東京プリズン (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 528
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412993

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったけど、話にまとまりがない。

  • 読みにくい話だと思う。

    主人公マリの1980年と2011年を、アメリカと日本を行き来しながら、更に彼女の実世界と精神世界を混沌としながら渡り歩いてゆく。
    初読では捉えられない、たった一人の女の子に翻弄されてしまった。

    東京裁判、敗戦国、天皇の戦争責任。
    ベトナム戦争、南北戦争、東日本大震災。

    散りばめられた点は、自分自身が考えて線にしていかなくてはならない。

    抗いようもなく蹂躙されるヘラジカも、マリも、敗者としての私たちの姿の代わりである。
    天皇とは何か、日本とか何か。
    神によって創られた国に住みながら、私たちは朧げにしかそのことを考えない。

    私たちは何故戦ったのか。
    原子爆弾は何故落とされたのか。

    負うた傷に涙は流せど、考えることはどんどんと阻害され、白痴化する現代が到来した。
    私たちの立場は、変わったか。

    この国は紛れもなく日本である。
    グローバルである前に、足下を見るべきだ。

    私たちにとって、天皇とは何か。

    なんだろう。ズキズキする話なのである。
    悲しいではなく、懐かしいでもない。
    紛れもなく日本にいるから、当たり前の問いを考えずにいられるのかもしれない。

    さて。2014年の私たちには『東京プリズン』を通じて、大きな問いが投げかけられてしまった。

    私たちは、何のために戦うのだろうか。

    補足的に。
    この小説にはリトルピープルと白い繭が出てくる。
    初出は村上春樹『1Q84』のおよそ一年後。
    オーウェルの『一九八四年』に対し、マリの時間軸は1981年。

    これらの相関性がどうであるかは分からないが、置いておきたい。

  • 16歳のマリが挑む現代の「東京裁判」とは? 少女の目から今もなおこの国に続く『戦後』の正体に迫り、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞。読書界の話題を独占し“文学史的事件”とまで呼ばれた名作!

  • 2019/3/7の朝日新聞朝刊に平成の30冊という記事が掲載されていました。その中の20位にランキングされていたのがこの本。天皇の存在について考えさせられました。時代が行き来し、理解し難く、読み進めるのが難しい本でした。

  • 小説の面白さは素材選択の時点であらかた決まるようです。

    「天皇の戦争責任」という重いテーマを、戦勝国の米国で、そして理詰めだけの議論競技「ディベート」という場で、さらに日本人一人という孤立無援の状況で展開されるストーリーの着想は秀逸です。

    とはいえ、付随して展開されるサブストーリーは私には意味不明で、この小説の素晴らしさを減じたように感じました。

    そして私がこの小説から気づかされた点が2箇所ありましたので、紹介します。

    キリスト像はなぜ磔の図であるのか、なぜ拷問の果てに死んだ救世主の図を崇め、その後に復活した彼の方に興味を持たないのか?
    それは、イエスを教会が神の一人子として独占するために、子孫のない絶対唯一の存在とした方が都合がよかったからなのでは?という指摘が1つ。(P516)

    もう1点は、議論相手から真珠湾攻撃というだまし討ちを非難されたときに、これはあくまでも手違いの事故であってそもそも軍事施設を攻撃したもので民間人を狙ったものではないと主張すると、では南京大虐殺や731部隊が犯した残虐行為は?と問われたときの答えです。
    この時、当時の天皇が彼女に乗り移ったかのようにこう答えます。
    「彼らの過ちはすべて私にある。子供たちの非道を詫びるように、私は詫びなければならない。しかし、私の子供たちに対する気持ちを吐露する人の親であることをつかの間許していただけるなら、やはり、前線の兵士の狂気やはねっかえり行動と、民間人を消し去る周到な計画とはまた別次元であると言おう。そしてこの意味において、あなた方の東京大空襲や原爆投下は、ナチスのホロコーストと同次元だと言おう。だからといって何もわが方を正当化はしない。が、前線で極限状態の者は狂気に襲われうる。彼らが狂気の方へと身をゆだねてしまったときの拠り所が、私であり、私の名であったことを、私は恥じ、悔い、私の名においてそれを止められなかったことを罪だと感じるのだ。私はその罪を負いたい。」(P521)

