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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309461960
感想・レビュー・書評
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たとえばシャーロック・ホームズシリーズの魅力は、ミステリとしてのすばらしさと共に、あの時代のロンドンの空気を魅力的に伝えてくれているところである。それと同じように、この物語のたまらない魅力は、メグレ警視を狂言回しに描き出させるモンマルトルの町と、そこに生きる人間たちの魅力であると思う。
被害者の女性は、生前それほど長く物語には登場しないけれど、物語全体を読むうちにまずます光を放つ。わかりやすい意味で幸せな人物は誰もいないかもしれないけれど、それぞれが自分の人生を懸命に守りながら日々を過ごしている様子が、無口で少し悲しげなメグレの視線を通じて描き出されている感じがいい。
結末が楽しみで急いで読み進めるような本ではなく、ゆっくりと空気を感じながら読みたい本。気持ちよい読書体験だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ストリップバーとクスリの妖しげな雰囲気に包まれたパリ。名前だけ出てくる謎の人物「オスカル」の深みがもっと欲しい。淡々と描くところに異常性が表れているのもわかるんだけど。
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