昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.85
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本棚登録 : 2295
レビュー : 249
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414263

感想・レビュー・書評

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  • H29.12.30 読了。

    ・ノスタルジックなほんわかとした感じのする連作短編のような小説でした。読み終えた後は心がほっこりするんだけど、もう少しこの小説の世界を味わっていたいなあと寂しく感じた。

    ・「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫。」
    ・「動くことは生きること。生きることは動くこと。」
    ・「わたしはファスナーの先端だと思った。しっかりと閉じられているこの道は、私が開けてくれるのを待っている。そう思ったら、なんだか嬉しくて、気がつくと心の底から笑っていた。」・・・こんな何気ない言葉が素敵だなと思ってしまう。

  • 私的にはパーフェクト。
    言葉のひとつひとつ、台詞の一行一行がいちいち染みる。
    ふんわりと、おかしみと悲しみが漂うような世界。
    なんてゆうか『覚悟』が違うんだよなー。
    自分でも意味分かんないんだけど。
    やっぱり好き、木皿泉。

    • ぺこさん
      こんにちは☆
      私は原作未読でドラマの方は観たのですが、原作未読故かソチラも良かったです。
      5552さんのレビューを拝見して、今度原作も手...
      こんにちは☆
      私は原作未読でドラマの方は観たのですが、原作未読故かソチラも良かったです。
      5552さんのレビューを拝見して、今度原作も手に取ってみようと思います(*´ω`*)
      2018/08/29
    • 5552さん
      ぺこさん、コメントありがとうございます!

      ドラマを先にご覧になられてるんですね。
      確か仲里依紗さん主演でしたよね。
      未見なのでいつ...
      ぺこさん、コメントありがとうございます!

      ドラマを先にご覧になられてるんですね。
      確か仲里依紗さん主演でしたよね。
      未見なのでいつか観てみたいです。

      原作のほうは、いつまでもその世界に浸っていたいような、そんな気分になった小説です。
      機会があれば是非☆
      2018/08/29
  • 本文に入る。いきなり義父と嫁が同居している。あらぬ想像で前のめりになる。

    勿論ストーリーはあらぬ方向には進まないのだが、ミステリーでもないのに読者の興味をひいて読ませるのが上手な著者だと感心。

    内容は、人の日常から節目の何気ない出来事ばかり。優しさ、叱咤、家族、暮らし、結婚・再婚、生と死、、、。こう言ったテーマはなかなか前に進まないか、途中でダレるかするのが私の勝手な先入観なのだが、この作品にはそれがない。

    電車の中で何度もニヤっとさせられ、「やっぱり猫が好き」の小林聡美が何度も頭に思い浮かぶ。いちいち着目するところがおもしろいのである。(※私にとっての小林聡美は、日常の些細な出来事も、ちょっと見る角度を変えて、おもしろおかしくアドリブの上手い表現者、三谷幸喜の元奥さん)

    この作者は天才?と思ったら、本作を仕上げるのに9年もかかったと後書きにあり、思わず頷いてしまった。(本職が脚本家というのも時間がかかったのだろうが、それにしてもである。)

    誰もが、この不思議なタイトルは何だろうと思うが、読み終わる頃には馴染んでくる、作者の日常観察力の蓄積が詰まったー冊だ。

    できれば、本の紹介も後書きも読まずに入って、各章の繋がりを考えるともっと楽しめると思う。

    最後に、大きな声では言えないが、この本を手にとったのは絵本だと勘違いして、娘に図書館から借りてきたものである。

    予想外の良い本との出会いだった。

    ※と書いて投稿しようと他のレビュアーの評価を読んでいたら、実は著者である木血泉氏は「やっぱり猫が好き」の脚本を書いていたことを知って自分に鳥肌が立った(笑)

  • とても優しい、じんわりとしみてくるお話でした。

    死んでしまった一樹。遺された妻のテツコとギフ。テツコの恋人岩井さん、幼馴染など周囲の人物と関わりながら、それぞれが一樹の死を受け止め、生きていく。自分の時間を止めずに前に進もうとする登場人物たちに元気をもらいました。
    「パワースポット」、「山ガール」、「夕子」が特にお気に入りです。
    「一樹の死」という悲しさを纏いつつも、なぜか幸せな気持ちに満たされる不思議な一冊です。

    岩井さん好きだなぁ。

  • とても優しく温かい。
    こたつとかエアコンとかの無理矢理に作り出したものではなくて、ただそこにあるだけのものから得られる温もり。

    感情を大きく揺さぶられる何かがあるわけじゃないし、出てくる人たちもただ日々を、それぞれに生きている。
    死ではなくて生。ここにいるということ。そして明日もここにいる、生きているということ。

