想像ラジオ (河出文庫 い 18-4)

  • 河出書房新社
3.39
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413457

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災後の、生者と死者、もっといえば、その間にいる人たちのメッセージを想像という電波を使ったラジオ放送風に描いた物語。

    場面の切り替わりが今一つわかりにくく、語り手がどういう立場なのかつかめず混乱した部分もあったが、
    災害や事故で突如、命を奪われた人の心残りはいかほどのものかを思うと、こういう形ででも、亡くなった人の想いを受けとる術があると救われる人は多いような気がする。

  • コンセプトも内容も良かったけど、どうにも文体が合わず、しっくり来なかった。
    期待していただけに残念。

  • うーーーーーん………
    なんというべきか、
    とても想像力を使う小説。
    生と死って対立しているように
    思っていたけど本当は両立しているもので
    死があるから生があって
    生があるから死があるんだなぁ。
    と、なんとも哲学的な感想を持ちました。
    私が想像力をすごく使ったのは、
    まだどちらかといえば死から遠い環境で、
    これから先身近になったときに
    死者が発信する「想像ラジオ」を思い出せたら
    少しだけ勇気をもらえる気がします。

  • こっそり言いますがあまりのめり込めませんでした。東日本大震災という題材的に突っ込みにくい部分があります。想像ラジオという革新的な創造に志しの高さは感じるのですが。

  • 導入はとても良く、すんなりDJアークのラジオとして話に入り込めてラジオトークも面白かったのだが、ボランティアに来た人間が私にもラジオっぽいものが聞こえる〜というその人達のやりとりだったか、テンポが悪く感じた。後書きを読むに、現代の人が過去の被災者らにもっと寄り添っても良いんだよ、というメッセージを込めたらしいが、少し分かりにくかった。
    その後、リスナー達との中継や、DJアークの家族とのやりとりなど、重い内容ではあるもののユーモアがあり面白かった。


    「そうそう、ふたつでひとつ。だから生きている僕は亡くなった君のことをしじゅう思いながら人生を送っていくし、亡くなっている君は生きている僕からの呼びかけをもとに存在して、僕を通して考える。そして一緒に未来を作る。死者を抱きしめるどころか、死者と生者が抱きしめあっていくんだ。さて、僕は狂っているのかな?〜」p147

  • 始めはちょっと読みにくく感じて中々進まなかったけれども。死者と生者が抱きしめ合うって確かに。人は2度死ぬという言葉を思い出した。でも、想像すれば声は聞こえて2度めは死なないよね。

  • 読みたい読みたいと思っていてずっと積ん読になっていてやっと読めた。やっと、と思ったけど、3.11からある程度時間が経ったからこそ落ち着いて読めたかもしれない。
    難しいな。適当なことは言えない。出来事が大きすぎる。これを書けるこのひとは本当にすごいんだなあ。柔らかすぎず、固すぎず。手紙でなく電話でなくラジオという媒体の選び方がものすごい。

    好きな人が亡くなったら、自分宛のメッセージなんて、聞きたいけど聞いたら本当に立ち直りたくなんかなくなってしまうけど、それでも聞きたくないなんて言えない。絶対に言えない。

    身近な人を亡くした経験がまだない。あったらもうすこし違うだろうか。生と死って繋がっているんだってことを、わたしはまだ実感できないけど、すこしだけ考えられる本でした。

  • かなり重いはなしであり、想像力を刺激されるが、ラジオを聴き慣れてない人には、 キツイかも。

  • どうも3.11のはなしらしい。

  • 鎮魂とかいった、そういうかなり大事なことが書いてある小説。DJアークのトークを流し読みしながら、友人や祖父のことを思い出したりした。
    小説として面白かったかといえば、正直なところ、個人的にはそうでもなかった。でも、そんな事はどうでもいい。

  • 題材のとらえ方、取り組み方、表現方法など一定の評価はしている。
    期間を経て読み返すと評価が変わるかもしれない。

  • 設定は素晴らしい。にも関わらず、没頭出来ないまま読み切った。文体を好まない?シチュエーションを理解し切れていない?
    読み手の問題だが、はまらなかったとしか言えない。

  • 東日本大震災は小学生の頃の記憶の一つとして、はっきり残っており、ニュースの映像を直視できなかった。遠くの地で起きた、しかし、同じ日本である。死者との向き合い方を想像ラジオという形で示していた。当たり前を当たり前だと思わないよう、今一度引き締め直していきたい。

  • あとがきまでしっかりと読む。

    そうして初めて、この本にしっかりと向き合えるような気がする。

  • ☆3.3

  • 本や映像から読み解く、文学講義で扱った作品の一つ。東日本大地震をテーマにおいている。

  • 咀嚼が難しかった。
    好みでは無かったが祈りみたいな本だなと思う。

  • 繰り返し耳に届くラジオの響き…

    それは想像ラジオ。3.11を忘れない。

    果てしないこの世界で、つながる音と意識。

    どんでん返しの後半が不思議な感覚を研ぎ澄ませる。

  • もうすぐ東日本大震災から10年。「まだ10年」なのか、それとも「もう10年」なのか、ハッキリしたことは言えないが、確かなのは、まだまだ復興が道半ばであるということ。われわれは被災地が完全に復興するまで――たとえ完全に復興が果たされたとしても――震災のことを記憶しなければならないと思う。そうは言っても、あまり肩肘を張ってばかりいては疲弊してしまうので、小説を読んで震災のことを想い出すというのは、有効な手段かもしれない。本作もまたそんな震災のことを描いた作品で、芥川賞候補になるなど、発表直後から高い評価を受けている。――なのだが、個人的には作品の世界にまったく馴染めないまま物語が終わってしまった。一部では「感動作」との触れ込みもあるので、最後まで読めばそういう感想になるのかと思ったが、結局ならなかった。「屍者との対話」だから、というわけではない。非現実的な設定の小説も山ほど読んできたが、そのなかには感動を誘うものも少なくなかった。ではいったいなぜかと言えば、東日本大震災という存在が、小説の材料としては重すぎるのだと思う。屍者に会話をさせてもラジオを放送させても、あの巨大な津波の前ではあまりに無力で、押し黙ったまま見つめているしかない。この作品は、あの津波を乗り越えることができていないと思った。

  • あらすじを目にしないまま、初読。

    早速1ページ目から冗談まじりの爽やかな
    ラジオが始まった!と思っていたら
    まさかの東日本大震災がテーマで驚いた。

    作中のボランティアグループ内での言い争いも
    両者どちらの意見にも頷いてしまったし
    ハッキリとした正解は無いな、と感じた。
    そして、風化してはいけない事柄だと本当に思う。

    こういう題材を選んでいる書籍に対しては
    どうしても穿った見方をしてしまうし
    実際、想像通りの内容が多いのだけれど
    「想像ラジオ」に対しては
    何故か、不謹慎だとも偽善じみてるだとも
    好感度狙いだとも、思わなかった。

    ラジオ形式、会話形式の文章が
    軽やかで読み易かったのもあってか
    本当に楽しみながら、そして切なくもなりながら
    考えさせながら読ませて貰えた。

著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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