霧のむこうに住みたい (河出文庫 す 4-10)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413129

作品紹介・あらすじ

愛するイタリアの懐かしい家族、友人、思い出の風景。須賀の数奇な人生が凝縮されその文体の魅力が遺憾なく発揮された美しい作品集。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、単行本にこれまで未収録だったエッセイを中心にまとめた一冊で、書評集や日記などを除いては、おそらく最後の作品集になるそうで(江國香織さんの解説より)、読む順番は間違えてしまったが、その分、全方位に広がるような様々な出来事を通して、彼女がどのようなことを感じ、思い、日々を生きていたのか、そして、そこから私は何を得たのか、より実感出来た思いでいっぱいとなった。

     須賀敦子さん(1929-98年)は、慶應の大学院を中退してフランスのパリに留学し、その後、学生たちの団体旅行に参加したのがきっかけとなり、29歳の夏に、ローマのレジムナンディ大学に留学し、以後イタリアに惚れ込み、後にペッピーノさんという、最愛の人とも出会うと共に、翻訳家でもあり、その仕事の側面を映し出した、ナタリア・ギンズブルグと何度か会うエピソードでは、静かに燃え続ける、彼女の文学への確固たる思いを垣間見たようであったが、その情熱と共に、達観して見ることの出来る客観性も感じられたことが、本書に於いて、静かに紡ぎ出されながらも、どこか心を捕らえて離さない、そんな不思議な魅力が、彼女の文面に表れている気がしてならない。

     そして、その不思議な魅力に色取り取りの華を添えているのが、イタリアに纏わる出来事なのは、おそらく間違いないと思われ、しかも私が心を打たれたのは、そのイタリアでの出来事と彼女自身の人生とが、たとえ僅かでありながらも確かに触れ合って交差したと思われた、そんなささやかな点にこそ、忘れられない思い出や幸せを感じさせるといった、共感を呼び起こしてくれたことで、そこには、国内や外国による相違点は関係ない、人と人とが織り成すことによって生み出された、お互いにとっての、ささやかで素敵な思い出なのである。

     それは、最初の「七年目のチーズ」から、いきなり驚愕のエピソードでありながら、須賀さんと共に、私もドキドキして、最後は不快感よりも『みんなの笑い声』の温かさが強く印象に残ったことや、マナローラの入江のそそりたった岩の上に建つ、「ビアンカの家」の、30メートルほど下に見える海の上に突き出したようなヴェランダに立った時の、彼女の率直な気持ちからも感じられた、全く想像出来ないような現実からかけ離れた話ではなく、イタリアに居ながらも、同じ日本人としての率直なありふれた感情表現に、とても親しみやすさがあるように思われた。

     また、それとは別に、「思い出せなかった話」の、ミラノの市電内で突然声をかけられた、上品な女性は果たして誰だったっけと思いを巡らせる、一見、シンプルなエピソードに思われても、そのかけてくれた言葉、『ご主人がなくなったんですって。うかがって、びっくりしましたわ』に込められた、女性への思いから、もし、このエピソードを書こうと思ったのであれば、夫のいない感傷が、ミラノの秋の到来を普段より早く思わせたことに加えて、その同じ時期には重病を患った母を看取るため、日本に帰国していた事も知ることによって、その市電内でのエピソードには、一種独特な須賀さんだけにしか分からない、ちょっとした戸惑いと温かさを同時に抱かせる心境にさせてくれた感覚に、彼女の中では、イタリアと日本は確かに繋がっているのだということを実感させてくれて、しかもそこには、どこか素朴で家庭的な雰囲気も内在している点に、彼女ならではの視点も感じられた、それは何時の時代に於いても大切な、光と影、表と裏を見ることの大切さなのではないかと思った。

