- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309417097
感想・レビュー・書評
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妖刀の呪いが本作のテーマなのでしょうか。
作者の知識量には感服ですが、だから?といった疑問が終始頭から離れませんでした。
作為的な物語と半ば強引な謎解き・・筆力のある作家がやりがちな自己満足の世界、私にはそのようにしか読むことができませんでした。
ちなみに、オイディプスとはギリシャ神話にでてくる人物で、実の兄を殺し、実の母と親子婚を行ったとされ、「エディプスコンプレックス」の語源とされる。
本作で角川小説賞を受賞しています。 -
初赤江瀑さん。
異母兄弟、家宝の刀、香水、壮絶な死。
家族がバラバラになり、数十年後に家族の行方と当時の真実がわかる。刀と香水の匂いが妖しく入り混じる、謎多き、いびつな家族の小説。空虚な最後。
香子さんがあまりにも哀れ。 -
母・香子に寄せる三兄弟や泰邦の想いが私にはよく分からなかった。男の人には分かるんだろうか。
父の連れ子が明彦、母の連れ子が駿介で、再婚後生まれた子が剛生って急に厳つい名前を付けたな、父と母どっちのセンスなんだろう…とどうでもいい事が気になった。
泰邦と同じく刀研師であったその祖父が印象深い。妖刀を凡庸な刀に見せかけることができるとは、どれほどの刀研師であったのか。 -
タイトルが暗示していた
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稀代の大業物『青江吉次』によって齎された惨劇。妖刀に各々の人生を狂わされた三人兄弟。刀研師を殺したのは誰か、何故、事件が起きてしまったのか。離散した三兄弟の生が再び交わる時、亡き母が愛したラベンダーの香りと共に姿を消していた筈の妖刀・吉次が現れる。圧巻の剣刀ミステリ。赤江瀑が描く絢爛耽美な世界に酔いしれました。とにかく妖刀・吉次の描写が艶かしい程に美しい。それを見詰める研師・泰邦の姿も酷く官能的。歪な人間関係、渦巻く愛憎の中心には無垢な吉次があった。凄惨なラストは驚く程、静謐さに満ちている。
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わたしい
ばかだからあ
あかえばくさんがあ
いいたいことがあ
よくわからなかた❗️
わかる人だけわかればいいんだ的な感じの文学あんま好きじゃない、村上春樹とか -
足らなさ語らなさが、物足りなさを通り越して話を研ぎ澄ましている。事実らしさよりも筋よりも、「トン、トン」と置かれたできごとの点とそれを彩る描写の美が、まっすぐに届く。何一つ成らないことが、完成なのだろうか。
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再読。
角川文庫版・ハルキ文庫版と持っているので、読むこと自体は3回目か。
赤江瀑の代表的な長編。絢爛豪華で濃密な世界は唯一無二の存在だった。三島由紀夫や中井英夫の系列と言われているし、その考え方に異論は無いのだが、この『濃さ』は誰にも出せないものだろう。好きだ……。 -
ついに河出文庫から赤江瀑の代表作が復刻!とっても嬉しいけど本音を言うとは角川文庫に頑張ってほしかった。赤江瀑の大半は角川文庫だったし正直河出文庫はちょっとお高いから(苦笑)とはいえやっぱり嬉しい。1986年の角川映画はテレビでやったときに見たと思うのだけどストーリーほぼ記憶になく、そして原作も未読のままだった。
下関の旧家・大迫家。裕福だが家族の人間関係は複雑。刀剣集めが趣味の父・耿平と、調香師だった美しい後妻の香子、長男:明彦は先妻の息子で、次男:駿介は後妻である香子の連れ子、三男:剛生(ごうせい)のみが夫妻の子供。さらに父・耿平の妹でバツイチ出戻りの欲求不満叔母さん雪代が大邸宅に同居している。そして耿平が大切にしている名刀『次吉』の手入れをするために年に一度夏に数日滞在する刀研師の秋浜泰邦という青年。
その夏、ハンモックで寝ていた泰邦が何者かに『次吉』で刺殺され、母・香子もその場で自刃、さらに父・耿平も同じ刀で切腹して果てる。事件は母の不倫相手との心中、絶望した父の自殺という形で世間的には片付いたが、三兄弟は実はそれぞれ事件と係わっていた。しかし事件後、後妻の連れ子である駿介のみ京都に住む母方の祖母に、大迫の血を引く長男と三男は父方の祖父母に引き取られることになり兄弟は離れ離れに、さらに剛生がまだ中2で家出後失踪してしまう。12年後、京都でゲイバーを経営する駿介のもとに、東京で調香師となった明彦から手紙が来て、剛生をフランスで見つけたという。しかし彼は顔も名前も変えた全くの別人で・・・。
タイトルのオイディプスはご存知「エディプスコンプレックス」の語源にもなった有名なギリシャ悲劇の登場人物なわけですが、美しい母を慕うマザコン兄弟たちが憎悪するのは父ではなく同じく母を慕う泰邦。しかし主人公の駿介のみは、母親の連れ子であるせいか3人の中ではそれほどマザコンではなく、むしろ同性愛的に泰邦に魅かれている。ゲイバーを経営しているのはそのほうが流行るからで自分はゲイではないと言ってるわりに女っ気はなく、わけありのヒロシや、弟のようなツトムと一緒に住んだりしてるし、剛生に対してもブラコン的言動が多いのでだいぶあやしい(笑)
12年前、泰邦を刺したのは三兄弟のうち誰だったのか、顔も名前も変えて現れた剛生はなぜ執拗に明彦に嫌がらせをするのか、刀と香水、という父と母=男性性と女性性を象徴するアイテムをうまく取り入れて濃厚で耽美な世界が繰り広げられる。雪の京都のお寺で繰り広げられる終盤の惨劇は血の赤と雪の白のコントラストが美しい。また映像化しないかしら。
きょうは、快晴です。
体に気を付けていい日にしたいと思います。
やま
きょうは、快晴です。
体に気を付けていい日にしたいと思います。
やま