クライム・マシン (河出文庫 リ 2-1)

  • 河出書房新社
3.64
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463230

作品紹介・あらすじ

自称発明家がタイムマシンで殺し屋の犯行現場を目撃したと語る表題作、MWA賞受賞作「エミリーがいない」他、全十四篇。〈このミステリーがすごい!〉第一位に輝いた、短篇の名手ジャック・リッチー名作選。

感想・レビュー・書評

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  • 「クライム・マシン」……妻の浮気を疑っているある殺し屋の前に、”タイムマシンを使ってあなたの犯行の数々を目撃してきた”という男が現れ、口止め料を要求してくる。殺し屋はそんな男のことなど最初はまったく取り合わなかったのだが、話を聞いてるうちにその目撃談というのがあまりにもリアルなことが判ってきて・・・。

    「ルーレット必勝法」……カジノに出入りするその小男の客は本当にルーレットの必勝法を知っているのか? でなければそんなに毎日毎日勝ち続けられるワケがない。ある日その小男はカジノのオーナーにこう打診してくる。自分はもうこの店に足を踏み入れない、そのかわりそれ相当の見返りをよこせと・・・。

    「歳はいくつだ」……医者からあと4ヶ月の命と宣告された男は、残された時間を使って、街にあふれる礼儀をわきまえない輩どもを処刑してまわる。すると街はだんだんと変化してきて・・・。

    「日当22セント」……冤罪の訴えが認められて刑期途中で出所できた男。男は刑務所を出るとその足ですぐ、当時役立たずで男を救えなかった弁護士のもとに、ある目的のため向かう。そんな男に、当時偽証をして男を陥れた証人が、ある目的のため接触してくる・・・。

    「殺人哲学者」……男はひとりで思索を続けてきた。思索という崇高な営みだけを。労働などというタワけたものに時間を割くつもりは金輪際なかった。そして男は思いついた。無料で毎日きちんと食べ物をあたえられ、だれの邪魔もされず、ひとりで黙々と思索を続けられる方法があることを・・・。

    「旅は道ずれ」……旅客機の隣同士の席に偶然座ったふたりの主婦。ふたりはお互い自分のことばかりてんでにしゃべりあって、その話の内容には何の接点もない。しかしたまたまある一つの話題が持ち上がった時・・・。

    「エミリーがいない」……この男は前妻を殺し、今回は従妹のエミリーを殺害して庭に埋めた・・・はず。そんな悪党の化けの皮を剥すためにわたしは・・・。

    「切り裂きジャックの末裔」「記憶テスト」……殺人鬼を利用して身近な人間を殺そうとたくらむ男のお話。

    「こんな日もあるさ」……次々と繰り出される簡潔な文章。くるくる変わるスピーディな展開。本書の中でいちばんおもしろい。・・・そして笑える。

    「デヴローの怪物」……これもとってもスピーディ、そしてメリハリが効いている。シャマランの『ヴィレッジ』みたいな怪奇ミステリー。

    「カーデュラ探偵社」「カーデュラ救助に行く」「カーデュラの逆襲」「カーデュラと鍵のかかった部屋」……コージーミステリー×ゴシックホラー。全部面白い。こちらは『ドン・ドラキュラ』みたい。

  • ジェフェリーディーヴァーのクリスマスプレゼントを読んで、あまりにも面白かったので短編集で面白いと噂のジャック・リッチーのこの本を読んでみました。期待していたほど面白くはなかったです。

  • やはりジャックリッチー。
    短編の達人だ。
    全ての作品が気に入った訳では無いが大変面白かった。

  • 【感想】
    ・ミステリ仕立ての星新一って感じ。と多くの人が思いそう。ぼくもそう思った。なかなか皮肉なオチがあって思わずニヤリ。
    ・展開やオチが見え見えのもそうでないのも等しく楽しめる。語り口がいいのだろう。

    【一行目】
     「この間、あなたが人を殺した時、わたし、現場にいたんですよ」とヘンリーは言った。

    【内容】
    ・タイムマシンの機能によって仕事の現場を目撃したと脅された殺し屋。本当にタイムマシンなどあるのか?
    ・確実に勝っていく小男にイラつくカジノ経営者。必勝法があるのか?
    ・余命四か月と宣告された男が始めたことは。
    ・四年服役した後無実だとわかったと釈放された男が弁護に失敗した弁護士や嘘の証言をした証人に復讐を企てているだろうと皆が思っている。
    ・刑務所に入って思索に耽りたい男が見知らぬ少女を殺した。
    ・飛行機で隣の席になった二人の女が話しているうちに。
    ・妻の従姉妹が、妻の不在を怪しんでいる。
    ・切り裂きジャックの末裔だという男がクールな精神科医のところに治療に来た。
    ・住民すべてが善良で誰も罪を犯さない町?
    ・模範囚の女性は何度も釈放審議会で不可となっている。
    ・記憶喪失の「私」はどうやら記憶を取り戻したくないと思っているようだ。
    ・遺体誤認に怪しいものを感じた部長刑事はセレンディピティを巻き起こす。
    ・再登場の部長刑事はなんかヘンな町に泊まることとなる。
    ・怪物が出没する町。

