考えるということ: 知的創造の方法 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415062

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  • 社会科学と文学と自然科学とを分野横断的に論じる該博な知識に、まず舌を巻く。といって、決して細部を抽象的な論理でごまかすことをしないので、ほとんど苦もなくすらすらと全体を読みとおすことができる。もちろん、それぞれの細部はすでにほかの論者によって指摘されているものもすくなくない。たとえば、漱石の『こころ』を論じて、先生のお嬢さんへの恋がKの存在によってはじめて形成される、というような指摘は(ヘーゲルふうに言えば「人は他人の欲望を欲望する」)、おそらく柄谷行人の引用である。また、マルクスの『資本論』(価値形態論)への言及も、柄谷以外にも岩井克人や熊野純彦の論考にも同型のモデルを発見することができるだろう。だが、この本の趣旨が、「広く」かつなるべく「深く」諸分野の名著を論じることにある以上、そのような先行研究のわかりやすい一種の「サマライズ」は不可欠のものとも言えるだろう。
    補論として収録されている「思想の不法侵入者」は非の打ちどころのない名文で、また、個人的には、終章の「編集者の使命」にある「編集者は、日本の知的文化の質を維持する上で、重要な役割を果たしている」という記述には、襟をただされる思いがした。

  • 社会学者として最もリスペクトしている大澤真幸さんの著書。序章の時点で気に入りすぎて付箋をいっぱい貼るほど。何よりも面白いのが、著者が本をどのように読み、いかにして思考を紡いでいくかを疑似体験できること。

    各章において、社会科学・文学・自然科学の名著をどのように読み解き考えるかも述べられている。自分の専門外の部分は、正直難しいが、例えば社会科学の部分では「時間」の概念の歴史的変遷などが分かり興味深い。著者の知識の深さに驚きながら読み進めることができる。

    ☆心に留めたい箇所
    ・思考を進化させるためには、書物の力を創造的に活用する技術を持たなくてはならない

    ・常に自分に問いかけると良い。この理論や概念は、自分が自分の問題を考える時にはどういう表現になるだろうかと。

    ・自分は何かにインパクトを受けた。それは人生の中でずっと持続させたい。あるいは他人に伝わってほしい。そのためには十分考え抜いて言葉にするしかない。

    思考したことを相手に伝える楽しさをこの本を通じて感じることができた。本を通して感じたことをきちんとアウトプットすることで、自分の考えを他者に伝える力を身に付けたいと思う。

  • 私は考える,この世界を。

    難しいところもあったけど,とりあえず読みとおした。考えること,そして書き表すこと。決して止めてはならないと思う。最近,あまり考えてないけど。

  • 『考えるということ』を、社会科学、文学、自然科学から見ていく。
    言い方が難しいけれど、各分野の権威がそれぞれ何をきっかけにして、どう考えたかということを詳しく述べていく。
    なので、それぞれの章にはテーマがあるのだけど、そこから大きく考えることそのもののとっかかりにもなる構成。

    とは言え、哲学的要素の多い部分は私には理解出来なかった。
    特に社会科学の章。時間という概念の話。
    過去、現在、未来に対する意識。
    面白い問題提起は、なぜ、夜中0時に日付けが変わるのか、というところ。

    文学の章が、一番分かりやすかった。
    「罪」と赦しと神。
    『こころ』『罪と罰』『東京プリズン』の前半は読んだ作品であるから余計、入り込めた。
    ここにも社会科学で語られた視点が存在する。

    自然科学の章では、0の発見とポアンカレ予想という数学的視点から、重力と粒子という物理学的視点を重ねてスライドしていく。
    これも、面白かった。
    観念的であることと、唯物的であること。
    科学的な見方とは一見唯物的であるように思うが、見えないものの世界では、ともすると観念的な視点が必要であるということか。

    これを書き上げた筆者はすごいなぁと思わされるが、全て細かく理解することを求められる中身ではないようにも思う。
    ここで挙げられたことの幾つかを残しておくことで、いつか自分の問題意識と重なってアンテナに引っかかるように思う。

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