出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.94
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本棚登録 : 2125
レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417318

感想・レビュー・書評

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  • 「であすす」というみたいです。
    そしてここで言う「出会い系サイト」というのはマッチングアプリのようなものではなく、”意識高い系”の人たちが情報交換を目的として利用するサイトだそうです。まあ、意識高くない系のわたしには全くぴんとこないのだけれど。

    最近、ずっしりとした小説が続いていたので、さっくりと、しかしながら心に残るエッセイのような作品を探していて、本棚の前をうろうろ。そして先日購入したこの作品を手に取る。
    しかしエッセイと思って読み始めたら大間違い。その重量感はというと、DaiGoさんの本一冊読み終えるくらいの量感と質感…ほどよい疾走感でエッセイのようにサクサクと読み進めてしまうけれど、読み終えた時の満足感と清々しさは自己啓発本を読み終えた後の読了感に近い。ものすごいエネルギーが宿ってる。

    読み終えて、わたしは単純に「この人と友達になりたい」、そう思った。「いろんなことを、話してみたい」と。

    わたしは自分に自信がなくって、何か新しいことを始めるのに常に不安がつきまとって、うだうだ考えて結局やらなかったり、そうやって無駄にしてきた時間を積み重ねたら、木でも生えてきそうだ。にょきっ。
    5年以上かけて、専門家に相談したり、DaiGoさんに頼ったりして、どうにかこうにか、胸をはれるレベルではないけれど、自信がついてきた。自信というよりかは「ま、なんとかなるさ」と思えるようになったという、些細な変化に過ぎないのだけれど、過去のわたしからしたら、それは大きな変化だ。
    わたしはこうして人に頼りながら、何年もかけて自分に変化を促していったのだけれど、菜々子さんはたったの一年で凄まじい変化を遂げていて、さらに自分で切り開いていくという行動力とエネルギーがものすごい。

    あと、とても素晴らしかったのが他人との距離感だ。
    わたしはわりと、人懐っこく明るく人と関わるけれど、反面、そのキャラクターを崩せなくなって苦しむことがある。しんどいことがあっても、それを笑いながら話してしまって、わたしがネタっぽく話すものだから相手からは笑われてしまい、でもその場では笑って過ごして、お風呂や寝る前にスーパー落ち込む。
    もっとフラットに人と関わりたいなと思う。菜々子さんの素敵な、他人との距離の持ち方に、わたしは憧れた。

    そして、菜々子さんの本の知識量が素晴らしいのはもちろんのこと、紹介とまとめ方が上手で、わたしが普段本屋さんでは手にとることはない、けれどテーマとしてはとても興味がある本をたくさん紹介してくれていた。気になったのは以下の本たち。
    ・穂村弘/もうおうちへかえりましょう
    ・平野啓一郎/私とは何か
    ・アルテイシア/もろだしガールズトーク
    ・山田ズーニー/おとなの小論文教室
    ・ジョージ秋山/捨てがたき人々
    ・会田誠/青春と変態
    ・能町みね子/ときめかない日記
    ・永田カビ/さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

    ちなみに最後の作品は「この本を読んだ人にすすめたい本一覧」に記載されていて、「さびレズ」というらしいのですが、「さびレズ」はブクログでもたくさんお見かけしていて、すでに購入済。本棚でそっと、しかし燦々と存在を主張していた。これを機につぎは「さびレズ」を読んでみる。
    そして、こうして改めて自分が気になった作品を振り返ってみると、なんだか自分の変態性を主張しているような感じがして、ぞわぞわとしてくる。

    • 大野弘紀さん
      本を通して、真摯に、ご自身と向き合っておられるのですね。
      そうして、新しく、自身を発見していく。

      読書とは、まるで冒険のようです。
      ...
      本を通して、真摯に、ご自身と向き合っておられるのですね。
      そうして、新しく、自身を発見していく。

      読書とは、まるで冒険のようです。

      読むたびに、新しく自分を発見していく。
      2020/06/21
  • この題名と、世の評判を聞きかじって、私が予想した内容は以下のものだった。
    「エッチ目的の出会い系サイトを逆利用して、自己実現を図ったアラサー女子の読書案内」
    ‥‥まぁ女子の気持ちには興味ないけど、読書は好きなので参考になるかもね、と少なくとも私は読み始める。

