想像ラジオ (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 1739
レビュー : 212
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413457

感想・レビュー・書評

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  • うーーーーーん………
    なんというべきか、
    とても想像力を使う小説。
    生と死って対立しているように
    思っていたけど本当は両立しているもので
    死があるから生があって
    生があるから死があるんだなぁ。
    と、なんとも哲学的な感想を持ちました。
    私が想像力をすごく使ったのは、
    まだどちらかといえば死から遠い環境で、
    これから先身近になったときに
    死者が発信する「想像ラジオ」を思い出せたら
    少しだけ勇気をもらえる気がします。

  • こっそり言いますがあまりのめり込めませんでした。東日本大震災という題材的に突っ込みにくい部分があります。想像ラジオという革新的な創造に志しの高さは感じるのですが。

  • かなり重いはなしであり、想像力を刺激されるが、ラジオを聴き慣れてない人には、 キツイかも。

  • どうも3.11のはなしらしい。

  • 鎮魂とかいった、そういうかなり大事なことが書いてある小説。DJアークのトークを流し読みしながら、友人や祖父のことを思い出したりした。
    小説として面白かったかといえば、正直なところ、個人的にはそうでもなかった。でも、そんな事はどうでもいい。

  • 題材のとらえ方、取り組み方、表現方法など一定の評価はしている。
    期間を経て読み返すと評価が変わるかもしれない。

  • (個人的な震災時の体験と思ったことを読書メモとして残します。ご了承ください)
























    あの日のことを思い出す。

    あの日は金曜日だった。

    都心は電車が止まり、帰ろうにも帰れない。じゃあちょっと飲んで帰ろうか。そんな人も多かったと思う。

    まだiPhone3GSと4の時代だった。
    たった7年、8年前だったけど、情報が伝わるのは今と比べると信じられないほど遅かった。

    東京では非日常の金曜日を楽しんでいた。

    しかし、だんだんと津波の被害が伝わってきた。

    iPhoneを持っていた人、PCのブラウザからニュースを見た人、充電を気にしながらワンセグを見た人。

    そういう人たちからとんでもない事が起きているようだと伝えられた。

    「電車のこと?」「ちがうよ、宮城県だって」「なにが?」「地震」「え、東京じゃないんだ」「宮城は津波がひどいって」「津波?30センチでも危ないらしいよね。」まだ覚えている。こんな会話がなされていたことを。

    その後は生きた心地がしなかった。

    海岸に信じられない数の遺体が打ち上げられている。第一原発は全ての電源を喪失した、水素爆発した、避難所で物資が足りない、燃料は流されてきた車からとるしかない、都心もガソリンがない、水は汚染されたんじゃないか水を買い占めよう、もう東日本に人は住めないかもしれない、各国大使館員の退避と自国民退避命令、輪番停電、間引き運転、鳴り止まない緊急地震速報。

    あの時以降、日常は損なわれた。

    あの日をどう伝えるか。何をどう伝えると、後にどう伝わるのか。

    東京大空襲、原爆投下、敗戦と同様に。

    『相手の気持ちを理解しきれないと思う罪の意識があるからこそ、その言葉に耳をふさいでしまう』(p.126)

    自分でなくてよかったという安堵と生き残った罪悪感。

    我々はこの思いをどう伝えるか。

    『無言で敬う』(p.130)事ができればいいだろう。しかし、それほど現代の我々は気丈でいられるだろうか。忘却こそ罪であるのに。

    そこで、想像ラジオが聴こえる人と聴こえない人の章が活きてくる。

    はじめは聴こえる人の特殊性が強調される。

    そんなことありえないだろう。軽々しいシャーマニズムは冒涜でしかない。それもその通りだと思う。

    どうしても思い出す。

    流される直前までマイクに向かって避難を呼びかけ命を落とした人、屋根から手を差し伸べた人、階段の真ん中だけは空けて黙って座った人、停電に耐えた市井の人たち。そして絶望的な中で生存者を探し、遺体を探し、アルバムやランドセルを生まれたての赤ちゃんを扱うように丁寧に保存し、同時に原発を鎮めようと決戦に挑んだ自衛隊員、消防士、警察官と作業員、ボランティアたち。
    こうした日本人の高貴さを。

