日航123便 墜落の新事実: 目撃証言から真相に迫る (河出文庫 あ 34-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417509

感想・レビュー・書評

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  • 青山透子『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』河出文庫。

    1985年8月12日に御巣鷹の尾根に墜落した日航ジャンボ機墜落事件の真相に迫るノンフィクション。

    果たして真実はどこにあるのか……自衛隊または米軍による事故の隠蔽なのか……

    真相の鍵となるのはジャンボ機墜落前に目撃されたオレンジ色の謎の物体と2機のファントム機の目撃証言。ジャンボ機墜落の原因は訓練用ミサイルによる尾翼の破損で圧力隔壁の破損によるものではないというのが、著者の主張である。墜落現場を特定し、救助活動が遅れたのは訓練用ミサイルの痕跡を消すためにガソリンとタール臭が特徴的なゲル化燃焼剤を使って機体の残骸を燃焼させたためだとも主張している。

    確かに怪しい点は多分にあるが、物的証拠が無く、目撃証言や当時の状況証言だけが材料というのは非常に弱い。

    本体価格800円
    ★★★★

  • まずは犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。

    当時の記憶は断片的ながらとても強く残っている。毎年のニュースや、山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」での衝撃が、その記憶を色濃くさせた。

    事故ではなく「未解決事件」として、膨大な情報から導いた仮説を検証している。そこについて理解はできた。言及はしない。
    職務を全うした乗務員の同僚であり友人である著者の、「人を思い行動し続ける生き方」は強く突き刺さりました。

  • 『いつか真相がわかる日が来るのだろうか…』

    1985年8月12日。日航ジャンボ機123便が群馬県・御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客524人のうち520人が亡くなった事故の真相を追うノンフィクション作品。2018年本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされ、のちに文庫化。

    単独機では世界最多の死者を出した飛行機事故であるが、著者の青山透子氏(元・日航CA)は事故ではなく事件であると主張する。機体の整備不良と調査委員会は結論づけたが、本書を読むと確かに何かがおかしい。国家ぐるみで隠そうとした真実があったのではないかと疑ってしまう。

    仮に本書の推測が事実だとすれば、歴史は隠蔽されたことになる。ただの飛行機事故ではない。しかし、隠蔽するには関わった人が多すぎる気もする。自衛隊員の全員が墓場まで持っていけるのだろうか。いずれにせよ闇が深すぎる。

    元同僚の無念を晴らしたいと思う著者の熱量には胸をうたれた。TV番組で再現VTRは何度も見たが、事故の裏側にこのような疑念があったことは知らなかった。墜落からもうすぐ40年。自分が生まれる前に起きた事象だが、風化させてはいけないのかもしれない。

  • 本書は1985年8月、520人の死者を出した日航123便墜落事故に疑問を抱く著者が、数々の目撃者や関係者の証言をもとに真相に迫っていくというノンフィクション。
    事実を積み重ねて真相解明を試みるという手法はノンフィクションの定石であり、読み応えがあり、面白く読めました。

    本書が指摘する問題点は
    
ー公式記録にはないファントム二機の追尾が目撃されている。
ー日航機に付着した赤い形状のものが目撃されたが、それは何か。
ー地元群馬県上野村の小中学校の文集に寄せられた子どもたちの目撃証言。
ー米軍機が墜落地点を連絡したにもかかわらず、なぜ現場の特定が遅れたのか。
ージェット燃料の火災ではありえない遺体の完全炭化から考えられるある種の武器使用の疑い。
ー圧力隔壁修理ミス原因説への疑問。

    著者は、事故について日米政府による何らかの証拠隠滅があったのではないかと考え、この事故が「事件」であった可能性を推理します。
    決定的証拠はなく、全ての情報公開を訴えて本書は終わります。仕方のないことではありますが、やはりモヤモヤは残ります。

    著者の青山透子さんは元客室乗務員。国内線乗務の時、日本航空123便墜落事故の客室乗務員と同じグループに所属。日本航空123便事故調査委員会の調査に疑問を持ちつつ退社。東京大学大学院で博士号取得した後、日航123便墜落に関連した資料、公文書をもとに長年に渡って調査を進めています。
    本書は2017年の出版ですが、青山さんはその後も『日航123便墜落 疑惑のはじまり――天空の星たちへ』『日航123便墜落 遺物は真相を語る』『日航123便 墜落の波紋――そして法廷へ』『日航123便墜落――圧力隔壁説をくつがえす』(いずれも河出書房新社)と立て続けに著書を発表。

