NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 288
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413228

作品紹介・あらすじ

第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門を受賞した画期的アンソロジー・シリーズ《NOVA》が装いも新たに、復活。
第34回日本SF大賞の全候補作家+日本SF大賞・同特別賞の受賞者たちが参加する、前代未聞の完全新作・オール読切アンソロジー。

「数奇な運命により、いまの日本SFシーンの第一線に立つベテランから新鋭までが顔を揃える豪華な一冊が誕生した」---大森望

●収録作品(全8作)
宮部みゆき「戦闘員」
月村了衛「機龍警察 化生」
藤井太洋「ノー・パラドクス」
宮内悠介「スペース珊瑚礁」
野崎まど「第五の地平」
酉島伝法「奏で手のヌフレツン」
長谷敏司「バベル」
円城塔「Φ(ファイ)」

感想・レビュー・書評

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  • どれも、くそ面白かったです。
    ディテールがすごいとか、物語がうまいとか、そういうのは前提として、着眼点が面白い。現実の社会や生態系や科学技術のどこに目をつけて、発想を飛躍させるか、楽しみでならなくて、読んで満足感があった。

    NOVAシリーズ10巻に手を出そうかしら。

  • 相変わらず、平均レベルの高い新作オンリー・SFアンソロジー。大森望、いい仕事する。

    「戦闘員」★★★★☆
    - 防犯カメラに擬態しているエイリアンの存在に気づき、戦うことを決めた藤川(80歳)と少年。 ライト目だが、ちょうどいいボリューム感。

    「機龍警察 化生」★★★☆☆
    - 夏川(特捜部 捜査主任)を中心に警察モノサスペンスの体裁の作品だが、追っていた山の真相がSF的な兵器の開発事案だったという感じ。

    「ノー・パラドクス」★★★★☆
    - リヴィジョンズのほうで既読。

    「スペース珊瑚礁」★★☆☆☆
    - ジョーク系SFのシリーズ。宇宙の果てまで借金の取り立てに行く主人公。初めは楽しかったのだが、途中でどうでもよくなってしまった。

    「第五の地平」★★★★★
    - 『誤解するカド』にて既読

    「奏で手のヌフレツン」
    - 酉島伝法作品、読み切る前に挫折したのは今回が初めてではない。

    「バベル」★★★★☆
    - シミュレーションシステム、テロ、社内政治、人間社会のストレス連鎖。異国を舞台にした作品が自然と描けていることがすごい。長めの作品。

    「φ」★★★☆☆
    - 語り手が宇宙の終わりについて、あれこれ哲学的というか、屁理屈のようなものをダラダラと語っているだけで、退屈だなと思いきや、始まりから、すべての段落の文字数が一文字ずつ減っていって、最後に文字がなくなる、というトリックが仕込まれていて、あら面白い、という感じ。
    - 円城塔、何をやっても怒られない作家。

  • 本編から外れた、⁺要素。
    ただし出てくる作品は本気そのもの。
    日常に出てくるさりげない恐怖を
    表現した宮部みゆき氏の作品はすごいなと思います。
    (日常が恐ろしいものに変わっていくさま、ね)

    それと一番長い作品は秀逸。
    何かと世界的に扱いづらいイスラムを扱っているし
    今進化途中のシステムを使っているのもまた。

    ただ、絶対にこの作品のような事態は
    招いちゃいけないと思う。
    ここに出てくる犠牲になった少女もそうだけど
    便利と悪用をはき違えちゃだめだ。

  • 宮部みゆき「戦闘員」★★★
    月村了衛「機龍警察化生」★★★
    藤井太洋「ノー・パラドクス」★★★
    宮内悠介「スペース珊瑚礁」★★★
    野﨑まど「第五の地平」★★★
    酉島伝法「奏で手のヌフレツン」★★★
    長谷敏司「バベル」★★★
    円城塔「Φ」★★★★

  •  もう、思考を維持できそうにない。残りは二十五語段落。
     そうできるうちに語っておくべきことが多くあった。
     あの人に。あの人が誰なのかわからなくなる前に。
     忘れてしまう前にお礼を言っておくべきだった。
     わたしがわたしであるうちにするべきだった。
     我々は忘却を記憶しておくことはできない。
    (P.500)