  • やはり翻訳物を面白いと感じるのはなかなか難しい、と思う代表作。

  • 殺し屋の前に自称発明家が現れた。自分の発明したタイム・マシンで、殺害現場を目撃したという――表題作「クライム・マシン」、妻の消失に秘められた巧妙な犯罪計画を描くMWA賞受賞作「エミリーがいない」ほか、全14篇。軽妙な語り口に奇抜な発想、短篇ミステリの名手ジャック・リッチー名作選。
    原題:The Crime Machine
    (1961年)
    --- 目次 ---
    クライム・マシン
    ルーレット必勝法
    歳はいくつだ
    日当22セント
    殺人哲学者
    旅は道づれ
    エミリーがいない
    切り裂きジャックの末裔
    罪のない町
    記憶テスト
    記憶よ、さらば
    こんな日もあるさ
    縛り首の木
    デヴローの怪物

  • 殺し屋をゆすった一人の男。彼はなぜ殺し屋の仕事ぶりを知ったのかークライム・マシン
    カジノで勝ち続ける男が強請ってきたールーレット必勝法
    無作法な奴が多すぎるー歳はいくつだ
    無実の罪を晴らしようやく出所した男の話ー日当22セント
    などなどグイっと捻った短編ミステリー14本

    『このミス』の海外部門で1位を獲ったんですよね。
    海外モノはついつい安定の作家買いをしてしまうのですが、これは手が出ました。
    そして大当たり・・・!!!!!

    すごい!全部面白い!こんなにショートなのに、情景が鮮やかに浮かび上がり、まんまと作者の罠にひっかかる。
    中でも好きなのは「エミリーがいない」「罪のない町」「こんな日もあるさ」

    ブラックユーモア、ホラー風味、猟奇もの、ファンタジックなど、テイストは様々ですが、全部面白い!
    オススメです!

  • 全く初めての作者の本を読むとき、可能ならば短編から入る。
    作者というか、本との相性を見るために。
    たいていは、呼ばれたような気がして手に取った本なので大丈夫だが、中にはどうしても、どんなにがんばっても読み進められないという本もある。

    本書も図書館の新刊のコーナーで私を呼び止めた(笑)
    17ものミステリー短編を収録してあり、表題の「クライム・マシン」はタイムスリップ物…?ではなく、やはりミステリーです。
    文体がシンプルで、アイデアが良く、これは掘り出し物でした。短編ミステリーのスペシャリストで350篇の短編があり、邦訳も120編あるらしい。どうして今まで彼を知らなかったのか…。

    本書の中でも気に入ったのが、4編収録されているカーデュラのシリーズ。
    カーデュラはちょっと変わった私立探偵で、営業時間は午後8時から午前4時まで。ものすごい怪力の持ち主で、銃で撃たれても弾を跳ね返してしまうし、頭も良く機転もきく。どこへだってしのびこめるし、尾行も得意。が、探偵事務所はあまり繁盛しておらず、かなり生活が苦しいらしい。
    出身はヨーロッパ某国の伯爵家。
    読み始めてすぐに彼の正体がわかるが、本書ではいっさいかれの正体について明言しない。それがなんともユーモラスな雰囲気を出している。
    宿敵、ヴァン・イェルシングとの死闘を書いた「カーデュラの襲撃」には笑った。

    読み終えるのが惜しくて少しずつ読み進めていたつもりだが、2日間で読了。
    今週末は新しくできる大型の本屋さんで彼を探してみよう。

    2006年3月23日

  • 「カーデュラ探偵社」と同じ作者だったので。

    残念ながら昼が苦手な探偵はもう出てこなかったが、
    面白い短編集だった。

    飛行機で隣り合わせた妻二人の夫の話とか、
    妻が行方不明になった夫が疑われる話とか。

    何だかけむに巻かれたような、
    なんだったのかわからない話もあった。
    警官ふたりが車の故障で一晩泊まる話とか。

  • だいぶ、面白かった!
    自分のなかで評価は3.8点はある。

    短編ミステリーで読みやすく、引き込まれる。
    特に好きな話が、無礼な輩を次々に殺していく
    「歳はいくつだ」

    そして、ラストが微妙に理解できない縛り首の木。
    これは、実際に起こったという解釈でよいんだよね?

    想像力のない人がいるんだなぁ
    というセリフがわからない!!

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著者プロフィール

1922‐1983。ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1950年代から80年代にかけて《ヒッチコック・マガジン》《マンハント》《EQMM》などの雑誌に、350篇もの作品を発表した短篇ミステリの名手。軽妙なユーモアとツイスト、無駄をそぎ落とした簡潔なスタイルには定評がある。「エミリーがいない」でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。邦訳短篇集に『クライム・マシン』(晶文社)がある。

「2010年 『カーデュラ探偵社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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