     たとえば、彼女がローマを見るとき、そこには永遠の都というよりは、『なにか暗いゲットに、そしてじっと耐えてきた、ローマの庶民といわれる人たちに、つよく惹かれた』や、『二千年もむかしから、あらゆる権力に搾取され続けてきたローマの庶民の自己防衛の表現なのかも知れない』、更には、フィレンツェやピサのあるトスカーナ地方のすぐ隣のウンブリア地方に関して、『中世そのままの姿、といっても塔や城壁やカテドラルの中世ではなくて、山羊や羊と暮らしていた遊牧民の中世が、ふいに目の前に現れることがある』等から感じられたのは、いずれも表向きの華やかな一面だけではない、その裏で確かに生き続けている者たちへの、素朴な温かさや優しさを抱いている者の眼差しなのであり、そこには、私がイメージしていたイタリアからは、おそらく想像出来なかったであろう、彼女ならではの人間性で触れ合い暮らしてきた、イタリアの一つの素顔が内在していたのである。

     そして、それは旅行ガイドとは一線を画した、彼女とそこで暮らす人たちの交わる人生だからこそ、知ることの出来たものであるのならば、エッセイという本の素晴らしさというのは、その人の人生に於いて、見たもの感じたものを率直に知ることに加えて、それを通さなければ実感出来ない、海外で暮らす人たちの人生の一部を知る喜びもあるのだなと感じ、そこには貧富の差も、素朴な風景に心安らぐ感情も、お葬式でも水と縁の切れないヴェネツィアも、どうしても見てほしくてフランスの友人を連れて行って一緒に眺めた、アッシジの町を一望出来る夕焼けも、全てがイタリアでなくても体験出来そうでありながら、それは確実にイタリアならではのものなのであって、イタリアといえば、パスタやピッツァ、ルネッサンスにコロッセオ、皆陽気で明るい人だよねって、そんな訳無いでしょう、ということに、何故、私はこれまで気付かなかったのかと恥ずかしくなるくらい、世界は驚くほど、未知で身近で不可思議で温かかったのであり、そう感じさせられた点に、改めて、須賀さんの人柄が垣間見えるような気がした。

     そう思わせる一つの側面として、彼女の可愛らしい部分があると書いたら失礼なのかもしれないが、それはクロスワードパズル好きの(もちろんイタリア語)彼女の、『夜、床についてから、明りを消すまでに、いっちょうやる』の言葉に加えて、イタリアのちょっと田舎ふうの煮込み料理が得意だと、自信満々の彼女の言葉の裏には、姑の料理がそうだったからという、家族の温かな絆があり、ここにもイタリアと日本との確かな繋がりを感じさせられたのは、夫のペッピーノさんの存在も大きいのだと思う。

     それは、書店で働いていた本好きのペッピーノさんが、彼女に初めて贈ったプレゼント、「パラッツィ・イタリア語辞典」を、彼の死後も、彼の書斎でひとり翻訳をしていた彼女を証明するものとして、ずっと大事に書斎に置いていたことや、彼が買ってきてくれた古いイタリアの料理書「アルトゥージ」は、初版が1891年にもなる実用性の薄さながら、台所に立てなくなっても、それを小さな空き時間に読み耽る愉しみは続いていたり、はたまた、彼との最初の出会いの地である、ジェノアは、彼女が初めてイタリアに上陸した地でもあるといった、そんな因果関係までもが、俯瞰してみると、まるで最初からそう運命づけられていたかのような、ひとつの大きな繋がりを感じさせられながらも、彼女自身は悠々と自然体で、そこにドラマ性は一切感じさせない、そんな生き方には、彼女のフィレンツェから思いを馳せた言葉、『フィレンツェがつくられたころ、人々はゆっくり考えてものをつくっていたことを、忘れないほうが、いいのではないか』のような、変にきっちりせずに、ある程度の気楽さと心に余裕を持った方が、きっと人生も世界の見方も人間関係も上手くいくのではないか。そんな忙しない現代に於いて忘れかけているような、自然体が織り成す人生の不思議な美しさを、彼女は私に教えてくれた気がしてならないのである。

    • たださん
      ☆ベルガモット☆さん、こんばんは☆
      コメントありがとうございます(^^)

