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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784309462028

感想・レビュー・書評

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  • 1940年代に発表されたSF短編11話を収録。

    「ベムがいっぱい」エドモント・ハミルトン著がおもしろかった。
     ブラックユーモア。火星に到着した宇宙飛行士二人。探検を始めるが、あらかじめ知っている火星の状況‥寒くて大気は無く赤い砂の大地・・ではなかった。大気は有りしかも生物がいてしかも英語を話し・・
      (ネタバレ)彼らは手が4本だったり、眼が異様に大きかったり、タコのような風貌だったり、しかも英語を話している。彼らは地球のSF小説で描かれた火星人だったのだ。地球からの「精神力線」でSF小説の火星のイメージが形作られていたのだ。宇宙飛行士二人はやっと地球に返してもらうが、しかし、火星からの逆精神力線が地球に届き・・

    作家のかんたんな紹介があるのはよい。紹介文の最後に作品の発表年や発表媒体、原題が書いてある。

    星ねずみ / フレドリック・ブラウン 著
    時の矢 / アーサー・C.クラーク 著
    AL76号失踪す / アイザック・アシモフ 著
    万華鏡 / レイ・ブラッドベリ 著
    鎮魂歌 / ロバート・A.ハインライン 著
    美女ありき / C.L.ムーア 著
    生きている家 / ウィリアム・テン 著
    消されし時を求めて / A.E.ヴァン・ヴォート 著
    ベムがいっぱい / エドモンド・ハミルトン 著
    昨日は月曜日だった / シオドア・スタージョン 著
    現実創造 / チャールズ・L.ハーネス 著

    2000.11.21初版 図書館

  • 40年代といえば、第二次世界大戦のさなか、戦後の混乱期。そんな中、米国では、こんな素晴らしい作品が生まれていたとは。それをこんな安価で読めるとは。C.Lムーアが、キャサリン.ルシル.ムーアとは!髭面のオッさんを勝手に想像していた。アホでした。

  • 20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫)

  • 小説

  • 買いそびれていたのを古書店で見つけて購入。
    大満足なアンソロジーだった。他のも探して絶対手に入れなきゃ!

  • フレドリック・ブラウン「星ねずみ」The Star Mouse
    オーバービュルガー大先生の独り言口調がうつったミッキーと彼が到着した小惑星プルクシュルでブルクシュル人がその言葉を使ってミッキーとしゃべるとこがなんともユーモラス。「ミッキー、ひとちゅだけ忠告しておく。うっかり電流に触れぬようにな。君の脳中枢(のうちゅうしゅう)の新しい分子配列(ぶんしはいれちゅ)だがーきわめて不安定なのだー」

    アーサー・C・クラーク「時の矢」Time's Arrow
    発掘現場を舞台にしたタイムトリップもの。ラストのびっくりが2段階。

    アイザック・アシモフ「AL76号失踪す」Robot AL-76 Goes Astray
    ルナ・ステーションへ送り出されたはずのロボットが手違いでバージニア州にやってきた。他の人間に危害を及ぼす恐れのない限り人間の命令に従うもの、というロボットの性質を逆手に取った(?)ラスト(笑)

    レイ・ブラッドベリ「万華鏡」Kaleidoscope
    宇宙船が破壊されて宇宙空間に放り出された乗組員たちの話。美しい。

    ロバート.A.ハインライン「鎮魂歌」Requiem
    大金持ちの老人と地球と月の間の定期航路の仕事をクビになってボロボロの宇宙船を使った実演飛行のドサ回りをしている宇宙船のパイロットとエンジニアが月に旅立ついい話。

    C.L.ムーア「美女ありき」No Woman Born
    火災で亡くなった美しい女優を復活させる話。

    ウィリアム・テン「生きている家」The House Dutiful
    家が持ち主の希望を実現すべく力を発揮する。ホラー的理由じゃなくて元々そこに地球外生物が住んでいたからで、と。

    A.E.ヴァン・ヴォート「消されし時を求めて」The Search
    病院で目覚めた主人公、事故による記憶喪失だと思ったらそうではなくて、ややこしい話。

    エドモンド・ハミルトン「ベムがいっぱい」Wacky World
    ベムって…。人間が書いている小説が火星で実現していたら、すごいなこの発想。

    シオドア・スタージョン「昨日は月曜日だった」Yesterday Was Monday
    前に他の本でも読んだかも。実はこの世界は大きな舞台で舞台裏で“プロデューサー”やら“監督官”やら“小男”たちが暗躍している。

