落語を歩く 鑑賞三十一話 (河出文庫)

著者 : 矢野誠一

• 河出書房新社 (2015年5月11日発売)

感想・レビュー・書評

[作州老人さんのレビュー · 2020年5月22日]

演劇・演藝の第一人者なので、信頼がおける。落語と言っても、演じる人によっていろいろだから。町歩きの観点から、おおいに参考にさせてもらっている。一番歩く機会が多い新宿だと内藤新宿で、郭噺な「文違い」、高田馬場で仇討ちの「高田馬場」、
神田川に架かる面影橋で「らくだ」。面影橋は「道灌」と歌舞伎の「四谷怪談」があるが、残念ながら
この本には出ていない。「らくだ」では落合の火葬場まで出向いている。
「文違い」柏木の師匠と呼ばれた圓生のまくらが当時の新宿を語って見事だったとか。直に
聞いてみたかった。

[hikaroshiさんのレビュー · 2015年7月20日]

初出は50年前、東京オリンピックを経てすでに大きく変貌してしまった都市に江戸の面影を探しながら古典落語の舞台を巡る。巨大な高層ビルが林立する現代に本書を読むと落語の持つ普遍的な魅力に改めて感心させられる。

[河出書房新社さんのレビュー · 2015年5月19日]

「蔵前駕籠」「船徳」「品川心中」……古典落語の傑作三十一話の舞台を訪ね、往時を偲びながら、落語の聞きどころ、味わいどころをたっぷり鑑賞する。

著者プロフィール

1935年東京生まれ。芸能・演劇評論家。芸術祭文部大臣奨励賞（1967年）、大衆文学研究賞（第10回、1996年）、スポニチ文化芸術大賞優秀賞（第14回、2006年）。菊田一夫演劇賞、読売演劇大賞選考委員。著書に『ぜんぶ落語の話』（白水社）、『落語登場人物事典』（編、白水社）、『志ん生のいる風景』（青蛙房）、『女興行師吉本せい』（中央公論社）、『落語手帳』（講談社）、『落語のこと少し』（岩波書店）等。

「2019年 『昭和も遠くなりにけり』 で使われていた紹介文から引用しています。」