古事記 古典新訳コレクション (河出文庫)

  • 河出書房新社 (2023年10月6日発売)
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本 ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784309419961

感想・レビュー・書評

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  • 池澤夏樹「古事記―日本文学全集01」書評 脚注と文体、野心的な新訳|好書好日(2018.06.12)
    https://book.asahi.com/article/11607951

    『古事記』|感想・レビュー - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/8314684

    池澤夏樹が語る、なぜ『古事記』はこんなに面白いのか 日本最古の文学作品が生み出した日本人の精神的な特徴 | JBpress(2023.9.28)
    https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77146

    古事記 :池澤 夏樹|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309419961/
    (全集)
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309728711/

  • 翻訳が親しみやすく、古事記へのハードルを下げてくれた。注釈があることで、複雑な情報を処理しやすくしてくれている配慮を存分に感じた。しかし次から次へと神が生まれる。八百万とはよく言ったもので、1ページで10柱ほど生まれる。

  • 日本最古の文学に触れてみようと思い立ち、なるべく原典に近しくかつ読みやすいものが良いと考え手に取ったのが、河出文庫の古典新訳コレクション・池澤夏樹訳『古事記』。3か月かけてじっくり読み進め、ようやく読了した。

    本編に入る前にまず惹きこまれたのが、古事記を編纂した太安万侶に向けた手紙として書かれた翻訳方針。古事記が編纂された時代と現在の語彙や文法の隔たりをふまえ、橋を架けるためにどのように現代語訳をするのか。丁寧に心を込めて綴られた文章にほれぼれするし、これから『古事記』を読み進めるにあたっての読者の指針にもなる。この翻訳方針だけでも一読の価値がある。

    現代語訳された『古事記』のテキストを読み進めると、耳にしたことのある神々の名前や伝承と出会うことができる。イザナキ、イザナミ、アマテラスオオミカミ、スサノヲ、ヤマトタケル。日本の様々な土地で祀られ、様々な物語のモチーフとなってきた神々のルーツが描かれている。

    神話の時代は、どこか粗野で本能的。「なんでそんなとこでそんな行動をとるのか」と驚かされることもしばしばだった。特にスサノヲの狼藉っぷりが、理解が及ばないほどすごい。そんなところで粗相をすな。そりゃアマテラスオオミカミも天の岩戸に隠れるわ。

    『古事記』の前半を読み進めていたある日、夜寝る前になんだか心許ない気分になった。自分の理解の範疇を越える物語は、正直怖い。そんな気持ちが布団に入ってきてからふつふつとわいてきた。昔の人々が神を崇めて敬うのも、そんな想像を超えるようなものに畏怖を感じたからなのかなと思った。

    一方で、時代が下り天皇の治世になると、人と人との出会いのなかで生まれる想いが情緒的に綴られはじめる。特にマヨワノミコとツブラオホミの話は、訳者の池澤氏も脚注で言及してしまうほどのぐっとくるエピソードだ。

    そんな丁寧に描かれた現代語訳をひとつずつ追っているうちに、無事に読み終えることができた。感慨深く読んだラストの解説。そこで池澤氏は「(古事記は)素材が多すぎて、口調が早すぎる未整理の宝の山」と記している。

    理解が及ばなかったり、感情や出来事のつながりが分からない部分が『古事記』には確かにある。でもそれが逆に、人の手に負えない偉大な物語である所以(ゆえん)であるようにも感じる。千何百年もの前にまとめられた物語をこうやって読むことができるのは、太安万侶からはじまる多くの人々の手によるものだと実感するとともに、池澤夏樹氏の素晴らしい現代語訳にあらためて感銘のため息をつくのである。

  • 池澤夏樹の真骨頂
     『ハワイイ紀行』でも膨大な註釈におめにかかったが、かういふやり方は池澤の十八番で、真骨頂である。
     大江健三郎も一気読みして認めた翻訳で、それは『池澤夏樹、文学全集を編む』に対談として載ってゐる。

     しかしまあ、父親・小説家の福永武彦とそろって古事記を訳すことになるとは、誰が予想したらうか。

     古事記について一言いへば、あくまで素人目には上巻が面白い。「因幡の白兎」もイザナギイザナミも、ヤマタノオロチもすべて上巻である。
     中巻以降は天皇の系譜の羅列とでもいふべきものになり、とんと馴染みがうすい。

     古事記には、論理的なところと文学的なところと、適当なところがあって、その雑駁したかんじが古代だなあと詠嘆する。

  • 断片、断片は、知っているが、まともに向き合って読んだことが無かったので、この機会に読んで見ました。
    思っていた以上に、 誰が誰の子かを書いた部分が多かった。しかし、その歴史が、大和政権の他国征服の歴史なのだと理解でき、興味深かった。

  • 太安万侶にリスペクトして訳された池澤夏樹さんの『古事記』はとても禁欲的な文章なのではないかと思います。ということは、原典にたいへん忠実だということになります。2014年に「日本文学全集」の一冊として出されたものの文庫化で、そこにも「解題」を書かせてもらったのですが、今回、まったく別の内容で「解題」を書き下ろしました。

  • 2023年10月7日購入。

  • 最初の方は神がどんどん神を産んで、それが大地になったり、神の一部からまた神が生まれたりとなかなかにカオスで楽しい。
    途中から興味を失ってやっつけで読んだ。

  • p.2023/10/12

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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