人間滅亡的人生案内 (河出文庫 ふ 13-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414324

感想・レビュー・書評

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  • 『楢山節考』を久しぶりに再読したので、その流れで本書にたどり着いた。1971年初版。ということで、悩みもお返事もほぼ1960年代ということになるかと思われる。まさに、私の両親の世代の人々の10代〜20代時代の悩み。最初の数人は面白いが、あとはもうほぼ同じようなものなので、読んでる途中で虚無になった。60年代に青春時代だった人々には、懐かしい感じの悩みなのかもしれないし、別世代の人間には、異世代の雰囲気を感じるのに面白いかもしれない。

    >「なんというバカげた考えを持っていることでしょう。自分を理解し、必要としてくれる人間などツマラナイ男です。女を理解するなんて男はロクな男性ではありません。そんなことを言う男があったら嘘ッパチです。また、真実にそんなことを言う男性があったらその男のアタマはどうかしているのではないかと思います。そんな期待は男性に対して捨てなさい。生きていることは楽しいことだと思う必要もありません。ただ、ぼーっと生れてきたのだから、ぼーっと生きていればいいのです。」

    酒とタバコと環境汚染の時代だねぇ。

  • テレビで紹介されていたのがきっかけで手に取った。
    雑誌の人生相談欄の連載をまとめたもので、相談者は当時20歳頃の所謂団塊世代。聞き手は楢山節考で有名な深沢七郎。
    作者が提唱する人間滅亡教(凄い字面)に沿った回答が突き抜けていて、面白かった。相談者側の投書も、書きように時代を感じて面白い。ポエミーだったり文学的だったり。その割に、悩んでる事といったら、現代とさして変わらない。

    人生や愛や仕事について、みなぎるエネルギーを持て余し、漠然とした不安を抱えている若者たちに、作者は"なぜ悩む。やりたいまま過ごせ。ただ、自分の食い扶持は稼げるようになれ。"と勧める。悩むことが馬鹿らしく思えるくらいの言い切りぶりで、気持ちがよかった。

    …人間滅亡教は何も考えない、ボー然とした楽しさが極意なのです。欲をかいたり、虚栄心から快楽を求めたり、淋しがったり、悲しがったりしないことです。どうか、ボーッと生きてください。…

    一冊終わる頃には、過激さがちょっとお腹いっぱいにも感じた。真面目に読まず、面白がる距離感で読むと丁度良い。

  • 現代の若者は絶対に書かないだろう、団塊世代が若かりし時のモラトリアム的お悩み相談が延々と続く。そして深沢の答えも毎回同じ。正直、飽きる。

  • 面白かった。
    普段考えつかないようなことが書いてあった。
    私の人生に対する見方考え方、価値観が変わると同時に、楽になれた。
    「人間は虫と同じようなもので、ただ生きている」
    「悩むということは必要ない」
    「悩むことは贅沢なこと」
    生きている上で悩む時って、案外ちっぽけで滑稽なものなのかもしれない。しかし深沢氏に言わせれば「滑稽ということが人間でいちばん尊く美しいこと」だそうだから、自信を持っていいとも考えられるのかもしれない。笑

    最近、漠然とだけど、お金持ちになりたいと思った。でもお金を得ることで失うこともあるのかもしれない。お金をたくさん得ようと思うと虚栄心がはたらく。

    手紙の文は読みにくいところもあったけど、深沢七郎の回答が斬新でさっぱり短く簡潔だったからいい感じに中和していた。笑

  • さまざまな若者の悩みに対する回答が一刀両断されていて清々しい。
    手紙形式の相談内容は無気力や生きる目的に悩むものが多く共感しました。
    著者の確固たる人生に対する考え方はぶれることはなく、私の悩みも『そんなことを考えるのはつまらないことです、0点です』と言ってもらえそうだなと思えて気持ちが軽くなりました。

  • テレビ番組で紹介されているのを見て、おもしろそうで気になり読んでみた。
    筆者の深沢七郎が若者の悩みの投稿に答えていく一冊。
    言い切る強い文章の書き方で、少々押されぎみになりながら読んだ。筆者の想いが強い分、投稿者に対して寄り添った答えや協調性は感じられない。
    自分の考えを強く持ち、ブレない感覚は深沢七郎さんの素敵な所だと思う。そして、いつの時代も恋愛や将来に悩み、生きている意味は?なんて考えてしまうのが人類なのだな。難しく考えず、食事して寝てただ生きる人生論。ただ漠然と生きるというのは確かに少し力が抜ける気がする。

  • 私が生まれる前に出版された本であるが、悩みの内容はいつの時代も大差がないと思いました。
    少し、短絡的な回答もありましたが、納得することもあり、不思議な感覚に陥る本でした。

  • 似たような質問ばっかり
    最初の方は質問者の文体もユニークで良かった、深沢氏も退屈だっただろうというより、同じような質問ばかりで同じような回答しかできなかったというところか

  • 思索

  • 多欲vs無欲。辛辣でいて、どこか核心をつく著者の回答がなんともよい。所詮男は女のビフテキであり、女も男のビフテキなのだ。滅亡教の奥深さは、孤独と宿命と怠惰が築く宇宙だな。

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著者プロフィール

大正三年(一九一四)、山梨県に生まれる。旧制日川中学校を卒業。中学生のころからギターに熱中、のちにリサイタルをしばしば開いた。昭和三十一年、「楢山節考」で第一回中央公論新人賞を受賞。『中央公論』三十五年十二月号に発表した「風流夢譚」により翌年二月、事件が起こり、以後、放浪生活に入った。四十年、埼玉県にラブミー農場を、四十六年、東京下町に今川焼屋を、五十一年には団子屋を開業して話題となる。五十六年『みちのくの人形たち』により谷崎潤一郎賞を受賞。他に『笛吹川』『甲州子守唄』『庶民烈伝』など著書多数。六十二年(一九八七)八月没。

「2018年 『書かなければよかったのに日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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