人外魔境 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 38
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415864

感想・レビュー・書評

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  • 13の短編からなる秘境冒険小説。新青年に昭和14年~掲載した作品で、毎話、栗虫太郎の衒学趣味といいますか、蘊蓄が炸裂してて面白かった。
    冒険の舞台も、アフリカ、アマゾン、チベットの奥地、グリーンランド等々当時の秘境に繰り出す冒険家折竹。冒険の動機に国家間の利権争いとか、お国の軍隊が侵攻するための地図作りとかがチラチラ見えるのは執筆した時節柄だなぁという感じ。
    虫太郎はナショナルジオグラフィック誌を海外から取り寄せてどっさり所蔵してて、それを海外ネタ作品書くときのアンチョコにしてたってのは知ってたんですが、今回のこの作品はモロにそれがヒシヒシと行間から伝わってくるものでしたね。
    本書、後半になると結末を急いでると言いますか、ブツンと切り上げて纏めてる風の作品が多くなってくる印象でそこはちょっと残念ですが、虫太郎の『新伝奇小説』堪能しました。

  • 570頁くらいあるのだけど勝手に大長編かと思っていたら13話分の連作短編集でした。もちろんすべて秘境探検もの。一応作者が探検者から話を聞くという体裁で、3話以降は折竹孫七という探検家から聞いた話ということになっています。

    アフリカや南米、中国やチベット等の密林、海、山脈、砂漠、氷河、あちらこちらにあるさまざまな秘境・魔境。アトランティス、インカ等古代文明の末裔と財宝、地下や水底の国、雲上の理想郷、有尾人に有翼人に水棲人などなど、次から次へと色んなネタが続々と。

    わりと似たような展開になる話が多かった印象。女性一人を男性二人が奪い合う的な恋愛要素、未知の人類や古代文明の血を引く美女の登場、そして美女はだいたい折竹氏にたいした理由もなく一目惚れ、しかし秘境そのものについては毎回ラストが尻切れトンボ気味で、実像や謎は結局解明されない。

    その中でも「水棲人」はなんかロマンチックで好きでした。惚れた女の好きな男を助け出すために犠牲になるカムポスかっこいい。折竹氏は無闇やたらとモテる設定なのだけどどうも個人的には彼の魅力がよくわからず、そのうえ美女でない女性(「遊魂境」のおノブさん)に想いを寄せられても邪険にあつかったりするのでちょっとムカつく(苦笑)おノブさんはすごく良い人なのに、美人じゃないだけでストーカーみたいな扱いをされ、にもかかわらずラストで折竹を助けてあげる優しさと器の大きさ、まじ折竹おまえおノブさんに謝れ(笑)

    昭和30年代、つまり戦前の連載ということもあり、ちょっと愛国主義というか、お国のため、みたいな表現が出てくるのと国際情勢が複雑なことに時代を感じました。

    ※収録作品
    有尾人/大暗黒/天母峠/「太平洋漏水孔」漂流記/水棲人/畸獣楽園/火礁海/遊魂境/第五類人猿/地軸二万哩/死の番卒/伽羅絶境/アメリカ鉄仮面

  • 『KAWADEノスタルジック』シリーズの1冊。秘境冒険小説はやっぱりワクワクするなぁ。『黒死館殺人事件』ほどではないが、独特のルビの使い方が、ああ、小栗虫太郎を読んでいる……という気分になる。
    そういえば、『黒死館殺人事件』も河出文庫から出ている筈だが、巻末のリストを見ると、『KAWADEノスタルジック』のラインナップから漏れていた。何故?

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著者プロフィール

1901年、東京生まれ。推理小説作家、秘境冒険作家。京華中学校卒。33年、『完全犯罪』でデビュー。雑誌「新青年」「オール讀物」等を舞台に活躍。著書に『黒死館殺人事件』『人外魔境』他多数。1946年没。

「2019年 『法水麟太郎全短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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