20世紀SF 2 1950年代 (河出文庫 ン 2-2)

制作 : 中村 融  山岸 真 
  • 河出書房新社
3.64
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462035

作品紹介・あらすじ

英米SFを年代別に集大成!第2巻は一大SFブームがおきた1950年代編。電化製品があふれる一方、核実験が繰返された時代、SFは質・量ともに充実し、ひとつの頂点を迎えた。庭の芝生で老夫婦が空を見あげて待つものは…過去への郷愁と未来への希望を描いたブラッドベリの表題作、時代の不安が色濃くただようディックの初期の名作ほか、黄金の全14篇。

感想・レビュー・書評

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  • 名品揃い。サイエンスなだけがSFじゃない。

  • 「父さんもどき」(The Father-Thing)フィリップ・K.ディック 著(F&SF誌1954年12月号に発表) 日本題が内容を著している。ちょっと「盗まれた街」(1955発表 ジャック・フィニ著)に似ている。発表年もほとんど同じだ。

    「ひる」ロバート・シェクリイ 著
     すべてを食い尽くす「ひる」と称される物体。最後には太陽をも食い尽くし、爆発し胞子となって漂う。


    初めの終わり / レイ・ブラッドベリ 著
    ひる / ロバート・シェクリイ 著
    父さんもどき / フィリップ・K.ディック 著
    終わりの日 / リチャード・マシスン 著
    なんでも箱 / ゼナ・ヘンダースン 著
    隣人 / クリフォード・D.シマック 著
    幻影の街 / フレデリック・ポール 著
    真夜中の祭壇 / C.M.コーンブルース 著
    証言 / エリック・フランク・ラッセル 著
    消失トリック / アルフレッド・ベスター 著
    芸術作品 / ジェイムズ・ブリッシュ 著
    燃える脳 / コードウェイナー・スミス 著
    たとえ世界を失っても / シオドア・スター・ジョン 著
    サム・ホール / ポール・アンダースン 著

    2000.12.4初版 図書館

  • あーこんな豪華な執筆陣。素晴らしい短編。なんと贅沢。これが安価な文庫本なんて!50年代って充実の時期と改めて思うのでした!

  • 1 初めの終わり Bradbury Ray/著 中村 融/訳
    2 ひる ロバート・シェクリイ/著 浅倉 久志/訳
    3 父さんもどき フィリップ.K.ディック/著 大森 望/訳
    4 終わりの日 リチャード・マシスン/著 安野 玲/訳
    5 なんでも箱 ゼナ・ヘンダースン/著 深町 真理子/訳
    6 隣人 クリフォード・D・シマック/著 小尾 芙佐/訳
    7 幻影の街 フレデリック・ポール/著 伊藤 典夫/訳
    8 真夜中の祭壇 C・M・コーンブルース/著 白石 朗/訳
    9 証言 エリック・フランク・ラッセル/著 酒井 昭伸/訳
    10 消失トリック アルフレッド・ベスター/著 伊藤 典夫/訳
    11 芸術作品 ジェイムズ・ブリッシュ/著 白石 朗/訳
    12 燃える脳 コードウェイナー・スミス/著 浅倉 久志/訳
    13 たとえ世界を失っても シオドア・スタージョン/著 大森 望/訳
    14 サム・ホール ポール・アンダースン/著 広田 耕三/訳
    15 SFブームとその終焉 中村 融/著

  • 20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)

  • 小説

  • 懐かしもののアンソロジーは安心して楽しめる。

  • SFがしっかりと成長した結果、多種多様な作品が生まれた時代のようだ。中には現在では実現してしまったテクノロジーなどが見られるが、作品としてしっかりしているので、テクノロジー云々以外のところで楽しめる。SFの入門にはならないけど、最近SFを読み始めたので、経験したことがない1950年代という時代を知りたい人にはうってつけだろう。個人的に好きな作品を挙げると、「終わりの日」「隣人」「幻影の街」といったところ。

    以下、個別作品の感想。

    ◎初めの終わり(レイ・ブラッドベリ)
    宇宙時代の始まりを描いた作品。これはSFなのかなあと感じてしまうほど、今となっては普通の出来事。当時は夢のような話だったのだろうと想像しながら読むと楽しめる。題名が「初めの終わり」であり、「初めの始まり」ではないことが、現代の宇宙活用時代を見透かしていたようで作者の慧眼に驚く。

    ◎ひる(ロバート・シェクリイ)
    “昼”ではなくて“蛭”だったのか。なんでも食べるひるがどんどん成長して地球を食いつくしかねない状況。これは恐ろしい。面白かった。

    ◎父さんもどき(フィリップ・K・ディック)
    これも何か恐い話だ。宇宙人の侵略でもないし、行きすぎたテクノロジーの暴走でもないし、自然の反乱なのかなあ。

    ◎終わりの日(リチャード・マシスン)
    地球最後の日をどう迎えるか。個人の本性が出るところかもしれない。よくあるのは絶望した人々が略奪や殺戮を続けてどうしようもない世紀末の地獄が描かれるものだ。本作品もそんな感じなのかと思いきや、最後はいい話になる。母ちゃん最高だぜ!

