出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫)

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  • 河出書房新社 (2020年2月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784309417318

感想・レビュー・書評

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  • まさかのこんなところでまたガケ書房やホホホ座の名前を見るとは…
    まだ行けていないのに…気になる…

    いろんな本をおすすめしておられるし、本の趣味も遠くない気がするのに、あまりこれは読みたい!というのがなかったのが珍しい。
    やはり目の前のその人に合うものを選んでおられるから、今の自分には魅力的じゃない本、もしくは読んだことあるものが多いのだろう。

    いろんな人と軽い付き合いをした時期は自分もあるが、価値観が広がるというより、物事を軽く考えられるようになった気がする。良いのか悪いのかだけど…
    この著者の方も同じような捉え方もされたのかなと感じた。

  • 出会い系を通じて出会った人に、語り合い、汲み取った印象や内容からその人に合った本を選んで紹介する著者のノンフィクション作品。

    著者が生きる中で芽生える葛藤に自問自答しながら、前進していく行動力に、その姿勢に敬礼。

    そして、本っていうのはただ読むだけのものではなく、本を通じて人と人とを繋ぐものでもあるのだな。

    まさに、このブクログの場のように。

    一期一会、私を見つけてくださってありがとう。
    拙い感想文ばかりだが、改めてこれからもよろしくお願い申し上げる。

    • 石橋 アイさん
      いつも「いいね」ありがとうございます(๑⃙⃘ˊ꒳​ˋ๑⃙⃘)私もこの本読みたいと思いつつまだ読めてない…感想、とても参考になります♪
      いつも「いいね」ありがとうございます(๑⃙⃘ˊ꒳​ˋ๑⃙⃘)私もこの本読みたいと思いつつまだ読めてない…感想、とても参考になります♪
      2021/07/11
    • akodamさん
      石橋 アイさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます。

      私は完全に表題名だけで作品を手に取りました。
      読著者の行動力には、素...
      石橋 アイさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます。

      私は完全に表題名だけで作品を手に取りました。
      読著者の行動力には、素敵の一言。

      読みたいタイミングが来られましたら、是非ご一読ください^ ^
      2021/07/11
  •  皆さん、本書の内容を曲解するような憶測をやめましょう! 何を隠そう私も、この奇抜なタイトルに、作者がそっち系の人なのか? タイトルの「本をすすめまくった」目的は? と、様々な疑問をもった者の一人です。

     安心してください! 著者の花田菜々子さんは、そっち系を生業とする方ではなく、元々書店員さんでした。決して怪しい本ではありません!
     また花田さんの大胆な行動の発端は、仕事と家庭の両面で壁にぶつかり、突破口を求め足掻いたことでした。そんな時に、「知らない人と30分だけ会って話してみる」というコンセプトの出会い系サイトを知り、次のようなプロフィールを登録します。
     「変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりな本を1冊選んでおすすめさせていただきます」
    すごっ! と思うと同時に、大丈夫? と心配に‥

     人生の転機に当たって、不安を払拭し、なりたい自分を模索しながら、高い壁を越えようと悪戦苦闘した一年を描いた作品です。確かに実録的私小説でしょうが、自分探しの記録とも言えるでしょう。

     直説会話をしながら人となりを観察し、鋭い洞察力で迷いなく本を選び、説得力ある言葉で本を紹介する姿は、まさに本のソムリエで、花田さんの真骨頂ですね。
     知らない世界や価値観を学ぶ大切さ、誰かの役に立つことの素晴らしさが、その実体験からリアルに伝わります。

     今では作家と書店経営の道を歩む花田さん。見事な社会貢献ですね。日頃から人に本をすすめることの難しさを実感しているので、とても興味深く読むことができました。

  • この題名と、世の評判を聞きかじって、私が予想した内容は以下のものだった。
    「エッチ目的の出会い系サイトを逆利用して、自己実現を図ったアラサー女子の読書案内」
    ‥‥まぁ女子の気持ちには興味ないけど、読書は好きなので参考になるかもね、と少なくとも私は読み始める。

    ところが、花田菜々子はおそらく確信犯的に「出会い系サイト」という単語を使っていた。ホントはエッチ目的のサイトではない。勘違いさせるのは計算づくである。そう思ったのは、彼女が「ヴィレッジヴァンガード」の元店長で、あのポップカルチャー商品が溢れかえる店内で目立つためのPOPを作っていたと知ったからだ。

