さざなみのよる (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.71
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本棚登録 : 1174
感想 : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417837

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作者さん。帯に泣ける本第1位と書かれていたのを見て読んでみる事にした。
    主人公は話が始まってすぐに病気で亡くなってしまう。その後も彼女と関わった人達の中で彼女の話は続いていく。彼女との思い出彼女の存在を感じつつ生きている人達は彼女亡き後も生活を送る。
    1つこの作品だけではないのだけれど、若い人が病気で亡くなるときは毎回この病気の設定になるのがちょっとな、と思う。

  • 変な意味ではなく、死ぬのもいいもんだと思える本。
    そう思えるように、人との関係を大切にしていこうと思える本。
    さすが脚本家だけあり、抜群のテンポ。

  • 「やどる」
    今この身体に命がやどりその人生を終えた時また次の身体にやどる。生まれ変わりとからそう言う大袈裟なモノでは無くて。
    今は悲しみの真ん中でもそう思えば未来が楽しみになります。

  • 4.3かなぁ。

    主人公?であるナスコが若くして死んでしまう所から始まるストーリー。

    当たり前だけど、読み手である自分とこのナスコさんとの間に思い出(情報)なんて、ないのだから感情移入なんでできなかった。

    でも、このナスコさんの周りの人の死後の世界。
    つまり、ナスコさんが死んだ後の『生きている周りの人』達の話の中から、ナスコさんのイメージが出来ていく。

    この感覚知ってる。
    父の葬式の時。

    比較的、知っているつもりだった父の思い出だが、
    葬式に集まった人達の思い出により、意外な一面やらしいと思う一面が出てきて、なんだか感動させられた。

    この物語の主人公ナスコにも言えるが、人は本当に影響を与えあって生きているのだなぁと感じずにはいられない。人が死ぬ。昨日までは確実に存在していたはずの命が今日は無い。これが、影響を与えないはずがない。そして、物語の冒頭ではサラッとしてしまったナスコの死という現象は、生きているうちを含め、本当に多くの人に影響を与えたのだという事。自分の死んだ後に、これほどの影響はあるのだろうか?今のうちに、絆を増やしたいなと思う。
    今は、まだ生きてるのだから。

  • 年始めに読めて良かったです。読了後、何気ない毎日でも大切にして生きていこうと思いました。あとがきも、片桐はいりさんの解説も良かったです。本文中、心に響いたフレーズもたくさんありました。P224→今をどうやって過ごすかということの方がはるかに重要なんじゃないだろうか。中略 私たちは「まだいきてる」んだから。再読したい1冊になりました。

  • 人生の後半戦、身近な家族を見送った
    経験のある読者なら誰もが涙し共感できる。

    読む世代によってそれぞれ感じるモノが
    変わっていくんじゃないかな?
    人生が登山なのか?下山なのか?
    なんども再読したい本。
    死にゆく側と、見おくる側の
    どちらの気持ちも共感できる時、
    必ずもう一度読みたい作品。

  • 小説なのだけれど、詩を読んでいるようだった。フレーズがポンポン頭に飛び込んでくるような小気味良さ。シリアスさと気楽さのバランスもよい。心あたたまる、とても良い作品でした。

    心理描写がリアル。
    切羽詰まってるときでも、「明日の仕入れ止めないと。。」とか冷静な自分がいたりとか、真剣に集中して話し合ってるときに「適当に入った割にこの喫茶店のコーヒーバカみたいにうまいな。」とか。
    人間ってほんとこういうとこあるよな、と。

    あと、キャラづけがうまいなと。
    加藤をカトーと呼ぶ(表記されている)のが、うまい。ごちゃごちゃ説明しなくても、ナスミのカラッとしたそれでいて器の大きいとこが表れてる。


    木皿さん作品、初読みでしたが、他の作品も気になり始めました。

  • 読み終わったあとに「さざなみのよる」とは何だったのだろう?と思った
    本作の主役はナスミ
    ナスミが病気になり、病室で死を待つところから話は始まり
    ナスミが亡くなった後、その死を聞いた家族や周囲の人たちとナスミとのそれぞれの思い出が鮮やかに語られる
    ナスミのエピソードがたくさん集まるにつれ、ナスミがみんなに愛され、みんなを愛していた人だったのだなというのがよく分かる。
    それは大きな波ではないけれど、さざなみのように、周りに色々な影響をあたえ、周りの人へ波及していったんだなと、読み終わり、タイトルに戻り、ナスミと周りの人とのかかわりを考えた時に思った。
    ナスミを直接知らない子たちにもナスミの影響は届いている。
    人は亡くなってもその思い出が語られるうちにはやはり死ぬことはないんだなと思う。

