特別授業3.11 君たちはどう生きるか (河出文庫)

  • 河出書房新社
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418018

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  • あさのあつこ、池澤夏樹、鷲田清一、鎌田浩毅、橋爪大三郎、最相葉月、橘木俊詔、斎藤環、田中優『特別授業 3.11 君たちはどう生きるか』河出文庫。

    各分野の9人の識者が東日本大震災で得た教訓を各課目の特別授業形式で若者に伝える作品。文庫化に当たり、東日本大震災から10年目を迎え、新たな視点を追加。

    忘れもしない2011年3月11日午後2時46分に、これまで経験したことの無い大きく長い揺れが普通の生活を送っていた人びとを襲った。このM9.0の巨大地震は大津波を誘発し、沿岸部の街を次々と飲み込んでいった。さらに地震と津波は原発をも襲い、その中でも福島第一原発は電源喪失と人為的な操作ミスによるメルトダウンを起こし、世界でも余り例の無い非常事態に陥る。大地震と大津波、原発事故で家族や友人、知人、住む場所を失い、心に大きな傷を負った多くの人びと……

    そして、今。新型コロナウイルス感染禍という新たな災禍が日本のみならず世界を襲い、改めて危機管理の在り方に警鐘を鳴らしている。

    こうした様々な災禍を通じて明らかになるのは政府の無能ぶりばかり。最終的に頼れるのは自分と家族、仲間、近隣といった小さなコミュニティーなのだろう。

    多くの日本人は、東日本大震災はおろか、阪神淡路大震災やスリーマイル原発事故、チェルノブイリ原発事故、アメリカ同時多発テロの記憶も薄れ、その時に学んだ教訓を失おうとしている。今こそ何度もあの時の記憶を振り返り、未来に起こり得る新たな災禍に備えることが必要だと思う。

    原発事故に関しては第一に、事故を引き起こした当事者である東京電力の役員連中が多額の退職金を手にし、海外に逃亡しているのが気に食わない。第二に、普通の企業なら倒産して当たり前な状況なのに、多額の税金が投じられ、社員も普通にかなりの報酬を手にしているのはおかしい。原発の廃炉作業にしても多額の税金が投入されているが、今の状況を見る限りいずれ廃炉は無理と諦めるに違いない。散々税金を使って挙げ句にチェルノブイリのような石棺を作って終わりにするのだろう。

    本体価格770円
    ★★★★★

  • この本は、東日本大震災の1年後に、出版社の、「14歳の世渡り術」という若者に向けたメッセージ性の強いシリーズ本の一つとして刊行され、震災から10年後となる今年のタイミングに、各寄稿者が2021年1月時点で書いたミニコラムを追加して文庫化されたというものです。

    紙上特別授業という体裁で、国語は作家、歴史も作家、倫理は哲学・倫理専門学者、地理は火山学・地球科学の専門学者、政治は社会学者、理科はノンフィクションライター、経済は経済学者、保健は精神科医、課外授業ボランティアは社会活動家が、それぞれ、若者たちに、311を経験したことで見えてきたものにちゃんと向き合おう、そして前を向き、将来危機に直面したときどう行動し生き延びるのかを考えようと語りかけられていました。

    いずれも若い読者をイメージして柔らかい語り口になっているのでとても読みやすかったです。

    いくつかの章の中で、印象に残ったメッセージを私なりの言葉でまとめます。

    今、目の前にあることだけを見ずに、人類全体の経験値である歴史の中の一コマであることを理解しよう。似たようなことは世界の中で以前にも起きていて、それをヒントに客観視すれば、備えたり対処したり防いだりできることがあるかも。歴史を学ぶことは大事。(歴史、池澤夏樹氏)

    さまざまな困難にも受け身にならず、支えあい、頼りあうことで困難・問題を引き受ける「自立」の強さを持とう。(倫理、鷲田清一氏)

    南海トラフ大地震は2030年代(プラスマイナス5年)に必ず起こる。科学の情報を得ながら正しく恐れ、備えよ。(地理、鎌田浩毅氏)

    科学的な思考力を身につけよう。盲目的に科学を信じるのではなく、理解する。科学的に考えることは、理系の何か(研究とか勉強とか)をすることではない。身近な日常生活の中で、ちょっとした違和感に立ち止まったり、なぜ?と疑問に感じたことに素直に向き合ったりすることだ。(理科、最相葉月氏)

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著者プロフィール

1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師をへて、1991年デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリーⅡ』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー』シリーズで小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学からヤングアダルト、現代小説、時代小説まで、ジャンルを超えて活躍している。

「2022年 『風を結う 針と剣 縫箔屋事件帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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