昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

著者 : 木皿泉
  • 河出書房新社 (2016年1月7日発売)
3.85
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  • レビュー :190
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414263

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • H29.12.30 読了。

    ・ノスタルジックなほんわかとした感じのする連作短編のような小説でした。読み終えた後は心がほっこりするんだけど、もう少しこの小説の世界を味わっていたいなあと寂しく感じた。

    ・「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫。」
    ・「動くことは生きること。生きることは動くこと。」
    ・「わたしはファスナーの先端だと思った。しっかりと閉じられているこの道は、私が開けてくれるのを待っている。そう思ったら、なんだか嬉しくて、気がつくと心の底から笑っていた。」・・・こんな何気ない言葉が素敵だなと思ってしまう。

  • とても優しい、じんわりとしみてくるお話でした。

    死んでしまった一樹。遺された妻のテツコとギフ。テツコの恋人岩井さん、幼馴染など周囲の人物と関わりながら、それぞれが一樹の死を受け止め、生きていく。自分の時間を止めずに前に進もうとする登場人物たちに元気をもらいました。
    「パワースポット」、「山ガール」、「夕子」が特にお気に入りです。
    「一樹の死」という悲しさを纏いつつも、なぜか幸せな気持ちに満たされる不思議な一冊です。

    岩井さん好きだなぁ。

  • 私的にはパーフェクト。
    言葉のひとつひとつ、台詞の一行一行がいちいち染みる。
    ふんわりと、おかしみと悲しみが漂うような世界。
    なんてゆうか『覚悟』が違うんだよなー。
    自分でも意味分かんないんだけど。
    やっぱり好き、木皿泉。

  • とても優しく温かい。
    こたつとかエアコンとかの無理矢理に作り出したものではなくて、ただそこにあるだけのものから得られる温もり。

    感情を大きく揺さぶられる何かがあるわけじゃないし、出てくる人たちもただ日々を、それぞれに生きている。
    死ではなくて生。ここにいるということ。そして明日もここにいる、生きているということ。

    なんとなく、部屋を見渡して。周りの人を思い出して、自分はいつも何考えてたっけ、と思ってみたりする。

  • 人生うまく行かない時、小さな出来事や人の言葉が変われるきっかけになる。それはその人にとっては運命になる。私もそんなささやかなきっかけを感じられるようになりたいし、反対に誰かにも良いきっかけを与えられたら幸せなことだと思う。他人からの目ではなくて、自分がどう感じるかそれが大切。
    登場人物の誰もが弱さを持ってて、悲しいことやつらいことも受け入れて進んで行く姿がいい。励まされるというよりも、ダメな時があってもいいんだ、受け入れちょとずつ進めばいいんだって思わせてくれる。また読み返したいと思う。

  • NHKのドラマ「富士ファミリー」で木皿泉さんのことを知りました。
    どうしようもないことも受け止めて、それでも毎日生きていこうよという温かな視点が好きで木皿さんの作品に興味をもちました。

    この短編集に含まれる9つの話は登場人物がそれぞれの立場、視点で、それぞれの過去や今と繋がりながら話が進みます。

    今のままを維持するのは簡単。
    でも、このままではいけないよね。
    状況を変えるのって勇気がいるよね。
    ちょっと生きづらさを感じながら、毎日を過ごしている人が今を変えるために突飛な行動に出てしまったり。でも、その中でも、その人が大事にしている部分は変わらなくて。
    人の変わりたいけど変われないとか、ふっと変わるきっかけとか面白かったです。

    印象的だったのはパワースポット。
    パワースポットに行こうと言っていた3人が最終的には自分たちでパワースポットを作ろうと考えるなんて、毎日を変えるちょっとしたきっかけはこんなことかなと思いました。

    ほっこり心が温まる本です。

  •  約4年振りぐらいかな・・・
     小説は好きなので読み続けてはいたのだが、前よりもペースが落ち、しかもレビューをずっとサボっていたのだが、復活しようと思って。頑張ります。


     木皿泉の作品、初めて読みました。

     本屋で平積みで気になったのを手に取って表紙裏を読んだところ、和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家とのこと。この方たちのお名前は存じ上げなかったのだが、なんとなんと!大好きな小林聡美が出ていた、大好きなドラマ、「すいか」の脚本家というではないか!「やっぱり猫が好き」も書いていたみたいだ。

     何だか気分良く前向きになれるお話。どの登場人物も何かしらちょっと抱えてるんだけど、憎めなくって、応援したくなって、実際応援して・・・つまるところ人も物語も何だか優しい。

     主にど田舎を旅行中に読んでいて、景色が良くって、そういうのも影響したのかもしれないけど、自分が優しくなれます。すぐになれなくっても、そういう気持ちになると思います。そして頑張ろうって思う。こういうのわかる人、わかりそうな人、大事な人に読んでもらいたい、オススメの小説となりました。

    ★レビュー復活記念ということもあって、満点です!

  • 7年前に亡くなった一樹を中心とした、彼と関わりを持った人たちと、その周りの人たちのとりとめのない物語。

    個人的には、登場人物の中でもとりわけとぼけたキャラクターの岩井さんがお気に入りです。
    普段はちょっとピントのズレてる人だけど、本当に大事なことはちゃんと理解して受け入れてくれる人物なんですよね。彼が一樹の存在を前提として作られてきた世界を尊重できる人物だというのが、この作品の絶妙な世界観のミソだと思います。

    過去を想う気持ちも、現在を惜しむ気持ちも、未来に進む決意も、一緒くたに包み込んで、肯定してくれるような、ふわふわとした優しさが印象的な作品でした。テツコとギフの微妙に噛み合ってないやりとりも魅力です。

  • 7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!

  • 亡くなった一樹を軸にして、周りの人々を描いていく多声的な作品。描かれているのは、日常であり人生。

    解説にも書かれていた通り、この作品は発見(そうか)と解放(それでいいじゃないか)を見つけることで作られている。
    些細な発見かもしれない、が、それは確実に登場人物(そして読者)を動かす。
    じんわり沁みる読後感は、発見と解放の追体験によって、少しだけ人生が豊かになった気がするゆえだろう。

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