- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309461182
作品紹介・あらすじ
サドの代表的著作、ジュリエットの物語『悪徳の栄え』と対をなす妹ジュスティーヌの物語には三つのバージョンが残存している。本書はその最初の版である「原ジュスティーヌ」とでも称すべき中篇である。バスティーユ牢獄中にて書かれ、革命のどさくさに粉れて紛失され、100年ののちに陽の目をみた本書はサドの思索のエッセンスが凝縮された異色作である。
感想・レビュー・書評
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妹ジュスティーヌの物語。美徳に生きると決心したジュスティーヌがその美徳のためにさまざまな不幸に見舞われる。自然そのものが悪であるので、美徳に生きることは自然にそむいて生きていくことである。自然にそむいて生きていくので、さまざまな不幸に見舞われるのであると。
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この作品に、もっと早く出会いたかった。
悪徳と美徳の境界を突き詰めた文学の歴史が、
その輪郭がようやく一つの線で繋がり始めた。
サド、バルザック、ドストエフスキー、ゾラ、
フォークナー、ガルシアマルケス、大江健三郎。
2012-05-13 06:01:00 Twitterより -
悪徳の不幸はおねえちゃんの話。美徳の不幸は妹の話。
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本の主題に共感出来るかはともかく、面白かったし良く出来ていると思った。
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「悪徳の栄え」ジュリエットの妹、ジュスティーヌの物語になっている。
信心深いのもいいが。見えない何かに縋る意味とは?と、一つ聞いてみたくなりました。
神を信じて救われるのならば、それも良いだろう。
ジュスティーヌの場合、どんなに善行を尽くし、神を信じて「きっと神さまが…!」と、全く運命に嫌われているのではないか?という不幸の雨嵐にも、彼女はこれを曲げようとはしなかった。
行き過ぎた信仰心ではないが、美徳(善行)の意味、また逆に続く不幸の意味を考えると、きっとキリがないのだけれど、割と読みやすくて、まあ、サドだしな…という内容でした。
「ジェローム神父の物語」も、「悪徳の栄え」寄りで良かったです。 -
善いことをすればするほどひどい目にあって、ボロボロになっていく女の人の話し。
しかしよくまぁ次から次にひどい目に合うことか。
それでも現代人のほうがおそらくはるかにもっと残忍で、いやらしい責め苦を思いつくような気がする。当時画期的であったものでもいまや古典的、刺激の足りないものとなっているような…
自然の秩序と称されて、強者による弱者の支配が語られる。作者は逆説的にそれに反発しているようなのだが強者の繁栄、弱者の衰亡が読者の脳に張り付くのではないかと憂慮される。登場人物の一人が語っていたように、人生は善か悪かの二者択一ではなくて、その場その時の身の処し方次第なのだろう。
特に力のないものは曲がりくねった細い細い崖っぷちの道を歩くような注意が必要なんだと思った。ボケ~としてたらヤバイんだろうな。
Mahalo -
悪徳の栄えよりも面白かった。清々しいくらい悪が勝って、美徳が負ける。
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「いいこと。あんたは天の罰とか死後の報いとかいうけれど、そんなものはみんな、あたしたちが学校を出たとたんに忘れてしまえばいいものなのよ」
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ジュスティーヌは微妙だった。美徳の人の不幸のみの話って感じだからかな