  • ドラマ「富士ファミリー」の前日譚+α
    ナスミが癌で亡くなる前後を、様々な登場人物の視点で描かれている

    全部で14話
    ナスミ、鷹子、月美、日出男、笑子、ナスミの中学時代の同級生清二、昔ナスミを誘拐しかけた佐山啓太、ナスミの元同僚の加藤由香里、清二の妻の利恵、日出男の再婚相手の愛子、ナスミが好きなマンガの作者の樹王光林、ナスミの元同僚で友人の好江、日出男と愛子の娘の光


    1話でナスミが「ぽちゃん」と言うところが木皿泉っぽい

    2話の鷹子がマンガの読み聞かせは、状況と内容のギャップ、そしてドラマでの薬師丸ひろ子の姿を思い浮かべてしまい、何とも不思議な気持ちになる
    悲しいシーンだけど、どこか間が抜けていて愉快でもあり、でもやはり悲しみを感じる

    3話の月美
    全ての人の幸せを願う呪文
    嫌いな相手まで幸せになるのは納得できないというのはわからないでもない
    私も昔ならそう思ってただろうけど、今は他人は他人で自分の幸せとは無関係と割り切れるようになったかも

    4話の日出男は
    人を「ガ」だの「キ」だのと文字に例える様が木皿泉っぽい

    大切な人が亡くなった時に泣けないというのは確かにそうかもしれない
    祖父母を亡くしたとき、知らせを聞いたときには泣けなかったけど
    納棺か火葬のときには泣けた
    もしそのタイミングでも泣けなかったとしたら、いつ泣けるのかと聞かれれば、何かの拍子に思い出したときだろうか?

    それはそうと、ナスミは日出男に新しい人と家族を作ってもらいたかったんだな
    そして日出男もだからこそ小国の家のまま愛子と家族になったと
    ドラマだけだと不思議な立場に思えたけど、裏事情を知るとなるほどと思える

    5話の笑子は片桐はいりを思い浮かべるとどうしてもコメディになってしまうけど
    文章だけでイメージするとそれなりにシリアスに思えてくる
    笑子がナスミの名付け親で、それは三姉妹の母親である和枝の思惑もあっての事
    ナスミの将来を心配した和枝との約束
    その象徴としてのダイヤ
    それを自分の目として家族を見守るようにしたいという想い
    やってる事は結構シュールなんだけど、よいエピソードに感じる

    笑子ばあちゃんとナスミにこんな関係があったんだなぁと感慨深い
    だからこそ、ドラマでは幽霊として現れたナスミを笑子ばあちゃんが殊更恐れていたのが不可解
    他に何か事情でもあったんだろうか?

    6話の清二
    自分にとって何が大切なものかは、自分ではなかなか認識しにくいものなのかもしれない
    自覚しているものと、他者から見たものも違いますしね

    7話の佐山啓太
    読み出しはちょっとゾッとした
    でも、手紙を読んだ鷹子が、人の関わりや運命を感じて心が軽くなるのはよい

    8話の加藤由香里もなかなかよい
    ナスミが由香里に託した事
    笑子ばあちゃんに頼んだ事も含めて、何と家族想いなんだろうね

    あと、お金にかえられないこと
    今自分がしている仕事って、お金に変えられるような事しかしてないなぁと思う

    9話の利恵
    6話の清二と対になっている
    ナスミの2度の家出について
    1度目は母が居る昔に戻りたかった
    けれども、家族総出の「おはぎ」で自分の大事なものや居場所を認識して思いとどまり
    2度目は「誰かにとっての戻れる場所になりたい」という想いで実行する変化は好き
    そして、利恵は色々と事情を知っていたというネタバラシや
    妊娠の報告や見送りというのもいいと思う

    10話の愛子の話が一番驚いた
    日出男の話でも小国の家に住む事になった経緯について納得したけど、愛子の事情を知って増々納得
    愛子はナズミになりたかった
    だから日出男と結婚したってこと?
    日出男共々、小国の家で暮らすのはナスミとの繋がりが欲しかったってこと?
    ドラマだけだとこんな裏事情はまったく予想外だった
    軽薄な日出男と自由気ままに生きる愛子というイメージが、二人の間にナスミの影が存在するとなると見え方が変わってくる

    11話の樹王光林
    そりゃぁマンガ家も結末まで考えてない人はいるでしょうねぇ
    特に昔の連載作家なんて行き当たりばったりで、矛盾だらけのストーリーだったりしますからねぇ
    マンガを地図になればいいという考えは好き
    マンガに限らず、人は拠り所や指針となるものって必要なんだと思う