      嬉しいお言葉ありがとうございます(´▽`)
      ブクログでやりたいこ...
      ☆ベルガモット☆さん、こんばんは☆
      コメントありがとうございます(^^)

      嬉しいお言葉ありがとうございます(´▽`)
      ブクログでやりたいことは、基本的に変わらないので、今後ともよろしくお願いいたします♪

      イタリア旅行をしたようななんて、恐縮です。
      私はイタリアについて、殆ど無知だったので、そう思われたのなら、おそらく須賀さんの力だと感じておりまして、どこの国にもささやかな日常があって、成り立っている部分もあることを、改めて勉強させていただきましたが、その中でも、須賀さんの率直な自然体の文面に惹かれ、これからも彼女の作品は読みたいと思いましたし、彼女の中に見えているイタリアに、とても惹かれるものを感じました。

      ローマ展、さぞ見応えがあったのでしょうね。二千年以上の歴史の重みとはどんなものなのか、思いを馳せたくなります。

      読みたい本リストに加えていただき、ありがとうございます(^o^)
      ☆ベルガモット☆さんのレビュー、今から楽しみです♪
      2024/02/02
    • ☆ベルガモット☆さん
      たださん、こんにちは。またお邪魔しまーす☆
      「どこの国にもささやかな日常があって、成り立っている部分もあることを、改めて勉強」「須賀さんの...
      たださん、こんにちは。またお邪魔しまーす☆
      「どこの国にもささやかな日常があって、成り立っている部分もあることを、改めて勉強」「須賀さんの率直な自然体の文面」「彼女の中に見えているイタリアに、とても惹かれるもの」
      たださんの本に対する愛情がほとばしっていて、レビューに心動かされます。『こうちゃん』も気になる本になりました♪絵本もいろいろ物色中です。
      ローマ帝国時代に日本は弥生時代だったと思うと、気が遠くなる想いです。
      私一人では出会えない本に出会えるので、これからもレビュー楽しみにしています
      2024/02/04
    • たださん
      ☆ベルガモット☆さん、こんにちは。
      またまたありがとうございます☆

      そう仰って下さり、とても嬉しいのですが、『こうちゃん』の記憶が酒井駒子...
      ☆ベルガモット☆さん、こんにちは。
      またまたありがとうございます☆

      そう仰って下さり、とても嬉しいのですが、『こうちゃん』の記憶が酒井駒子さんの絵しかなくて、改めて自分のレビューを見てみたら、須賀さんの作品だったのですね。すみません(^_^;)
      でも、そのおかげで再読したくなりました。
      ありがとうございます♪
      須賀さんといえば、エッセイと翻訳の印象が強かったので、まさか過去に他のジャンルの作品を既に読んでいたとは・・・。
      しかし、不思議な巡り合わせを感じ、嬉しかったです。
      2024/02/04
  • わりと読む本が偏っている私がいつ、どうやって須賀敦子という作家を知ったのか記憶にないけれど、なんだかとても惹かれて、全集もほぼ買い集めた。何度も読んだわけではないので、これも記憶があやふやだけれど、確か、だんだんと宗教色が強くなってきて、というと聞こえが良くないけれど、信仰という精神、信条にかかる記述が増えてきて、好き嫌いの問題でなく、到底私の理解が及ばずに、全集を完読できなった。
    そこから数年。本書をたまたま見つけて、すぐに読みたくなって購入。

    やはり須賀敦子の文章はいいな~、と思いながら読んだ。私はヨーロッパがなぜか好きで、ヨーロッパというと主語が大きいけれど、イギリスもスペインもイタリアも好きだから、やっぱり「ヨーロッパが好き」と言うしかないんだけど、須賀敦子が語るヨーロッパは私がイメージする華やかなものとは違い、どこか暗く、貧しく、それこそ、灰色の石畳に常に霧がたちこめているような、そんなヨーロッパ、イタリアなのだけれど、それでもやっぱり「ヨーロッパが好きだ」と思いながら文章を追ってしまう。物質的には貧しくても、精神的には豊かで、人間味にあふれた友人・家族とのエピソードがリアリティをもって静かに語られ、そこにひっそりと織り込まれる須賀敦子の思考が、とても魅力的なんだと思う。だから、霧のたちこめる町も暗いだけで終わらない。