    なんとなく、部屋を見渡して。周りの人を思い出して、自分はいつも何考えてたっけ、と思ってみたりする。

  • 人生うまく行かない時、小さな出来事や人の言葉が変われるきっかけになる。それはその人にとっては運命になる。私もそんなささやかなきっかけを感じられるようになりたいし、反対に誰かにも良いきっかけを与えられたら幸せなことだと思う。他人からの目ではなくて、自分がどう感じるかそれが大切。
    登場人物の誰もが弱さを持ってて、悲しいことやつらいことも受け入れて進んで行く姿がいい。励まされるというよりも、ダメな時があってもいいんだ、受け入れちょとずつ進めばいいんだって思わせてくれる。また読み返したいと思う。

  • 夫一樹を癌で亡くしたテツコと、息子を亡くした後もなおテツコと共に暮らす義父の<ギフ>。
    大きな喪失感を抱えつつも、流れくる時間の中で、少しずつ少しずつ一樹の死と自身の生に気づいていく。

    一樹が入院していたころ、話もできぬほど憔悴した2人が病院帰りに立ち寄ったパン屋で焼きたてのパンの匂いとパリパリという音を聞き<悲しいのに幸せな気持ちになれるのだと知った>場面が、自分の中の説明できなかったモヤモヤした気持ちにピッタリはまって驚いた。

    この世の終わりと思うほど悲しくても、時間は当たり前に流れていき、当たり前に生活をしなければならない。絶望と日常の混在に対する違和感、忘却の恐怖と囚われていたい気持ち、前に進むことの後ろめたさ。
    大切な人を亡くした後の心情がリアルに描かれていて、共感しかなかった。すごい。

  • 読み終えてなるほど、脚本家の作者だったのですね。
    笑わせたり悲しませたりするツボをよく心得ていて、フィクションの感動で塗り固められた彫刻のような文章ではなく、当たり前のように横たわる日々の何でもないところから、珠玉のような光り輝く台詞や描写が飛んでくるようだ。

    物足りないと感じる方も多いかもしれないが、私には名作としか感じられない。
    普遍でありながらこんなに満たされる。まさしく文章の魔術にかかったような読了後の私なのであった。

  • NHKのドラマ「富士ファミリー」で木皿泉さんのことを知りました。
    どうしようもないことも受け止めて、それでも毎日生きていこうよという温かな視点が好きで木皿さんの作品に興味をもちました。

    この短編集に含まれる9つの話は登場人物がそれぞれの立場、視点で、それぞれの過去や今と繋がりながら話が進みます。

    今のままを維持するのは簡単。
    でも、このままではいけないよね。
    状況を変えるのって勇気がいるよね。
    ちょっと生きづらさを感じながら、毎日を過ごしている人が今を変えるために突飛な行動に出てしまったり。でも、その中でも、その人が大事にしている部分は変わらなくて。
    人の変わりたいけど変われないとか、ふっと変わるきっかけとか面白かったです。

    印象的だったのはパワースポット。
    パワースポットに行こうと言っていた3人が最終的には自分たちでパワースポットを作ろうと考えるなんて、毎日を変えるちょっとしたきっかけはこんなことかなと思いました。

    ほっこり心が温まる本です。

  •  約4年振りぐらいかな・・・
     小説は好きなので読み続けてはいたのだが、前よりもペースが落ち、しかもレビューをずっとサボっていたのだが、復活しようと思って。頑張ります。


     木皿泉の作品、初めて読みました。

     本屋で平積みで気になったのを手に取って表紙裏を読んだところ、和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家とのこと。この方たちのお名前は存じ上げなかったのだが、なんとなんと!大好きな小林聡美が出ていた、大好きなドラマ、「すいか」の脚本家というではないか!「やっぱり猫が好き」も書いていたみたいだ。

     何だか気分良く前向きになれるお話。どの登場人物も何かしらちょっと抱えてるんだけど、憎めなくって、応援したくなって、実際応援して・・・つまるところ人も物語も何だか優しい。

     主にど田舎を旅行中に読んでいて、景色が良くって、そういうのも影響したのかもしれないけど、自分が優しくなれます。すぐになれなくっても、そういう気持ちになると思います。そして頑張ろうって思う。こういうのわかる人、わかりそうな人、大事な人に読んでもらいたい、オススメの小説となりました。

    ★レビュー復活記念ということもあって、満点です!

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著者プロフィール

木皿 泉(きざら いずみ)
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。
小説第二作目、最新刊として2018年4月刊行、『さざなみのよる』がある。

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