さようなら、いままで魚をありがとう (河出文庫)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462660

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  • 星図にも載っていない辺鄙な領域のさらに遥か奥地に小さい黄色い太陽がある。その太陽の周りを小さい青緑色の惑星が回っている。
    この惑星に住むサルの子孫は呆れるほど遅れていて、いまだにデジタル時計を生かした発明だと思っているほどだ。
    この惑星の問題は、住んでいる人間たちが不幸ということであり、その解決法として小さな紙切れの移動が行われている。これは不思議な解決だ。不幸なのはこの紙切れ自身ではないのだから。

    そしてある日、それはある男が、たまには人に親切にしようよ、と言ったため木に釘づけされて二千年以上たった日だが、一人の若い娘が世界を善にして幸福な場所にする方法を思いついた。それはうまくいくはずだった。
    その直後にヴォゴン星人により地球が消滅させられなければ。
    …しかし今度はそうはならなかった。その娘はアーサー・デントと出会うのだ。

    ヴォゴン星人により地球が破壊されてから、もつれた網の目のようなわけの分からない状況に引きずり込まれて銀河系を旅してまわったアーサー・デントは、十万光年の旅をして地球に戻ってきた。
    なぜ地球があるのだろう?8年前に破壊されたのに。なぜ自分の家があるのだろう?地球が破壊される直前に黄色いブルトーザーで破壊されたのに。
    だがその考えはすぐに忘れた。最初にヒッチハイクした車で「ヴォゴン星人の攻撃は半年前であり、あれは集団幻覚だった」と言われたことも、「その時以来地球上からイルカがすべていなくなった」と言われたことも、あまり深く考えなかった。
    だって車の後部座席で虚ろに座っていた若い娘さんに心惹かれたのだ。

    家に帰ったアーサーは、自分がまだ宙を飛べることを確認し、そして地球に意識を沈ませる方法も試してみた。
    その地球の意識の中に、車で出会った娘さんのささくれだった意識を見出す。
    アーサーは、自分はついに長い銀河の旅を終えて、荷物に押し潰されたり倉庫に押し込まれることなく移動できて、死ぬまでベッドで眠れて、死ぬまで大気に包まれて暮らせると思っていた。
    …しかしそれは間違っていた。
    だってアーサーは、車に乗っていた娘さん、フェンチャーチ、通称フェニーと再会したんだ。

    フェニーは、半年前のヴォゴン星人による地球爆破から、ずっと世界に対して違和感を覚えているという。
    そして彼女は宙に浮くことができるんだ。
    現在の現実に違和感を抱くものとして、アーサーとフェニーの距離は縮まる。そして彼らは毎晩イギリスの上空で愛し合ったんだ。

    彼らはヴォゴン星人に破壊されたはずの地球がなぜ戻っているのか、なぜその代りにイルカがいなくなったのかを探ろうとする。
    アーサーとフェニーは、雨の神に愛され過ぎている男や、イルカに詳しく”精神病院の外”に住む”正気のウォンコ”と会う。

    そのころ「銀河ヒッチハイクガイド」の調査員であり、破壊される地球からアーサーを銀河の旅へと連れ出したフォード・プリーフェクトは、「銀河ヒッチハイクガイド」に地球の情報が復元されたことに気が付き、復活した地球の様子を見に来た。
    フォードとアーサーは再会していつものドタバタへ。

    その時地球には、トカゲを世界の主と勘違いした宇宙人が着陸していた。アーサーとフェニーとフォード・プリーフェクトは、宇宙船に乗り込み銀河ヒッチハイクに出る。
    彼らの目的地は、”被造物へ神の最後のメッセージ”が刻まれているという惑星プレリアルターン。

    プレリアルターンに辿り着いた彼らは、鬱型ロボットのマーヴィンと再会する。
    何度も時間旅行に巻き込まれたマーヴィンは、宇宙の三十七倍も生きてすでにスクラップ寸前だ。

    そして彼らはついに”神の最後のメッセージ”へとたどり着いたんだ。
    (→「ほとんど無害」へ続く)

    ***
    「銀河ヒッチハイクガイド」3部作の4作目。
    …3部作の4作目なんである。
    なんでも最初は最初の3冊で終わる予定だったけれど、あと2作続くことになったからこういう事態に。
    今度はほぼラブストーリー。作者自身が出てきて「ここからしばらくラブストーリーになるから、興味ない読者は最終章まで飛ばしていいよ」とか言っている(笑)
    最後の”被造物への神の最後のメッセージ”は、まあイギリス的しょーもないオチなんだけど、英語での決まり文句らしく、巻末の解説を読まないと日本人にはなんのことやら分かんないよ(苦笑)

    作者はここでシリーズ終わるつもりだったようで、これはこれで綺麗にまとまっていた。

  • 2013.11.22読了。
    アーサーの素敵なラブストーリー。彼女がこれまたかわいいんだ。アーサーも彼女のためにいろいろしてあげる姿勢がたまらなく良いし。だからどんどん読めてる。途中、作者からのメッセージなんかもあって、それがまたたまらない。おもしろい。1作目の次に好きかも。解説によると「とっつきやすい」と言われてるそう。なるほどね〜。