    ところが、花田菜々子はおそらく確信犯的に「出会い系サイト」という単語を使っていた。ホントはエッチ目的のサイトではない。勘違いさせるのは計算づくである。そう思ったのは、彼女が「ヴィレッジヴァンガード」の元店長で、あのポップカルチャー商品が溢れかえる店内で目立つためのPOPを作っていたと知ったからだ。

    彼女は強(したた)かで頭がいい。もちろん彼女は最初から計算づくでサイトに入ったわけではなく、あの1年間は離婚と退職で揺れていて、精神的に参って、武者修行のためにアウトプットがインプットにもなり得るこんな無茶なことをしたのだろう。その意図はホントだと思う。その数年後だから、自分の中で、咀嚼・消化してキチンと読ませる作品に産み直している。多分誰にでも出来ることじゃない。

    読んだ印象は、当初の予想とは全然違った。彼女の意図は上記の通りで、それは「綱渡り」的に成功した。私が参考になったのは、読書案内ということではない。

    POPは、商品を手に取らせる手段である(流通スキルの基本)。手に取らせた後に買わせるのは、デザイン(文体)と品質(構成)である。リピーターを作るには、品揃え、商品配置の工夫、欠品を出さないことだろう。ちょっと読めば、硬派だけど読みやすい文体、事例豊富なことがわかる。特に、読書好きにはたまらない事例が満載だ。なるほど、ヒットするワケだと思う。

    一方私は、彼女とは違う味の愉しみ方をした。現代人のSNSを利用したコミュニティの構築のあり方に、いろんなヒントを貰った。私は幾つかのコミュニティに参画しているけれども、参考になることが多々あった。

    ・ともかく目立つこと。勘違いさせる(ウソはいけない)。
    ・世間に人材は必ずいる。SNSは、それを拾うことができる。
    ・直接会うこと。或いは連絡が取り合えるツールを持つこと。
    ・話題を引き出すこと。
    ・興味を持たせるには、斜め上からの提案をしてみる。或いは「貴方が素敵」+「この事例も素敵」=「この事例は貴方に寄り添う」作戦で言ってみる。
    ・ウィンウィンの関係を持つこと。
    どれもがとても難しいけど、出来うることだし、必要なことだ。

    • naonaonao16gさん
      kuma0504さん

      こんにちは!
      読まれたんですね~!
      わたしがうまく言葉にできなかった部分が言葉にされていてすっきりしました!...
      kuma0504さん

      こんにちは!
      読まれたんですね~!
      わたしがうまく言葉にできなかった部分が言葉にされていてすっきりしました!すごい!
      「出会い系サイト」という言葉を確信犯的に使っている、菜々子さんはしたたか!
      いずれも「まさに!!」という感じです。

      あと、kuma0504さんの目のつけどころがすっごい!みんなが自己啓発されている中、ポップに目をつけるところが!!素晴らしいです(´▽`)

      ちょうど昨日、菜々子さんが勧めてくれた本を読んでたとこだったので思わずコメントしてしまいました(笑)

      素敵なレビュー、ありがとうございました♪
      2020/06/19
    • kuma0504さん
      naonaonao16gさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      「ちょっと斜め上の感想」を目指してみました(笑)。

      実は、お勧めの本の...
      naonaonao16gさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      「ちょっと斜め上の感想」を目指してみました(笑)。

      実は、お勧めの本の中から一冊選んでこれから読もうかなと思っているところです(笑)。
      2020/06/19
  • 花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』河出文庫。

    タイトル通りのノンフィクション。こだまの『夫のちんぽが入らない』と似たような香りのする作品で面白さは感じなかった。作中で紹介される本も興味を惹かれるものは無く、どうしてこの作品がベストセラーになり得たのか全く解らない。

    離婚間際の著者が家を飛び出し、出会い系サイトを利用して、初対面の男性にお薦めの本を紹介するという話。

    本体価格620円
    ★★

  • カートにまで入れていたストック本だったのに、今まで読まなくてゴメン!の一冊。

    「出会い系サイトで」というくだりから、誰を相手にどんな本を紹介する話なんだろう、とずっと思っていたけど、この人すごい。
    あ、私ってミーハーだったんだな(苦笑)と打ちのめされるほど、自分の知らない世界で展開されてきた本に照準を合わせていくんです。
    プロだ。プロの仕事だ……!ごくり。

    こういう、ジャンル問わずに本の世界を広げていける人に感嘆する。そんな筆者だから、本をすすめるということを通して、業種も年齢も違う人たちとの対話に踏み込んでいけたんだろうな、と思った。

