昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.83
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本棚登録 : 3694
レビュー : 369
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414263

感想・レビュー・書評

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  • H29.12.30 読了。

    ・ノスタルジックなほんわかとした感じのする連作短編のような小説でした。読み終えた後は心がほっこりするんだけど、もう少しこの小説の世界を味わっていたいなあと寂しく感じた。

    ・「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫。」
    ・「動くことは生きること。生きることは動くこと。」
    ・「わたしはファスナーの先端だと思った。しっかりと閉じられているこの道は、私が開けてくれるのを待っている。そう思ったら、なんだか嬉しくて、気がつくと心の底から笑っていた。」・・・こんな何気ない言葉が素敵だなと思ってしまう。

  • 悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。
    七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。
    結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、
    一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは
    まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく…。


    7年前に亡くなってしまった一樹。
    結婚して2年で夫を亡くしたテツコ。
    ギフとともに住み続けている。
    妻であるテツコも父であるギフも従兄弟である虎尾も、
    周りの人々は心の中で様々な形で一樹の死を引きずっている。
    何気ない日々の様子を淡々と描きながら、
    それぞれの心の内をポロリポロリと描いてた。
    そして、それぞれが一樹の死を受け入れていく。

    章ごとに誰かに視点が当たる。
    よくある構成なんだけど、どこかこのお話の続きはどうなったの…?
    と思うシーンもありました。
    でも、それもその人の心の揺れや葛藤や足掻きを描いていたのだろう。
    過去と現在を行き来しながらゆるゆると物語は繋がって流れていった。

    誰でも失敗してるんだよ。
    後悔もしてるんだよ。
    それでも動かなきゃいけないんだよ。
    失敗だらけの自分をそれでもいいんだよと
    言って貰ってる気がしました。
    人生は急ぐ必要はないのですよね。

    お互いを思う優しさに溢れていた。
    なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる
    やはり心に沁みいるお話でした(*´ `*)

  • 私的にはパーフェクト。
    言葉のひとつひとつ、台詞の一行一行がいちいち染みる。
    ふんわりと、おかしみと悲しみが漂うような世界。
    なんてゆうか『覚悟』が違うんだよなー。
    自分でも意味分かんないんだけど。
    やっぱり好き、木皿泉。

    • ぺこさん
      こんにちは☆
      私は原作未読でドラマの方は観たのですが、原作未読故かソチラも良かったです。
      5552さんのレビューを拝見して、今度原作も手...
      こんにちは☆
      私は原作未読でドラマの方は観たのですが、原作未読故かソチラも良かったです。
      5552さんのレビューを拝見して、今度原作も手に取ってみようと思います(*´ω`*)
      2018/08/29
    • 5552さん
      ぺこさん、コメントありがとうございます!

      ドラマを先にご覧になられてるんですね。
      確か仲里依紗さん主演でしたよね。
      未見なのでいつ...
      ぺこさん、コメントありがとうございます!

      ドラマを先にご覧になられてるんですね。
      確か仲里依紗さん主演でしたよね。
      未見なのでいつか観てみたいです。

      原作のほうは、いつまでもその世界に浸っていたいような、そんな気分になった小説です。
      機会があれば是非☆
      2018/08/29
  • 本文に入る。いきなり義父と嫁が同居している。あらぬ想像で前のめりになる。

    勿論ストーリーはあらぬ方向には進まないのだが、ミステリーでもないのに読者の興味をひいて読ませるのが上手な著者だと感心。

    内容は、人の日常から節目の何気ない出来事ばかり。優しさ、叱咤、家族、暮らし、結婚・再婚、生と死、、、。こう言ったテーマはなかなか読むのが前に進まないか、途中でダレるかするのが私の勝手な先入観なのだが、この作品にはそれがない。

    電車の中で何度もニヤっとさせられ、「やっぱり猫が好き」の小林聡美が何度も頭に思い浮かぶ。いちいち着目するところがおもしろいのである。(※私にとっての小林聡美は、日常の些細な出来事も、ちょっと見る角度を変えて、おもしろおかしくアドリブの上手い表現者、三谷幸喜の元奥さん)

