屍者の帝国 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 1940
レビュー : 193
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413259

感想・レビュー・書評

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  • 勧めてもらって。

    18世紀に、死体にデータを突っ込んで動かす技術が発達するというSF。死体だけど、結局ロボットとかクローンとかそういう方面の生命倫理の問題とかと重なるな、と思った。
    実際の歴史上の出来事とリンクしていて、歴史好きは面白いのかもしれない。

    著者の世界観炸裂というか、読者を置いていく感じがすごいんだけど、最後はなんか、哲学でしたね。結局宇宙は脳みその中にあるのか。

  • 「神なくして人は死ぬことができるのだろうか、また神なくして死者の復活を望むことができようかと時折考えるのだが、君はどう思う? 生前は宗教に関心を抱かずとも、死の間際になれば説法を求めるものではないのかね。さもなくば教誨師という職業も、臨終の床で教えを説く臨床仏教師も必要とされないはずだ」
     神経質な指先でこつこつとテーブルを叩くのはいつもの癖だった。やれやれとため息をついて、僕にはまだ苦くて飲めそうにないブラックコーヒーをハイネに勧める。
     煙草やらカフェインやらが手放せない大人というのはかわいそうな生きものだ。
    「さあね……散骨や樹木葬が流行っているのがこのご時世だよ。あなたは宗教をハードウェアの一部だと考えているようだけれど、アップデートによっていつかは消えてしまうソフトウェアに過ぎないとしたら?」
    「死者を弔うのは人間という存在の根本をなしている。ネアンデルタール人には死者を埋葬する文化があった。ホモ・サピエンスはそれすらも手放そうというのかね」
     いかにも嘆かわしいといわんばかりに片手で秀麗な顔を覆い、空いた片手がシガレットケースに伸ばされる。指先に触れかけたそれを奪い取って、僕は聖歌の一節を口ずさんだ。
    「たとえ生者が死者の埋葬すらおざなりに片づけるようになったとしても、死者が生前好きだった歌ぐらいは捧げるかもしれないよ。葬儀は生者のためのものだし、生者の気が済むようにすればいいのさ」
    「……」
    ブラックコーヒーをすする音だけが静かに響いて、僕はシガレットケースをハイネにそっと押しやった。

  • 「歴史改変もの」に属するらしい屍者の帝国。ワトソンさんはワトソンさんらしく。ストーリーテラーに徹し、時に愚かな発言をたしなめられ、時に確信をつく。伊藤計劃らしさは随所にあふれているのに実筆はプロローグのみ。円城塔の恐ろしさを感じた。は、さておき。ヴァンヘルにカラマーゾフにバトラー。元ネタしってるとニヤリとすること間違いなしだが、どれも長編ですな。バーナビーがどうにもツボで「自分の属する組織のことくらい調べておくのが基本だぜ」根っからの軍人なのかね。「わたしはわたしの外側にあり、そして同時に内側にある」

  • 半年以上かかって読了。カラマーゾフやフランケンシュタインやヴァンヘルシングが同時代で大暴れ。よくぞ集めた!
    そして伊藤計劃がこだわり続けた「言葉」の概念に感嘆するばかりです。

  • 【ネタバレあり】
    コチラは夭折した作家「伊藤計劃」の最新作となるはずが未完の遺作となってしまった作品。
    遺された序章を友人でもあった同世代の作家「円城 塔」が書き継いで完成させたモノです。
    ガッツリ系SFが読みたい、と思って読み始めたのですが、中々どうして3週間近くかかってしまいました。
    というのも作品の舞台と設定がパラレルワールド、それもシャーロックホ-ムズが活躍した時代、主人公は若き日のDrワトソン、相棒はフライデー、場所は大英帝国やアフガニスタン、ロシア、世界の列強と肩を並べようと富国強兵に邁進する日本、南北戦争が終わったばかりの米国と世界中を股にかける!?
    で、それぞれの時間と場所でエピソードが進行する。とてもじゃないが日本史と世界史の知識を総動員してもWikiペディアのお世話にならないと読み進められないという代物。
    「地獄の黙示録」や最近のシャーロックホ-ムズ、インディ・ジョーンズのシーンを思い出させるようなハリウッド映画にでもしたら良さそうなアクションも満載。
    しかもテーマの一部では「生とは?」、「死とは?」、「意識とは?」、「言葉とは?」といった途轍もなく哲学的なコトを考えさせられる。
    イヤ、ホントにツボにはまった方にだけオススメします。
    ボクは嵌まりました。

  • 読了。是非映画版見直していろいろ詰めたい。

  • 映画を先に観てたが、全く別の物語。
    プロローグから円城塔が描いたこの物語は、冒険譚としての活力は抜群。ただ謎が入り組んでいて、間を開けると中身がうまく繋がらない。
    何回か読み直さないとダメなんだろうな。

  • 可能性は未来へ分岐するだけではない。振り返っても迷うだけだ。

  • 雰囲気小説。確かに映像化すれば、独特の雰囲気のあるアクションあり、ミステリ要素ありの、なかなか興味深い作品になりそうだが、小説で読むと何が言いたいのかよくわからんまま終わった、という感じ。
    私には合わず、読見終わるまでかなり時間がかかってしまった。ザ・ワンがぺらぺらよくしゃべるのがちょっと興ざめ。

  • 2016年1月24日読了。
    素晴らしい。描写も設定もストーリーも。ラストシーンの力には血が逆流するかと思った。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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