    私的、共感ポイントが二つあって。

    一つは、筆者が元ヴィレッジヴァンガードの店長さんだということ。
    私も昔はよくヴィレヴァンを冷やかしに(笑)行っていて、わざわざ名古屋にある本店を目的に旅行したこともある。

    今では、ショッピングモールに入っている雑貨屋さん的立ち位置を確立しているけれど、かつての本の取り入れ方が、いわゆる大型書店とは違った前衛性があって、好きでした。
    今訪れなくなった理由と(訪れる目的を変えた理由と)、花田さんのもどかしさがすごくマッチする気がして、嬉しかった。ありがとうございました。

    もう一つは、そんな筆者がオススメする本屋さんが「ガケ書房」さんだということ。
    うおお、きたあ!と、小学生がレアカード手に入れた時みたいな歓喜を表現したよね(笑)
    (個人的には「恵文社一乗寺店」さんも好きなので、京都に来たらぜひ!)

    素敵な人だな、と思うと同時に、いつかこの人と、この人が管理をする棚に会いに行こうと勝手に決めました!

    レビューがいつの間にかファンレター化してしまいましたが、本好きが読む本(ライト編)として推せると確信。確信ってなんだ。
    そして、そんな逸材にスポットを当てた河出書房新社もすごい。

  • 人生に息詰まった主人公が、男女の出会いに限定しない出会い系サイトで色んな人と出会って、傷ついたり癒されたりしながら駆け抜けた1年間の記録。まるで冒険小説!全力で日々を疾走する主人公に伴走している気分で一気に読んだ。
    結局、自分が動くことでしか人生を動かしていく事はできないんだな、逆に言えば、自分が動けば人生は動き出すんだな、と。ちょっと胸が熱くなった本。

  • 書店員である著者(1979-)の実体験をもとにした実録私小説、2018年。内容はタイトルの通り。著者が、出会い系サイトをきっかけに、本への情熱を武器として、ときに躓きや逡巡がありながらも、それらもひっくるめながら、人間関係を、本との関係を、自分自身との関係を、どんどんどんどん広げ、深め、解(ほぐ)し、そして変容させていく物語。

    私にとって読書は、云わば独りになるためのシェルターのようなものなので、この著者が本を通じて世界を拡げていく様子が、眩しく羨ましいと思うと同時に、自分には出来ないなと読んでいて怯むような気持ちにもなる。ゴンチャロフ『平凡物語』の主人公アレクサンドルの次のような言葉に強く共鳴してしまう、自己閉鎖的な傾向が私にはあるので。

    「自分の我を相手に話すことは、彼にとって最高の喜びであった。「人間はひとりでおる時にのみ、鏡に映すように自分を見ることが出来る」と彼はある小説の中に書いた。「その場合にのみ彼は人間の尊厳と価値を信ずることを学ぶのである。自分の精神力とこうして対話するときの彼は何というすばらしさであろう! 彼は首領のように自分の精神力を鋭く見回して、聡明に考えぬいた計画に従ってそれを整列させ、その先頭に立って驀進し、活躍し、創造するのだ! これに反して孤独になり得ない人、孤独になることを恐れる人、孤独を避けて常に他人との共同生活を、他人の知慧と心を求めている人は、何という見すぼらしさであろう……」」(ゴンチャロフ『平凡物語』 岩波文庫 上巻p238)。

    それでも、自分の人生を自分で不自由にしてしまっている強張りのようなものをずっと自覚しながら「このままでいいのだろうか」と漠然と思い続けていた私にとって、本書は、別の人生への、別の世界への、別の読書体験への、変容の可能性を例示してくれる希望の書でもある。

    「そもそもの問いが私の人生の重要な議題とずれていたのだ。こんな問いに立ち向かわされているとき、いつも自分の輪郭は消えそうで、きちんと答えられなくて不甲斐ない気分になることは、自分がいけないのだと思っていた。でも今夜、この今、自分の輪郭は電気が流れそうなほどにくっきりとしてびかびかと発光していた」(p171)。

    私も京都での学生時代によく通っていた「ガケ書房」が登場して、読みながら店の外貌、陳列されているクセのある本、悪戯っぽいセンスのちょっとした小物、店内の木の匂いまで、懐かしく思い出された。「自由に弾いてください」そういえばあったなあと。時期もかぶっているので、ひょっとしたら著者とニアミスしていたかもしれない、と想像してみると、自分の過去の時間が、他人の人生とすれ違いざまに、少し違った色合いで見えてくるようで、不思議な気持ちになる。

  • 本当にいい本なので勤務書店でPOPかきました。

    今までに出会ったなかで、
    人にスラスラおすすめできる本って何冊あるだろう。
    著者の記憶データ、…1万冊以上!?
    ほとばしる本への愛と、知識、記憶力、すごすぎる!
    こんなふうに、もっともっと本を好きになりたい。
    本好きのあなたにおすすめです!