    彼女は強(したた)かで頭がいい。もちろん彼女は最初から計算づくでサイトに入ったわけではなく、あの1年間は離婚と退職で揺れていて、精神的に参って、武者修行のためにアウトプットがインプットにもなり得るこんな無茶なことをしたのだろう。その意図はホントだと思う。その数年後だから、自分の中で、咀嚼・消化してキチンと読ませる作品に産み直している。多分誰にでも出来ることじゃない。

    読んだ印象は、当初の予想とは全然違った。彼女の意図は上記の通りで、それは「綱渡り」的に成功した。私が参考になったのは、読書案内ということではない。

    POPは、商品を手に取らせる手段である(流通スキルの基本)。手に取らせた後に買わせるのは、デザイン(文体)と品質(構成)である。リピーターを作るには、品揃え、商品配置の工夫、欠品を出さないことだろう。ちょっと読めば、硬派だけど読みやすい文体、事例豊富なことがわかる。特に、読書好きにはたまらない事例が満載だ。なるほど、ヒットするワケだと思う。

    一方私は、彼女とは違う味の愉しみ方をした。現代人のSNSを利用したコミュニティの構築のあり方に、いろんなヒントを貰った。私は幾つかのコミュニティに参画しているけれども、参考になることが多々あった。

    ・ともかく目立つこと。勘違いさせる(ウソはいけない)。
    ・世間に人材は必ずいる。SNSは、それを拾うことができる。
    ・直接会うこと。或いは連絡が取り合えるツールを持つこと。
    ・話題を引き出すこと。
    ・興味を持たせるには、斜め上からの提案をしてみる。或いは「貴方が素敵」+「この事例も素敵」=「この事例は貴方に寄り添う」作戦で言ってみる。
    ・ウィンウィンの関係を持つこと。
    どれもがとても難しいけど、出来うることだし、必要なことだ。

    • naonaonao16gさん
      kuma0504さん

      こんにちは!
      読まれたんですね~!
      わたしがうまく言葉にできなかった部分が言葉にされていてすっきりしました!...
      kuma0504さん

      こんにちは!
      読まれたんですね~!
      わたしがうまく言葉にできなかった部分が言葉にされていてすっきりしました!すごい!
      「出会い系サイト」という言葉を確信犯的に使っている、菜々子さんはしたたか!
      いずれも「まさに!!」という感じです。

      あと、kuma0504さんの目のつけどころがすっごい!みんなが自己啓発されている中、ポップに目をつけるところが!!素晴らしいです(´▽`)

      ちょうど昨日、菜々子さんが勧めてくれた本を読んでたとこだったので思わずコメントしてしまいました(笑)

      素敵なレビュー、ありがとうございました♪
      2020/06/19
    • kuma0504さん
      naonaonao16gさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      「ちょっと斜め上の感想」を目指してみました(笑)。

      実は、お勧めの本の...
      naonaonao16gさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      「ちょっと斜め上の感想」を目指してみました(笑)。

      実は、お勧めの本の中から一冊選んでこれから読もうかなと思っているところです(笑)。
      2020/06/19
  • 「であすす」というみたいです。
    そしてここで言う「出会い系サイト」というのはマッチングアプリのようなものではなく、”意識高い系”の人たちが情報交換を目的として利用するサイトだそうです。まあ、意識高くない系のわたしには全くぴんとこないのだけれど。

    最近、ずっしりとした小説が続いていたので、さっくりと、しかしながら心に残るエッセイのような作品を探していて、本棚の前をうろうろ。そして先日購入したこの作品を手に取る。
    しかしエッセイと思って読み始めたら大間違い。その重量感はというと、DaiGoさんの本一冊読み終えるくらいの量感と質感…ほどよい疾走感でエッセイのようにサクサクと読み進めてしまうけれど、読み終えた時の満足感と清々しさは自己啓発本を読み終えた後の読了感に近い。ものすごいエネルギーが宿ってる。

    読み終えて、わたしは単純に「この人と友達になりたい」、そう思った。「いろんなことを、話してみたい」と。

    わたしは自分に自信がなくって、何か新しいことを始めるのに常に不安がつきまとって、うだうだ考えて結局やらなかったり、そうやって無駄にしてきた時間を積み重ねたら、木でも生えてきそうだ。にょきっ。
    5年以上かけて、専門家に相談したり、DaiGoさんに頼ったりして、どうにかこうにか、胸をはれるレベルではないけれど、自信がついてきた。自信というよりかは「ま、なんとかなるさ」と思えるようになったという、些細な変化に過ぎないのだけれど、過去のわたしからしたら、それは大きな変化だ。
    わたしはこうして人に頼りながら、何年もかけて自分に変化を促していったのだけれど、菜々子さんはたったの一年で凄まじい変化を遂げていて、さらに自分で切り開いていくという行動力とエネルギーがものすごい。