  • 銀河ヒッチハイクガイド 3部作の 4作目。第1作のイルカのエピソードを伏線回収する形で、「地球」に戻ってきたアーサー・デントが素敵な恋をする物語。原著で読んでいるはずなのだが、ストーリーはほとんど記憶になかった。途中で投げ出して読んでないのかもしれない。

    あの「銀河ヒッチハイクガイド」のスラップスティックな筆致で恋する男の心情を描くと、こんなにも素晴しいのかとビックリした。宇宙では普通のあのハチャメチャぶりは、地球人にとってはなかなか理解しがたいものであった。しかし、恋をして舞い上がった地球人の心は、あのハチャメチャぶりそのままなのだ。SF 色が薄いのは残念だけど、アーサーとフェンチャーチを眺めていると、20年若返って、また恋をしたくなるよ。

  • 前書きを読んだだけで既に笑える。楽しみ。

    === 読了===
    えーっと、、ラブコメだよね。
    著者が恋愛中で幸せいっぱいの時期に書かれたらしく、その幸せいっぱいが行間からにじみ出てます。
    ボーイング747型機とかアップル(世界一有名な齧りかけリンゴ)とかが出てきてちょっと意外。

    最後に。。。マーヴィィィィン!!!

  • アーサーの恋物語中心に話が進むのはけっこう意外だったけど、うまく全体の謎になじんでいて良かった。最後はマーヴィンに泣いちゃった。神様のメッセージもかなり粋。

  •  ダグラス・アダムスは前作『宇宙クリケット大戦争』でいったんシリーズを完結させたものの、諸事情によって新たに続編を書くことになり、そして作成されたのがこの『さようなら、いままで魚をありがとう』です。前作とは違ってこれは原題の忠実な訳で、地球で2番目に知能の高い生き物であるイルカ(ちなみに人類は3番目)が第一作目で地球から去る際に、人間たちに残した言葉ですね。<br>
     今作では第一作の序盤の序盤でふっとんだはずの地球が何故か復活していて、主人公アーサー・デントが戻ってきたところからスタートします。どうして地球が復活しているのか?が本作の大きな疑問として、物語の大きな筋になるかと思いきや、さにあらず、本作はなんと『銀ヒチ』シリーズでありながら、アーサー・デントのラブストーリーになっていました。<br>
     そのせいか非常に読みやすく、これまでの作品のように破壊力抜群の小ネタ集という感じにはなっていませんでした。おかげて物語の筋、終盤の展開も含めてこれまで以上に統一感と安定感が感じられる一方で、のたうちまわるほどのネタはそんなに多くはなかったですね。<br>
     また、あとがきによればわずか3週間で書き上げられただけあって、SF的錬り込みがあんまり感じられない(思えば笑えるエピソードなども非SF的なネタが多かったような)ところも少し気にはなりました。<br>
     それでも、神が残した最後の言葉にまつわるエピソード(マーヴィンの話が良い)や、駅でのビスケット争奪戦など、好きなエピソードはいろいろあります。<br>
     そして、ラブストーリーの部分も意外と面白くて、物語的にはかなり楽しく読めました。これまでの三作とは少し印象が違いますけどね^^;<br>
     そんなわけで、この4作目もお勧めです^^<br>
     あ、ちなみに地球が復活した理由も最後のほうにさらっと述べられています。これはなかなかいい話だなあと思いました^^<br>

  • 『銀河ヒッチハイクガイド』シリーズ3部作の4冊目、という不思議な一冊。    
    モノゴトは視点を少しずらしたり、上から下から、ぎゅーんと離れて眺めるだけで、こうも違う風景や側面が見えるのか。ということに、気づかされます。
    ていうか、わたしもアレもコレもソレだって宇宙から見たらなんてチッサイんだろう。なんてことにもふと気づかされます。    
    イヤ、そんなことに気づかせようとなんか、この本はちっともしてやしません。
    ただただ飄飄としてシュールです。
    でもその不思議な空気感がなんともおもしろくて、心地よくて、とっても惹かれるのです。

  •  数年前に読んでいたSFシリーズの続きを最近読むことにしている。銀河ヒッチハイクガイドは前3巻で一応完結ということになっていたようだが、あまりの人気ぶりに続編を執筆することとなったようだ。コメディーものは、物語の本筋が軽いものになりかえってつまらなくなるのではないか杞憂していたのだが、本作はむしろそのコメディー部分が面白かった。なんというかイギリスの落語を聞いているようなそんな感じをした。とくにビスケットの話が面白かった。こういうダジャレとか落語的な笑いというのは日本人のIQの低下にともない少なくなってきたと感じていたのでかえって新鮮だった。最近の日本人作家はバカに読んでもらうためにあえてつまらない物語を作っている。もう日本人作家の小説は読まない。

  • 恋愛ものになってる。

  • 恋をすると足が地に着かないんだな

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著者プロフィール

1952-2001年。英ケンブリッジ生まれ。1978年BBCラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」脚本を執筆。翌年、同脚本を小説化し大ベストセラーに。モンティ・パイソンの脚本に携わっていたことも。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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