毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.59
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本棚登録 : 406
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462448

作品紹介・あらすじ

カルパチアの保養地で毛皮の似合う美しい貴婦人と出会った青年は、残酷なヴィーナスに足げにされ鞭打たれる喜びを発見する。二人はフィレンツェに旅し、青年は婦人の奴隷になる契約を結ぶが、彼女に接近するギリシア人の出現に新たな苦悩の快楽を体験する-マゾヒズムの性愛を幻想的な世界に昇華させ、サドと並び称されるザッヘル=マゾッホの傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • SMのMの方の語源、ザッヘル=マゾッホの代表作です。Sの語源の方のマルキ・ド・サドの方は、いわゆる乱交やショタなどハードコアからキワモノまでエロならほぼオールジャンルで作品が残ってますが、マゾッホの方は、実は歴史小説など真面目な著作で文壇では名がしれていたようです。ただ、今日有名なのはMの概念と共に、その元凶の『毛皮を着たヴィーナス』くらいです。でも、元ネタとしてしっかり読んだ人は相当の読書通以外居ないでしょう。私も今日の今日までしっかり読んだことはなかったから、今回通読してみました。

    一言。「スゲェ、本格SM小説だ、これ!!!」

    いやはや、分かりやすい。分かりやすく王道のSM小説ですわこれ!鞭振るうわ、幽閉するわ、アゲて(ちょっとおだてて)落とす(ムチ!)わ!ここまで分かりやすくSMだと、逆にこういう小説が遥か140年も前に書かれていた事の方に驚きます(まさに元祖SM小説、ですね)。
    しかも、単純なSM小説じゃない。これ、物凄い愛の物語でもあるんですよね!「奴隷にして下さい!」って必死に愛人に叫びまくる、手フェチ足フェチ嗜虐性基地外クズオトコのゼヴェリーンと、そのクソど変態男に押されるうちに目覚めんでよかったものに目覚めさせられていく女王様ワンダとの。いや、私がワンダだったらこのクラスのM男に即落ちしちゃう気持ち分かるけど。でも、ひたすら可哀想だったねワンダ。本当は男にリードして欲しかった、ただそれだけだったのにね、この人。ゼヴェリーンみたいなクズに愛されなかったらいやむしろ出会わなかったら、どんだけ楽な恋愛生活送れただろうこの人。

  • 再読。
    サディストは説教臭いが、マゾヒストは、わがままだ。
    自分の理想とする「ヴィーナス」を求め、「もう愛してないのですか?」とうるさく聞くのが厄介。マゾヒズムが内包しているジレンマに身を焦がし悶え、「超官能的」とのたまう。マゾヒズムはナルシズムの変形なのか?
    その昔、読んだときは文学臭さが鼻につき閉口したが、マソヒズムってのはそういうことなのね。

    で、結局これってワンダの荒治療によって、ゼヴェリーンのマゾヒズムが矯正されたって話なの?

    そうえいば、ポランスキーが映画化するらしい。期待。

    • chabu-daiさん
      コメントありがとうございます。
      サディストは説教臭く、マゾヒストは我儘です。ちゃんと虐めてもらえないと不機嫌になるマゾって厄介ですよね。
      と...
      コメントありがとうございます。
      サディストは説教臭く、マゾヒストは我儘です。ちゃんと虐めてもらえないと不機嫌になるマゾって厄介ですよね。
      ところで、この小説って、マゾヒストから矯正されたって話なんでしょうか??
      2013/04/25
    • 深川夏眠さん
      どうなんでしょう?
      なんだかんだの揚げ句、180°人が変わったような言動――ですが、
      矯正されたというより「あれ」と「それ」は表裏一体で...
      どうなんでしょう?
      なんだかんだの揚げ句、180°人が変わったような言動――ですが、
      矯正されたというより「あれ」と「それ」は表裏一体で、
      何かのきっかけでヒョイと反転するものなのか……と、
      実感の籠もらない声で呟いてみたりして(笑)
      2013/04/25
    • chabu-daiさん
      なるほど!表裏一体ね。
      通俗的な表面的に行為だけで判断してもだめなのかも。
      変なこと聞いてすみませんでした。
      なるほど!表裏一体ね。
      通俗的な表面的に行為だけで判断してもだめなのかも。
      変なこと聞いてすみませんでした。
      2013/04/25
  • サドを選んだ以上は、マゾもねということで。
    ラストシーンで調子に乗った女王役のヒロインが、愛人の男にSプレイさせようとして、主人公から「お前は何もわかっていない」みたいに愛想つかされたのは笑いました。
    そういえば、『殺し屋1』っていう漫画で、ドMの変態男が女の子に鞭で叩いてもらうんだけど、その女の子がすごく痛そうな顔をするのを見て、「お前は何もわかっていない」みたいに愛想つかしてました。M心って複雑ですね。