    あと、とても素晴らしかったのが他人との距離感だ。
    わたしはわりと、人懐っこく明るく人と関わるけれど、反面、そのキャラクターを崩せなくなって苦しむことがある。しんどいことがあっても、それを笑いながら話してしまって、わたしがネタっぽく話すものだから相手からは笑われてしまい、でもその場では笑って過ごして、お風呂や寝る前にスーパー落ち込む。
    もっとフラットに人と関わりたいなと思う。菜々子さんの素敵な、他人との距離の持ち方に、わたしは憧れた。

    そして、菜々子さんの本の知識量が素晴らしいのはもちろんのこと、紹介とまとめ方が上手で、わたしが普段本屋さんでは手にとることはない、けれどテーマとしてはとても興味がある本をたくさん紹介してくれていた。気になったのは以下の本たち。
    ・穂村弘/もうおうちへかえりましょう
    ・平野啓一郎/私とは何か
    ・アルテイシア/もろだしガールズトーク
    ・山田ズーニー/おとなの小論文教室
    ・ジョージ秋山/捨てがたき人々
    ・会田誠/青春と変態
    ・能町みね子/ときめかない日記
    ・永田カビ/さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

    ちなみに最後の作品は「この本を読んだ人にすすめたい本一覧」に記載されていて、「さびレズ」というらしいのですが、「さびレズ」はブクログでもたくさんお見かけしていて、すでに購入済。本棚でそっと、しかし燦々と存在を主張していた。これを機につぎは「さびレズ」を読んでみる。
    そして、こうして改めて自分が気になった作品を振り返ってみると、なんだか自分の変態性を主張しているような感じがして、ぞわぞわとしてくる。

    • 大野弘紀さん
      本を通して、真摯に、ご自身と向き合っておられるのですね。
      そうして、新しく、自身を発見していく。

      読書とは、まるで冒険のようです。
      ...
      本を通して、真摯に、ご自身と向き合っておられるのですね。
      そうして、新しく、自身を発見していく。

      読書とは、まるで冒険のようです。

      読むたびに、新しく自分を発見していく。
      2020/06/21
  • タイトルから卑猥なイメージをした自分を殴りたくなる。菜々子さんは超が付くほどの挑戦者だった。既読の宇宙兄弟のFFS理論でいうと「強 拡散性」「強 受容性」「少し 弁別性」。真面目な本だった。本気でその人に合いそうな本を薦めたいという一心で出会い系サイトに登録する。そして会い、翌日、本の題名を紹介する。後日その本を読んで楽しかった!と言われることに生きがいを感じる。これって分かる気がする。単なる自己満足、承認欲求なのかもしれないが、菜々子さんはその達成のための努力は惜しまない、健気で美しい女性だった。⑤↑

  • 数ヶ月前にブクログの話題のランキングに入っていて、積読していた作品。
    出会い系サイトで出会った人に対し、その人に合った一冊をお勧めしまくった作者による経験談。

    初対面の人や仕事で繋がった人と、趣味の話をすることになり、読書好きであることを打ち明けると、「おすすめの本あったら教えて」と言われることがよくある。その度に、「自分にとってはいいと思う本も相手にハマるとは限らないし、押し付けがましいと思われないだろうか…」とヤキモキした結果、「最近"話題の本"(本屋大賞とか〇〇賞受賞とか)で〇〇は"個人的に"良かったよ」と、かなり保険をかけた無難な本紹介ばかりしてきていた。
    そんな私にとって、本作の中で花田さんが見出した、「相手に喜んでもらうための軸になる基本ルール(p67)」はとても参考になったし、実際作品の中で花田さんが紹介する本はどれも魅力的に映った。
    特に読んでみたいと思ったのが以下の9冊。
    水野敬也『「美女と野獣」の野獣になる方法』
    せきしろと又吉直樹の共著『カキフライが無いなら来なかった』
    ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』
    栗田有起『お縫い子テルミー』
    村上龍『69』
    東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』
    武田百合子『富士日記』
    サガン『悲しみよこんにちは』
    カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

