ボクたちのBL論 (河出文庫 さ 41-1)

  • 河出書房新社
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309416489

感想・レビュー・書評

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  • NHK『ねほりんぱほりん』の「腐女子」回で、現役腐女子たちが赤裸々にその生態を語っていたが、それをさらに掘り下げた印象を受けた。<腐女子の視点とは、作品をよりディープに楽しむハイレベルな知的遊戯である>とのポジティブな観点から、腐女子的な思考が、おじさん2人によって徹底的に腑分けされていく。

    著者2人の萌え語り(=人生語り)が、楽しい上に興味深いものばかりで、読むこちらまでも内省的な気持ちになり、思考がクリアになった。新たな発見が数多いという意味で、これはもはや学術書のレベルに達している気がする。

    あとBL・やおいに限らず、「関係性に萌えを見出す」「描かれていない部分を、能動的に想像力で補う」という楽しみ方は、のめり込むコンテンツがあるオタクならみんな共感できる筈で、創作論の本にもなっている。
    (実際、春日太一は本書の中で、面白い作品にはおしなべてBL的と言えるキャラクター同士の激烈な関係性が存在することを指摘している)

  • TBSラジオリスナーにとってはお二方ともアイドルそのもの。
    サンキュータツオ氏……私の上の世代のオタク。アニメオタクにして日本語オタク。萌え→BL。「マリみて」。
    春日太一氏……時代劇研究家、の皮をかぶった映像オタク、もちろんアニメも含む。この人のガンダム語りは絶品。百合好き。なんと「1999年の夏休み」好き!!
    (私……百合好き。身内にBL好きがいる。)
    もう、お前は俺か的な発言多数。
    お二方に宮地昌幸氏を加えた鼎談音声配信「【日映シネマガ】偏愛映画放談~「櫻の園」篇~」は、わが「ラジオ・バイブル」なのである。

    こんなふたりの対談なのだから、楽しめないわけがない。
    レジュメ→対談→ここテストに出るよ式のチェックポイント、という構成も素敵。
    また本全体の構造として、
    第1部 基礎編 タツオが春日に解説。
    第2部 応用編 春日めきめき上達。
    第3部 解脱編 春日おもいのほか上達しタツオを上回る片鱗を見せる。
    という流れ自体が、BL展開をなぞっているというメタ構造の素敵さも。

  •  結局、それぞれ個人にとってのいちばん魅力的な存在って「自分の妄想したその人」だと思います。ヘタするとその人自身より魅力的だったりする。ずっと時間をかけて愛情こめてその人のことばかり考えて考えて練り上げられた結晶なわけですから。
    (P.351)

  • 文庫化してからようやく入手できました。文庫に追加された内容もあってラッキー。
    当初、サンキュータツオが指導者、春日太一が受講者として出発したBL講義が、途中春日さんのナニカが開眼してあるカムアウトをすることで、一瞬攻受が逆転し、後にお互いがお互い対等な関係になっていく姿に心打たれました。
    (タツオ×春日→春日×タツオ→タツオ⇔春日)
    BLという現象(とあえて書く)についてロジックを学ぶと共に、共著の二人の関係性の変遷を通してBLがどういうものか間接的に読み取れる、二倍おもしろく読めました。
    …しかしつくづく自分の中では、オリジナルなカップリング妄想する種というか元が枯渇したんだなー…と実感したりもした一冊でした。
    そんな中で創作妄想していた時の自分のBLポリシーを思い出してみると、確かにその中に自分の他人との関係性で理想とする形を投影していたなぁ…と再確認も出来た事もよかったかな。その辺をもうちょっと突き詰めて考えてみたい。

  •  ずっと文庫になるのを待ち望んでの購入、読了。

     自分に腐の世界を楽しめる素地があるとは思ってもいなかったけれど、TLを読んだ時の自己投影の出来なさと息苦しさと違和感からBLの門を叩いてみたところ、萌えの感情を発見。あえてしばらくそのままの薄い状態を維持し、BLとはなんぞや?と一から学ぶつもりでこの本を読んだ。

     サンキュータツオ氏のレクチャーを受けているようなつもりで、毎晩寝る前に少しずつ読み進め、時には夢にまでBLを見て、第一部基礎編を読み終えるのに1週間くらいかける有様。作中で同じようにレクチャーを受ける立場の春日太一氏は非常に優秀で、所々置いて行かれている感を味わいながら何度も読み返して、とうとうやおいとは何たるかを知るに至る。私はとうの昔に『日出処の天子』で既に腐の世界の門を叩いていたのも自覚した。

     百合はガラス、BLは超合金とはまぁ、なんと的を射た表現かー。第三部は特に面白かった。
    男性はみんな男性向けのエロマンガに欲情してるんだと思っていたけれど、そうではない人もいると知れたのは嬉しい発見だった。

     巻末のBL文献案内で紹介されている本も、書店であっさりみつけたので、とりあえず買った。
    学問として考えてみても、腐の沼はどこまでも深そう。

  • 20190125〜0202 男性によるBLの入門書?著者はBLを「余白を見つけ、妄想を味わう知的遊戯」であると定義づけている。「腐」=BL的思考であり、解釈を経た補正と関係性の再構築である、としている。BL作品にゃBL的思考を促しやすい作品についても紹介している。
    これを読んでから、ついに「風と樹の詩」を読んじゃった。でもこれって群像劇だよな。はまるほどではないけど面白かった。
    著者の定義からすると、私も立派な腐女子、ということになるのだろうか。著者によるBL的思考は、私には割と当たり前の感覚(余白や行間を読む、ということ)なのだが、必ずしも男性同士の恋愛を妄想したり、カップリングを楽しんでいるわけではないのだが。。「腐女子」という言い方もなんだかなあ、と思う。

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著者プロフィール

1976年生まれ。芸人。早稲田大学大学院博士後期課程修了。漫才コンビ「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学非常勤講師も務める。著書に『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』『ヘンな論文』など。

「2018年 『ボクたちのBL論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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