時間のかかる読書 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.57
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本棚登録 : 281
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413365

作品紹介・あらすじ

横光利一の名作短編「機械」を11年かけてぐずぐず読んでみた。脱線バンザイ。読書を愛する全ての人に捧げる伊藤整賞受賞作の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 最初に巻末のほうにある「機械」を読む
    確かに1時間くらいで読み終わる
    んで、本文のほうにいく

    なるほど、ここまでして読むってことができるんですね
    めちゃくちゃ面白いし、読むのは1時間だけど、書くのには、それまでの作家の人生分の蓄積があるのだから、11年かかって読むというのは実は大袈裟じゃないのかもしれない。

    とても面白かった。

    下記の本で、「銀の匙」を3年かけて読む灘校の国語の授業の話があるけども、本を読むって面白いですねー
    1000年くらい生きられたらいいのに。

    灘校・伝説の国語授業 本物の思考力が身につくスロ-リ-ディング
    https://www.amazon.co.jp/dp/4796686975/ref=cm_sw_r_cp_api_i_CKA8EbMCN5BSX

  • 時間をかけて読んでます。

  • 読み終わった。読み終わったよ。
    時間かけようと思っていたのにあっというまだった。本編が気になってばっと一気よみしてしまって、どう解説?書くんだろう!と気になって読んでしまった。
    ああ。少しずつ読もうとしてたのに。

    狂人のこと、意識のこと、読書のこと。

    一番面白かったのは詩の速読の意味のなさ、というところでそれが面白かった。
    読書という時間の無駄をさらに時間をかけてあれやこれや考えて読むという、非常にスリリングな企画だ。
    一冊くらいこんな読み方してみたい。

  • タイトルに惹かれて読んだ。
    途中であまりにもダラダラしてるから嫌になってきたけど、でも気になって読み進めていくうちに癖になってきた。
    読み終わった時は、時間をかけて読まないとわからないこともあるんだなぁ…と思った。

  • クスッと笑える超大作。

  • 11年をかけて1冊(原稿用紙50枚)を読み込むという、その試みに仰天。
    脱線につぐ脱線と、横光さんの本当に「よく分からない」文章への、適度な突っ込みに頷いてしまいました。
    贅沢な読書の形が、すてきで楽しかったです。

  • タイトルに魅かれて購入。
    横光利一の『機械』を11年かけてゆっくりゆっくり読む試み。
    やっぱり遅読はええですな。

  • 高橋源一郎が、本当にその作品を批評したいのであればできることであれば全部を引用しながらでなければならない、と言っていました。
    この『時間のかかる読書』はある意味それを成し遂げていると言えるでしょう。読むのに1時間ほどかかる(と本書内では言われていますが自分は30分程度しかかからなかったと思う、やはり読みが浅い)作品、横光利一の『機械』を、なんと11年もかけて読む、ということをやってのける訳です。
    作品内で一体何が起きているのか、例えば三人が喧嘩をするシーンがあったりなどするのですが、その喧嘩の描写から一体その工場はどれくらいの広さなのだろうとか、どういった流れで、どんな動きで喧嘩が行われたのだろう、どういった心境の変化があったのだろうとかを、著者は細かく一行一行丹念に追っていく。
    個人的には、最初の話の脱線する様が面白かったので、もっと作品に触発されて感じたことやそれに関連したあれやそれを書いてほしかったなあとも思います。

    と言う訳で改めて巻末に『機械』が添えられているのですが、やっぱりさっさと読んでしまったのでした。あかん。

    それにしてもこの文庫、装丁が素晴らしい。帯をつけた時と外した時でタイトルの向きが変わるのも面白い。

  • 舞台演出家の著者が横光利一の「機械」を11年かけて読んだという本。何の変哲もなく、1時間ほどで読める小説「機械」が、「初めの間は私は私の家の主人が狂人ではないのかとときどき思った。」との言葉から始まる。あの美しい「旅愁」とはあまりにも違うスタートで驚き。ほとんど「軽部」「屋敷」「私」(語り手)という3名の心理の動きを描いた小説だというが、場所も、時間も、季節も、月日も、登場人物たちのプロフィールも詳しく表示されていない。「機械」さえもほとんど登場しない。超時空の小説が宮沢氏により途端に哲学的な意味合いを感じさせる不思議な本。軽部、屋敷が時代と空間を象徴する名前だと著者は喝破する。舞台演出の立場からの解題なのだろう。横光が息が詰まるような文章を敢えて!書いていることは巻末に掲載されている原書を読むとよくわかる。

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    【装幀・デザイン】
    水戸部功
    【あらすじ】
    脱線、飛躍、妄想、停滞、誤読、のろのろと、そしてぐずぐずと--決めたことは「なかなか読み出さない」「できるだけ長い時間読み続ける」のふたつ。横光利一の名作短編「機械」を11年かけて読んでみた。読書の楽しみはこんな端っこのところにある。本を愛するすべての人に捧げる第21回伊藤整文学賞評論部門受賞作の名作。

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著者プロフィール

1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家・早稲田大学文学学術院教授。90年、演劇ユニット「遊園地再生事業団」を結成し、1993年戯曲『ヒネミ』(白水社)で岸田國士戯曲賞を受賞、2010年『時間のかかる読書』(河出文庫)で伊藤整文学賞(評論部門)を受賞。著書に『牛への道』『わからなくなってきました』(新潮文庫)、『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』(新潮社)、『長くなるのでまたにする。 』(幻冬舎)、『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』(河出書房新社)など多数。

「2017年 『笛を吹く人がいる 素晴らしきテクの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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