法水麟太郎全短篇 (河出文庫)

著者 :
制作 : 日下三蔵 
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 50
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309416724

感想・レビュー・書評

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  • 『黒死館殺人事件』でおなじみ名探偵(元捜査局長、現刑事弁護士)法水麟太郎(のりみずりんたろう)が活躍する短編を年代順(昭和8~12年)にすべて収録。

    衒学的なのは相変わらずで、そこはあまり気にしないのだけど、謎が解けてもいまいちスッキリしないのがどうもいただけない。殺人現場の道具立て、設定はとても豪奢で興味をそそられるのだけど、探偵役の法水の超人的頭脳に凡人の読者は追いつけないので、推理の経過にスリルが感じられず、結論だけ聞かされることになるから、一緒に謎解きする楽しみがないのが不満なのかもしれない。法水先生のご高説を拝聴するだけでは、目からウロコのカタルシスもなく。

    「夢殿殺人事件」を例にとるとそもそも、殺人に使われた「玉幡」というものの形状がわからないので(自分の無学を晒してるだけかもしれないごめんなさい)、なるほどそんなトリックが!となれないし、そのような驚異的なトリックを編み出す犯人は当然、法水に匹敵する博識と頭脳の持ち主でなくてはならないはずなのに、そうでもないことが大半だし、動機も弱い。当時の流行だと思うけどフロイトを引っ張り出して来たり、心理試験めいたことをして犯罪心理を分析するのも個人的にあまり説得力を感じず。

    とはいえやっぱりその豪奢な設定を楽しむのが法水麟太郎ものの醍醐味ではある。寺院や教会、あやしげな研究施設はもとより、「潜航艇「鷹の城」」では潜水艦で起こった殺人をニーベルンゲンの伝説になぞらえたり、「オフェリヤ殺し」は当然ハムレットの舞台上での殺人劇、「人魚謎お岩殺し」は乱歩的な孤島で生まれたシャム双生児と旅芸人一座の秘密など猟奇味満載、それなりに面白く読めました。

    ※収録
    後光殺人事件/聖アレキセイ寺院の惨劇/夢殿殺人事件/失楽園殺人事件/オフェリヤ殺し/潜航艇「鷹の城」/人魚謎お岩殺し/国なき人々

  • 法水麟太郎ものの短編が1冊に。
    ひとくちに『法水麟太郎もの』といっても、冒険小説風のものから、正統派の探偵小説まで、バリエーションに富んでいる。『黒死館殺人事件』のイメージだけで読み進めていると意外だった。そもそも小栗虫太郎は冒険小説も書いていて、そういう部分が少し顔を出しているのだろうか。
    巻末の解説によるとエッセイも文庫になるらしい。手軽に入手可能な小栗虫太郎の本が『黒死館』だけだった頃を考えると、隔世の感がある。河出文庫には足を向けて寝られないと思っているが、同じようなことを感じているのは私だけではないだろうw

  • 法水麟太郎モノの短編を発表順に収録(残りの長編2編、黒死館と二十世紀鉄仮面は既刊アリ)。
    年代順に並べて読んでいくとやはり後半の作品になるに従って描写が読みやすくはなっていってるなぁという印象。(当時流行の秘境冒険モノテイストも入ってきて大衆小説色も強くなってくるからかもしれませんが)
    しかしそれにしても、ページを繰る度に迸る法水の衒学趣味には翻弄されるし、肝心の事件のトリック部分は頭の中に「???」が飛び交ってしまうのですが(笑)、だがそこが良い。その翻弄される感覚含めての虫太郎テイストなので、存分に堪能いたしました。

    後光殺人事件、聖アレキセイ寺院の惨劇、夢殿殺人事件、失楽園殺人事件、オフェリヤ殺し、潜航艇「鷹の城」、人魚謎お岩殺し

  • 2019/05/08読了

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著者プロフィール

小説家。1901年東京生まれ。本名、小栗栄次郎。1927 年、「或る検事の遺書」を、「探偵趣味」10月号に発表(織田清七名義)。1933年、「完全犯罪」を「新青年」7月号に発表。「新青年」10月号に掲載された「後光殺人事件」に法水麟太郎が初めて登場する。1934年、『黒死館殺人事件』を「新青年」4~12月号に連載。他の著書に、『オフェリヤ殺し』、『白蟻』、『二十世紀鉄仮面』、『地中海』、『爆撃鑑査写真七号』、『紅殻駱駝の秘密』、『有尾人』、『成層圏の遺書』、『女人果』、『海螺斎沿海州先占記』などがある。1946年没。

「2017年 『【「新青年」版】黒死館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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