- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309412917
感想・レビュー・書評
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日本人女性の優雅な田舎の暮らし方。三茶に住んでた時に帰り道でいつも気になってたガラクタ屋さんで見つけた1冊。こんな日本の文化を感じれる本は大好き。目次も、台所のこと二月の花のスラードロップ、月末スープ、お茶の会、アカシアの花のおもてなし、酢とガラス、浴衣を洗う、りんごのトルテ、ジャムのいただき方、その家の伝統的な過ごし方が色んなメモみたいに書かれていて凄く面白い。
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戦争を体験して、戦後の物資の少ない時代に色々やりくりをして生活している様子が書かれている。
と、いう割には洋食メニューが多い。ご主人の仕事の関係だと思うが。
この世代の方々は、言葉が美しい。〜でございました。〜いたします。など、読んでいるこちらの背がシャキッとする感じがする。
ご主人の挿絵も素敵だったし、料理家の高山なおみさんの解説も良かった。 -
図書館で本を返したあと、珍しく受けとる予約本もなく、面陳棚をぶらーっと見ていたら、この本が目に入って、なんとなく借りてきた。文庫カバーの袖にある著者略歴を見ると、1909年うまれ、1977年に亡くなったこの人の夫は、元人事院総裁の佐藤達夫氏とあった。
佐藤達夫の名は、『日本国憲法の誕生』で見たおぼえがある。法制局部長で、日本国憲法がつくられていくときに深く関わった人だ──と、思っていたら、一月から順に、月ごとの暮らしぶりを書いた中に、三月「憲法起草のころ」という文章があった。
▼昭和22年3月4日の晩、これまでだまって家をあけたことのない主人が、いつまで待っても帰ってまいりません。物騒な時代のことで、私と娘たちは一睡もせず朝を迎えたのでございました。(中略)
6日の朝、主人の帰りを待ちながら立ちつくしておりますと、坂道をはうようにしてのぼってくる主人の姿が見えました。とても生きた人間の顔ではありません。GHQ(当時の占領軍総司令部)で一晩、首相官邸で一晩、二日二晩ぶっつづけの徹夜作業だったとのことでございました。当時は何の仕事か主人は一言も申しませんでしたが、ずっとあとになって、それが憲法起草の仕事のはじまりだったことを知りました。(pp.58-59)
著者が、こうした「主人」の仕事のことを書いている箇所は他にはない。文中に出てくる「主人」は、食事に神経質で、そして花が好きで、たまの休みには早朝から弁当持ちで山へ出かけるような人であったらしい。「主婦」たる著者が書きとめているのは、食事の用意や、季節の家事のこと、母や姑のおしえのことなど。
この世代の「上流」の家庭はこのような言葉遣いがふつうだったのか、著者の書く文章は「ございます」「いたします」調で、出てくる料理がまたハイカラで、バターのことを「バタ」と書く『暮しの手帖』のレシピを思いださせるものがあった。
文庫カバーの裏表紙には「昭和40から50年代、婦人誌等で家族への愛情に溢れた料理やすみずみまで行き届いた暮らしぶりを披露し、女性たちの憧れの的だった主婦・佐藤雅子さん」とある。昭和40~50年代に、どんな人たちが著者に憧れたのだろうなーと想像した(もしかしたら、専業主婦がいちばん多かったという団塊の世代?)。
ひんぱんに出てくる料理レシピのなかで、お菓子はちょっと手が出ないが、保存食の一部はわりとかんたんにできそうだったので、こんど『私の保存食ノート』というこの著者の本を見てみたい。
(8/23了) -
失われた四季折々で変化していく生活が記されている。(正確に言えば、失った)
気温のわずかな変化から、家中の人たちで話して、そろそろ茶碗を夏物にだとか、襟元を涼しいものにするだとか、そういう会話はどんどん減っていると思う。
面倒くさいことをとにかく潰して、事あるごとに効率と利便性を求めて、何が残るんだろう。
わたしは面倒くさくて、手間のかかることを失わない、そう生きたいです -
山崎まどかさんの本で紹介されていたので読んでみました。表紙の卵の写真がまずすてき。豊かなものを感じます。昭和のカリスマ主婦・佐藤雅子さん。その完璧な姿には頭が下がりますが、非常に昔かたぎの主婦エッセイでありながら、夫のことを「主人」と呼ぶことにみじんの抵抗を持たない芯の通ったゆるぎない保守性には明治女のたしかな意志すら感じ、読後感はさわやかです。40年以上前に書かれた本書。雅子さんから見れば今の家事はどれほど手抜きに見えることでしょう。スローライフが好きな人にはアンセム的一冊になること請け合いですが、真似はとてもできないので、初恋の先輩を木の陰から様子をうかがうように折に触れて読み返したいです。季節を感じる構成も素晴らしいです。
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昭和の家事の、なんと大変だったこと。
平成の主婦になって思うのはそんなこと。 -
こんなに美しい家事の世界♡