忘れられたワルツ (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.50
  • (1)
  • (10)
  • (5)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 80
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415871

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 開いて今日の偶然を知る。日常に埋もれている「ふつう」と「それ以外」の境界線が炙り出されて、うわあと叫びたくなる。自分がそれを何度も跨いで迷っていることを突きつけられる感じ。悪いことではないけれど、普段は見ないで過ごしてますよねと忠告を受けるむず痒さ。読んだ人は自分と重なるところとそうでないところを行き来した感触が残るんじゃないだろうか。

  • あのあとかなり多くの文芸・ラジオ・音楽で、「311を語らずんば人にあらず」な風潮があり、むしろ敬遠していた。
    「想像ラジオ」「ボラード病」に続く、311後小説と見做したい。
    何よりも絲山さんが苦しんでそれでも真摯に向き合ったさまがわかる。
    声高に残してほしくない、ひっそりと残り続けてほしい。

  • 読み易かったけれど、「?」で置き去りにされた短編が半分くらい。出てくる人の考え方の中には、「もやもやが明文化されてすっきり」と感じたものも多々ありました。

  • 「ふつう」が奪われてしまったその後の物語。みな何気ない日常を生きながら、その真ん中にはぽっかりとした消失がある。静けさの中に力強さと飄々とした静かな寂しさが漂う世界になぜだかするすると引き込まれてしまう。
    登場人物のそれぞれにもつおかしみがなんとも言えずいとおしい。

  • 一言で言うなら、トラウマ、って感じの話。
    みんなおかしくて、でも、そのおかしさがないと成り立たない精神状態で、、、みたいな、

    忘れられたっていうのは、記憶からなかったことにされたって意味かな、と思った

    それぞれがそれぞれの趣味に没頭して、周りが見えてるようで見えてないような描写が印象的だった
    無理やり思考を遠いところへもっていうような感覚

    国語の教科書に載ってて衝撃的でした

  • 表題作「忘れられたワルツ」が一番悲しかった。全編、悲しくて、諦めや忘却や、元に戻れない虚しさがあって、それでもふわっと軽い。震災という大きな厄災を小説として昇華するとこんな物語が出来上がるんだと、絲山秋子にしかできない表現だと、やけに心に残った。

  •  感受性が強く「普通」という言葉に敏感な人が多く登場する。アスペルガーを疑われる人も(実際どうなのかわからん)。センサーが敏感すぎて、敵意とまではいかずとも社会に対してかなり身構えてしまっている感じがする。

     「震災以後の、ふつうがなくなってしまった世界」というが、歴史上3.11が吹っ飛ぶくらいの大惨禍は繰り返されてきている。個人レベルでは大きな爪痕なのかもしれないが、社会規模でいえばありきたりな悲劇でもある。大昔から「ふつう」という幻想は存在していて、それから逃れようと意識すればするほど、雁字搦めになってゆく。ただの結果でしかない「普通」に振り回されてゆく。
     そう考えることができるのは、自分が色々なものを捨てル代わりに自由を得ているからなのだろうか。

     著者の小説は何冊か読んでいるので、「普通」という言葉に敏感なのはぼんやりと理解できる。が、あの震災の前後で「普通」に揺さぶりがかけられたのかと言われると、ピンとこなかった。物語は純粋に面白かった。サービスエリアのやつとか。

  • またやってしまった、、、新潮文庫のやつを読んだのに、河出版も買ってしまった。。。読んだ瞬間、読んだ記憶が!と思ったが、当たり前だった。。。図らずも再読だが、それはそれでよしとしよう。

    さて、再読して、心に響くフレーズは以前とあまり変わらず。(ほんの?3年まえだから)
    相変わらず表題作「忘れられたワルツ」は難解。

  • 著者が描く人間関係はいつも驚くほどにリアルでその洞察力によって紡がれる物語に思わず引き込まれる。不断意識せずに過ごしている時間を再認識させてくれる如くに自らの日常にも見え隠れしている物語。久しぶりにてにした著者の作品の味わい深さに浸っています。

  • 今までの絲山作品よりウィットに富んだ会話が多くて楽しく読め、普通ということを考えさせられる深さもある本だと思う。
    恋愛雑用論が1番面白かった。雰囲気がコンビニ人間に似てるとすごい思った。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。03年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、04年に「袋小路の男」で川端康成文学賞、05年に『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年に「沖で待つ」で芥川賞、16年に『薄情』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書に、小説『逃亡くそたわけ』『エスケイプ/アブセント』『妻の超然』『末裔』『不愉快な本の続編』『離陸』『忘れられたワルツ』『夢も見ずに眠った。』、エッセイ『絲的メイソウ』『絲的サバイバル』『絲的ココロエ 「気持ちの持ちよう」では治せない』などがある。群馬県高崎市在住。

「2020年 『御社のチャラ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

絲山秋子の作品

ツイートする
×