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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784309421711
作品紹介・あらすじ
かぐや姫×森見登美彦!
1000年以上も読み継がれる「物語の原型」を
竹林をこよなく愛す当代の人気作家が現代語訳!
翁がある日、光る竹の中に見つけた可愛らしい小さな人。やがて絶世の美女に成長したかぐや姫は、言い寄る求婚者たちに無理難題を課す。恋に破れ去る男たち、そして、「その日」は近づく――千年以上も前に書かれ、読み継がれてきた異世界譚を、竹林に並々ならぬ思いを寄せる作家・森見登美彦が現代語訳した必読の一冊!
竹取物語とその現代語訳にまつわる舞台裏をたっぷり語った講義「作家と楽しむ古典 僕が書いたような物語」、竹林の中へ入り込んだ幼少期の原体験からはじまる文庫版のための書き下ろしあとがき「生きていることのふしぎ」も収録。
【もくじ】
竹取物語
全集版あとがき 千年の失恋
特別収録 講義「作家と楽しむ古典」 僕が書いたような物語
文庫版あとがき 生きていることのふしぎ
解題 大井田晴彦
【著者略歴】
1979年、奈良県生まれ。2003年、京都大学在学中に執筆した『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞、10年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞、14年『聖なる怠け者の冒険』で京都本大賞、17年『夜行』で広島本大賞、19年『熱帯』で高校生直木賞を受賞。他の著書に『新釈 走れメロス 他四篇』『有頂天家族』シリーズ、『シャーロック・ホ―ムズの凱旋』など多数。
感想・レビュー・書評
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すずめさんのレビューから読みたくて。自分の知るかぐや姫は本当にあらすじだけだった。求婚する男達のキャラとエピソードや「こういう事から〇〇という言葉ができました」みたいな締めのセリフなど細部の楽しさを森見登美彦風味で存分に味わえた。
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モリミーが『竹取物語』の現代語訳・・だと・・?
これは読まずにはいられないでしょ!
思えば“かぐや姫の物語”って、小さい頃読んだ昔話の絵本だったり紙芝居だったりの内容のまま止まっていて、『竹取物語』をちゃんと読んだことなかったかも。
そんな訳で、竹林といえばモリミー、黒髪の乙女に翻弄されて右往左往する殿方といえばモリミー・・つまり、竹取物語×森見氏というまさにナイスマッチングな本書をワクワクしながら読ませて頂いた次第です~。
うむ!読みやすくて良き!
『新釈 走れメロス 他四篇』のような、モリミーワールド全開というのではなく、さすがに“ちゃんと訳して”いるので、所謂“森見節”的なものは控えめでございます。
とはいえ、所々に薄っすら出てくる“モリミー・エッセンス”が、五人の求婚者たちのトホホな感じを説妙に表現していて、“さすが、アホな男たちを描かせたらモリミーの右に出る者はなし!(ええ、贔屓してますとも)”って感じです。
あと、物語の中で
(例えば求婚者の一人が「燕の子安貝」をゲットできなかったエピソードの後に)
“・・この出来事から、思い通りにいかない事を「貝がない」すなわち「甲斐がない」と言うようになったのである・・”
てな感じで、ダジャレっぽい「語源」ネタ(?)が度々投下されていて、訳を読んでいるときはモリミーのアドリブかと思ったのですが、本書の後半に収録されている「講義」によると、原文でホンマに“ダジャレ語源”が描かれているとのこと。
そう、『竹取物語』って、五人の求婚者のお間抜けぶりも含めてユーモラス且つ遊び心あふれた物語だったのですね~。
ところで、かぐや姫って罪人として月から地球に島流しされていたらしいですが、月の都で何をやらかしたんでしょうね?ちょっと気になった私です。
ということで、森見版『竹取物語』を大いに楽しませて頂きました。
さらに、あとがき&講義も森見氏がどのような思いで訳に臨んだのか等々・・こちらも興味深く読ませて頂いた次第です~。
因みに、巻末で紹介されている河出文庫さんの「古典新訳コレクション」のラインナップを見ると、様々な作家さんが現代語訳されていて、他の古典作品も是非読んでみたくなりました♪ -
「竹取物語」の現代語訳。
河出文庫古典新訳コレクション。
読みやすく、テンポもよかった。
言葉の順番を変えたり、区切ったり、文章のリズムを整えたそう。
原文にない文章を補足して、臨場感を増したり。
意訳を入れて、登場人物の個性を強めたり。
おもしろさや読みやすさを増す工夫がされていた。 -
中学生のとき国語の授業で、5人の貴公子の求婚話を知りました。とても面白く大好きでした。
今回テンポの良い文章で、再び5人の話を楽しめました。森見さんは古典の現代語訳、初めてとのことです。そして、大学院生時代の研究テーマが竹ということで、竹に対する特別な感情をお持ちです。
あとがきを読むと、どのような方針で現代語訳されたかが分かります。続いて、古典研究者である大井田氏の解説を読むことで、竹取物語の深い部分まで理解できます。他の作家の現代語訳も読んでみたいです。 -
森見登美彦の竹取物語と言うだけで読まざるを得まい。
竹取物語自体通して読んだことが無かったので良い機会であった。 -
黒髪の乙女に恋するウザ男の阿呆ぶりを書かせたら天下一品の森見登美彦が、竹取物語の新訳に挑む。いつものモリミーとはひと味違う、絶世の美女かぐや姫に翻弄される間抜けな求婚者たちの阿呆ぶりを…って、いつもと同じやないかーい!