    この作者は天才?と思ったら、本作を仕上げるのに9年もかかったと後書きにあり、思わず頷いてしまった。(本職が脚本家というのも時間がかかったのだろうが、それにしてもである。)

    誰もが、この不思議なタイトルは何だろうと思うが、読み終わる頃には馴染んでくる、作者の日常観察力の蓄積が詰まったー冊だ。

    できれば、本の紹介も後書きも読まずに入って、各章の繋がりを考えるともっと楽しめると思う。

    最後に、大きな声では言えないが、この本を手にとったのは絵本だと勘違いして、娘に図書館から借りてきたものである。

    予想外の良い本との出会いだった。

    ※と書いて投稿しようと他のレビュアーの評価を読んでいたら、実は著者である木血泉氏は「やっぱり猫が好き」の脚本を書いていたことを知って自分に鳥肌が立った(笑)

  • この本を読むのは2回目。面白かったのにどんな話だったか思い出せないので再び読んでみたのですが、やっぱり面白かったです。
    悲しみや嫉妬、怒り、欲。人はいつも何かにとらわれながら生きていると話すテツコとギフ。2人や2人をとりまく周囲の人々もまた、今は亡き大切な人への想いや様々なものにとらわれている。しかし日常の生活の中で自然と1つ1つとらわれていたものを手放していく様子が繊細に描かれています。ささやかな日常を描いたストーリーだからこそ、とてもリアリティを感じました。

    好きな言葉は隣人であるタカラの言葉。
    「今、私はファスナーの先端だと思った。しっかりと閉じられているこの道は、私が開けてくれるのを待っている。そう思ったら、なんだか嬉しくて、気がつくと心の底から笑っていた。」という一文です。
    ファスナーという比喩をあえて使うことにとても親近感が湧きました。ファスナーを開けた時、その後広がる世界は小さなものかもしれないですが、とてもワクワクする雄大なイメージを感じることができました。ファスナーを開けるのに力はいらないけれど、進めれば進めるほど何かが開いていく。自分や周りの人の人生にとって、私自身もファスナーの先端のような人生を送って行きたいと思いました。
    この本は日々の平凡な生活の毎日に愛情を感じられる1冊です。人は特別な何かに出会ってある日から急に変わるのではなく、1 日、1日のなんでもない暮らしが少しずつ自分に変化をもたらしていくような気がします。
    もし「平凡な毎日。私これでいいのかな?」と思うことがあればオススメの1冊です!

  • とても優しい、じんわりとしみてくるお話でした。

    死んでしまった一樹。遺された妻のテツコとギフ。テツコの恋人岩井さん、幼馴染など周囲の人物と関わりながら、それぞれが一樹の死を受け止め、生きていく。自分の時間を止めずに前に進もうとする登場人物たちに元気をもらいました。
    「パワースポット」、「山ガール」、「夕子」が特にお気に入りです。
    「一樹の死」という悲しさを纏いつつも、なぜか幸せな気持ちに満たされる不思議な一冊です。

    岩井さん好きだなぁ。

  • とても優しく温かい。
    こたつとかエアコンとかの無理矢理に作り出したものではなくて、ただそこにあるだけのものから得られる温もり。

    感情を大きく揺さぶられる何かがあるわけじゃないし、出てくる人たちもただ日々を、それぞれに生きている。
    死ではなくて生。ここにいるということ。そして明日もここにいる、生きているということ。

    なんとなく、部屋を見渡して。周りの人を思い出して、自分はいつも何考えてたっけ、と思ってみたりする。

  • なんとも心地よい本でした。格別のストーリー展開があるわけではない、感情が凄く高まる訳でもない、でもなんだか出てくる登場人物一人一人が愛おしく思えてしまう。

    普通に考えれば、死んだ夫の義父との二人暮らしなどあり得ないと思ってしまうのだが、この話を読むと、テツコさんとギフには、それがごく自然というか、離れがたいというか、死んだ一樹さんを完全に受け入れられるまでの必然のプロセスに思えてくる。