    全集を再読したくなった。

    • riyumomさん
      URIKOさんと逆で、1~2冊須賀敦子さんの本を読んで、ちょっと苦手だなと思いそれっきりでした。年齢や状況が変わってすんなり受け入れられるか...
      URIKOさんと逆で、1~2冊須賀敦子さんの本を読んで、ちょっと苦手だなと思いそれっきりでした。年齢や状況が変わってすんなり受け入れられるかもしれないし、読んでみようかなと思いました。今度手に取ってみます。ありがとうございます。
      2023/11/27
    • URIKOさん
      >riyumomさん

      コメントありがとうございます!
      そうですよね、苦手だと思われる方もいますよね。
      私は、うまく言葉にできないん...
      >riyumomさん

      コメントありがとうございます!
      そうですよね、苦手だと思われる方もいますよね。
      私は、うまく言葉にできないんですが、好きなんです。
      「憧れ」が強いのかもしれませんが、やはり須賀敦子の文章は素晴らしいと思います。
      riyumomさんのおっしゃる通り、読書って、いつ読むかとか、生活などがどんな状況か、で、受ける印象・感想が変わってきますよね。
      もしお手に取られたら、どんな感想を持たれるか楽しみです!
      2023/11/27
  • とても静謐かつすっきりとした、けれど、愛おしむ気持ち溢れる素敵な文体が胸に染みる、イタリア文学者でエッセイストでもあった須賀敦子さんのエッセイ集。

    三章構成で、印象に残っている友人たちのこと、イタリア諸都市を中心に愛した街並みのこと、若くして亡くなった夫との思い出とそれに纏わる品々等について語っています。

    静けさと溢れるほどの愛おしさの中に、明確に言葉にはされずとも、哀しみや感情のざわめき、追悼の気持ちが行間に込められている点も、強く印象に残りました。

    例えば、「思い出せなかった話」という作品の書き出し。
    『夫が死んで、一年とちょっとの月日が経っていた。彼が逝ったその同じ夏、重病をわずらった母をみとるため、十ヶ月ほど日本に帰っていたあと、私はもういちどイタリアで暮らしはじめていた。夫のいないミラノは、ふだんよりはやく秋がきたように思えた。』

    哀しい、とも、つらい、とも、愛おしい、とも、直接的な感情の言葉は一つも書かれていないのに、そこには確かに、愛おしさと当時に哀しみが込められています。

    須賀さんの作品は初読でしたが、これほど行間を読ませる文章には滅多にお目にかかれないと、すぐに虜になってしまいました。

    また、本書の中には、須賀さんが愛したり翻訳したりしたイタリア文学のタイトルなどもたくさん登場し、俄然、これまで馴染みのなかったイタリア文学が読みたくなってきました。

    人からお勧めされて偶然手にしたのですが、出会えてよかったと、しみじみ思う作品でした。

    • nejidonさん
      hotaruさん、こんにちは♪
      本棚に登録されたのを見ただけで、お気に入りをクリックしそうでした(笑)
      須賀敦子さん、私も大好きです!
      ...
      hotaruさん、こんにちは♪
      本棚に登録されたのを見ただけで、お気に入りをクリックしそうでした(笑)
      須賀敦子さん、私も大好きです!
      名前を聞くだけで胸にあたたかいものがあふれます。
      こちらでも拝見できてとても嬉しいです。
      レビューもしみじみと素敵☆です。
      私も本棚から出して再読したくなりました。
      2017/06/14
    • hotaruさん
      nejidonさん、こんにちは。
      はい、初めて須賀さんの作品を読んだのですが、すごく素敵でした。
      それにしても、nejidonさんは、いろい...
      nejidonさん、こんにちは。
      はい、初めて須賀さんの作品を読んだのですが、すごく素敵でした。
      それにしても、nejidonさんは、いろいろな本や映画を知ってらっしゃいますね!すごいです^_^
      2017/06/15
  • 包容力というか、イタリアの人々の優しさが紹介される数作に始まる静かなエッセイ。
    (冒頭"七年目のチーズ"は強烈だけど!)

