出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫)

著者 : 花田菜々子

• 河出書房新社 (2020年2月5日発売)

感想・レビュー・書評

[きーうぇいさんの感想 · 2023年5月14日]

まず、出会い系で本を勧めようとおもった事が凄い！！！
そして、世の中には色々な人がいるな～と思ったり。
読む分には色々な人がいて面白い！とは思うけど、自分自身は出会い系が怖くて、一歩は踏み出せない。。。笑笑
花田さんに勧めてもらうなら小説がいいな～！！！笑笑

[サマーさんの感想 · 2023年3月21日]

数年前に話題になった本だが、「読みたいな」と気になりながら、後回しになっていた。

「出会い系サイト」とタイトルにあるのは、マッチングアプリのような男女の出会い特化型のものではなく、ビジネス系SNSで「利用者同士が会って30分間話す」ということをサービスにしているものらしい。起業を目指している人とか、自営業系の人が多く利用しているらしい。本の中では「X」と称されていたけど、そういうのあるんだ？mixiの大人版みたいな感じ？
サイトに関するそういう説明を聞き「そういうのなら、変な人とかいなくて利用しやすいのかも」と思ったけど、著者が最初に会った男性2名は明らかに遊び目的の人たち。おそらく多くの女性は、この時点で萎えまくるであろう・・・。やっぱり、なにかを目指す女性が気持ちよく利用できる健全なサイトなんて世の中に存在しないんだな、と何故か悲しみを覚えた私でした。
この本では「70人」全員が紹介されたわけではないけど、最初は微妙な人たち（著者の目的である「本を紹介する」が響かなさそうな人たち）が続く。それがリアルだなと思った。サイトの中で著者の人気が上がり、「本を紹介してほしい、この人に会ってみたい」と思う利用者が増えていくに連れ、そして著者自身、実際に会って良かった人からの「この人も良い人だよ」という口コミを頼りに会う人を選択していく。そうすると、変な人との遭遇率も減る。サイトとはいえ社会だなぁと痛感。
多くの人は、そのにたどりつく前にやめちゃうのだろう。私もきっとやめちゃうタイプ。だから、続けられた著者さんは、私にとっては「すごい人」だ。

ヴィレバン、学生時代に好きだったなぁ。
私が18歳で地元を出るまで、私の地元にはヴィレバンがなくて、ヴィレバンじゃないんだけどヴィレバンの分派？みたいな本屋があった。だから、はじめて下北のヴィレバンに行ったときは「わぁ、●●（地元の書店）みたいだ！でももっとすごい！」と思っていた。
著者さんも、ヴィレバンに魅せられた人。そしてその思いで就職もした人だ。
著者さんのヴィレバンに対する憂いは、学生時代にヴィレバンにハマっていた私にとって、「やっぱり中の人もそう思っていたんだ・・・」と言う感じで。
この本の感想とは違うけど、ヴィレバンの手書きポップってどの店舗に行っても同じ人の字？っていう似た字ですよね？私はあのヴィレバンフォントポップは誰かが量産しているのだと思っていたけど、店舗ではアルバイトでもポップを書かせてもらえるということ。あの同一フォントは、複数人が書いても同じになるのか？なんかすごい。
ヴィレバン、もう10年は行ってないなぁと、懐かしく思った。
私にとって「サブカル」は10代～20代の通過点の一つだったのだなと、この本を読んで自己消化できた。「こういうことに囲まれて仕事したい」とか思ったことがないわけではなかった。でも、飛び込む勇気はなくて、いち消費者として通過しただけだったのだ。
そうだ、「飛び込む勇気」この本を通して、それがすごく伝わってきた。

この本の出来事は「2013年」。今から10年前だ（現在2023年）。
著者さんは私よりも少し年上なので、その時点ですでに30代なかばくらいだったのだろう。それくらいの年齢で、プライベートでも新しいことを始めたり、転職したり、勇気が必要だっただろうな。でも勇気を出したから、彼女の中でやりたいことが明らかになったんだろうと思う。
著者さんのその後を調べてみたところ、ヴィレバン退職後、いくつかの書店を経て、現在は杉並区で本屋さんをやっているそうだ。「人に本をすすめる」ということを、著者さんは今も続けている。

[はなちゃんさんの感想 · 2022年9月19日]

私この手の紹介本大好物なんです。
紹介するってことはつまりその人が良いって思ったから人にオススメするんですよね？であればその本は確実にその人は良いって思ってるわけで。

題名ははぁ？ってな、多分出会い系サイトがパワーワード過ぎるんですが、花田さんが登録していたサイトはcoffeemeetingというサイト(2021に終了しています)で30分会う事を目的とした場だったようです。そこにどんな人達が生息していたのかは読んでからのお楽しみです。

その中で本当に良くも悪くも色んな人に出会い、彼女もめちゃくちゃ成長してます。というか人に会うことでパワーをもらい自分のあるべき姿に気づいていくって感じが良かったです。

紹介されている本は、浅い私には既読の本は本当に少なくてうわーこんな本あるんだーってどれも読みたくなる異次元ワールドでした。またまた本への楽しみが増えてニヤつきました。

巻末に本の中でオススメされた本の一覧もあって親切設計。

紹介されていた本の中から私も特に気になった本を数冊あげておきます。

ジェームズ・グラベル 23分間の奇跡
ジャック・ケルアック オン・ザ・ロード
ラッタウット・ラープチャルーンサップ 観光
上野顕太郎 さよならもいわずに

ブクログで見つけて図書館にて

[おぬさんの感想 · 2022年6月10日]

