屍者の帝国 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 1941
レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413259

感想・レビュー・書評

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  • 屍者(死者)を道具として扱い、戦争も行われる時代が舞台。屍者の謎に迫りながら世界各地を飛び回り、その真相に迫っていくというようなストーリー。
    かなり間を空けつつ読んでしまったので、ストーリーがうまく頭に入りきらずに読み進めてしまった感が否めない。
    読み進めていくうちに回答に近づいていく感じはあるけど、テーマとして哲学のようなものを扱ってるので、謎が解けてスッキリ!というものはない。好き嫌いは分かれそう。

  • スチームパンクで19世紀末の社会に「死者を復活させ思うがままに操る」技術が確立され、さっそくクリミヤ戦争などに用いられる。語り手はシャーロック・ホームズの語り手として有名なワトソン。基本的アイデアとしては『地球の長い午後』。『虐殺…』でも見られた言語への関心が“もっとも根本的な言語は何か”すなわち「アダムの言語」がカギとなり人類の始原につながる、「なぜヒト以外は復活させられなかったか?魂がないからだ」西欧的発想と言える。“自我はどこから来るのか”という疑問を仏教では《中心的自我はない》という根本教理で解明

  • 屍者をロボットのように安価な労働力として使役できるSF世界。

  • 円城氏の文章と合わないのかなかなか進まなかったが、最後まで読んでみて面白かったという感想がいちばん大きい。ただいまいち理解しきれていないので、気が向いたらまた読みたい。

    ヴァン・ヘルシングが言うには、人間を「意識がある」かのように感じさせているのは言葉である。

  • 伊藤計劃の遺作プロローグを引き継いだ完成させたという背景情報と切っても切れない関係の小説。なんやかんや言いながらもきっちりと伊藤計劃らしさを出しているのは見事だし、ここまでの文量に仕上げる熱量もさすがと言うしかない。時代改変としての面白さや小ネタの使い方が非常に巧みで、文章遊びはさすがの手練。ただ、円城塔を消し去ることはできず、ページを経る毎にまったくもって冗長で小難しくなっていく文章はSFエンターテイメントではなく、SF=Speculative Fictionとしての性格を強くしていくのがご愛嬌。正直、分かったような分からんような(おそらく自分の理解レベルはバーナビーだろう)感想だが、エピローグ+あとがきを読むことで完成される感情は、合作としては出来過ぎ。

  • 円城塔とは思えない振り切ったエンタメ成分は遺稿を書き継いだからこそではあるけど、テーマとしてはやはりどうしても思弁的になるんですね。
    とはいえ、フランケンシュタイン自体が異端である所に端を発して、推理小説や怪奇小説に秘密結社という風にとにかく木を隠すなら森と言わんばかりの徹底した異端思想ストーリーになってるところに悪戯っぽさがある。
    しかしこうしてみると19世紀はアマチュアの時代でもあるような気がしますね。エジソンもダーウィンも、近代国家としてのアメリカも日本もアマチュアじゃないですか。
    そういった怪しげな根拠にもかかわらず時代は急速に進んでいく。そいつを駆動しているものこそ物語であるというところで怪しさは一回りして現実の世界に戻ってくる。
    結局、自分が納得できる物語しか受け入れられないのであれば独我論の閉じた世界にいることと同じになってしまう。でも、ワトソンの物語はフライデーの裡に残り、伊藤計劃の物語は円城塔、そして読者の元に残った。
    あくまで“軽い読み物”として構想されたということではあるけれど、たとえば21g分くらいの問いかけは受け取ったんじゃないかななんて考えている。

  • やはりSFは苦手だ…_(┐「ε:)_

    虐殺器官、ハーモニーも読んだけれど、やはりこれだけかなり毛色が違う。円城さんはどこまで設定を知っていたのだろうか。プロローグだけしか知らなかったんだろうか。そうだとしたら、ここまで書き上げたのは、とってもとってもすごいことだ。

    とはいえ、なんか違うんだよなぁ。
    前2作はとても硬派なのに、今回はキャラがなんだかアニメくさい。特にバーナビー。個人的には大好きなんだけど、なんか違うんだ。あと、ハダリーもね。

    前2作は、世の中を良くしようとするシステム?が発動して終わり。今回はまた違ったエンドで、うん、それはまたそれでなんか違う気がするだ。
    ぶっちゃけると、「これ、3部作じゃなくね?」(›´ω`‹ )
    なんかなー。なんかなー。
    虐殺器官とハーモニーで一括り。屍者の帝国はまたべつかなぁ、と。

  • 面白かった!が、理解できない部分もたくさんありました。
    円城さんの文章難しい……。前2作に比べ、一番読むのに時間がかかりました。いやいやその説明1行でよくない!?一言でよくない!?っていうのがたくさん……。たぶんわたしの理解力が足りないせいですが。

    ハーモニーに続いて読みましたが、虐殺器官、ハーモニー、本作の順で読めて良かったです。
    ハーモニーでは人々の調和を保つため人の意識(脳内会議による選択)を手放した結果、器のみが生き続けることを人類は選択しました。それに対して屍者の帝国では、死んだ後の身体(魂のなくなった器)を巡り、魂とは何かをワトソンが探して行く姿が描かれています。映画と原作ではこの魂の捉え方に違いを出していたところが、とても印象的でした。

    原作では、「魂=言葉」であり、人の意識は菌株による決定で、結局自分の意志や意識は何をもってして選択されているのかという結論は曖昧であったと思います。映画ではそこのところをワトソンとフライデーの関係性に重きを置き、魂を意志と捉え、フライデーの中に魂を見出すことに必死になります。特に機械人形という設定のアダリーはもっと感覚的に魂を求め、感じようとしていたように思いました。

    また、3作品すべて読んでみて、エンタテイメントとして面白いだけでなく、戦争という現象を引き起こす人間の本質に迫るテーマや世界観設計は、どこかこの世界の地続きのように感じます。

    あとがきにもありましたが、今の世界を、そしてこれからの世界を伊藤計劃さんの目を通してみたらどのように見えるのか、どのような物語になるのか、もっともっと見てみたかったです。

  • 映画化の影響で読み始めたのですが、読み終わるまでに結構かかりました。もともと読むのは早く無いしたくさん読む方でも無いですが、それにしても初めて聞く単語や設定が多く、特に後半、それらを飲み込むのに時間を要しました。
    ただ全体としては感情をほとんど持ち込まなない淡々とした文章や(その中で感情を感じる文章には惹き込まれました)、練られた内容、用意された答え、クライマックスの疾走感と楽しんで読むことが出来たと思います。おもしろかった。

    • くらげさん
      すごく納得してしまいました。円城先生の文章の魅力だと思います。
      >"感情をほとんど持ち込まなない淡々とした文章や(その中で感情を感じる文章...
      すごく納得してしまいました。円城先生の文章の魅力だと思います。
      >"感情をほとんど持ち込まなない淡々とした文章や(その中で感情を感じる文章には惹き込まれました)"
      2016/01/20
  • 文庫にて再読。前回読んだときの記憶がまばらにしかない状態で映画を観てこんなんだったっけ?とは思ったんですがまさかこんなに違うとは。映画はザ・ワンとワトソン足してしまった感じであれはあれで面白かったので円盤出たら買おう。

    エピローグのフライデーの語りは以前読んだときにもそういう事なのだろうなとは思っていたのですが、文庫あとがきでしっかり言葉にされたのを読むともう...。そうか、お二人が過ごされた時間とワトソンとフライデーの旅の時間と...そうか...。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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