    "となり町の山車のように"、"アッシジに住みたい"が好き。
    亡くなった夫との思い出が優しい"パラッツィ・イタリア語辞典"も。

  • 少女のような心の瑞々しさと骨太な知性。
    美しく編まれた文章に心が洗われる。

    合理性は知性のほんの一面でしかない、ということを知っている人の豊かさ。

    折に触れて読みたくなる一冊。

  • 須賀氏は文体、言葉に並々ならない情熱を持っていたのかも。ヨーロッパの、古く、美しい都市にたたずむ姿が見えるよう。少女のようなみずみずしい感性と、外国で自分の居場所を言葉と共に紡いでいったたくましさを同時に感じた。

  • イタリアやフランスでの日々を追憶するエッセイ。
    日本語で書かれているのに、読んでいるうちに「こんなことばがあったんだ」と感じていました。
    するする入ってくるけれど、洋画の字幕を目で追っているような。そんな不思議な感覚です。
    しかし、須賀さんの感性と視点を通して描かれる人々は、とてもリアリティがあって、"暮らしている"姿がありありと目に浮かびました。

  • ある土曜日、娘に"朝活しよう"と、出かけたカフェで読んだのが、『霧のむこうに住みたい』。

    エッセイが苦手なわたしですが、出だしから心地よい! ちょっと何⁈ 面白い! と、感動。

    実は、わたしの朝活の目的は、ピスタチオジェラートをサンドしたクロワッサンと温かいカフェラテ‼︎
    歳のせいか、食い気のせいか、肝心の本を忘れてしまったわたしに、呆れた娘が『霧のむこうに住みたい』を貸してくれたのです。なので、殊勝な心で読みました。

    心地よい温もり、また、押し付けがましくないさっぱりとしたところもあり、行間のノスタルジックな香り、街や人や物などの描写に愛情を感じられ、読んでいると、心が落ち着きます。

    古民家カフェの懐かしいストーブに温められたわたしは、ぬくぬくと心地よい読書ができました。

    須賀敦子さんの夫の従弟・ジュゼッペの妻・アドリアーナの「アスパラガスの記憶」
    ミラノを引き上げるとき、なによりも置いてくるのがつらかった「白い本棚」
    亡夫のはじめての贈り物・三十年後ガザグサになっても捨てられない「パラッツィ・イタリア語辞典」
    そして、「芦屋のころ」など、
    印象深かった。

    イタリアを知らない、イタリア文学も知らない、わたしですが、須賀敦子さんの『霧のむこうに住みたい』のわたしの知らない世界に惹かれました。

  • なんとなくこの本は晴れ渡った日よりも、雨の日に読みたくなるな、と思っていたら、最後の解説で江國香織の文章を読んで納得でした。

    須賀敦子さんを存じ上げなかったので、この本で初めて知ることになりましたが、イタリアに惹かれて過ごした日々が静かに美しく語られていて、心が落ち着きました。

  • 紀行文が特に秀逸。
    「ミラノの季節」や、「ヴェネツィアに住みたい」、「アッシジに住みたい」は、行間からその街の佇まいだけなく、街の匂いまでもが立ち上ってくるような感じがする。
    また、訳書である「ある家族の会話」もぜひ読んでみたくなった。

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著者プロフィール

1929年兵庫県生まれ。著書に『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』『須賀敦子全集(全8巻・別巻1)』など。1998年没。

「2010年 『須賀敦子全集【文庫版 全8巻】セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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