  • 単行本が出た時からめちゃくちゃ気になっていた本。
    タイトルからして、何それ、気になる、とならずにはいられない(と言いつつ、これだけ話題になったんだから文庫になるのも早かろう、、、と買わなかったのだけど)。
    タイトルで勝手に事後に相手に本を勧めてるのかと思っていて、そうじゃないことが早々に分かって(そんなこと思っていたのは私くらいだろうな、、、)ホッとした。
    ヴィレッジヴァンガードで働き、自分の意義を見出していた私は、会社の変容を受け入れられず、仕事へのやる気を失いつつ、家でも夫との関係をどうしたらいいのか悩んでいた。
    しかし悩んでいるだけでは前には進まないし、ぞんな自分を自分は好きではない。自分のことを好きでいられるように、何かしてみようと始めたのがタイトルの内容だった。
    この出会い系という言葉が描く印象と、この人の始めたアプリは私の中で大分違っていて、こんなものもあるんだな、と驚いた。そこまでして誰かにつながりたい、話したいという欲求がヒトにはあるんだ。
    体が目当ての人、話を聞いてほしいだけの人、野望ばかりが大きくて目の前がとっ散らかっている人、いろんな人に出会い、本を勧め、人から人へ繋がり、やがて私は仕事にも夫婦の関係にも一歩を踏み出し、疾走し始める。

    仕事がコロナで一か月休みになったタイミングで読んだ。
    内容が面白いのはもちろん、どんどんと自信を取り戻し、自分のやりたいことを進めていく姿に惹きつけられた。自分の好きが仕事になること。そのために苦しいことも、抱かなくてよかった気持ちもあるだろうけど、本に関わって生きていくことはうらやましい。
    私は10年を超えて同じ職場で働いているけれど、ここを選んだ理由が、福利厚生と、たくさん時間を入れてくれることだった。したい仕事より、家族を食べさせるための仕事だった。子供ができても、仕事をころころ変えてしまう夫、二人の子供、高齢の母と痴呆のすすむ祖母を抱えて、私が好きな仕事を考える時間がなかった。
    今の職場はいいところだと思う。でも、ずっとここにいていいのか、これを読んで余計に時間を割いて考えるようになった。
    この本を読んで自分も一歩踏み出してみたい。
    でも、きちんとこの人のように地盤を固めてからだろうけど。

  • えーっ!もう1時じゃん…。
    読んでしまった、おもしろかった!

    実はだいぶ前から存在を知っていて、花田菜々子さんはTwitterをフォローもしているし、なんはらネット記事で読んだおすすめの本を先に読んでしまったりした(それがまさかの、『ホホホ座の反省文』)
    最初はただの表紙の感じのイメージで、石田衣良的な、なんかこう表面的な本なのかなぁと感じてしまって距離を置き…

    今やっぱり、本を読んでよかった!と思う。読んだフレーズがあったとしても。1冊読み終えるって、近づく距離が全然違う。
    ひとの弱さと、たちむかっていくさまと。こんなに温かく優しく綴っていけるんだなぁ。だって、出会い系であった最初の2人も、小説送りつけてきたあいつも、ちゃんと話の中で前向きに昇華してあげているじゃない。

    ひとっていいな。本って、ひとを「繋げる」んだとあらためて思えた。昔ひとに貰った本はずっと心に残っている。そのひとの本質や、そのひとの今にも過去にも未来にも寄り添える「本」の存在って、本当に偉大。
    いっぱい本読もう!いっぱいひとに出会おう!
    次作も絶対読みます。

  • 本屋でたまたま見かけて気になったので購入。
    不思議と勇気が湧いてきた、そしてやる気をもらえる本であった。
    やはり行動することで人生は変わるものだなと実感した。

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著者プロフィール

1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長。

「2020年 『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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