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池澤夏樹個人編集『日本文学全集』(河出書房新社)のラインナップが発表された当時、竹取物語×森見登美彦は相性がよすぎるよ…!と悶絶したことを覚えております。
登美彦氏の手によって、チャーミングさ増し増しの『竹取物語』に魅了されました。
古典で読んだときよりも5人の求婚者たちの小狡さとか情けなさがより際立って、なんだかとってもユーモラス。
さすが数々の阿呆な男を右往左往させてきた登美彦氏だな、と感服したのでした。
帝の登場をきっかけに変調した物語がしっとりとした余韻を残すラストを迎えるまで、どっぷりと登美彦版竹取物語の世界に浸れて大満足です。
個人的には文庫版あとがきが、とてもとても好き。
子どもの頃によく感じた「あの奥は別の世界につながっているんじゃないか」みたいな気持ちが呼び起こされました。
日常の中でふと異世界の気配を感じるような、あの感覚。
千年以上前にも同じように感じた人がいて、それをきっかけに書かれたであろう物語を、今自分が読んでいる。
なんて不思議でおもしろいんだろう、とちょっとわくわくしてしまいます。 -
中学の国語の授業で「今は昔、竹取の翁といふものありけり。またの名を讃岐の造となむいひける。…」とか覚えさせられたなぁ、というのが「竹取物語」の印象である。
以前から古典作品全般に苦手意識があり、現代語訳版があったとしてもなんだか読む気になれずにいたのだが、森見登美彦が訳しているとなると話は全然変わって来る。
森見作品のクセの強い独特な世界観が好きで、古典オブ古典の「竹取物語」とどんな化学反応を示すのか、ワクワクしながらページをめくった。あっと言う間に引き込まれた。
作者のあとがきにも記されていた通り、本当に森見登美彦が「竹取物語」の作者ではないのかと錯覚するくらい、森見作品の世界観と「竹取物語」の世界観はマッチするにも程があるというくらいに合っていて驚いた。
絶世の美女、美女に恋焦がれる阿呆な男たち、そして竹林。森見登美彦ワールドそのものな作品であることに気づかされたし、古典の世界観を壊さない程度に現代的な言葉遣いを入れる絶妙な塩梅の文章が面白おかしく、時に切なく、「竹取物語」に没入出来た。
いつの時代も恋に右往左往する男心は変わらないものなんだなと思った。かぐや姫の時に非情ともとれる態度が次第に軟化して、帝と互いに慰め合うプラトニックな関係性を気づいていくのもなんだか今風であった。
古典作品が今も読み継がれているのは、古来より変わらぬ人間の営み、心の機微を描いて共感を呼び続けているからかもしれない。
河出文庫の「古典新訳コレクション」の他の作品も読んでみたくなった。いずれは「源氏物語」にも挑戦したいと思う。 -
古典を最初から最後までテンポよく楽しく読めたのは初めてだった。竹取物語を最初に書いた人の生まれ変わりが森見登美彦だと勝手に思ってる。
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今は昔竹取の翁というものありけり、の文章で始まる竹取物語。
そこはかとなく内容は知っているけれど、じっくり読んだことがあるかと聞かれるとない。
そんな中、森見登美彦先生が現代訳をされたこの本は読みやすい。
作者自身、腕まくりをしてのぞんだという5人の求婚者の場面は完全に森見登美彦作品。
非常に読みやすい -
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現存する日本最古の物語である竹取物語が今なおポピュラーであることにあらためて感動をおぼえる。森見登美彦の手によりいきいきと、さらに原作のもつ面白さがわかりやすくなっている。
こじつけのような嘘かホントかわからない語源の話(鉢を捨てる=恥を捨てるとか)は森見さんが付け足したかと思ったけど、元々原文にあるとのこと。こんなおふざけもあったんだな。現代的な感覚に通じる普遍性をもつお話だということに気づいた。 -
森見登美彦なのに(失礼)真面目な竹取物語の訳書であった!!