    物語に出てくる一つ一つの話が、なんだかとても優しさに包まれているようで、温かい気持ちになります。

    木皿泉さん作品、初めてでしたが、実際は夫婦のユニット名なんですね。本作はかなりの難産だったようですが、私には実にさらりと書かれたような、とても自然な温かみのある小説でした。他の作品も是非読んでみたいと思います。

    • tsukiyomi777さん
      kanegon69 さん、はじめまして!
      フォローありがとうございます。
      私もフォローさせて頂きました、よろしくお願いいたします(^^)...
      kanegon69 さん、はじめまして!
      フォローありがとうございます。
      私もフォローさせて頂きました、よろしくお願いいたします(^^)


      私もこの本、好きなんです。
      好きすぎて何回も読んでいるのですが、いろんな思いが湧いてきて、未だに感想を形にできていません(笑)
      私も、登場人物一人一人が愛おしい物語だなと感じていました。ギフの視点で読んでも、テツコの視点で読んでも、いつも新しい気づきがあって。
      他の木皿さんの作品レビューも楽しみにしています!
      2019/03/13
    • kanegon69 さん
      tsukiyomi777 さん、初めまして!

      コメント本当にありがとうございます!

      とっても心地よい本で、とっても好きになりました。他に...
      tsukiyomi777 さん、初めまして!

      コメント本当にありがとうございます!

      とっても心地よい本で、とっても好きになりました。他にも本が出ているみたいですので、また感想アップさせていただきます。

      これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m
      2019/03/14
    • kanegon69 さん
      mari さん、あぁ、あの本でしたか!気になってたんですよぉ。そのうち必ず読みます^ ^
      mari さん、あぁ、あの本でしたか!気になってたんですよぉ。そのうち必ず読みます^ ^
      2019/03/14
  • 人生うまく行かない時、小さな出来事や人の言葉が変われるきっかけになる。それはその人にとっては運命になる。私もそんなささやかなきっかけを感じられるようになりたいし、反対に誰かにも良いきっかけを与えられたら幸せなことだと思う。他人からの目ではなくて、自分がどう感じるかそれが大切。
    登場人物の誰もが弱さを持ってて、悲しいことやつらいことも受け入れて進んで行く姿がいい。励まされるというよりも、ダメな時があってもいいんだ、受け入れちょとずつ進めばいいんだって思わせてくれる。また読み返したいと思う。

  • 9つの章が編み合わされた、テツコとギフ、そしてカズを中心に広がる、生活を変えないでいたい人、変えたい人の人間交差点のお話。

    登場人物たちの間にある、緩やかな気持ちや生活の変化、心の機微が丁寧に描写されている。
    テツコとギフが生活する古い住宅と銀杏の木を愛しんで大切にしていることが、伝わってくる。
    人間そのもの、つまり生き方考え方は、このテツコとギフが住まう住宅のように環境から、大きな影響を受けているのではないかと思った。

    けっして、劇的な変化をともなうようなハラハラしたお話はなく、読む人によっては、何も起こらないつまらない話かもしれない。でも私は、こういう話がとても好きだ。

    どの登場人物も完璧な人間ではなく、どこか何かが欠けていて、ユーモラスで愛おしい。
    私にとっては、歳が近そうなギフさんに気持ちがシンクロして、読んでいて楽しかったな。
    この本には、新しい家族の姿が描かれているという書評を、どこかで読んだ気がする。

    私たちが住んでいる世界が少しづつ変わっていく中で、家族や生き方も変容を求められる。
    作品中に、「人は変わっていくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」というギフの台詞がある。
    人間の心模様にはグラデーションがある。ホメオスタシス(恒常性の維持)に従って変化したくない気持ちと、物理的・精神的な老いのようなトランジスタス。
    変わっていくことが救いになるというのは、ひいては生き続けることが救いになることも、示しているのではないかと思った。

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著者プロフィール

木皿 泉(きざら いずみ)
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。
小説第二作目、最新刊として2018年4月刊行、『さざなみのよる』がある。

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