くるみ割り人形とねずみの王様 (河出文庫―種村季弘コレクション)
- 河出書房新社 (1996年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309461458
作品紹介・あらすじ
チャイコフスキーのバレエで有名な「くるみ割り人形」の知られざる原作が、今、新しい訳でよみがえる。こっけいで不気味、気が良くて残酷、美しくて醜悪、エレガントでうさんくさい-ホフマンの描き出す世界を見事に体現した表題作のほか、幻想味あふれる「見知らぬ子ども」「大晦日の夜の冒険」を併録した、待望のメルヘン集成。
感想・レビュー・書評
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2023.4.4読了
有名なバレエの原作ということで、キーウバレエ団の動画を視聴しながら読んだ。巻末の解説にもあるように、本当の原作からバレエの脚本までに何人かの手を経ているせいか、バレエは少し子供向けに感じた。主人公の名前も違うしね。
本書の読後は、夢と現実の狭間のような空気感が心地よいが、子供向けではないかな。
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再読。ホフマン作品の中でも比較的子供むけ?と思われる2作中心に収録。
「くるみ割り~」は、ホフマン作品ではお馴染みコッペリウス型のキャラクターであるドロッセルマイヤー氏が役割的にそれほど邪悪でないものの、ラストが、個人的にはちょっと怖い。一見マリーが人間の王子様になったくるみ割り人形とハッピーエンドのようであるけれど、その直前に一度無駄にマリーが椅子から落ちて「失神」しており、目覚めてからの展開がやや唐突すぎるので、実はこれマリーの死にオチではないのかと勘ぐってしまう。でなくても7歳の女の子が王子様と夢の国へ行きまーす!で行方くらましたら現実には大問題なわけだし。
「見知らぬ子ども」はハエの化身みたいな変なおっさん(悪魔?)の描写が面白いんだけど、オチ自体はちょっと謎だったかな。
「大晦日の夜の冒険」は構成が消化不良感。作中小説である鏡像を悪魔に奪われた男の話は面白かった。
※収録作品
「くるみ割り人形とねずみの王様 」「見知らぬ子ども」「大晦日の夜の冒険」 -
イヴに読了。まさにクリスマスの話。バレエの「くるみ割り人形」の原作だと、今頃知りました。曲は聴くけどバレエ見たないので(汗)他二作ともにに幻想的でどこか不気味で。大晦日の三作目はどこか日本の怪談にも近しいような気も。2013年はバレエとか観てみたいな。クリスマスに。
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短編3編。
ホフマンのメルヘンチックな物語を初めてちゃんと読んでみた。
表題作はバレエでも有名。
シュタールバウム家の子供たちに贈られたクリスマスプレゼントの中で、
7歳の末っ子マリーの心を射止めたのは、歯に殻を噛ませて割る、胡桃割りの人形で、
彼女は深夜、その人形と他のおもちゃたちが、
屋敷に侵入したネズミの軍勢と戦争を始めたのを目撃してしまった……という、
かわいらしい物語だけど、
怪しいドロッセルマイヤーおじさんのイメージが
『砂男』のコッペリウス(コッポラ)とダブった(笑) -
三作のうち、特に表題作が面白かった。騒々しくて悪夢のようにピカピカなお話。なのにダーク一辺倒にもならず、優しいメルヘン。語り手は不気味さと親しみを同じ顔に浮かべて目も眩むお話をまくし立てる。どのお話も夢と現実が地続きで転がりまくってキラキラしてる。くるみ割りと女の子の熱々なやりとりにたまにひやりと悪夢が忍び込むけれど、女の子はくるみ割り人形にお熱でそれには気付かない。変なおじさんに怖くて面白くて綺麗なお話をせがむなら、ホフマンに頼むべき。他の作品も積ん読リストに・・・。
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ドイツ語のテキストで短いものを読んだのだが、短くしすぎて内容がいまいちよく分からずあらためて読んでみる。
「えっ?こんな物語だった??」といまさらながら驚いたのは、メルヘンの2層構造。