    オミクロン株蔓延の発端かもしれない在日米軍の行動とそれを強く問題視しない日本政府の対応もそうですが、本書に書いてあるような疑惑を読むと日米関係の現状と行方に不安を抱いてしまいます。真相解明を日本人として強く望みます。

  • 筆者が事故当時の日航CAということで興味を持って。確かに当事者意識が高く、亡くなった同僚や先輩を悼む気持ちや思い入れは強く伝わってくる。が、肝心の「新事実」が…。ほぼ目撃証言だけで導いた仮説は、根拠が弱く飛躍し過ぎ。もっと多角的な調査・検証結果がなければ納得しづらい。他の著書は未読なのでこの書に限って言えば、感情的な表現も目につき、ルポとしてはどうかなと思った。

  • 本書は、1985年8月12日に、東京発大阪行きの日航ジャンボ機123便が群馬県の御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客524人のうち520人が亡くなった、単独機では世界最多の死者を出した事故・事件の真相を問うものである。
    著者の青山透子氏は、元日本航空国際線客室乗務員で、国内線時代に当該機のクルーと同じグループで乗務。その後、官公庁、各種企業等の接遇教育に携わり、専門学校、大学講師として活動。東京大学大学院博士課程修了、博士号取得。
    私は、この事故・事件については、しばらく前に、群馬県警高崎署の刑事官として身元確認班長と務めた飯塚訓氏が、現場で見た127日間を記録した『墜落遺体~御巣鷹山の日航機123便』を読んだが、その真相を問う本・文書に接したのは、不覚にも今般が初めてである。
    事故・事件当時私は学生だったが、日本国内の陸上の極めて限定的な地域に墜落し、赤々と炎上している機体が、一晩中発見できないなどということが、本当にあるのだろうか?という疑問を、漠然と抱いたことを思い出す。
    そして、本書を読んで、公式発表に対してこのような様々な疑問があることを知り、驚くと同時に、9.11米国同時多発テロや、古くはケネディ米国大統領暗殺をも思い出した。
    著者の推測(端的に言えば、自衛隊が誤射したミサイルが当該機に当たったことが墜落の原因)には妥当と思われる部分も多々あるが、一方で、①隠蔽する動機が弱すぎるのではないか?(9.11やケネディ暗殺の疑惑は、真偽は別として、事件に対する国家の積極的な意図・関与が指摘されているが、本件の原因はあくまでもミスであり、明るみに出たときの衝撃・リスクを考えれば、隠蔽しようなどとは考えないのではないか)、②生存者がいる可能性のある現場を、火炎放射器で焼き尽くすなどという行為が、倫理的にできるだろうか?、③生存者4人は②の行為を目撃しているのか?、などの疑問が浮かぶのも事実である
    本書を読むだけでは、その真相は即断しようもないが、一つだけ確かなことは、30余年を経た今も、これだけ多くの人々が疑問を感じている以上、公式な再調査が行われるべきということである。それが、亡くなった方、遺族の方、また、上記『墜落遺体』で語られているような、事故に献身的に対応した人びとに対する、最低限の誠意というものであろう。遠からぬ将来、誰もが納得する形で真相が明らかになることを願いたい。
    (2021年6月了)

  • 確かに興味深い内容ではあったが…。
    鵜呑みにせず、
    今後も自分なりに真相に迫っていきたい。

  • 日航123便墜落事件。
    国内で、満席のジャンボジェット機が墜落するようなことが起きるなんて!と、とても衝撃的な事件でした。
    この事故を題材にした本も多く出版されています。
    私も小説を何冊か、ノンフィクションも数冊読んでいました。

    それでもこの本を読んだとき、自分が何も知らなかったことに気づかされました。
    著者は元日航のスチュワーデスで、事故でなくなった乗務員の直接の同僚です。
    事故当時は国際線乗務に替わったばかりで、それがなければ事故機に乗っていたかもしれないはずでした。
    だから余計に、耳に入る情報と実際に発表される報道との乖離をもどかしく思ったのだと思います。