    チャールズ・L・ハーネス「現実創造」The New Realityぐるっと回ってアダムとイブかー、なるほど。

  • 1940年代、SFをSFにした巨匠たちの短篇作品を読める。著者の一覧を見れば、どんなにすごい人の作品が集められたのか分かるだろうとこれで面白くないわけがない。実際に読んでみても、どの作品も面白い。ずっとメインディッシュが出てくるコース料理のよう。しかも飽きることなく食べきって(読みきって)しまう。巨匠たちのスゴさを思い知らされた。読みやすいので、SF入門者にも安心してお奨めできる。

    以下、個別作品の感想。

    ◎星ねずみ(フレドリック・ブラウン)
    星新一のショート・ショートを彷彿とさせる翻訳文は読んでいてほっとさせられる。たまにはこのような法螺話を読むのも楽しい。「アルジャーノンに花束を」を思い出す。しかしこの作品は地球外生命体とのファーストコンタクトものになるのだろうか。

    ◎時の矢(アーサー・C・クラーク)
    「フィラデルフィア・エクスペリメント」を彷彿とさせる物語。短篇にしておくのはもったいない気がするし、ラストも予兆だけを示しているだけなので、もっと続きが読みたくなった。

    ◎AL76号失踪す(アイザック・アシモフ)
    人間とロボットの関係を考えさせられる物語。シンギュラリティーを迎えると起こるであろう事件が描かれている。これから迎えるロボット時代で起こりえることをシミュレーションするためにも、このようなSF作品は読んでおいた方がいいと思う。

    ◎万華鏡(レイ・ブラッドベリ)
    宇宙で死ぬことについて考えさせられる物語。この作品で起こったことは近い将来に発生してもおかしくない。そうなった場合、当事者や地球で見守る人々は事態に堪えられるのだろうか。救いのない結末である。だからこそ読者の心に訴えるものがある。

    ◎鎮魂歌(ロバート・A・ハインライン)
    月に行きたいという夢への想いをバシバシ感じる作品。まだ人類が月に行っていない時代に書かれた作品であり、きっと当時の世の中って、これくらい月や宇宙に夢中になった人がたくさんいたのだろうなと想像する。今では人類は月に行ったし、長期間の宇宙ステーション滞在もできるようになった。今の宇宙開発に対する憧れはこの物語が書かれた時よりも大きくなっているだろうか。

    ◎美女ありき(C・L・ムーア)
    サイボーグは生命なのか。考えさせられる。銀河鉄道999など機械の体を求めることが幸せかどうか問う物語は多い。本作品では、サイボーグとサイボーグを創った人間の心当たり動きを読者に提供し、倫理観を問われる。とても哲学的なお話しだ。

    ◎生きている家(ウィリアム・テン)
    こんな家があったら良いよね。こんな感じのことを思った人は多いだろう。自分の思い通りに奉仕してくれる家。食べたいもの飲みたいもの、すべて思えば出てくる。だけど、もしそんな家があったら、世界にどのようなインパクトがあるのか、恐ろしい結末が待っている。それでも住人になりたいと思うかもしれないが、果たして幸せになれるのだろうか。

    ◎消されし時を求めて(A・E・ヴァン・ヴォート)
    タイムトラベルしてしまった人の物語。少し難しかった。

    ◎ベムがいっぱい(エドモント・ハミルトン)
    笑った。火星を舞台にしたファーストコンタクトものではあるが、奇想天外でユーモア溢れるSF作品である。

    ◎昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)
    何も考えずに素直に読んで面白い。奇想だけどリアルも少し感じる。私は“役者”でしかなく、プロデューサーや脚本家が書いたシナリオに沿って演技している(させられている)というのは、神の存在や運命を信じるかどうかという話に近い。以外と世の中の真相はこの作品の通りだったりかもね。

    ◎現実創造(チャールズ・L・ハーネス)
    本物の現実とはなんだろう。この作品では人間の意識が現実を創造するとしている。読んでいると納得してしまいそうになるが、いや違うだろうと否定したい感情も沸き上がってくる。難しい話なのだけど難しくない。論理的だが直感的。そんな物語。

  • 2000年11月2日、初、並、帯無
    2015年8月1日伊勢BF

  • ブラッドベリの「万華鏡」が良かった

  • 有名作家のアンソロジー。

     まずは「星ねずみ(フレドリック・ブラウン)」。アイデアが楽しいが、ロマンがないからかユーモア小説にしか見えない。次は既読の「時の矢(アーサー・C・クラーク)」。いつもの通り冴えている。どんでん返しか気持ち良い。

     大御所作品「AL76号失踪す(アイザック・アシモフ)」も古き良き時代のロボット小説で心奪われる。そして本作一番の作品が「万華鏡(レイ・ブラッドベリ)」。流れ星のエンディングが最高だ。さらに 月へのロマンをフルに綴る「鎮魂歌(ロバート・A・ハインライン)」もすばらしい!