    ちなみに、サディズムとマゾヒズムを分けたのはクラフト・エビングなる精神科医ですが、両者を対立するものとしてでっちあげたのは、人類の知における大きな負の遺産だと思います。
    マルキ・ド・サドの小説にも、洗ってない老婆の肛門を押し付けられることが大好きな貴族とか出てきますしね。そんな単純に分類できるもんじゃないんですよ。

    猥談はけっこうですが、「お前はSとM、どっち?」みたいなアホな質問は控えましょう。

  • サドの『監房哲学』を読んだので、じゃあ今度はマゾッホだろうと『毛皮を着たヴィーナス』を読んだ。

    マゾの作品のマゾ性が愚かさとして退けられている。最後までマゾ性を肯定して、骨の髄まで味わっていたのかと思った。妄想から明晰な認識へと克服されてしまった!しかしマゾ性が強烈な想像力に支えられているのはこの小説を読んで分かった(+であれ-であれ強力な絆\(^o^)/)

    ということは仮に愚かさであるとしても、マゾは一般的解釈を拒んで新たな文脈を取り結ぶ必要がある以上、頭良くないと無理だね。

    そしてゼヴェリーンいわく男と女が同等になるのは、女が男と同じ水準の権利、教養、労働をもった時で、そうでなければ男と女は対等ではありえず、金槌になるか金床になるかのいずれらしい。そこでセヴェリーンが金床を選択したらMの権威として完璧だったのに(ひょっとして、そういう記述をすることで読者のMを刺激してるのか?そうか、そうに違いない。うおおおお!と想像して信じられて盛り上がれるのがM)。

     ヴィーナスの立場で読むと、毒をもって毒を制する教育小説。相手の期待に応えて、上回り、ついには度を越えて、目を覚まさせる。ハイパー教育。

     サドよりもマゾッホのほうが文章において表現も教養も豊かで面白い。一方マゾッホよりもサドのほうが刺激的なシーンが満載で面白い。Sは残酷さ/支配感に快感を覚え、Mは想像力に快感を覚える。ではある種のニーチェ的に想像力には弱者の徴を、刺激には強者の徴を見出せるのかもしれない。実に・・うまくできた話・・。

  • いや、面白かった。いっきに読みました。

    「マゾヒズム」の語源ともなった一冊。「マゾヒズム」というのは、「マゾッホの作品に描かれるような形式の恋愛」を指すので、一般的に言われる「わたし、マゾっ気があるのよね」はちょっと違うらしい。

    とするなら、作中出てくるゼヴェーリン(奴隷時の名前がグレゴール・・・って『変身』やん)はもちろんのこと、彼をいたぶる「毛皮を着たヴィーナス」ことワンダもまた、マゾヒストなのだろうか。

    女に対し服従し、痛めつけられ、それがゆえに愛を深める。女の浮気相手に痛めつけられてもなお。それは、「近代」の恋愛の最終形態だそうですよ。はてさて、われわれは恋愛、してるんだろか。

  • マゾッホの本です♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      うわ~
      夏に読んだら暑くて死ぬ?←何莫迦なコト書いてるんでしょうね。。。
      うわ~
      夏に読んだら暑くて死ぬ?←何莫迦なコト書いてるんでしょうね。。。
      2012/07/07
  • 有名な「マゾ」の語源の人。
    毛皮フェチ、NTR、奴隷、放置、、、今なら別の用語で表現できそうな、「私」の性癖。幾度の警告にもめげず、ついに彼の願望は高まっていき……
    結局、鞭で打たれても無視されても、愛がほしいだけじゃないかという。性的恍惚が!という感じではなく、精神的な喜びなのね。

  •  いわずと知れたマゾヒズム文学の代表。むしろ、マゾヒズムへの関心を抜きにして誰が読むのか、といった作品。その内容の異常さ故か、とても読みづらい。
     ≪毛皮を着たヴィーナス≫に対する主人公には、≪ヴィーナス≫への忠誠や被虐嗜好だけではなく、独占欲や憤怒、悲しみといった種々様々な感情が渦巻いている。それらの独白はこの主人公の本心というものがどこにあるのか疑わしくさせ、二人を駆り立てているものが何なのか、私にはわからなくなってしまった。
     マゾヒズムが他人から打たれて喜ぶ性癖だ、とだけ思っているなら、話から取り残されてしまう。

  • マゾヒズムの語源として有名なマゾッホの小説。マゾヒズム的傾向について考えるいいきっかけになる。描かれているようなマゾと現代のマゾ精神的な意味でのマゾにはかなり隔たりがあるように思うけれど、たとえば従うということの中にある種の恍惚としたもの自己主張の激しい世の中において想像されにくくなってきているけれどたしかにあるであろう感情がここにはあるようで面白かった。

  • マゾヒズムの語源になったという小説。
    内容はなかなか倒錯しています。
    ご興味ある方は、どうぞ。

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