    ◎なんでも箱(ゼナ・ヘンダースン)
    少々難しかった。“なんでも箱”は何を象徴しているのか理解できなかった。少女が求める理想郷? 分からないが、何となく恐怖を感じた。

    ◎隣人(クリフォード・D・シマック)
    ほのぼのとする作品。ある意味で理想郷なのだろうなあ。人間は欲深くないありのままの現状を受け入れる生活を望むのが最良なのかもしれない。面白かった。

    ◎幻影の街(フレデリック・ポール)
    この時代に知能の仮想化のような話が発表されている事実に驚いた。また、当時は存在しなかったインターネットマーケティングのような概念が登場しており、今読んでも面白い。

    ◎真夜中の祭壇(C・M・コーンブルース)
    あまり内容を理解できなかった。これから物語が進むのかなと思ったところで終わっているようだ。

    ◎証言(エリック・フランク・ラッセル)
    ソウヤーの「イリーガルエイリアン」を思い出す作品。エイリアンが被告人となって地球の法廷で裁かれる。この光景、想像すると笑えてくる。ファニーでもありシュールでもある。

    ◎消失トリック(アルフレッド・ベスター)
    戦争のショックで特殊能力を身につけてしまう患者たち。病棟から消えて戻ったりを繰り返す現象を起こす。物語自体が面白い。どこかコミカルである。

    ◎芸術作品(ジェイムズ・ブリッシュ)
    人工知能で亡くなっている芸術家を復活させる。作曲家ではなく文筆家を人工知能で復活させる技術はすでにGoogleが手掛けており、2016年にwiredで記事にもなっている。きっと作曲家の人工知能も実際に研究されているに違いない。2016年になって、現実の世界がSFに追い付きつつある状況ともいえる。逆に1950年代にここまで未来を予想できていたのが素晴らしい。この作品は技術云々よりも人工知能(のようなもの)の心情を綴る表現が出色である。

    ◎燃える脳(コードウェナー・スミス)
    これは宇宙を舞台にしたラブストーリーではないか。人(人格といってもいいかもしれない)の本質的な姿、愛とは、などをSFを舞台にして語られる。ラストでは周りから見れば大変そうだなと思うかもしれないが、当人にとっては最高の幸せを手に入れたのかもしれない。

    ◎たとえ世界を失っても(シオドア・スタージョン)
    ネタバレになってしまうかもしれませんが、同性愛者の物語だ。本作品の出版当時であれば許されたのかもしれないが、現在では差別的とされて受け入れられないかもしれない。当時は当時でタブーに挑戦したのだと思うが、現在では異なる角度でタブーに対してしていると思う。

    ◎サム・ホール(ポール・アンダースン)
    マイナンバーが日本国民に配布されてからは、政府の国民の管理がどの程度までなされるのか、不安がより現実になってきた。この作品も国民をコンピュータ管理する世界を描く。架空のデータをコンピュータに投入することで、革命をなそうとする。現実は、セキュリティを保つために単独でデータ改竄するのは不可能だと思うのだが、それはこの時代のおおらかさなのか実行できてしまう。まあ、このような抜け道があるからこそフィクションとして楽しめるわけだけれど。普通に面白かった。

  • 「初めの終わり」 レイ・ブラッドベリ
    「ひる」 ロバート・シェクリイ
    「父さんもどき」 フィリップ・K・ディック
    「終わりの日」 リチャード・マシスン
    「なんでも箱」 ゼナ・ヘンダースン
    「隣人」 クリフォード・D・シマック
    「幻影の街」 フレデリック・ポール 
    「真夜中の祭壇」 C・M・コーンブルース
    「証言」 エリック・フランク・ラッセル 
    「消失トリック」 アルフレッド・ベスター 
    「芸術作品」 ジェイムズ・ブリッシュ 
    「燃える脳」 コードウェイナー・スミス 
    「たとえ世界を失っても」 シオドア・スタージョン 
    「サム・ホール」 ポール・アンダースン

    SF読みならどこかで読んだのも幾つとなくあるでしょうが、再読を楽しめる作品ばかりだし、SF初めての方にはバリエーション豊かではずれが少ないとこでオススメしやすいかな。

  • 50年代の英語圏のSFのアンソロジー。
    レイ・ブラッドベリ「初めの終わり」★★★☆☆
    ロバート・シェクリイ「ひる」★★★★☆
    フィリップ・K・ディック「父さんもどき」★★★★☆
    ゼナ・ヘンダースン「なんでも箱」★★★★☆
    クリフォード・D・シマック「隣人」★★★★★
    フレデリック・ポール「幻影の街」★★★☆☆
    C・M・コーンブルース「真夜中の祭壇」★★☆☆☆
    エリック・フランク・ラッセル「証言」★★★★★
    アルフレッド・ベスター「消失トリック」★★☆☆☆
    ジェイムズ・ブリッシュ「芸術作品」★★★☆☆
    ゴールドウェィナー・スミス「燃える脳」★★☆☆☆
    シオドア・スタージョン「たとえ世界を失っても」★★☆☆☆
    ポール・アンダースン「サム・ポール」★★☆☆☆

    面白くないのもあったので、全体としては★★★ということで。

    エリック・フランク・ラッセルの「証言」は良かったなあ。
    判官贔屓というか浪花節というか。
    女性にはそんなに面白くない話かもしれない。

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著者プロフィール

1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。少年時代から魔術や芝居、コミックの世界に夢中になる。のちに、SFや幻想的手法をつかった短篇を次々に発表し、世界中の読者を魅了する。米国ナショナルブックアウォード(2000年)ほか多くの栄誉ある文芸賞を受賞。2012年他界。主な作品に『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など。

「2015年 『たんぽぽのお酒 戯曲版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

レイ・ブラッドベリの作品

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