    この小説を読んでよかったと心底思えた箇所でもありました。

    解説の池澤夏樹は「小説にはこんなこともできるのか」という言葉で締めくくっていましたが、間違いなく小説の可能性を味わうことができる1冊です。

  • 「東京プリズン」赤坂真理著、河出文庫、2014.07.20
    534p ¥994 C0193 (2018.09.21読了)(2018.01.11購入)(2015.08.30/11刷)

    【目次】
    第一章 十五歳、アメリカ最果ての町にて
    第二章 謎のザ・ロッジ
    第三章 マッジ・ホールに潜入せよ
    第四章 ピーブルの秘密
    第五章 米軍の谷、贄の大君
    第六章 十六歳、敗北を抱きしめて
    第七章 世界曼荼羅に死の歌を
    最終章 十六歳、私の東京裁判
    解説 小説にはこんなこともできるのか  池澤夏樹

    ☆関連図書(既読)
    「秘録 東京裁判」清瀬一郎著、読売新聞社、1967..
    「東京裁判(上)」児島襄著、中公新書、1971.03.25
    「東京裁判(下)」児島襄著、中公新書、1971.04.25
    「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
    「日本無罪論 真理の裁き」パール著・田中正明訳、太平洋出版社、1952.05.03
    「パル判事」中里成章著、岩波新書、2011.02.18
    「落日燃ゆ」城山三郎著、新潮文庫、1986.11.25
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本の学校になじめずアメリカの高校に留学したマリ。だが今度は文化の違いに悩まされ、落ちこぼれる。そんなマリに、進級をかけたディベートが課される。それは日本人を代表して「天皇の戦争責任」について弁明するというものだった。16歳の少女がたった一人で挑んだ現代の「東京裁判」を描き、今なお続く日本の「戦後」に迫る、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞受賞作!

  • 自分には合わない。現実と妄想あるいは夢の中を行き来しているのだと思うが、区別が全くつかず話が理解できなかった。クライマックはディベートの場面でそこに向かって話が進んでいるのだろうが、作者が何を訴えたかったのも理解できなかった。

    多くの人は「東京裁判」を描いている作品と捉えているようだが、本作の主題は、自分には日本人のイメージにはないアメリカを描いているように感じた。その歴史的な経緯も含め。

    本書は沢山の賞を受け絶賛されている。確かに、私も作中のマリと同じで、意識的にか無自覚かも分からないが、天皇の戦争責任などということは深く考えたこともなかった。そう言う意味では、一石を投じた作品ではあるのだろう。

  • こんな面白くない、酔っ払いの夢みたいな作品は全くもって初めてです。毎日出版も司馬遼太郎も紫式部も、なんでこんな空っぽのぐちゃぐちゃの作品に賞をあげたのか?それがいちばんの謎です。
    賞がいっぱいついていて、いつかそのうちに面白くなるんだ!と信じながらダラダラ最後まで読んでしまった⤵︎せっかくの楽しい読書時間、ダメだと思ったら途中でやめるのも一法ですねぇ。

  • 毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞受賞。アメリカに留学したマリが体験する日本の歴史観。鹿の場面が気になって、一度戻ったら物語の中にすんなり入っていけた。後半はダイナミックな展開に背筋がゾクゾク。解説の池澤夏樹さんやいとうせいこうさんが絶賛もうなづける。平成も残り1年4ヶ月、昭和が遠くなっていく。読み終わっテレビをつけたら、大ヒット映画『君の名は。』が放送で、ちょっと不思議な感覚になった。


  • 途中放棄。東京裁判などに関して事実メインで書かれているのかと思ったら、かなりの部分が文学的で、自分には合わず、読み進められなかった。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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