    また、本の紹介だけでなく、出会い系で出会った変わり者との対話のエピソードも、めちゃくちゃ面白い。個人的には、4人目の大橋さん(メンタリズム失敗とプロフィールへのツッコミ)、逆ナンした佐久間さんとの会話(1人目の土屋さんからのbotに対し100%既読スルーする話)、そして、エピローグの遠藤さんとの会話がユーモアに富んでて最高だった。

    花田さんの読者愛、好奇心、行動力、膨大な書籍のデータ、そしてちょっと変わった人間味がぎゅっと詰まった一冊。読書好きな方はきっと好きになる作品だと思います。

  • BOOKOFFで安かったので手に取りました。タイトル変でやっていることはなかなか危険だけど、とてもタメになる話。一気読みでした。久々ヴィレッジバンガードいきたくなった。お仕事についても考えられ、本への愛も詰まっている。岩田書店さんの1万円選書の発想とも似ているかなと。

    • 2.tot-さん
      これの実写化したドラマが大好きです。本も読んでみます。

      フォロー&いいね!ありがとうございます!嬉しいです★
      これの実写化したドラマが大好きです。本も読んでみます。

      フォロー&いいね!ありがとうございます!嬉しいです★
      2025/09/23
  • 行動力ハンパない!!
    出会った人に合う本を勧めまくった一年のお話は濃厚でドラマチックで温かい。

    タイトルに惹かれて読みました。
    『出会い系サイトで70人と実際会って〜』なんてパワーワード過ぎません?笑
    でも、この「出会い系サイト」はいかがわしいものではありません。
    たしかに作中で下心満載で来る男性もいらっしゃいましたが、所謂マッチングアプリ的(同性・異性関係なし)な概念だと思います。
    人と人との繋がりって、現代では浅くなりがちだけど楽しいな・大切だなと思えるお話。
    いろんな可能性に繋がってる。
    しかし、この作者さんの頭の中には何冊のデータが入っていらっしゃるのかしら?!
    すごい冊数だと思います。
    本を勧めて頂きたい!
    私はこの作品を布教したいと思います。

  • 大ヒット作「出会い系で70人と会って…」著者が印税で開店。「蟹ブックス」の新しい本屋のカタチとは|au Webポータル国内ニュース
    https://article.auone.jp/detail/1/2/4/339_4_r_20220909_1662710581852327

  • 花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』河出文庫。

    タイトル通りのノンフィクション。こだまの『夫のちんぽが入らない』と似たような香りのする作品で面白さは感じなかった。作中で紹介される本も興味を惹かれるものは無く、どうしてこの作品がベストセラーになり得たのか全く解らない。

    離婚間際の著者が家を飛び出し、出会い系サイトを利用して、初対面の男性にお薦めの本を紹介するという話。

    本体価格620円
    ★★

  • カートにまで入れていたストック本だったのに、今まで読まなくてゴメン!の一冊。

    「出会い系サイトで」というくだりから、誰を相手にどんな本を紹介する話なんだろう、とずっと思っていたけど、この人すごい。
    あ、私ってミーハーだったんだな(苦笑)と打ちのめされるほど、自分の知らない世界で展開されてきた本に照準を合わせていくんです。
    プロだ。プロの仕事だ……!ごくり。

    こういう、ジャンル問わずに本の世界を広げていける人に感嘆する。そんな筆者だから、本をすすめるということを通して、業種も年齢も違う人たちとの対話に踏み込んでいけたんだろうな、と思った。

    私的、共感ポイントが二つあって。

    一つは、筆者が元ヴィレッジヴァンガードの店長さんだということ。
    私も昔はよくヴィレヴァンを冷やかしに(笑)行っていて、わざわざ名古屋にある本店を目的に旅行したこともある。

    今では、ショッピングモールに入っている雑貨屋さん的立ち位置を確立しているけれど、かつての本の取り入れ方が、いわゆる大型書店とは違った前衛性があって、好きでした。
    今訪れなくなった理由と(訪れる目的を変えた理由と)、花田さんのもどかしさがすごくマッチする気がして、嬉しかった。ありがとうございました。

    もう一つは、そんな筆者がオススメする本屋さんが「ガケ書房」さんだということ。
    うおお、きたあ!と、小学生がレアカード手に入れた時みたいな歓喜を表現したよね(笑)
    (個人的には「恵文社一乗寺店」さんも好きなので、京都に来たらぜひ!)

    素敵な人だな、と思うと同時に、いつかこの人と、この人が管理をする棚に会いに行こうと勝手に決めました!

