おらおらでひとりいぐも (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 93
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417547

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  • 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』河出文庫。

    第158回芥川賞受賞作。

    岩手県遠野市出身の遅咲きの作家が平仮名のやたら多い東北弁だけで綴った小説。

    同じ郷土出身の作家ということで期待したのだが、内容は評判ほどではなかった。ブンガクとしての良さも全く解らなかった。東北弁で書いたブンガクというのが評価されたのか。

    24歳の時に故郷を離れて上京し、結婚したものの、夫に先立たれ、子供とは疎遠の74歳の日高桃子さんは、東北弁のおのれの声に従い、自由に孤独に生きていくという話。

    本体価格630円
    ★★

  • 夫に先立たれ、子供たちも独立し、一人暮らし74歳の桃子さん。自由を謳歌しながらも、過去の思い出、たまに襲われる孤独感など、自分自身の内面と自問自答しつつ、開き直り淡々とたくましく生きていく彼女の四季が描かれている。

    私自身は桃子さんよりもまだまだ若いけれど、ここ数年とみに「老い」ということについて考えるようになった。自分自身と、そして親の老い。小さな体の不調、年のせいかな、でなんとなくやりすごしているうちにその不調が常態になり、いつのまにか共存していかざるをえなくなることの繰り返し。いつかそれが致命傷になるのではないかという恐怖は常にある。

    だから右足にふとしびれを感じたときの桃子さんの不安「死ぬことなど何にも恐れないと普段は豪語している。だがその一歩手前の衰えが恐ろしい。自分で自分を扱えなくなるのが死ぬより怖い」という部分はとてもリアルだった。「老いるというのは結局のところ、負けを承知の戦のようなものではないのか」と桃子さんは考える。ほんそれ。

    内面的には、年を取ることで楽になったことも沢山ある。若さや外見に執着さえしなければ、他人からどう見られるかということをあまり気にせず生きていけるようになったのは間違いなく年をとったからこその特典。ただ自分の人生がいったい何の役に立ったのか、何を残せたのか、と思うと言いようのない焦燥感に襲われることもあり、しかしそういう気持ちをこの小説は少し軽くしてくれた。

    惚れぬいて添い遂げた夫、大切に育てたはずなのに疎遠になり誤解されたままの息子と娘、桃子さんが乗り越えられたもの、間違えて後悔していること、失って気づくこと、いろんな記憶や感情が渦巻いているけれど、そんな桃子さんが出した結論は「おらおらでひとりいぐも」。呪文のようにこの言葉をとなえたら、自分も少し前向きに老いと向き合えそうな気がします。解説:町田康

  • 愛する夫を亡くし、2人の子供とも疎遠になりつつ、一人で静かに余生を送ろうとしていた老女。そんな彼女が自らの人生を振り返りながら、次第に未来への希望を取り戻していく姿を描く中編小説。

    あらすじだけを見ればありがちなようにも見えるが、本書の素晴らしさは自らの半生を振り返るにあたって、様々な過去の自分の自意識が、生まれ育った東北弁によって語られるそのポリフォニックな多声性にある。ああでもない、こうでもないと東北弁のユーモラスな内面世界が溢れ出て、主人公の内面世界が変貌していく様子に、不思議と感動を覚える。

    内省という極めてパーソナルな行為を、ここまでユーモラスに、かつ小難しくなく描ける文章力に脱帽させられる傑作。

  • 「南極料理人」の沖田さん監督で映画化されるとの帯につられて買ってみたものの。
    ばんばん出てくる主人公の心の声が読みづらくて読みづらくて…でも中断すると続きが気になるという。
    今やっと6割。まだしばらく楽しめそう。

  • 先が見えてきた私には、ふむふむ。そういう事もあるかもね。
    母は92歳。体調が良いと結構前向きだけど、悪いとどんどん暗くなる。この本を見せたら読むかな? 東北弁を読めるかな?

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著者プロフィール

1954年岩手県遠野市生まれ。岩手大学卒業。55歳で小説講座に通いはじめ、8年の時をかけて本作を執筆。2017年、本作で第54回文藝賞を史上最年長の63歳で受賞しデビュー。翌年、第158回芥川賞受賞。

「2020年 『おらおらでひとりいぐも』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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