出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
4.14
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本棚登録 : 460
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417318

感想・レビュー・書評

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  • カートにまで入れていたストック本だったのに、今まで読まなくてゴメン!の一冊。

    「出会い系サイトで」というくだりから、誰を相手にどんな本を紹介する話なんだろう、とずっと思っていたけど、この人すごい。
    あ、私ってミーハーだったんだな(苦笑)と打ちのめされるほど、自分の知らない世界で展開されてきた本に照準を合わせていくんです。
    プロだ。プロの仕事だ……!ごくり。

    こういう、ジャンル問わずに本の世界を広げていける人に感嘆する。そんな筆者だから、本をすすめるということを通して、業種も年齢も違う人たちとの対話に踏み込んでいけたんだろうな、と思った。

    私的、共感ポイントが二つあって。

    一つは、筆者が元ヴィレッジヴァンガードの店長さんだということ。
    私も昔はよくヴィレヴァンを冷やかしに(笑)行っていて、わざわざ名古屋にある本店を目的に旅行したこともある。

    今では、ショッピングモールに入っている雑貨屋さん的立ち位置を確立しているけれど、かつての本の取り入れ方が、いわゆる大型書店とは違った前衛性があって、好きでした。
    今訪れなくなった理由と(訪れる目的を変えた理由と)、花田さんのもどかしさがすごくマッチする気がして、嬉しかった。ありがとうございました。

    もう一つは、そんな筆者がオススメする本屋さんが「ガケ書房」さんだということ。
    うおお、きたあ!と、小学生がレアカード手に入れた時みたいな歓喜を表現したよね(笑)
    (個人的には「恵文社一乗寺店」さんも好きなので、京都に来たらぜひ!)

    素敵な人だな、と思うと同時に、いつかこの人と、この人が管理をする棚に会いに行こうと勝手に決めました!

    レビューがいつの間にかファンレター化してしまいましたが、本好きが読む本(ライト編)として推せると確信。確信ってなんだ。
    そして、そんな逸材にスポットを当てた河出書房新社もすごい。

  • 花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』河出文庫。

    タイトル通りのノンフィクション。こだまの『夫のちんぽが入らない』と似たような香りのする作品で面白さは感じなかった。作中で紹介される本も興味を惹かれるものは無く、どうしてこの作品がベストセラーになり得たのか全く解らない。

    離婚間際の著者が家を飛び出し、出会い系サイトを利用して、初対面の男性にお薦めの本を紹介するという話。

    本体価格620円
    ★★

  • 書店員である著者(1979-)の実体験をもとにした実録私小説、2018年。内容はタイトルの通り。著者が、出会い系サイトをきっかけに、本への情熱を武器として、ときに躓きや逡巡がありながらも、それらもひっくるめながら、人間関係を、本との関係を、自分自身との関係を、どんどんどんどん広げ、深め、解(ほぐ)し、そして変容させていく物語。

    私にとって読書は、云わば独りになるためのシェルターのようなものなので、この著者が本を通じて世界を拡げていく様子が、眩しく羨ましいと思うと同時に、自分には出来ないなと読んでいて怯むような気持ちにもなる。ゴンチャロフ『平凡物語』の主人公アレクサンドルの次のような言葉に強く共鳴してしまう、自己閉鎖的な傾向が私にはあるので。

    「自分の我を相手に話すことは、彼にとって最高の喜びであった。「人間はひとりでおる時にのみ、鏡に映すように自分を見ることが出来る」と彼はある小説の中に書いた。「その場合にのみ彼は人間の尊厳と価値を信ずることを学ぶのである。自分の精神力とこうして対話するときの彼は何というすばらしさであろう! 彼は首領のように自分の精神力を鋭く見回して、聡明に考えぬいた計画に従ってそれを整列させ、その先頭に立って驀進し、活躍し、創造するのだ! これに反して孤独になり得ない人、孤独になることを恐れる人、孤独を避けて常に他人との共同生活を、他人の知慧と心を求めている人は、何という見すぼらしさであろう……」」(ゴンチャロフ『平凡物語』 岩波文庫 上巻p238)。

    それでも、自分の人生を自分で不自由にしてしまっている強張りのようなものをずっと自覚しながら「このままでいいのだろうか」と漠然と思い続けていた私にとって、本書は、別の人生への、別の世界への、別の読書体験への、変容の可能性を例示してくれる希望の書でもある。

    「そもそもの問いが私の人生の重要な議題とずれていたのだ。こんな問いに立ち向かわされているとき、いつも自分の輪郭は消えそうで、きちんと答えられなくて不甲斐ない気分になることは、自分がいけないのだと思っていた。でも今夜、この今、自分の輪郭は電気が流れそうなほどにくっきりとしてびかびかと発光していた」(p171)。

