宇宙の果てのレストラン (河出文庫)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462561

作品紹介・あらすじ

小腹を満たしに、宇宙の果てのレストランへ行く途中、攻撃された"黄金の心"号。乗っていたアーサーたちは、離ればなれになってしまう。元・銀河大統領ゼイフォードと鬱型ロボットのマーヴィンが、とだりついた星で遭遇したのは!?宇宙を揺るがす迷真理を探る一行の、めちゃくちゃな冒険を描く、大傑作SFコメディ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 銀河ヒッチハイクガイドシリーズ2冊目。



    お腹が空いたから一番近い”宇宙の果てのレストラン”に行こう!
    …ところが<黄金の心>号はヴォゴン人からの攻撃を受けてしまった。
    ヴォゴン人は、地球を滅ぼすという指令を受けたのに、二人の地球人が抜け出して銀河ヒッチハイク出たから今度こそ指令を成し遂げようと張り切ってしまってる。
    指令を出したのは銀河系の精神学者たち。なにしろ地球は「宇宙の究極の問いを応えるために作られたスーパーコンピューター」であり、抜け出した二人、アーサー・デントとトリリアンはその地球の一分なんだ、彼らを抹殺しないと「宇宙の究極の問い」の答えが出てしまうではないか!
    無限不可能性ドライブ(恒星間移動に際しあらゆる場所を同時に通過する機能)を搭載した<黄金の心>号に乗っているのは、この船を盗んで銀河指名手配となった元銀河大統領ゼイフォード、ガールフレンドのトリリアン、鬱アンドロイドのマーヴィン、ペテルギウス星系出身で銀河ヒッチハイクガイドの調査員のフォード、そしてフォードにより破壊寸前の地球から助け出された元イギリス人(地球は滅びてイギリスももうない)アーサー。
    なんとかヴォゴン宇宙船からの攻撃から逃れた彼らはバラバラに別れてしまう。
    ゼイフォードとマーヴィンが連れてこられたのは「銀河ヒッチハイクガイド」出版社で、そこでゼイフォードは「宇宙の真の支配者に会え。そのためにお前は自分で自分の記憶を封じたうえで銀河大統領になったのだ」とか言われる。そして究極の精神拷問機の「事象渦絶対透視機」のある星、フロッグスター星系惑星Bに飛ばされる。このなんちゃら透視機というのは、そこに入ると宇宙全体のすべてを見せられてその中で自分がどんなに小さい存在かを見せつけることにより精神崩壊させるんだそうだ。
    …しかし宇宙の楽しいことすべてを知ってると言われるゼイフォード、元気いっぱい余計に余計な自信をつけて復活!「自分こそが宇宙の絶対的中心だと分かったよ!!」

    ゼイフォードとトリリアンは、銀河の辺境に住む宇宙の支配者に会うことになる。
    小さな小屋で外の世界にまるで興味を示さず、しかしその意思で宇宙の運命が決定される男。「案外いいやつじゃないか」

    そしてアーサーとフォード、ゼイフォード、トリリアンは合流した。
    そうなったら今度こそ「宇宙の果てのレストラン」へ行く。

    ”宇宙の果てのレストラン”とは、距離の果てではなく、時間の果てのこと。
    この宇宙が破壊する五千七百六十億三千五百七十九年後の未来へ時間旅行を行い、 時間の相対静力学作用によって虚無の中に保持され保護されているレストラン内から宇宙の大爆発と終焉を見物するという一種のショーだ。

    このレストランでのひと時を過ごした後、アーサーたち一行は元の時間軸に戻る。
    しかし攻撃を受けた<黄金の心>号の代わりに盗んだ黒い宇宙船が曲者だった。
    彼らはまたバラバラに。
    アーサーとフォードは、惑星ゴルガリンチャムから新たな星に移住するゴルガリンチャム人たちと一緒にある星に不時着する。
    ゴルガリンチャム人たちはまったく糞の役にも立たないノータリンの集まりだ!
    彼らから離れたアーサーとフォードは、星を散策してある目印を見つける。

    その目印により、まさしくその星が二百万年前の地球だとわかる。
    …この星は作られたばかりのスーパーコンピューター、地球だ!
    せっかく帰ってきたのに、ノータリンのゴルガリンチャム人たちが人類の祖先になるのか?そして二百万年後にはまた地球は破壊されるのか?!

    …考え過ぎて嫌になってきたアーサーは、とりあえず「宇宙ヒッチハイクガイド」を川に投げ捨てましたとさ。
    (→「宇宙クリケット戦争」へ続く)

  • 「銀河ヒッチハイクガイド」シリーズの第二弾。2冊目になって、だいぶこの世界観に慣れてきて読みやすくなった気がする。カタカナ職業に対する皮肉がおもしろい。いけすかない連中に対する気分は万国変わらないようだ。

  • 「宇宙ヒッチハイクガイド」の続編。前作同様、馬鹿馬鹿しいほどにナンセンスなブリティッシュジョーク連発。冒頭の「はじめに宇宙が創造された。これには多くの人がたいへん立腹したし、よけいなことをしてくれたというのがおおかたの意見だった。」から爆笑した。