出会い系サイト「X」は恋愛だけでなく、仕事のためだったり友達づくりのためだったり、さまざまな目的を持つ人と男女問わず出会うことができるサイトらしい。
とりあえず30分だけ会って話してみるというゆるい制限付きの内容はハードルが低くて良い。
著者はその中で出会った人に本を薦めていくのだが、やっていく中で本の薦め方を工夫してみたり、どんな本を薦めると良いのか研究したり、本を薦めることに関して趣味の範囲を超えて誠実に取り組んでいる。
だからこそ、出会った人に「本」として書かれたことに対してあんなにもショックを受けたのだろうと思う。
本を読み内容を自分なりに咀嚼することも会話をして相手を知っていくことも同じなのではないかとこの本を読んでいて思った。
だから本に対して誠実な著者に対して誠実な人のつながりができていくのではないかと感じたし、もっと著者である花田菜々子さんについて知りたいと思った。
巻末に「この本を読んだ人にすすめたい本一覧」があり、人と出会うことについて書かれた本がたくさん紹介されている。紹介文もすごく魅力的で、実際に「X」で著者と出会って本を薦められた人は幸せだなと思った。

[ナマケモノさんの感想 · 2022年3月29日]

内容はタイトルの通り
初対面の人に対して理由を添えて本をすすめているのも面白いし、それぞれのエピソードもまた面白い
私自身も読みたい本が増えた〜

解説にもあったように、ちょっとだけ何かを喋りたい時に私達には意外と選択肢がない
そういう時に恋愛とか友情とかすっ飛ばして語り合える人と出会えたらなと思う
(もちろんその先を求めることは自由で、自然なことだけど)
出会い系サイトはそういう時に役立つこともあるのね
著者ほどの観察眼と知識量はないけれど、私も性別問わずこの人合いそうと思ったらなりふり構わず質問攻めにしてしまうので著者と似たところがあるかも

本文の中で「短い時間の中で、自分が聞きたい話が引き出せるように斬り込む術を身につけてしまうと、会話の刃が鋭くなりすぎて、今度は仕事などで会う人との他愛のない世間話がつまらなく感じてしまう」と述べられていたが、これはちょっとわかる…
もちろん時によって他愛もない話にも意味があることは重々承知しているので、あからさまに一蹴しないよう気をつけたい

[いーさんさんの感想 · 2022年3月8日]

本ってすごいな！
人との出会いってすごいな！
なによりもこの著者の行動力が凄い！！

私は私のことを知らない人がすすめてくる本は読みたいと思わないけど、こんな風に人のことを知ろうとしてくれるひとがいたら、きっと、その人がおすすめする本は興味を持つことができると思う。

あとやっぱり好きな力って偉大だな〜！
好きが全部動かしてる！行動になってつながって、ご縁があって。
世界は意外と広いのかも。
勇気もらった！転職がんばろーーー！

[maronさんの感想 · 2022年2月5日]

「人の人生に一瞬でも関わって、その人の中に存在させてほしいとめちゃくちゃな強さで思うのかもしれない。」
私が生きて行く上で大切にしていることの1つを
代弁してくれたかのような1文でした。
というのも、私の大好きな映画、
「素晴らしき哉、人生！」を見て、
心からそう感じたのがきっかけです。

観ていない方は是非観てほしい、名作です。
自分がこの世に居なくても社会は成り立つし、
自分の代わりはいくらでもいる、
とよく皆言うけれど、
その人じゃなきゃ救えなかった人が沢山居ます。
だからこそ、より人に優しくなろうと思える、
そんな作品です。

そう思うと本当に人生一期一会だなぁと心から思います。
人との繋がりは大事にしようともう1回強く思わせてくれました。

[towaさんの感想 · 2022年1月18日]

面白かったー！一気読みです。単行本のときに読み逃し、文庫化を待っていました。
離婚や転職や、必ずしも理想どおりにはいかないコミュニケーション。そんな心が沈んで立ち止まってしまいそうな人生の転機を、花田さんはバイタリティと興味関心をエンジンにして、荒波を泳いでいきます。
「ダメなままでもいいよ」って肯定と人間賛歌のようで、胸に響きました。
花田さんが店長をつとめる本屋さんに行ってみたくなります。どんな本と出会えるんだろう。
勇気と元気をもらえた実録私小説でした。

[yomuyomuさんの感想 · 2022年1月13日]

面白かったです！

『出会い系サイト』も『本』もそれらが話の軸ですか、でも違うんです。
自分の人生を自分で切り開こうとする行動力と本当に好きなもの。
私は行動力も、人に勧められるほどに知識が豊富で好きなものもありません。
人の人生って、1年でこんなに変えられるものなんだなと思いました。
あと、人との出会いって素敵!!

やりたい事はあるけれど踏ん切りがつかない人、自分の人生変えたいなと思っている人。
そんな人の背中を押してくれる本だと思います。

知らない本がたくさん出てきました。
いろいろ読んでみたいと思います。

[enomoto daikiさんの感想 · 2022年1月11日]

離婚寸前で家を飛び出し別居中の筆者が、たまたま目についた出会い系サイトで、出会った人におすすめの一冊を勧めることを始める。興味深い人、ヤリモクの人、ちょっぴり寂しい夜に話したくなる友人となる人、色々な人との出会いを通していく冒険譚のような実録私小説。本を読んで人に勧めることのある人は必読の一冊だと思う。

著者プロフィール

1979年、東京都生まれ。「ヴィレッジヴァンガード」、「二子玉川蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長。

「2020年 『シングルファーザーの年下彼氏の子ども２人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」