     非常に良いテーマだが、少し長くて飽きる「美女ありき(C・L・ムーア)」、あまりおもしろいと思わなかった「生きている家(ウィリアム・テン)」、流し読みした「消されし時を求めて(A・E・ヴァン・ヴォート)」、奇抜な発想が光る「ベムがいっぱい(エドモンド・ハミルトン)」、既読で再読してもあまりおもしろいと思わなかった「昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)」、興味深いテーマだが、文体に乗り切れなかった「現実創造(チャールズ・L・ハーネス)」。

     いい時代の古き良きSFだなぁ。

  • 一番最初だけあって大物作家ばっかり

    星ねずみは再読。博士ってこんな変なしゃべり方だったけ?
    時の矢。クラークの時間物。クラークにしては人間描写が上手い
    AL76号も再読。アシモフにしては科学的にありえなさすぎる
    万華鏡。ブレッドベリらしく情感たっぷり
    鎮魂歌。星屑がここにも。作家陣が本当に豪華
    美女ありき。うーん、描写が冗長。半分でいい
    生きている家。これってナノマシンの話?
    消されし時を求めて。印象が薄い
    ベムがいっぱい。いかにも初期SF
    昨日は月曜日だった。再読。これはアジャストメントと同じ。
    現実創造。長い。プリズムで世界崩壊ねぇ。

  • 40年代のSF作品ということで、どこか牧歌的な空気も感じられる作品群。

  • 時代別に編まれたSFアンソロジー第一巻。

    私が特に面白いと感じたのは、レイ・ブラッドベリ「万華鏡」とC・L・ムーア「美女ありき」。

    ブラッドベリは、それまでその作品世界に身を任せることができず、どうも苦手だ・・・と思っていたのだけど、この作品はその世界観をとても美しく感じた。
    溢れ出すイマジネーションと静かな抒情、人生の終わりに対する希望が抒情性豊かに描かれた、素晴らしい一品だった。

    そして「美女ありき」。
    これはSFという架空の設定(ifの世界)を設定することによって、抽象的なテーマを具体的な感情表現として描き出すことに成功した作品だと思う。
    微妙な感情の綾、愛するがゆえの人間同士の葛藤、大衆とスターの心理。
    それぞれの揺れる心理を抑えた筆致で描く文章が素晴らしいと思った。

    このアンソロジーは年代別に編まれているので、当時の「SF感(観)」も読書しながらあれこれ考えることができて楽しい。
    続巻も少しずつ読んでいきたいと思う。

  • 星ねずみ。
    夢があって、儚くて、ユーモアがあって、ほっこり。

  • 内容は全然古くない全て面白かった。
    各作家の長編を全部読みあさりたい。

  • このシリーズでSFの世界に足を踏み入れました。素晴らしいSFの入門ガイドです。年代毎に読んで行くことで、過去の作品の影響、未来への作品への息吹を感じ、歴史的な流れが線となって理解されます。

  •  「人間が想像しうることは全て実現可能である」などということばがあるが、SFというジャンルはそれを地でいくものだったのだ、ということが身にしみてわかる一冊だった。

     人間が宇宙へ行くということが夢のまた夢だった時代。月面着陸から何十年も前に、人間は火星に行き、次元を越えていたのだ。活字という宇宙の中で。

     戦争の渦中に描かれた作品もあるが、人間の想像力というのは過酷な状況下で生き抜くためのひとつの武器なのかもしれない。これからも、人間は未来へ向かって躍進していくのだろう。考えうることを現実にしていくために。

  • 40年代にネタはほぼ出てたんだなと実感。

    009の元ネタ(というより台詞だけだからオマージュ)が「万華鏡」だったのかと思い出した。

    個人的には「美女ありき」「現実創造」が好み。
    後者なんかイーガンが書いたと言われても信じる。

  • 恥ずかしながら、この辺の大御所はほとんど読んだことがなかったので、いい機会だった。

    クラークとアシモフはやっぱ読まんといかんな、と思いつつ、
    一番気に入ったのが『昨日は月曜日だった』。
    起きたのは水曜日の朝で、昨日は月曜日だった……なんじゃそりゃ(笑)と言う話。
    すげぇぜ、スタージョン。

  • 2004年10月2日

    カバーデザイン/祖父江慎
    カバー装画/MAYA MAXX
    フォーマット/粟津潔

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