なにか森見登美彦節を期待していた自分は「おっとこれは…」と居住まいを正し、久しぶりに竹取物語に触れた。言い回しや少しの補足はあれど、真面目な森見先生の語り口を楽しんだ。
とはいえ、「森見登美彦節×美女×恋に踊らされる阿呆な男たち!?やったぜ!」と言わんばかりに食いついた勢いは霧散した。ちゃんと古典新訳でした。 -
森見登美彦訳「竹取物語」です。
帯の「絶世の美女と阿呆な男たち」⋯絶世の美女はともかく「阿呆な男たち」は森見作品には不可欠と言ってもいいほどですから、竹取物語はまさにぴったりです。
本編にプラス、全集版あと書き、特別収録「作家と楽しむ古典」、文庫版あとがき、大井田晴彦氏の解題、本編と同じくらいのボリュームであり、大満足。 -
随分昔に岩波文庫で読んだのだけれど森見登美彦の現代語訳で改めて。ご本人があとがきや講義で語られているように、かぐや姫に求婚して振られる5人の男たちの部分が一番いきいきと訳されていると思いました。男子たちが美女に翻弄される=森見登美彦の得意ジャンルですもんね(笑)
確かに5人それぞれ、同じようにムチャブリされても解決の仕方はおのおの。はなから偽物を用意する者もいれば、自ら手に入れようと冒険する者もいるし、金に物を言わせて人に探させる者もいる。
あと、その結果「〇〇なことを〇〇と言うようになった」と由来譚がこじつけられているのは、昔話・童話としては端折られる部分なので、物語の成立過程として興味深かったです。
後半になって帝が出て来ると、確かにちょっとトーンが変わる。他の振られた公達のような滑稽譚にはできないし。かぐや姫のほうでも、帝のことは憎からず思っていたかのような返歌だけれど、本心はどうだったんだろ、これ社交辞令にも思える。
帝のエピソードのオチも、かぐや姫に貰った不死の薬と手紙を駿河の山で燃やした=さむらい(士)が大勢山に行ったので富士山と呼ばれるようになった、その煙が今も出ている、と由来譚にされている。
それにしても日本最古の物語にして日本最古のSF、この「月から来た姫が月に帰る」という設定はどこから着想されたのかと考えると、誰かはわからない作者すごい。個人的にいつも気になるのは、かぐや姫が罪を犯した罰として地上にやってきたという部分。地球は流刑地だったの?(笑)そして自分を育ててくれた両親と名残を惜しんでいたかぐや姫が、天の羽衣を着せられるとすべての感情を失ってしまうところもSFぽい。
竹取の翁は、おじいさんかと思いきや、終盤で今50歳くらい、かぐや姫を20年以上育てたみたいな記述があるので、姫を拾ったときには30歳くらい。現代人からすると全然若い。とはいえ、え、20年も経ってた?かぐや姫、3か月で大人になったって書いてなかったっけ?と内心つっこみを入れたりもしつつ(笑)どこに着目するかでいろんな解釈ができてやっぱり古い物語は面白いなあと思いました。 -
今までは竹取物語といえばかぐや姫!だったけど、5人の求婚者の個性もとても魅力的なんだと知った
竹取物語は、相対する此岸的な力と彼岸的な力によって成り立っていて、その根源的な対立は、かぐや姫の二面性に集約されている -
前に同作者の「超訳 走れメロス」を読んだことがあったのでそれと似たような文体かと思っていたら、真面目な現代語訳だったので意外に思った。ただ節々の言い回しから森見作品らしさを感じられた。
また、物語本編だけでなく、あとがき、講義、解題まで載っているため、より物語の解釈が広がるし、竹取物語についてもっと勉強したくなる。古典の入門編として、手に取りやすい本だと思う。 -
さすが!森見節が絶妙に効いていて、古典文学とは思えないくらい情景が目に浮かんで、リズミカルに読むことができた。かぐや姫、翁、求婚者の男たち、帝それぞれが最高にキャラ立ちしていて面白おかしさ増し増しだった。
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森見訳の竹取が文庫化されるのを数年前から待っていた。
竹・美女・うごうごする男たちと、森見登美彦以外の訳者は考えられない作品。
森見登美彦としては万感の思いであろう。
読み物として普通に面白いのだが、森見登美彦の生真面目さが出ていて、「原作と自分の味のバランス」との間で、かなり慎重に悩んで書いたことを感じさせる文章となっている。
著者プロフィール
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