ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫 ふ 4-8)

著者 :
  • 河出書房新社
3.17
  • (2)
  • (13)
  • (16)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 242
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413242

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 物語が滑らかで生々しい文体。現実的でないはずの出来事が、少し距離のある冷めた目線で描くことで、違和感なく読ませる。憐憫がいつしか魅力に見える様の表現が上手い。

  • 雪深き地方のホテル。古いダンスホール。孤独な青年カザマは盲目の老嬢ミツコをタンゴに誘い……リリカル・ハードボイルドな芥川賞受賞の名作。森田剛主演、行定勲演出で舞台化!

  •  
    ── 藤沢 周《ブエノスアイレス午前零時 1998‥‥ 20141007 河出文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4309413242
     
    (20231128)

  • タンゴがなんかエロい

  • 些細な救いのお話だった

    「ロートレックの絵画…ひどく趣味が悪い」
    「ジョニー・マチスの歌うムーン・リバー」
    など、特定の知識が無いと情景が浮かばないかもしれない描写が多いが、分かる人には分かる伏線になっていたりする

  • 読書開始日:2021年12月28日
    読書終了日:2021年12月28日
    所感
    【ブエノスアイレス午前零時】
    好きな作品だった。
    格好良い作品。
    都会から雪国に戻ってきたカザマは、閉塞感のある日常、特に勤務先みのやホテルコンベンションホールで行われるダンスパックに嫌気がさしていた。
    ポマードと派手な香水をごちゃ混ぜにした混沌の中に、嗅いだことの無い香りを漂わせるサングラスをしたミツコを見つける。
    カザマは惹かれた。
    カザマから香る温泉卵の匂いを、ミツコが肯定したからだろうか。
    中々踊らないミツコに対する「婆さん、踊りたいんじゃないか。踊れよ。」の心の一言には痺れる。
    盲目の闇は青。ミッドナイトブルー。
    タンゴを一緒に踊ることにより、盲目の闇では無く、耄碌の闇をミツコと共有した場面。
    「大丈夫です…誰も見ていないです」には、自ら作り出した夢中による盲目の意味が込められているようで、光を感じた。
    雪国の凍てつくようなカッコ良さを感じた。
    【屋上】
    屋上プレイランドの事務員として派遣された会社員が、同じような状況のポニーに自分を重ねる。
    屋上という、地上からも区切られ、会社からも区切られた場所に鬱憤が溜まり、ついにはポニーの解放を試みる。
    しかしポニーはいつも通り柵の中で一点を見つめる。
    その状況に浸りすぎた果てを見て、屋上コンクリートの地平線を覗く。
    高円寺駅と阿佐ヶ谷駅に自殺者が多いのは、自分よりも下の目線に地平線が見えるためという主人公のその後が怖い。

    【ブエノスアイレス午前零時】
    モダンダンス会=いやに手入れされた犬の品評会
    思ったよりも女の細い指の先には力が入っていて、目の見えない状態でまったく知らないところを歩く怖さを感じさせる
    マッチ=地球の、奥の、においがするだろう
    シャツの襟元から背中に水でも差されたような気持ち悪さ
    ホールの中の空気がダンスの動きで攪拌されて
    婆さん、踊りたいんじゃないか。踊れよ。
    雪=上空何千メートルの空気の匂いがする
    ピアスの穴痕に、何かとにかく喋らなければならないと思ったとしか言いようがない
    今日も盲目の闇の中で、自分で化粧をしたのだろうか
    盲目は真っ暗、じゃないのよ。青…青く、見えるの
    瑪瑙
    右半身に密着したミツコの痩せた体に、優しい気持ちがせり上がってきそうな、
    【屋上】
    ルーティンだからこそ仕事だ
    幼い頃に小便をたれた時の甘さ
    ダンボール箱特有のバニラに似た匂い

  • 森田剛くん主演で舞台化してたんっだなコレ
    たしかにやや不良少年ぽい雰囲気が合ってる…
    不良少年と老嬢のタンゴ…うーんロマンだ…

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687301

    第119回芥川賞受賞作品。

  • 2021/5/30 ★3.2

  • 個々の人柄や人生が淡々と練り込まれていて
    何のつっかえも無くサラリと読めた一冊。
    老女と燕と卵。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年新潟生まれ
書評紙編集者を経て93年「ゾーンを左に曲がれ」で作家デビュー。98年「ブエノスアイレス午前零時」で119回芥川賞受賞。著書『サイゴン・ピックアップ』『オレンジ・アンド・タール』『箱崎ジャンクション』『雨月』『さだめ』『幻夢』『心中抄』『キルリアン』『波羅蜜』『武曲』『武蔵無常』『サラバンド・サラバンダ』小説以外に『安吾のことば』など

「2020年 『言葉である。人間である。 読書術極意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤沢周の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×