    宇宙の果てのレストラン〈ミリウェイズ〉で宇宙が終焉を迎えるその瞬間を観賞するとか、宇宙の支配者に会ってみたら、実在論だか 唯心論だかを吐く孤独な引きこもりだったとか、相変わらずの奇想天外ぶり。本作終盤で、フォードとアーサーがタイムスリップして古代の地球に不時着しているので、その後の展開も気になるなあ。

  • 出だしでプッと笑う。
    「ここまでのあらすじ - はじめに宇宙が創造された。これには多くの人がたいへん立腹したし、よけいなことをしてくれたというのがおおかたの意見だった」

    こういう調子の、皮肉でナンセンスなブリティッシュジョークが次々繰り出される。にやっとしてしまう所はいろいろあるが、一番気に入ったのはカクラフーンのベルセレボン人のくだり。知的で洗練されていて非常に静かな文明を築き上げたことが「胸が悪くなるほど独善的でけしからぬ行為」だとされ、銀河帝国裁判所から刑罰として「この上なく残酷な社会的疾患、すなわちテレパシー能力」を与えられた結果、他人に自分の心の内を読まれまいと、たいへんな大声でひっきりなしにしゃべりつづけるはめになってしまったんだと。「たとえば天候のこと、ささいな身体の痛みや不調のこと、午後の試合のこと…」

    「銀河ヒッチハイクガイド」に比べたら、ストーリーもきちんとある…んじゃないかなあ、という気がする。気のせいかもしれないが。

    「銀河」を読んだときも思ったけど、これってやっぱりラジオドラマとして聞くのが一番面白いのでは? 場面転換にドラマ的な「間」をすごく感じる。

  • シリーズ2作目。
    ユーモア満載。前作よりブラック。

    改めて思うと、
    1作目は作品全体のバランスがとれた、
    天才的、且つ秀才的作品。
    2作目は作者が自由に好き勝手書いてる、ヤンチャな作品、かな。
    読んでて振り回されてる感じが前作以上。
    そして3作目を読みたくなる残尿感。

    でも面白い!
    面白くて洒落てる。
    面白くてカッコイイ。

    ある意味、救いの無いストーリー。
    世界の殆どがくだらなく思えてしまうストーリー。
    これはダグラス・アダムス自身の世界観?

    救いが無い事で、むしろ救われる感覚もあったりして。。

    宇宙の果てのレストランでガラガラドッカンを飲みたくなる作品です。

  • 宇宙のスラップスティック・コメディ
    とっても読みやすくて、訳文の魅力もあって、楽しく読めます
    しかし、前作から続き余談というか脱線というか、
    『銀河ヒッチハイク・ガイド』によると…という文脈ではじまる宇宙ウンチクに小ネタがまあまあ長い展開で、それはとても面白いのですが、マジの脱線だったりもすんので、ここにしかない味わいだなーと思います
    コメディSF、というかバカSFのお手本がここにあるんだな…とのんびり読んでましたが
    突然ちゃんとしたシリアスにシフトしたり、『ドラえもん』で見たやつだ! と盛り上がるし某名作映画を思わせる展開もあったりと、賑やかです
    ただ、個人的な推しの某ロボットがちょっと途中で行方不明になってしまったので、それが気がかりなのですが、きっとぶつぶつ文句を言いながら戻ってきてくれるはず
    (# ̄З ̄)

  • 前作の『宇宙ヒッチハイクガイド』と同様、奇想がいっぱいで楽しい。宇宙の終わりをリアルタイムで観ることができるレストランでの話し方の時制や、品種改良されて、人間に食べられることを喜ぶ牛のギャグは、秀逸。藤子・F・不二雄の「ミノタウロスの皿」を連想させる。そのアイデアで短編を一つかけるのではないか。シリーズ3作目も読もう。

  • 1作目を読んだのが、2011年8月。つまり3年越しに続編を読むことになったのですが、読んで30分もしないうちに、「ああ、こんなノリだったわ」と早くもニヤケが止まりませんでした。ちりばめられた冗談は、所謂ブリティッシュ・ジョークと呼ばれるみたいですが、ツボにはまりますねぇ。本書のようなノリは、日本文学にはないだろうなぁ。あったら教えてください。
    オチはなんだか弱い気がしますが、3部作(後に5作となる)の中間ということで、続編に期待!

  • 『銀河ヒッチハイク・ガイド』の続編。
    前作同様ハチャメチャ。というより、もっとぶっ飛んでるw
    レストランの描写と設定が秀逸。
    あと中二病全開のネーミングがいいですね。
    大統領の見た目とかちょっと違うところもあるけど、前作の映画を見て、そのイメージで読んだらいい感じでした。
    マーヴィン・・・

    • 日曜日さん
      マーヴィン…!また、きっと、どこかで、会えるよね。
      マーヴィン…!また、きっと、どこかで、会えるよね。
      2013/01/01
  • とりあえず宇宙船でちゃんとした紅茶が飲めるようになりました。お蔭で全員死にかけた上に2名程行方不明になりました。

    いやぁこの鬱ロボット最強です。でもやめて近づかないで気が滅入るから!
    何気にこのシリーズ表紙も素敵。アヒルラブリー。

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著者プロフィール

1952-2001年。英ケンブリッジ生まれ。1978年BBCラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」脚本を執筆。翌年、同脚本を小説化し大ベストセラーに。モンティ・パイソンの脚本に携わっていたことも。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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