- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309420172
感想・レビュー・書評
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オーケストラにとって「表」の仕事と「裏」の仕事の境界って、どこにあるんだろうか。
筆者はそんな「裏」とされる仕事を、より深く知るべく筆を執る。(という意気込みが伝わってくるように感じた)
運ぶ仕事、写す仕事、診る仕事、散らす仕事。
写譜の話や、チラシ配りの話が入っていたのは意外だったけれど、面白かった。
そういった、見出すべき専門家たちも、時代の移り変わりと共に、なくなってしまうものもあるんだろう。
名を残すではないけれど、こういった形で知ることに意味があるように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オーケストラの活動を側面からサポートする様々な役割の人達の仕事ぶりを、指揮者の故岩城宏之氏が紹介するノンフィクション。
本書で取り上げられているのは、ハープやピアノの運送業者さん、コンサートツアーに帯同されるお医者さん、写譜屋さん(”しゃふ”と読みます。本書を読むまで、こういう職業がある事さえ知りませんでした。作曲家の書いた楽譜を各パート毎の楽譜に編集しなおしたりする職業だそうです)、コンサートのチラシを配っている人、ピアノの調律師、といったところです。
聞き取る方が音楽の専門家であるという事もあって”指揮者や演奏家からみた裏方さんの仕事の重要性”だったり、舞台に立っている側だからこそ語れる内容があったりして、クラシックのコンサートに行くときに今まで目に入ってこなかった部分にも「こんな人たちのおかげでコンサートができるんだな」という気持ちになれる1冊でした。
著者の長年の音楽活動で知り得た経験談(海外公演でのエピソードなど)なども盛り込まれていて、ちょっと自慢話っぽく感じる部分も多少ありますが、それも含めてちょっと敷居を高く感じるクラシックコンサートを身近に感じることができる本じゃないかという気がしました。 -
装丁に惹かれて読んでみました。
日本を代表する指揮者である著者がオーケストラに関わる裏方の事情を綴った本。1998〜2001に週刊金曜日で連載されていたとのこと。
なんとか最後まで読みましたが、私は好きじゃない。上から目線の語り方で、ソースも微妙な浅い話を綴り、結局は自分の話。というか自分の話以外が浅すぎて印象に残らない。裏方への敬意も感じない。これでオーケストラの裏方を好きにはならない。週刊誌のコラムくらいの分量で読むと刺激もあってちょうどよかったと思うけど、1冊の本としては親戚のおじさんにずっと同じ自慢話聞かされてるみたいできつい。 -
クラシックコンサートの裏方のお仕事について書かれたエッセイです。
この本を読まなければ知り得ないような、いろんなプロの裏方がいるのが興味深かったです。
特に印象に残ったのは、楽器の運搬をする運送会社の話です。
戦後間もない頃に、日本に招聘された外人の音楽家が、近所の小さな運送会社に運搬を依頼したのがきっかけで、その業者がノウハウを培うことになったという話がおもしろかったです。 -
娘達が小さい頃、ピアノの調律に来ていただいていた先生を思い出す。古くて安くてボロボロのアップライトピアノを、いつも丁寧に調律してくださり、修理も時々。改めて律儀な方だったと感謝の思いが湧きます。
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大学時代合唱団に所属し、裏方のお仕事は多少知っているため、興味深く読んだ。
今では当たり前の、ビニール袋で渡される大量のチラシの来歴が感慨深い。
殿様である指揮者からは見えないことがたくさんあるのではないかと思ったが、現場の人間が書けば偏りもでるだろう。 -
オーケストラの裏方たちにスポットを当てたレポート?エッセイ?
楽器の運搬やチラシ配りなど、興味をひかれる内容だったが、文章が合わないのか、読むのに苦労した。 -
クラシック音楽業界の裏方について、岩城宏之氏のよく言えば愛、良い意味での独断と偏見をもとにしつつ紹介している。ハープ奏者ヨセフ・モルナールのエピソードとか、ルソーも写譜をして糊口をしのいでいたとか、そんなんだ!という話があっておもしろかった。
著者プロフィール
岩城宏之の作品