    想定外という言葉で罪を免れようとする者、他県ナンバーの車で乗り付けて被災住宅を窃盗する者、被災ゴミの受け入れを拒絶する者、震災にまつわる詐欺をはたらく者、疎開してきた子供たちを教師さえも一緒になってセシウムさんとあだ名していじめ抜いていく者たち。
    こうした日本人の野蛮さを。

    高貴さと野蛮さ。
    どちらも等しく日本人の姿だった。

    このことを忘れない。

    こんなことを思い出しながら読み進めると、想像ラジオは普遍的な人間らしさを刺激してくる。

    『え、これ、誰かのエピソードじゃないよね?はっきり僕の思い出だって感じてしゃべってたんだけど。』p.186

    ここに至って、日常を失った人たちを思う。突然、予兆なく、完璧に日常を喪ったあまりにも多くの人たち。

    いや、あの日以来、我々からは等しく「日常」なるものは永遠に損なわれたんじゃないか。

    今でもあれ以前の日常は損なわれたまま、戻ってくることはない。

    おそらく、これがこの物語で体験する生と死の狭間なのだろう。

  • 想像ラジオ。大震災で死んだ男が杉の木の上から放送するラジオ。想像力という電波にのせて。死者の声を生者は聞こえない。想像するしかないのだけど、作者は想像して死者に語らせる。多弁な死者だ。ラジオパーソナリティーだから多弁は当たり前だ。作家Sとその恋人の会話でなる第4章が、生者と死者の関係性を言い当てている。生者は死者の事を思い、死者は生者の呼びかけで存在する。我々は死者とともにあるのだろう。私の身近な死者。彼らの事は忘れられない。私も時々ふとした時に思っている。死者を感じ、私も生きていた。
    この小説は想像がテーマ。死者との対話に焦点が当ててられているが、例えば植物人間となった人や認知症の方への対話も同じではないだろうか。自分の思いを語られない人への想像。

  • どんな本だか全く予備知識なく、ただ発売当初に話題になっていたし、やたら評判良かったので読んでみたかった作品でした。まぁ題名が「想像ラジオ」なので空想のラジオ番組が舞台何だろうし、「いとうせいこう」氏のこれまでの活動内容を鑑みたり、それに著作は有名な「ノーライフキング」は読んでみたい一冊だったから凄く面白い物語なのかって思ってたけど、結構重い内容で驚いた。

    人は、突如、事故や事件などで自分自身が死んでしまった場合、どうやって「自分自身の死」と折り合いをつけるのだろうか…

    肉体的な死を迎えても魂とか心みたいな、あるんだろうけど形も場所も存在もあやふやな「自己」みたいなモノが納得できるような解を得ることが出来るのか…生物学的には恐らく、というか絶対的に無理な話だと思う。だって肉体は死んでしまっているんだから、もう痛みも意識も何も感じないはずだもの…
    それでも魂とか心とか意識とかって「自分が死んだ」ってことを理解するとか、得心を得たとか、了解したとかそんな「もう納得した」みたいなモンがないと成仏出来ないような気がする。
    自分の死を受け入れられないから幽霊とか地縛霊とか怨霊とかになっちゃうんだよねー
    本書は、東北の大震災で津波に飲み込まれてしまって、自分が死んでしまったことをまだ上手く認識できないで、まだ現世と幽世のはざまを漂っている魂たちの無念さや諦念、残してきた家族への思いなど、彼らの声を聴き、彼らを悼むために双方向通信のラジオ番組という形で表現している。筆者のその着想には脱帽だ。
    それと合間に挟まる形で災害ボランティアたちと被災者の間に横たわる軋轢というか境界線…なんだか踏み入ってもいい場所とそうではない場所があるんだって、暗い暗い深淵を覗き込んだような部分は、本書の主題部分よりもはるかに強烈なインパクトがありました。
    帯に「読めば涙が止まらない」とか書いてあるけど、全く涙なんて出てこないし、感動もない。何か超絶リアルを叩きつけられたような…そんな一冊でした。
    重いのほかヘビーな作品でした。あんまり好きになれない…

  • 難解だけど読むに値する、などと書くと偉そうだな…
    好みではない文体だが、素晴らしい、かな?

著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

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