  • 一番のお気に入りは、スペース金融道シリーズ

    人間が宇宙に拡散しても、資本経済は終わらなかった。
    が、貸し付ける相手に変化が。
    人間だけでなく、アンドロイド、人工生命体、異星人にも貸し出し、「宇宙だろうと深海だろうと、核融合炉内だろうと零下190度の惑星だろうと」どこまでも苛烈に取り立てる。
    そんな新星金融に勤める、気が弱く貧乏くじをいっつも引かされる「僕」と、頭がよく頼りになるが口が悪くすぐに手が出る、ムスリムのくせに金貸しの先輩「ユースフ」が宇宙狭しと取立てに精を出す。
    さらにそこにアンドロイドの公民権運動に熱心な「アンドロイドの母」リュセが加わり、ドタバタの追撃が毎度展開される。

    いろいろ特記すべき点があるが、まずは「アンドロイド」。
    といっても、ロボットロボットしたのではなく、ほぼ人間と変わり無い存在として描かれる。
    が、人間より公民権はなく、危険な作業に重視させられる。
    さらに新ロボット三原則、
    1・人格はスタンドアロンでなければならない
    2・経験主義を重視しなければならない()
    3・グローバルな外部ネットワークにアクセスしてはならない
    に縛られている。特筆すべきは、2番目。これはつまり、「人間風にいきましょう」ということらしいが、結果、迷信やジンクスを信じるようになったり、ストレス解消のために借金して散財したり、とある意味、「人間より人間らしい」行動をとり、結果、借金取りに追われるようになる。
     新原則の肝要は「アンドロイドが人間より賢くならないように」ということだが、そのためネットワーク(現在のインターネットみたいなの)へのアクセスは制限されている。それが3であるが、かわりに暗黒網(ダークウェブ)なるものがアンドロイド間に蔓延している、が人間側はそれを見ることができない。
     たぶん、これは、作中では「ロボット」とされているが、移民などの社会の底辺側にいる人たちのメタファーなんだと思う。
     
    宮内氏は、「NOVA」シリーズの「スペース金融道」シリーズで知った。
    「ヨハネスブルクの天使たち」も良かったけど、こっちのほうが好み。たぶん、宮内氏のドライな文体に、コメディーの要素(主に僕とユースフの掛け合い)がマッチしているからと思われる。

    単行本化、希望。

  • ノーパラドクス、スペース珊瑚礁、あたりが読み物として面白かった。
    アイディア勝負っていうか閃きだよねー、が第五の地平、Φ。
    読みやすかったのはバベル。

  •  全10巻で終了したと思っていた書き下ろし日本SFアンソロジーの『NOVA』が、『NOVA+(プラス)』となって、いつのまにか第二期が始まっていた。嬉しい驚き。さすが大森望氏。これからの楽しみが増えた。
     当代きっての作家たちが腕を競っており、同じSFとは言え、好みが合わないものや首をかしげるものなど様々だが、特に宮部みゆき『戦闘員』、酉島伝法『奏で手のヌフレツン』、円城塔『Φ』がお気に入り。

  • 第34回日本SF大賞の全候補作家+日本SF大賞・同特別賞の受賞者たちが参加する、完全新作・オール読切アンソロジー。宮部みゆき「戦闘員」、長谷敏司「バベル」など、全8編を収録する。
    (2014年)
    — 目次 —
    宮部みゆき『戦闘員』
    月村了衛『機龍警察 化生』
    藤井太洋『ノー・パラドクス』
    宮内悠介『スペース珊瑚礁』
    野﨑まど『第五の地平』
    酉島伝法『奏で手のヌフレンツ』
    長谷敏司『バベル』
    円城塔『φ』

  • 読者の私の責任なのだろう、SFにはどうやら興味が持てないようだ。物語から学べることがほとんどなかった。登場人物の生き様も教訓も共感のきっかけすら持てなかった。作家の皆様すみません。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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