屍者の帝国 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 1939
レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413259

感想・レビュー・書評

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  • 屍者の帝国

    伊藤計劃の遺稿を円城塔が書いたもの。ところどころ円城塔特有のカタカナ的な分かりにくい言い回しがある。初めは気になっていたが、読むうちにそんな表層的なことではなく、伊藤計劃の物語に没入していった。
    生命とは何かという問いかけの際に、「性交渉によって感染する致死性の病」という言い回しがとても気に入っている。ザ・ワンのいう、人間の意志は菌株によるものであり、その菌株が人間を駆動する。そして、その菌株を操れるようになった時、人類の歴史は変わるという考え方は、結局のところハーモニーで伊藤計劃が言わんとしていることに近いように思えた。死を前にしてもなお、人間を人間たらしめるものは何か、意思とは何かという問いに対して、魅力的な時代設定と登場人物の対話で答え続けようとするその姿に敬服する。最後に、菌株を言葉と言い換えるシーンがある。現実は物質化された言葉であり、言葉が人に感染し、伝搬していくことは多々ある。今まで多くの歴史上の事件が、魔術的に人を引き付ける標語と共に起こっていったことはまさしく「言葉の物質化」ともいえる。そして歴史とは言葉で紡がれた現実であると錯覚されたものである。歴史書に書かれたことは、現実であると錯覚してしまうが、それは言葉に過ぎない。本作の登場人物に、ダーウィンやワトソン、カラマーゾフなど実在した(とされる)人物とフィクションの人物が混在することに関して、私は伊藤計劃が歴史-言葉でつくられた世界―に対する過度な信用を疑うという目的があるのではないかとも思った。ワンピースの名言である人が死ぬときは、人に忘れられた時だという言葉は近いように思える。その人が実体として死んだとしても、語り継がれることで屍者として生き続ける。語り続けることで不死化を実現しているともいえるのだ。

  • 2017/5/28

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  • ”まず、わたしの仕事から説明せねばなるまい。
    必要なのは、何をおいてもまず、屍体だ。”

    プロローグだけ10回くらい読み返した。
    やはり伊藤計劃氏は書き出しが抜群に上手い。

    全体としては読み終わるのに相当時間がかかった。
    円城塔氏の文章は、はっきり言って苦手だ。
    ただ、このあまりに困難なミッションに臆せず挑んだ、その意気には喝采を送りたい。

    一生に一度くらい、本当に、純粋に、大切な人のために心血注いでみたいものである。

  • 円城塔に引き継がれ3年余りを経て完成した奇蹟の合作!
    究極のSFファンタジー!

  • 円城塔らしいおちょくるような会話の流れ。SFが一番言葉の力を信じてるんだなあ、としみじみ。展開も立場も視点もぐるぐる逆転する、雰囲気もそうだけど吹雪みたいだ。

  • 本屋大賞2013年9位。500ページ超の結構長い目のSF小説だけど、9割は文章の意味がわからなかった。理解不能。当然、苦痛でした。このミステリーがすごい!は結構マニアックで難解な罰ゲームっぽいやつがランクインするのは覚悟してるけど、本屋大賞でこんなしんどいやつはちょっとビックリ。まあ、文庫化してるし映画化もされてるみたいだし、それなりに人気あるんですよね。みんななんで意味わかるの。いや、ほんと不思議です。

  • 死生観、言葉、社会性など哲学的になりそうなテーマがエンターテイメントとして読み応えある作品になり、それを楽しんで読めてよかった。映像化した作品も関連作として、ぜひ鑑賞したい。

  • スチームパンクがお好きなら、きっとこの小説から漂うレトロモダンな雰囲気に浸る悦楽を味わえると思います。
    そして見覚えのあるキャラクターや団体の名前に、自分の歴史なんかの知識をすりあわせることで、ニマニマするのも良いでしょう。
    後のところは、正直どうでもいい。
    生命や魂、意識とは、なんてのは規定したところで、納得できなければ、それまでな気がしますし。

  • 虐殺器官、ハーモニーに続き。
    これまでで期待が大きくなりすぎたか。
    ちょっと物足りなかった、という感想。

    実在、架空を問わず、
    有名人が多く登場する点は面白かった。
    私が気付いてないだけで、
    他にも有名人が登場してたのかも?

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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