時間のかかる読書 (河出文庫)

  • 河出書房新社 (2014年12月8日発売)
3.66
  • (5)
  • (19)
  • (11)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 490
感想 : 26
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784309413365

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 11年間かけて読みといた、「時間のかかる読書」をたったの2、3日で読んでしまっては申し訳なく、罪悪感を覚える。
    が、なんといっても面白かった。とまらなかった!
    「機械」を読んで思った感想を頭に入れて読み始めたけれど、この話をこれほどまでに考え、疑問を掘り下げると、こんなにも違った感想を持てるのかと、感動すらした。
    はたしていままで、何冊の本をここまで考えて読んだだろうかと思った。もしかして一冊もないのではないだろうか?
    「機械」にしても、ただ変なわけのわからない展開だなあーと思うだけで終わっていた。
    ひとつひとつの文章に頷き、一緒に考え、なんだか読書会をしているようでした。

  • 「機械」という短編を11年もかけて読みその過程を綴ったもの。
    こんな読書の仕方もあるのかと衝撃を受けた。
    速読が全てではない。
    ゆっくり読んで内容をかみしめ味わうことこそ至高の読書体験。
    冊数に囚われず、何を読み何を感じ何を得たかに重きを置けるようになりたい。
    真剣に考察したり、妄想を広げて 脱線したり…。
    著者の本に対する熱量や愛を感じた。
    自分もこんな読書体験をしてみたい。

  • 最初に巻末のほうにある「機械」を読む
    確かに1時間くらいで読み終わる
    んで、本文のほうにいく

    なるほど、ここまでして読むってことができるんですね
    めちゃくちゃ面白いし、読むのは1時間だけど、書くのには、それまでの作家の人生分の蓄積があるのだから、11年かかって読むというのは実は大袈裟じゃないのかもしれない。

    とても面白かった。

    下記の本で、「銀の匙」を3年かけて読む灘校の国語の授業の話があるけども、本を読むって面白いですねー
    1000年くらい生きられたらいいのに。

    灘校・伝説の国語授業 本物の思考力が身につくスロ-リ-ディング
    https://www.amazon.co.jp/dp/4796686975/ref=cm_sw_r_cp_api_i_CKA8EbMCN5BSX

  • 1時間で読み切れるくらいの短編「機械」を11年余りかけて読み、内容について深く分析した内容がまとめられていました

    近所の本屋でオススメされてて、気になり購入

    巻末に、その「機械」という作品が付録されているので、先にそれを読んでから本編を読んでも良いし、後からでもいいと思います…(私は後で読みました)

    「機械」と言う作品は、句点や改行が極端に少なく、主人公の「私」が一人称で語り続ける文体

    その語り口調や話の流れが歪み続けていて、つながりがあるようで無いような、そんな感じなので、分析しがいのある作品だったのかもしれません

    読めば読むほど疑問が湧き、著者なりの解釈で紐解かれていて面白かったです

    著者の分析も何度も読み返さないとなかなか理解できなくて、そういう意味でも、タイトル通り時間のかかる読書になりました

    「私」が「軽部」にカルシューム粉を浴びせられるシーン、「私」「軽部」「屋敷」の喧嘩、酒盛り、「主人」のお金を必ず落とすキャラぶり、話の展開の時系列がわからない、登場人物の外見がわからない、わからないだらけだけど、知りたくて何度も読み返したくなる、そういうことがよく感じられる内容でした

  • いったいいま何を読まされてるんだ??とずっと疑問に感じながら読んだ。
    横山利一「機械」という付録についていた30ページほどの話を11年かけて読み、その内容を語ったもの(エッセイの連載)。
    本気で手がけた冗談で、書評というより一字一句あげてガチ分析・推測・妄想。
    どういうスタンスで読めばいいかわからないままずっと読み続けた。
    読みは遅ければ遅いほどよく、立ち止まり考えるからこそ意味があるという。
    わからんでもないが、もっといろいろ読みたい欲張りなわたしにはその読み方はまだいらない。
    202冊目読了。

  • 11年をかけて1冊(原稿用紙50枚)を読み込むという、その試みに仰天。
    脱線につぐ脱線と、横光さんの本当に「よく分からない」文章への、適度な突っ込みに頷いてしまいました。
    贅沢な読書の形が、すてきで楽しかったです。

  • もし本書を読まずに『機械』だけを読んでいたら、主人がお金を落とすというのは、落としたと称して実際は誰かにあげてしまってるのかな、と解釈したかもしれない。「困っているものには自分の家の地金を買う金銭まで遣ってしまって忘れている」という記述や、夜中に細君の部屋に忍び込んでお金を盗るくだりなど、その解釈が暗示されているフシもある。
    ...が、そんな平凡な読み方など一切せず、主人は持ったお金を文字通りに「落とす」という前提で話は始まる。最後まで飛躍的で強引な想像ばかり重ねながら、その点だけは他に解釈の余地がない。なるほど、そこが『機械』のツボであり、無限に楽しく読み続けるコツなんだな..と思ったりした。
    小説の根っこの部分で何か自分にとって不思議な思い込みを入れられると楽しい。稀に天然の誤読でそうなるときがあるけど、意外と気づけず、強引に辻褄を合わせて読み続けられたりする。そういうときの人間の創造力はなかなか凄いと思う。

  • 読み終わった。読み終わったよ。
    時間かけようと思っていたのにあっというまだった。本編が気になってばっと一気よみしてしまって、どう解説?書くんだろう!と気になって読んでしまった。
    ああ。少しずつ読もうとしてたのに。

    狂人のこと、意識のこと、読書のこと。

    一番面白かったのは詩の速読の意味のなさ、というところでそれが面白かった。
    読書という時間の無駄をさらに時間をかけてあれやこれや考えて読むという、非常にスリリングな企画だ。
    一冊くらいこんな読み方してみたい。

  • 横光利一『機械』を11年かけて読んだ読書記録。
    11年という長さもさることながら、時に脱線し、時に考察しながらじっくりと読んでいく試みが面白い。
    巻末に『機械』も収録されているので、該当する箇所を参照しながら読むとより楽しめる。

  • 読むのに時間かかった〜〜
    途中で話が脱線すること多数、でもそれが本書の魅力でもあり最強の読書感想文とも言える。
    完走できてよかった。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家・早稲田大学文学学術院教授。90年、演劇ユニット「遊園地再生事業団」を結成し、1993年戯曲『ヒネミ』(白水社)で岸田國士戯曲賞を受賞、2010年『時間のかかる読書』(河出文庫)で伊藤整文学賞(評論部門)を受賞。著書に『牛への道』『わからなくなってきました』(新潮文庫)、『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』(新潮社)、『長くなるのでまたにする。 』(幻冬舎)、『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』(河出書房新社)など多数。

「2017年 『笛を吹く人がいる 素晴らしきテクの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮沢章夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×