    レビューがいつの間にかファンレター化してしまいましたが、本好きが読む本(ライト編)として推せると確信。確信ってなんだ。
    そして、そんな逸材にスポットを当てた河出書房新社もすごい。

  • 花田菜々子、職業は書店員。既婚者、だが家を飛び出して別居中。そんな彼女の目に留まったのは、「知らない人と会って30分だけ話してみる」というコンセプトの出会い系サイト「X」。彼女はそれに登録し、初対面の人にぴったりの本をお勧めし始める。


    元ヴィレッジヴァンガード店長だった著者さんが、出会い系サイトを通じて実際に会った人たちにおすすめの本を紹介した約1年間を綴ったノンフィクションです。
    タイトルでは出会い系サイトとセンセーショナルに煽っていますが、この方が使っていたのはいわゆる一般的に想像するような男女関係を目的とした出会いの場に限定した出会い系サイトではなく、趣味や起業の情報交換などをしたい方も多く登録しているちょっと意識高い系な場だったようです。

    全く知らない人と短時間会話を交わし、その人にふさわしいと思われる本を紹介する。言葉で言うとこんなに簡単だけど、真にその人が読んでみたいと思う本を勧めるには、ちゃんとその人を理解しなくてはいけない。
    昔、「生きる事は=出会う事である」という自由課題の作文を書いたことがあるのですが、この本を読んで漠然としていたその考えに確信が持てた気がしました。

    大人になると、新しく友達を作ったり、新しく何かを始めたり、普段自分の行う行動の枠から外れる事は難しくなってしまうけど、珍しく何かをしたい! 友達が欲しい! と普段思わないようなポジティブで活動的な気分になれました。
    行動しなくては何も変わらない。行き詰っている何かを変えるには、全く違う価値観の人と話すのもいいかもしれない。結局、本を読むのも人と話すのも、自分と違う価値観を知る、全く違う人生を知るという意味ではそんなに違いがないのかもしれないですね。
    エッセイ・ノンフィクション小説だけど、自己啓発本的な効果もありそう。

    ちなみに、興味本位でちょっと調べてみた所、作中で「X」とされている出会い系サイト(と思われるサービス)はサービス終了しているようです。

  • 人生に息詰まった主人公が、男女の出会いに限定しない出会い系サイトで色んな人と出会って、傷ついたり癒されたりしながら駆け抜けた1年間の記録。まるで冒険小説!全力で日々を疾走する主人公に伴走している気分で一気に読んだ。
    結局、自分が動くことでしか人生を動かしていく事はできないんだな、逆に言えば、自分が動けば人生は動き出すんだな、と。ちょっと胸が熱くなった本。

  • 面白かった。タイトルが「出会い系サイト」というインパクトある言葉を含んでいるため、そこに焦点が当てられがちかもしれないが、実際は著者が初めて会った一人一人に勧めたい本を真摯に伝えたその記録。方法や手段は異なるが岩田徹さんの『一万円選書』と本を勧める点では同じ。著者の花田さんも岩田さんと同様に1万冊程度の本の内容を把握しており、それぞれの嗜好や興味関心に応じて具体的なおすすめ本を紹介する。花田さんの利用した出会い系サイトの詳細はわからないが、普段の生活をしていたら出会わないような個性的な人が多かった模様。最初のうちは分かりやすくがっかりさせられるような人たちと面談していたようだが、徐々に面白い人、読書家、さらに色々な人を紹介してくれるきっかけになった人、気の合う異性等々に出会えていた。最初の数人で諦めることなく、粘り強く続けた花田さんの行動力はすごい。さらに、花田さんがすごいのはいくら変わった人でもぞんざいな対応をしたり、色眼鏡を通して決めつけたり、ということをせず誠実に向き合っていたこと。結果、ご自身も自分の力で道を切り開いていくきっかけになっていたようだった。巻末には『一万円選書』同様、本文で出てきた本のタイトルが並んでおり、参考にできる。多少のことでへこたれず、粘り強く行動を続けていけば状況は自分の望む方向へ変わっていくことを実感した。言うは易し行うは難しだが、それでも前向きに自分も頑張ろうと言う気にさせられた。

  • タイトルが少し怪しげだったが、どんな内容か気になり手に取った本。出会い系サイトと聞くと、恋人探しや婚活など異性との出合いの場というイメージだった。しかしこの本を読んで、出会い系サイトでも、活用の仕方次第で、新たな一歩を踏み出すきっかけになるのだと感じた。今の時代だからこそ出来る事が沢山ある。自分の知らない世界をもっと知りたいと思った。仕事やプライベートで悩みながらも、模索しながら前に進んでいく菜々子さんがかっこよかった。

  • これは面白い!
    ずっと読みたかったけど手に入らずやっと読めた!

