世界の涯の物語 (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.71
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本棚登録 : 204
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462424

作品紹介・あらすじ

現代ファンタジーの源流であり、いまなお魔法のきらめきを失わない特別の作家ダンセイニの初期幻想短篇集二冊を完全収録。盗賊サンゴブリンドに下された過酷な運命。"絶無の都"へいたると予言された子供の旅。老人から買った魔法の窓が見せたもの。水夫が偶然知った海の秘密…。神話的な物語に、ユーモアに満ちたほら話が織りまぜられた珠玉の三十三篇。

感想・レビュー・書評

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  •  どことなくラヴクラフトっぽいと思ったらラヴクラフトがフォロワーだった。「なぜ牛乳屋は夜明けに気づいたときに戦慄き震えたか」とか、雰囲気が似てる。

     幻想小説に飢えて読んだけどWW1以前と以後では幻想小説の在り方が変わっていると顕著に感じる。

  • 2004-05-00

  • w

  • 『驚異の書』『驚異の物語』を合わせた短編集。ここじゃない場所に連れて行ってくれる力がまさに驚異。

    ダンセイニの物語は、小学生のころの読書体験に近い感覚を与えてくれる。脳に読書用の領域があるとして、その旧皮質寄りの部分が発火する感じだ。読めているかどうかなどまったく気にせず、テクストが自分の中に響かせるこだまも意識しないでひたすら読んでいた時代の読み。書かれていることは別世界のごく一部であって、「向こう側」にはもっと広い世界があってさまざまなものが存在しているという感覚。なつかしいと同時に、今もなおそういう読み方をさせてくれる本があることに幸せになった。ときどきはここに帰ってきたい。

    文庫なのにシームの挿絵がたくさん収録されているのもうれしい。「向こう側」への想像がいっそう広がる。

  • ファンタジーの世界では名高い作家だが初読になる。結構前に読み始めたのだが時間がかかってしまった。コンパクトながら詳しい解説にもあるようにラヴクラフトやアーサー・C・クラークにも影響を与えた偉大な作家のため、やや重めに扱われたきらいがあり、そのユーモアの面をより広く紹介したかったとの訳者の一人中野善夫氏が書いておられ、皮肉だったり意外なオチだったりそういった作品が目立つ。ただその中でも好みとしては、妄想の中に逃げていく主人公が現代的な「トーマス・シャップ氏の戴冠式」、水晶の力に頼ってチェスにはまるボンクラ3人組の「チェスの達人になった三人の水夫の話」、悪魔の3つのお願いが元と考えられる笑死のジョークについてのユーモア小説「三つの悪魔のジョーク」などより日常性の
    強いものの方がより好み。一方壮大な冒険譚の一部の様な「陸と海の物語」もまた魅力的だった。

  • 盗賊や海賊や泥棒のたぐいのならず者主人公率が高い、ほら話的短編集。『女王の涙を求めて』が好き。

    (訳者あとがきより)
    オリジナル短編集に掲載されたシドニー・H・シーム(Sidney H. Sime)(1867-1942)の挿し絵をすべて収録。
    ダンセイニとシームは『ぺガーナの神々』からの切っても切れない関係であり、なかには挿し絵が先にあって、それを見たダンセイニが想像力を喚起されて作品を書いたものもあるという。

  • 「指輪物語」で旅にでるところまで行き着かなかった以来、ドラゴン、魔法使い、騎士、ライオンもどき、丸メガネ小僧の出る俗にいう「ファンタジー」には寄り付かないことにしている。で、ダンセイニも、ラブクラフト、足穂への影響ということで気になりつつ避けていたわけだが、家にあったので読んでみると・・・、10ページに満たない小説?叙事詩?散文詩?によるいろいろな場所にある世界の涯の物語は、ぐるぐるぐると想像を喚起させる。「なぜ、牛乳屋(ミルクマン)は夜明けに気づいたときに戦慄(おのの)き震えたのか」を知りたいなら読むべき。
    ファンタジーというより、ラファティとかの人をくったような法螺話の雰囲気。山尾悠子もこの流れ。
    ぜひ、ダンセイニに「指輪物語」を5ページぐらいでまとめてもらいたいもの。

    第一次世界中の1916年に書かれたアメリカ版『驚異の物語』の序文の言葉が胸を打つ。(引用参照)

  • 幻想文学の古典、現代ファンタジーの源流といわれるダンセイニの初期作品〝驚異の書〟と〝驚異の物語〟が収録されている短編集です。登場するのは妖精や魔法使い、異教の神々や盗賊に船乗り、ドラゴンやスフィンクスなどなど伝説の生き物たち。夢や浪漫を感じさせるものばかりです。さらに、翻訳の文体がそれらしい雰囲気を醸し出していて、それがまた本書の魅力になっています。
    著者はアイルランドの名門貴族であり、ダンセイニ城の18代城主だそうです。祖父はナポレオン軍を迎え撃ったイギリス海軍提督。母方の家系には〝アラビアンナイト〟を著したリチャード・バートン卿がいらっしゃるとか。ダンセイニ自身は、幻想小説の他にも、戯曲、詩、評論などの執筆活動を盛んにする傍ら、軍人でもあり、射撃の名手でもあったようです。そのほかチェスやクリケットなど、幅広い分野で活躍されました。
    〝驚異の物語〟が書かれたのは1916年。第一次世界大戦の真っ最中と知りびっくりしました。

  • 初読みです。読み始めは戸惑った。
    これは何だ?叙事詩?神話?寓話?御伽噺?
    たかだか10ページにも満たないお話ばかりなのに、
    この描写力ときたら!
    現代ファンタジーの源流という言葉が納得できた。
    色んな幻想小説の素が、いたるところに散らばっている。
    時に情熱的に強引で、狡猾で悲惨で皮肉めいていて
    想像力を広げたもん勝ちの世界ですよ。
    しかも、ことごとく予測を裏切る。あぁ~幸せ。
    第二弾も後から読みます(o^o^o)

  • 12/12 読了。
    立派なファンタジー長編になりそうな要素をギュッと詰め込んで、すごい密度になった短編作品たち。これぞまさにファンタジーの宝箱状態!産業革命やWW1に跨る時代背景も読み込んでいくとより面白いかも。

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著者プロフィール

本名はエドワード・ジョン・モートン・ドラックス・プランケット(1878‐1957)で、第十八代ダンセイニ城主であることを表すダンセイニ卿の名で幻想小説、戯曲、詩、評論など多くの著作を発表した。軍人、旅行家、狩猟家、チェスの名手という多才なアイルランド貴族だった。『ペガーナの神々』をはじめとする数々の著作により、その後のファンタジイ作家たちに多大な影響を与えた。

「2015年 『ウィスキー&ジョーキンズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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