    不審な、そして解明されていない謎が数多くあります。
    1.超低空で飛んでいるジェット機を追いかけるように飛んでいたファントム2機の正体。
      それぞれ別の場所で目撃した複数の人たちが、自衛隊機だと証言していますが、その時間その場所を飛んでいる自衛隊機の記録はありません。
      
    2.機体の胴体下部に見えた赤い物体
      煙やすすが見られないことから炎ではないと判断された赤い物体とは?
      著者は、戦前から日本が開発研究していた吸着型のミサイルではないかとしています。

    3.墜落場所特定の遅れ
      墜落直後から事故現場の村長がNHKを始め関係各所に「ここに落ちた」と電話しているのに、翌日昼まで墜落場所不明と報道され続けたこと。
      偶然墜落を目撃した米軍の飛行機がすぐ救助しようとしたら、「自衛隊が救助する」と連絡が入り、現場を去るように指示されたのに、その後半日以上も墜落現場不明と報道され続けたこと。
      また、地元の人たちが捜索隊員を案内して山に入った時、異常に捜索隊の進む速度が遅く、絶えず道をそれようとしたこと。
      結局捜索隊を見捨てて地元の人たちが向かった先で生存者が見つかった事実。  

    4.事故原因の意図的な漏洩
      墜落原因は隔壁の修理ミスであるとのアメリカからの発表により、少なくとも私は「またアメリカの顔色を窺って、事故原因の発表を躊躇していたんだな」とそれで納得しました。
      最初は修理ミスを否定していたボーイング社が一点ミスを認めたことで、この件は落着しました。
      しかし、事件後も日本の航空業界ではボーイング社が圧倒的シェアを維持し続け、事件の翌月の「プラザ合意」で猛烈な円高(1ドル240円が1ドル120円以下へ)となり、輸出産業が大打撃を受けることとなったと、解説の森永卓郎氏が書いています。

    その他にも、エンジン部とともに機体から離れた人たちから生存者が出たのに、エンジンのない機体部分が炭化するほどの高温でやきつくされたことや、現場不明だったはずの事故当夜に現場上空で自衛隊機が何らかの作業をしていた目撃情報があること、現場検証をする前に機体を破砕したり片付けたりしたことなど、不審な点は枚挙にいとまがありません。
    さらに、新しく発見された遺品についても、検証する必要はないと政府が発表しています。

    こういう大きな事故・事件が起きると陰謀説が出てくるのはいつものことですが、この事件(もはや事故とは言えないレベルと思います)については、陰謀はさておき何かを隠蔽しているのは明らかと思います。

    著者は目撃者の証言、文献の読み込み、科学者への確認などを経て、自衛隊機の訓練で発車したミサイルが123便に付着し、当初横田基地に向かおうとしたけれども何らかの理由で断念せざるを得ず、どこか安全な場所に着陸しようとして失敗したのではないかと推測しています。
    その推測を言うと、報道陣も役人も「そんなことを言うと殺されるぞ」としり込みしたという事実が、逆に真実を伝えているのではないか、と。

    そんな中、事故から30年以上たってから再会した当時の運輸大臣は、明言こそしなかったものの否定をしないことで著者の背中を温かく押したのではないでしょうか。

  • 衝撃の展開に読むスピードもアップ。以前から読みたかったが文庫化されているのを知って購入しました。素晴らしい。

  • 1985年8月12日、日航ジャンボ機墜落事故。
    この事故はいまだに解明がされているとは言えず、数々の疑惑、不審な謎が多すぎます。
    目撃された二機の戦闘機、胴体下部に見えた物体、墜落現場特定の遅れ、事故原因の意図的な漏洩など。
    もと日航スチュワーデスの著者が調査し、解明をこころみ、事件性を示唆していきます。

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著者プロフィール

元日本航空国際線客室乗務員。国内線時代に事故機のクルーと同じグループで乗務。その後、官公庁、各種企業等の接遇教育に携わり、専門学校、大学講師として活動。東京大学大学院博士課程修了、博士号取得。

「2022年 『JAL裁判』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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