常に別れた妻の顔が見えるようになった男の話。シュールなホラー形かと思いきや最後で男がたどり着いた心理は過ぎ去った過去への郷愁を感じさせます。

    「琥珀みがき」はショート・ショート。ラスト一行でぐっと心がつかまれます。

     脳科学と音楽をテーマにしたハードSF「テルミン嬢」は理論が難しかったものの読みごたえは十分。

     そして「土の枕」も「五色の舟」に負けない唯一無二の短編であるように思います。20ページに満たない短編ながら、戦争と、戦後の時代の雄大かつ急な流れ、そしてその流れの中での人間の小ささ、そんなものを濃密に感じさせてくれる短編でした。

     既存の小説で満足できない、という人にはぜひ読んでみてほしい短編集です。自分もまた時を置いて再びこの短編集は読むことになるのだろうな、と思います。

    第2回twitter文学賞

  • 単行本を持っているが、こちらも購入。
    何度読んでも『五色の舟』が凄い。『くだん』は怪談に取り上げられることが多いモチーフだが、まさかそれをこう扱うとは。
    どれを読んでも面白いのは確かだが、『微笑面・改』の気持ち悪さ、『キリノ』の文体、『YYとその身幹』のグロテスク……等々、読みどころは様々。寧ろ多すぎて困る。

  • 爽やかな不気味さがある。

  • 11からなる幻想的な短編集
    なんとも言い難い、不思議な雰囲気を持つ作品たちです
    1作1作が世界が変わり
    クラリと取り込まれる感じがすごい

  • 収められた11の短編どれも違った味わいだが、共通して怪しげな輝き方をする。「バレエメカニック」のときもそうだったが、描かれた世界を頭の中に想像しようとするのだが、自分の能力を作品が遥かに上回ってできないことがもどかしい。降参しようとするのだが、物語が力ずくで脳を押し広げようとする。そんな、辛いながらもなかなか体験できない1冊だった。

  • 短編集。津原泰水さん独特の「ないもの」が溢れている魅力的な世界だった。「五色の舟」は一度読んでまたすぐ読み返した。戦中の見世物小屋興行の一団(家族のような絆があるけれど家族ではない)が出くわした「件」誕生。件に載れば今いる「場」と未来を変えられるという。彼らが見た未来というのはわれわれが今いる過敏で潔癖で過剰な現在よりも、未熟かもしれないけれど素晴らしい世界だと思った。

    あとは「微笑面・改」が恐ろしかった。
    あのエッシャーの絵の喩え、すごい。津原さんはこういう「意識」の世界(形而上というほうがしっくりくるか)を素敵に創る人だ。

  • 難しくて疲れました。難しいというのは、物語が難解という意味でもあり、何が本質かを見つけるのが容易でないという意味でもあり、伝えたいことついて考えるのが難儀という意味でもあります。多くの作品が、脳が認識する現実世界が本当の世界なのかという疑問に沿って書かれているため、言葉そのものさえ本来の意味ではないような錯覚さえしてきて、構成も内容も脳みそに侵食してきて、ぐったりしてしまうのです。でも、だからこそ、評価されたのだろうと思います。記憶に残る短篇集です。

    解説は、解説して欲しかった作品に全く触れていなかったので残念でした。分かりやすいものにしか触れていないようでしたので読みませんでした。

    「土の枕」は『綺譚集』の中の「約束」と同じ書き方で、同じテーマだと分かりやすく、津原さんの関心が強いのかなと思いました。『バレエ・メカニック』風の作品や、お得意の音楽ものや、ホラー要素で読みやすいものなど色々あって盛り沢山です。私は作風がちょっと違う「キリノ」と「琥珀みがき」が好きです。どちらもとても共感(わかるなぁ、って感じが)しました。あとがきで「キリノ」は桐野夏生さんの特集のために書いた津原さんの自画像と知り、「琥珀みがき」は朗読用と知り、なお面白いと思いました。

  • FBで流れていた「五色の舟」というのを読みたくて借りた本。

    全ての短編が、シュール。
    予定していなかった、他の短編も全部読んじゃった。

    札幌市の図書館で借りた本。

  • ファンタジーだったりSFだったりホラーだったりどれでもなかったりするが
    いずれも作者の偏った範囲で高い技術を感じさせる短編集
    基本は幻想文学というくくりの作品ら
    どの箇所にも入念なこだわりがちゃんと感じられて気持ち良い

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著者プロフィール

津原泰水(つはら やすみ)
1964年、広島市生まれの作家。青山学院大学国際政治経済学部卒。1989年、津原やすみ名義で『星からきたボーイフレンド』を執筆し、デビュー。1997年、津原泰水名義で『妖都』を刊行。以後、『蘆屋家の崩壊』などの「幽明志怪」シリーズ、『綺譚集』『少年トレチア』などの幻想小説で人気となる。2006年、吹奏楽部での体験を基に『ブラバン』を刊行し、ベストセラーに。2014年には「五色の舟」がSFマガジン「オールタイム・ベストSF」国内短篇部門1位となり、コミカライズ作は第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。2016年、『ヒッキーヒッキーシェイク』が第33回織田作之助賞最終候補になり、同作は2019年6月6日、早川書房から文庫化される。

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