想像ラジオ (河出文庫 い 18-4)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413457

感想・レビュー・書評

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  • この小説はタイトル通り、普通のラジオ番組にまつわる話だったりやラジオ局で働く人のお仕事小説ではない。
    ラジカセでチューナーを合わせる必要もなく、頭の中に直接DJの声やリクエスト曲が流れてくる「想像ラジオ」のお話なのだ。
    冒頭から独特な雰囲気で始まる小説だが、読み進めているとDJやリスナーには共通点があることが分かる。
    私自身ラジオが大好きだ。
    進行役であるDJを主にしリスナー同士が繋がったり、誰かに言葉を届ける為に番組にメッセージを送ったり。
    様々なメディアがあるなかで一番人と人同士の繋がりを感じられるからだ。
    いつか私も小説のなかの主人公達みたいな場面に遭遇した時、頭の中にDJアークの言葉が聴こえてくるだろうか?

  • この本は、少しダメだなぁ~。

  • ちょっと難しかったな〜
    読みにくさを感じた。
    視点が変わったり、結局なんなんだ?って思った。
    読み取る力が足りないみたい。

  • DJアークなのか、被災された方々なのか、ボランティアに参加した人達なのか、この物語が誰の想像なのかによって見え方が変わる不思議な作品

  • 第35回野間文芸新人賞受賞作,第11回2014年本屋大賞ノミネート。

    いわゆる「震災文学」の一種であり,それにより評価は大抵参考にならないものとなっている。涙腺が破綻している読者があまりに多すぎる。

    本作は芥川賞候補作でもあり,選評をいくつか引用する。私の感想としてはその折衷を採用したいところだ。

    肯定意見:高樹のぶ子の選評「小説を書く目的として最も相応しくないのがヒューマニズムだということも、作者は知っている。この作品をヒューマニズムの枠組で読まれることなど望まず、作者としては樹上の死者のDJを愉しんで貰いたかったのではないか。」「小説に出来ることはその程度だ。その程度しか出来ないという哀しみから、書く蛮勇はうまれる。」
    否定意見:村上龍の選評「『想像ラジオ』の著者は、安易なヒューマニズムに陥らないために、いろいろな意匠を凝らしたのだと思う。だが、既出の映像が膨大かつ強烈で、文学としてそれらに「立ち向かう」ことがあまりに困難だったために、結果的に、また極めて残念なことに、作品からはヒューマニズムだけが抽出されることになった。」


    ラジオを文学に落とし込もうという意図については,一定の評価を下してもよいと思う。気持ちの悪くなる自分語りも,この文脈ならなんとなく許されるユーモアだ。

    「杉の木に引っかかったまま」という像が中々におかしくて,本作の美点の中心だと捉えているのだが,「魂魄のこの世にとどまりて」と変にカッコつけるのが良くない。

    「想像」せよというメッセージがあるらしい?のだが,それはトラウマを抉るかのような大きな負荷を読者に要求しており,作者の姿勢を疑いたくなるのだが,そもそも「想像」しなければ聴こえないのが「想像ラジオ」なのであり,一応の線引きは出来ていそうだ。

    これだけ批判の覚悟が整っているのであれば,思い切って突っ走ってしまったようが良かったのではないか。

  • 少し設定がややこしく感じるところがあるが、読後感はめちゃくちゃ良い。

  • 咀嚼が難しかった。
    好みでは無かったが祈りみたいな本だなと思う。

  • 読み始め、ん?ん?ん?となったが、主人公の軽快な語り口調の文体にあれよあれよと読み進めることができた。
    想像力が必要な切ない話だった。
    しかし、なぜか心に響かなかった。無力感に襲われて読了。

  • 人の頭の中にだけ存在する想像ラジオ。
    そのパーソナリティであるDJ アークの軽快な喋りから始まる本書。

    始めはDJ本人の生い立ちや昔の思い出だったが、そのうちにリスナーからもらうメールを通じて、何が起きているのか、想像ラジオとは何なのかわかってくる。

    時は2011年3月11日 のお話。

    人を亡くす。その重みをかみ締めるように読み進める本です。

    個人的には21歳の港町で働く女性のエピソードが心に残りました。

    人を悼むとき、自分が生きるが苦しいと感じた時に読み返したいと思いました。

  • 東日本大震災を少し違う角度から見た作品でした。
    災害の犠牲になった方、助かった方、それぞれの描写からなった作品。心理描写が面白く引き込まれました。

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著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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