    自分の周りでは私が1番読書家だけど、全然だな笑
    知らない本だらけで興味そそられる本がたくさん出てきて、、、
    ミステリーが好き。なんでも読みたい〜
    なんて色々ちょこちょこ読んでたけどまだまだというか、読書が趣味です☆なんて言えない〜!
    ってくらい色んな本を知れた。

    そしてタイトルにもある出会い系サイトで知り合って……
    と、ただ単にオススメの本を紹介してるだけじゃなくて、出会った人との話しだとか、作者である花田さんの生き方や生活とかも書いてあって、それがまたスっと入ってきて読みやすい。

    本読みながらブクログで本棚登録なんかしたりして笑
    もっと色んな本に出会いたいと思った。
    花田さんに私にオススメの本紹介してほしいなあ…
    素晴らしい人だと思う。

    ここは出会い系じゃないけど、色んなブクトモさんがいて、色んな本に出会えるキッカケになって…
    これだって1つの(本との)出会いの場ですよね?笑
    これからも色んな本や人と繋がりたい!

    いやはや素敵な1冊でした☆

  • 出版されたときから気になっていたのですが、ようやく読んでみました。

    著者は、もともと行動力があるし、自分も周りもおもしろいことをやろう、という気持ちで動ける人なのだろうな、と思います。
    そもそも「出会い系サイトで会った人におすすめの本を1冊紹介します」という活動も、たくさんの登録者の中から会ってみたいと思ってもらえるようなプロフィールにしたい、という気持ちから思いついたもの。
    そんな著者だから、この活動を通して、多くの人から有益なアドバイスをもらえたり、コミュニティが広がったり、あこがれの人と会うことができたり…といったプラスの効果をたくさん引き出せたのではないかな、と思います。

    本書は著者がどん底から新たな生活をはじめるに至るまでの記録でもあるので、読み終えたとき、私まですっきりと前向きな気持ちになりました。
    読む前に期待していた以上に、ビジネス面でも気持ちの面でも、示唆に富んだ1冊でした。

    ヴィレッジヴァンガードの店長もされていた著者の、本の引き出しの多さにも驚きました。
    巻末には、相手に薦めた本と、本書の読者におすすめしたい本のリストが掲載されているので、読みたいものをメモメモ。

  • うーん、出だしは面白かったけど、
    これが実話を元にしているフィクションなら、
    どうしても主人公の言動が好きになれない。

    大学卒業からヴィレッジヴァンガードで勤め続けて、家庭は別居そして離婚危機…。本が好きで店舗でもやりがいが見つけらたけど、会社の方針が雑貨売上に重きをおくようになり、自身が本当にやりたいこととの歪みに悩んでいる。

    悩んでいながらも現実問題(離婚、転職)から遠ざかり、取り敢えず自分が今やりたい事(出会った人に合う本をすすめること)を出会い系アプリを通して始めてしまう…。現実逃避?

    ---------------

    ■出会い系で30分会って話をした相手に
    合いそうな(興味を持ちそうな)本をすすめる。

    実際、本をすすめる以前に、その本人自身に魅力や尊敬出来るところを感じなければ、何を言われても相手には伝わらないと思う。

    外面だけ当たり障りない愛嬌があっても、現実から逃げてたり責任を持てない人の言動は軽い。

    • みやこさん
      全く同意。
      全てが軽い。
      旅行好きだから紀行エッセイをオススメ!レベルの検索エンジンしか搭載してない人間に1万冊のデータベースは豚に真珠も良...
      全く同意。
      全てが軽い。
      旅行好きだから紀行エッセイをオススメ!レベルの検索エンジンしか搭載してない人間に1万冊のデータベースは豚に真珠も良いところ。

      とりあえず、クールでイケてる仲間たちと遊んでる暇あったらじじいの葬式いけよとしか思わんかった。
      2025/07/06
  • これは著者が人を救った話ではなく、自分を変えた話なのですね。
    自分が好きだった本を人に勧めまくることで多くの出会いを経験し、その中での自身の変化を綴っています。

    1万冊は内容も全て頭に入っているのか?俄には信じ難いですが、、

    著者のお薦め本もあとがきに載っています。
    読もうという気にはなりませんでしたが、多くの本を知るきっかけになりました。

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著者プロフィール

1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長。

「2020年 『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

花田菜々子の作品

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