    12話の好江
    歯の事情の回収と、加藤由香里とのわだかまりの解消
    人の縁って不思議なものですよねぇ

    13話の光
    この話は一番泣けた
    家族の秘密
    子供にとって親戚の関係性を知らなかたらそうなるでしょうねぇと思う
    「もしナスミが生きていたら光は生まれていない」という事から恐怖を感じた光
    そんな経験からの
    「私、生まれてきて、よかったの?」
    「しゅくふくだよ、いのちがやどったからしゅくふくしてくれてるんだよ」
    で、抱きしめられるところは泣けた
    ナスミが繋いだ縁ですよね……

    14話の展開もこれもまたかなり意外だった



    ナスミの言葉で
    「よいことも悪いことも受けとめて、最善をつくすッ!」
    というのは
    セクシーボイスアンドロボの
    「気の進まない仕事でも、押し付けられたことでも、自分のやり方でやり通す。それが、自分らしく生きるってこと。」
    を思い浮かべた
    どんな状況であれ、自分なりの最善を尽くす生き方をできればいいんですけどねぇ……

    まぁそんなナスミも、富士ファミリー本編では成仏してなくて、幽霊として出てくるんだけどね
    全力をつくしてなかったんですかねぇ

    あと、木皿泉と小泉今日子という組み合わせだと、どうしても「すいか」の馬場ちゃんを思い浮かべてしまう
    あっちのキャラも若干似ているところあるよね


    全体を通しての感想として
    死という重めなテーマを扱っていながら重さを感じない
    むしろ、どこか抜け感があり、前向きにとらえられるような気もしてくる

    ナスミは43歳で今の自分と同い年なわけだけれども
    もし次の人間ドックで何か見つかって、実は末期癌だと判明したら自分はどうするだろう?
    もう治る見込みがないんだったら、仕事を辞めて実家に帰るかもね
    自分が亡くなるときって、こんなに安らかに人生を振り返られるだろうか?と思った
    そしてこんなに生きている人たちに影響を与えてないだろうしなぁとも思う
    ま、それでもいいなと思えるくらいに、この本を読んで死を受け入れられた気がする


    本屋大賞にノミネートされるほど有名になった小説だけど
    ドラマの富士ファミリーを観た人ってどのくらいいるんだろう?
    まぁ、この本だけでも良い話ではあるんだけど
    富士ファミリーを観るとまた印象が変わると思う

    もう一回、富士ファミリーを観直したい
    確か録画してDVDに焼いたやつがあったはずなので、今度観てみる
    この本を読んだ後だから、また見方が違ってくるでしょうねぇ

  • 生命の輪廻のようなものを感じる一冊でした。といっても生まれ変わりなどのような宗教的なものではなく、人間の言葉や心、意志や存在というものはその人がいなくなっても、つながり続け循環していくものではないか、と思ったということです。

    43歳で亡くなったナスミ。彼女の死から始まり、彼女の夫や姉妹、周りの人々を描いた連作長編。

    話ごとに語り手が変わり一編一編は短いのですが、内容はその薄さを感じさせない。登場人物のエピソードや思考、一つ一つが丁寧に作られ描かれています。死に向かうナスミの心理。ナスミを喪った夫がナスミの生前の何気ないシーンを回想する場面。

    最初の1・2話が状況もあってかなりシリアス。だけど物悲しさの中にも、一抹の温かさも残る。そこは登場人物たちのエピソードや心理を丁寧に、そして何よりも温かい視点を持って著者の木皿泉さんが描いているからこそ、ナスミの死から始まる1話・2話でも読み終えて残ったのだと思います。

    その後ナスミの死は家族からナスミの友人たちの知るところとなり、それぞれの心にさざなみを起こしていきます。

    1話の時点でナスミの性格や考え方が分かっているからこそ、ナスミの死後であっても、友人たちが思うナスミ像というものに違和感はなく、より一層ナスミに惹かれていくのが分かる。そして改めて彼女の存在感の大きさが感じられます。彼女自身どこまで意識していたかはわからないけど、多くの人に影響を与えていたことが分かります。

    そして時代は経ち最終話ではナスミのことを直接知らない世代に、物語はつながっていき……

    自分も最近祖母が亡くなったのだけど、そのこととこの本がどうしてもつながってしまいます。死というものはその直後は寂しく悲しい。それでもその人が残したものは消えない。思い出せないところでも、きっと人の無意識下できっと何かは残っている。そしてその人たちが生きていれば、その何かは受け継がれていく。

    死から始まる物語ではあるけれど、そこにあるのは悲しさだけではありません。未来への希望と祝福に溢れた素晴らしい作品だったと思います。

    第16回本屋大賞6位

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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