- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462288
作品紹介・あらすじ
『大胯びらき』とは、ポピュラーな舞踊上の術語で、胯が床につくまで両脚を広げること。だがこの小説では、少年期と青年期のあいだの"大きな距離"を暗示している。死と青春を描く表題作の他、渋沢訳の戯曲を集めた傑作集。
感想・レビュー・書評
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◇コクトーによる青春小説。
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少年から青年への大きな飛躍をバレエの大跳躍、Grand écart に擬えた。ジャック(主人公)が服毒自殺を試みる場面が迫真。コクトーも阿片中毒だったらしいから、その実体験に基づいているのかもしれない。もっと現代の小説ならば、ここで作中人物の主観だけで押し通すこともできたのだろうが、残念なことに、途中で著者が出てきてしまった。
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再読。澁澤龍彦25歳当時の翻訳。
基本的には若者の恋愛もので青春もので群像劇的な内容なのだけど、愛人に囲われてる女性と良い仲になったものの自分の嫌いな友人に彼女を奪われ自殺未遂までしちゃう主人公ジャックくんの甘ったれた性格にはちょっと共感できず。 -
澁澤龍彦の翻訳デビューがこれだった。澁澤26歳の刊行というから驚きだ。まるでポルノグラフィーのようなタイトルだが、これは原題そのままを訳したもの。ただし、これは舞踏の用語であり、また作品中ではカンカン踊りのフィナーレとして登場している。物語には、いわばパリ版の高等遊民が描かれており、青年期への大きなステップを表してもいるのだろう。澁澤の高く評価する恋愛小説とされるが、共感性の持ちにくい作品でもある。コクトーの自伝的な要素も強く、コクトー自身をも、そして読者をも突き放した描かれ方がされているからだろう。
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読んだのは福武文庫ですが、入手の便宜上こちらを登録。コクトー独特の世界と若き渋沢龍彦の翻訳がマッチし、個人的には「恐るべき子供たち」と並んで好きな一冊です。
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少年が青年へと成長する様を描いた青春小説である。少年期の痛々しく、瑞々しい躍動に溢れ、それを典雅な文章が包み込んでいる。
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あんまり残ってない。
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渋沢龍彦の名訳だが、少々名調子すぎるきらい。真と贋の区別がもはや無効となった世界。ひとえに仏両大戦期間の時代状況。ジッドの『贋金づかい』(出版は1925年、本書の2年後)と併せて読むべし。
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コクトーの中で一番好き。澁澤の名訳が絶品。