- 本 ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309419435
感想・レビュー・書評
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新感覚の世界観でした。
百合というものにあまり触れていなかった私なんですが、女性同士の恋愛をここまで、美しく描けるんだなと感嘆しました。アンソロジー集となっていて、それぞれ違う作家が、自分の世界観を描いています。男女では描けない、恋愛模様が百合では、描けれるので、読む前は、この感覚に慣れるのかなと心配したのですが、読んでみてこの感覚にハマりました。全作品を読んで感じたのが、女性同士の恋愛の方が、男女の恋愛と比べて、より強く、深く結びついているイメージがあって、読んでて、美しいを通り越して、高い芸術性を感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり好き。特に斜線堂有紀さんの「選挙に絶対行きたくない家のソファーで食べて寝て映画観たい」、南木義隆さんの「魔術師の恋その他の物語(Love of the bewitcher and other stories.)」、宮木あや子「エリアンタス・ロバートソン」の三編が好き。心中したり不幸になったりしない、でも社会的な背景も踏まえた百合小説で好感度が高い。百合小説というよりビアン小説と言ってもいいなもしれない。わたしはふわふわした王道女子高生百合にどうしてもハマれないたちなのでこういうのはとても趣味に合うし、日々異性愛前提の社会に生きていると心が救われる気持ちになる。
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冒頭から女版ひろゆきみたいな性格悪い女が出てきて良かった でも必死こいて選挙に行きたくない気持ちめちゃ分かる この世はマイノリティ向けにデザインされてないから
シンプルに気になる作家に出会えたので得した気持ち -
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アメリカの俳優ニック・オファーマン出演作品について、「なぜ同性愛者の物語にする必要があったのか?」と訊かれて「そういうくだらない質問するやつがいるからだ」って言い返したというニュースを気に入ってたんだけれど消えてる…フェイクだったのかな?
久々に百合アンソロジーなどを。百合でなきゃ得られない養分が…とかってわけではないけれど、やはりなんというか、この関係性じゃないと生まれない痛み、のようなものがある。でもそれって普通の恋愛小説と何が違うの? と思うことも。純度の問題なのだろうか? LGBTQに配慮も忖度もしないオレのような者が、しかしなぁ。
全8編。特に気に入った(そして気に入らなかった)ものだけを掻い摘んで…と思ったけれど毎度、ほとんど全部。それだけ良作揃いではあるのだけれど、残念な部分もあります。
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選挙に行きたくない家のソファーで食べて寝て映画観たい/斜線堂有紀
普通に考えて頭がこれって失敗でしょう。1編読んで一旦お腹いっぱいになっちゃうよぉ←
やっぱりストーリーテラーとして飛び抜けているなぁと思う。面白いんだよなぁ…選挙を切り口に、これくらいの世代なら誰もが持っている素材をこんなふうに料理できる小説家はこの世代にはなかなか居ないでしょう。斜線堂全肯定botになりそう。嘘です。
エリアンタス・ロバートソン/宮木あや子
なんとも純度の高い百合小説だなぁ、と思ったらとても書き慣れてらっしゃるようで。流石だな、と思いました。こういう、自分の作品群の中に確固たる百合枠、みたいのを持っているひとが書くキャラクタはいいなぁ、と楽しく読んだ。
嘘つき姫/坂崎かおる
斜線堂が書いたのが日常の中の地獄なら、やはり戦争という真物の地獄の中での百合もまた、映えるもので。次に出てくる南木義隆が「ソ連百合」で名を馳せたように、大戦中を舞台にした百合小説は十指に余るだろう。
どうしても写実的になりがちな戦争ものでありながら、物語的な細工が全体に光るこれも良作。個人的に、おすすめの百合作品が萩尾望都『半神』で同い年、というのもまた痺れた…謎の嬉しさったら。
魔術師の恋その他の物語/南木義隆
エンタメばくはつ、という感じ。「月と怪物」、『蝶と帝国』など、重厚な作風のイメージが強くあったのだけれどこれはもう、逆のベクトルに突き抜けていてとっても面白かったです。中編程度の頁数の間、ずっとワクワクしていた。嬉しい。
運命/深緑野分
これだけはマイナス評価。
こういう、小説家を志す思春期の少年少女が必修で書きました、みたいな物語を直木賞候補になるような作家さんに書かせてちゃいけない。もっとあるやろ、というのが正直なところである。残念。
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ところで小説、漫画を問わず若いひとたちの作品を読んでいると、いまの世の中ほんとに何でバズるか解らないからペンネームだけはまじでちゃんとつけておきなさい、と思う。まじで。
粒ぞろいのアソート。☆3.4 -
それぞれにけっこう違う味わいの構造、物語。現代から戦争、魔術師、物語の内側。
ど正面な感じなのは『選挙に絶対行きたくない家のソファーで食べて寝て映画観たい』(斜線堂有紀)。タイトル通りの主張を持つ女と、正式に結婚したいから投票に行き、デモにも行く女。好き合って一緒に暮らしているけれど、熱意の量も向かう先も違いすぎてケンカする。
「ズルい。それが私の根源的な気持ちだ。――こんなパレードをしなくても普通に結婚出来る奴らはズルい。――怠惰な自分が赦されないのに、そっちは問題にもならないのがズルい」
『エリアンタス・ロバートソン』(宮木あや子)では、一途な想いがあるとき表裏ひっくり返って暗闇におちてしまう。
「綺麗なものだけ食べて育った感受性のうさぎたちも、親の監視下にあった三年間で一匹残らず死に絶えた。」
自分の元から去った恋人との思い出を、ピアノの音色が弔ってゆくのが哀しくも美しい。 -
全体的に上手くまとまっている雰囲気。
『選挙に絶対行きたくない(略)』はセクシャルマイノリティによるヘテロセクシュアリティへの反旗の話でもあると感じる。だって確かに選挙にも行かず期日前投票の日すらダラダラ過ごしてても、好きな人との日々を確約されてるなんて、それこそ""ずるすぎる""。二人をすれ違わせたのは結局信条の違いなんかじゃなくて、いつまでも同性婚を認めない政府の方針なんだなと思った。
ガッツリめのファンタジーが苦手なタイプで、ちょこちょこ挟まるファンタジー要素たっぷりのお話を読み進めるのが大変だったので、この評価。
宮木あや子さん目当てで買ったけど、やっぱり宮木あや子さんの書く愛の話は強烈で鮮烈で、それでいて儚く強く、最強だと思う。 -
櫛木さんの話が好きでした。百合百合してなくて
アンソロジーの作品





