小松とうさちゃん (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 204
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417226

感想・レビュー・書評

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  • おじさんのあだ名がうさちゃんってところからほっこり。うさちゃんのシーンは主にネットゲーム
    小松さんとみどりさんのとんとん拍子はすごかったけど、穏やかな話だから好き。
    まさかみどりさんがうさちゃんのゲームの同盟だったとは、それも二役。さすがに出来過ぎだけど面白かった。

  • 中編「小松とうさちゃん」
    短編「ネクトンについて考えても意味がない」
    掌編「飛車と騾馬」(小松とうさちゃんの前作)

    たいてい読んだ小説に関しては、エバーノートや未公開メモに詳しめのあらすじを書くのだけれど、本作はその必要はなさそう。
    50代冴えない男の、これが最後かもしれない恋を、40代のネトゲに嵌っている飲み友達が応援する。
    実は相手にも事情があって……、という内容。
    断章ごとに視点人物が変わる。それが3人、と思いきや4人。
    タイトルふうに言い直してみれば「小松と、宇佐美と、みどりと、ほんのちょっとだけ八重樫と」というところか。

    偶然が幾つか起こるが、それが虚構的に嘘っぽくなく、とはいえ事実のんべんだらりべったりの散文と違って、この偶然って面白いねーと思えるというくらいの絶妙なリアリティラインで成立している作品。
    しかし個人的には、ラインを越えてあえてご都合主義的あるいは作者の恣意的、と見做せるレベル、に注目しておきたい。それでもいいのだと。
    さらに俯瞰してみれば、語り手の中年女性みどりが、若者(八重樫)も少し年下(宇佐見)も、本命の同い年(小松)も3人全員、無意識的に手玉に取っておいて自分の術数にはまるで無自覚、というやや怖い構図になるが……そこまで深読みできながらも、する必要がない、という作り。
    みなどこか、平均的・標準的・普通の幸せ(親世代の常識)を、掴み損ね、静かな諦観を感じながらも、自分の現状をさほど恨んだりしない。この、よさ。

    掌編は措いておくとして、短編「ネクトンについて考えても意味がない」は……おお、私自身の小説だ。

  • きっとどこにでもいるような中年二人。絲山秋子の晒し方、拾い方にかかるとなぜか彼らが愛おしく思えてくる。併録の「ネクトンについて考えても意味がない」の異種生物間精神的交流噺も良かった。

  • 大きな展開はないが、楽しく読めた。
    ノクトン〜の短編のほうが本編よりも好き。
    文庫版の表紙が良い!

  • 「小松とうさちゃん」読了。登場人物と似た世代、ゲームを自分はやらないが、色んなゲーム動画である程度知っているので分かる部分も合った。「リアル」は案外漠然としたものだと思う。みどりの職業は自分に向いているかもと思ったり。八重樫が主人公の話も読みたい。
    「ネクトン~」も良かった。

  • (八重樫という未知の存在はいるものの)全体的に優しいお話。

    個人的に身近な土地の話も出てきてなんだか嬉しくなる小説。

著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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