    私も京都での学生時代によく通っていた「ガケ書房」が登場して、読みながら店の外貌、陳列されているクセのある本、悪戯っぽいセンスのちょっとした小物、店内の木の匂いまで、懐かしく思い出された。「自由に弾いてください」そういえばあったなあと。時期もかぶっているので、ひょっとしたら著者とニアミスしていたかもしれない、と想像してみると、自分の過去の時間が、他人の人生とすれ違いざまに、少し違った色合いで見えてくるようで、不思議な気持ちになる。

  • 「成長したい!いろいろな人と交流を持ちたい!」と思っていた大学時代を思い出した。もう今は思わない。狭い世界で大事な人とずっと過ごしたいと思う。この違いはなんなんだろう?保身に走っているのだろうか。

    • 地球っこさん
      ayuko.さん、こんにちは。

      “狭い世界で大事な人とずっと過ごしたいと思う。”
      わたしもそんな感じです。
      いつの間にか、そんな気...
      ayuko.さん、こんにちは。

      “狭い世界で大事な人とずっと過ごしたいと思う。”
      わたしもそんな感じです。
      いつの間にか、そんな気持ちになっていました。

      ただ本の中だけは、いろんな世界(ジャンルとか……)を読みたい、知りたい気持ちが押さえられません。
      そうそうブクログに訪れたときは必ずと言っていいほど、
      フォロワーさんの読んでる本に興味を持ったり、レビューになるほどと思ったりしますね。
      そして、ついコメントしちゃったりして。
      読書の世界だけは、いつもの自分とは違う感じです。

      ayuko.さんのレビューを読ませていただいたことで、わたしはどう思うだろうと俄然この本に興味を持ちました☆
      2020/02/14
    • ayuko.さん
      tikyukkoさん わー、同じ気持ちの方がいて嬉しいです。

      地球っこさんの言う通り、本の世界はやはり別ですね。
      冒険したい気持ちでいっ...
      tikyukkoさん わー、同じ気持ちの方がいて嬉しいです。

      地球っこさんの言う通り、本の世界はやはり別ですね。
      冒険したい気持ちでいっぱいです。
      この作者の菜々子さんの生き方は私にはできないけれど、
      菜々子さんの熱量に圧倒されてしまいました。
      ぜひ、読んでみてください。

      2020/02/14
  • 本当にいい本なので勤務書店でPOPかきました。

    今までに出会ったなかで、
    人にスラスラおすすめできる本って何冊あるだろう。
    著者の記憶データ、…1万冊以上!?
    ほとばしる本への愛と、知識、記憶力、すごすぎる!
    こんなふうに、もっともっと本を好きになりたい。
    本好きのあなたにおすすめです!

  • ヴィレバンの元女店長が出会い系で70人に会ってオススメの本を紹介するという舞台設定がまず秀逸すぎる。
    ただ、単なる出落ちな作品じゃなく、本・読書が持つ魅力に溢れていて、本好きなら出会えて良かったと思ってもらえること請け合い。

  • 面白くて一気読みした。花田さんは自分の心の声を大事にして生きている人だと思った。本を人に勧めるだけでも難しそうなのに、初対面の人相手にそれをやるのはもっと難しそう。

  • 婚活中、マッチングアプリを駆使した身(笑)としては、
    タイトルに惹かれて読みました!

    旦那さんから「すごいタイトル…」という冷ややかな視線を浴びながら読みましたが、ストーリーは至って真面目。

    1章は、なんとなく抱いていたストーリーとは違いましたが、是非、2、3章へ読み進めてください。

    筆者の当時の心境の波や、他人に本を勧める事に対する純粋な熱量(私は、熱量を維持するのが苦手なので、このあたりの筆者のハイになって分析、行動してる感じが好き)を感じられて引きこまれます。

  • これはいい❗️実に軽くて深い❗️既に僕の中では今年No. 1の作品でしょう。この本に出会えた事に感謝。

  • 夫との別居を機に始めた出会い系で本をすすめる活動。そこでの出会いから、どんどん知らない人と話すハードルがさがり、パワフルになり、自分のやりたいことに貪欲になり、最後は…と。/本好きとしては、本を通じて人とつながれる、本をおすすめすることで相手のことをどう思ってるか伝えられる、あるいは楽しんでもらう、役に立つといったシーンに羨望と共感。誰かのおしかけ私設司書がはまったときの喜びが格別なのは、スケールや頻度の違いこそあれ実感したことがあるから。/何冊も何冊も読みたくなった本が出てきて困ったけど、まずトップバッターとして、ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」(ハヤカワepi文庫)を買いに行こうかと思う。そして、同じ著者のまたタイトルのながい続編も手に取りたいとおもった。

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著者プロフィール

花田菜々子(はなだ ななこ)
1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」に長年勤めたのち、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、日暮里「パン屋の本屋」店長を経て、現在は日比谷シャンテ内にある「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」店長。本人いわく「流浪の書店員」。
代表作に『出会い系サイトで70人と実際に会って その人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(略称・であすす)があり、35000部のスマッシュヒットを記録。編著書に『まだまだ知らない夢の本屋ガイド』(朝日出版社)がある。

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