カーデュラ探偵社 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463414

作品紹介・あらすじ

超人的な力と鋭い頭脳で難事件を解決する黒服の私立探偵。ただし営業時間は夜間のみ。その正体は-短篇の名手リッチーが生んだユニークな名探偵カーデュラ・シリーズを全作収録した世界初の完全版"カーデュラの事件簿"。さらに「いい殺し屋を雇うなら」「さかさまの世界」など5篇を新訳で贈る。

感想・レビュー・書評

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  • 黒いスーツに黒い靴、黒い外套を羽織った背の高い男。
    営業時間は夜間のみの私立探偵、カーデュラ。
    強盗をぶん投げる力持ちで、頭脳明晰。
    かつては伯爵で広大な屋敷に住んでいたが、今では屋敷は、国有化して観光地となってしまって、私立探偵として暮らす、謎の多い紳士。

    夜道で2回も襲われる彼女の秘密
    近隣の人々のパーティーで起こるささやかな盗難事件
    彼らに付き纏うアイツに逆襲を
    野球場で起きたコソ泥の射殺事件
    盗品の絵画の盗難事件
    失踪した泥棒仲間の行方

    思わずニヤリとしてしまう、カーデュラ8篇
    とヒヤヒヤ、ドキドキな短編5篇。
    皮肉で鮮やかでカッコいいお話たち。
    カーデュラの逆襲が1番好きだった。
    もしまだお仲間が世の中にいるのなら、頑張って!と伝えたい。

    「これからひと噛みしに行くんですが、よかったら一緒にどうですか?」

  • カーデュラの正体、明らかにアレなのに明言されないのがなんとも可笑しい。
    もしや力業で事件も解決か?と少し心配したが、謎解き自体は非常にロジカルだった。
    でもファンタジー要素は忘れない。
    カーデュラシリーズ以外の短篇も面白く、予想した結末どおりにならないから楽しい。

  • 小気味良い探偵カーデュラの艶やかな謎解きが光るミステリ短編小説+書き下ろし作品数篇。

    営業時間は夜間のみ、青白い肌、長い糸切り歯、鏡は避け、十字架は天敵、彼に関わった人の喉元には蚊に食われたような痕がふたつ…。彼の正体は大体想像がつきますがストーリー内でははっきりとは明かされません。でも随所に明らかな特徴が示され思わずニヤリとします。
    夜間営業の探偵社に舞い込む依頼は、訳あり&一癖あるものばかり。ニヒルな笑いが光る小洒落た主人公カーデュラと、短いながらも起承転結の流れが見事なストーリー。どれも30頁ほどで完結する作品ですが、次から次へと続きが読みたくなる面白さがあり、気持ちの良い読後感が残ります。

    著者は1922年生まれでもう30年も前に亡くなられてる方なんですね。作品に古さを全く感じなくてビックリ!海外文学や邦訳に抵抗のある人に安心して薦められる一冊です。

  • 日光と十字架に弱く、怪力で空も飛ぶ、夜だけ営業している私立探偵カーデュラの短編集。もう絶対、お前アレだろと思われるが言及はされず。最高です。

  • 明言されてないけど吸血鬼…しかも探偵だなんて大好きです。後半はカーデュラ話ではないので、ちょっと残念。

  • これは好きだー!

    短編の名手と謳われる、ジャック・リッチーの描いた、探偵もの。

    だけどただの探偵ものじゃない。

    その探偵こそ、夜の闇で活躍する、あの人の生き血をすする生き物……!

    という、その設定だけでよだれが出そうな、僕の大好物的な作品。

    名探偵カーデュラシリーズが、全部収録されている完全版文庫。

    とはいえ、この文庫の約半分くらいで、カーデュラシリーズは終わります。

    残り半分は、他短編が5編収録。

    いずれも一ひねりもふたひねりも利いているので、面白いです。

    そして、肝心要のカーデュラシリーズ。

    いずれも、面白い!

    ものが短編なだけに、切れ味が抜群で、思わず笑みがこぼれたり、ヒュウッ!と、欧米人みたいに口をならしたくなるけど日本人だからできないしやろうと思うと恥ずかしいからやらないんですが、今試してみたらやっぱりできなかった。

    中でも、『カーデュラの逆襲』での、”宿敵”ヴァン・イェルシングとの戦いの結末ときたら!お見事!ブラヴォー!

    そして、ミステリの要素と、「同族」のネタをうまいこと絡めて、そんじょそこらのキザな探偵たちも真っ青な、キレのある物語になっている作品も。

    もっともっと、たくさん読みたい!という飢餓感をすら感じさせる、この完全版。けっして、ここで終わりではなく、もっとたくさん書く予定もあったのではないだろうか、と思う。(最後の短編が、1983年作で、作者の没年が1983年)

    今はただ、残された作品たちを、何度も噛みしめるのみ。

    大好きな作品です。

  • ある本を探して、普段はあまり見ない
    本屋さんの河出文庫の棚をみていると、

    あれれ!、
    ジャック・リッチーの文庫が出ているんだね、
    知らなかった!

    この文庫には、
    あのカーデュラシリーズ、そして、
    単行本未収録の短編が五本。

    カーデュラさんはね、

    十字架が苦手で、お日様にはあたれず、
    蝙蝠に変身したりする、そう、あの血筋の方。

    はっきりとそうだと言及されていないところが面白い。

    以前読んだときは
    「うん、うん、この設定好きな人たちっているよね」
    と半ば他人事だったが、
    今回、カーデュラさんのこと、好きになっちゃったなあ。

    そんな方が開いている探偵事務所っていう設定が絶妙だ。
    カーデュラさんを慕って仕えるヤーノシュも良いなあ。

    その他の短編の「無痛抜歯法」、
    白昼堂々の大胆な犯行に気付いたのは少年、
    あ~あ、と思っていると、へええ!のにやにやの結末。

    「いい殺し屋を雇うなら」
    プロの殺し屋レノルズが依頼を受けたのは、
    レノルズ本人!
    この結末がまた…!

    巻末の解説にカーデュラシリーズが全て収録された
    完全版はこの文庫が「世界初」と
    鼻息荒く自慢されている!

    軽妙で心地よい切れ味があって
    ユーモアにあふれる、ジャック・リッチーは最高だ!

  • 初読みの作家さんでジャケ買いしたけどなかなか良かった☆ただし、表紙のカーデュラ探偵社は短編集の中のひとつで、ずっと出てくるわけではない。吸血鬼のカーデュラがそれぞれ活躍するんだけど、その活躍の仕方がなかなかひねられてて、おっとそう来たか‼︎と唸らせる。カーデュラ以外のどの短編もおもしろかったし。勧善懲悪ではないんだけど、わりとスッキリするオチ。続編出ないかなぁ!

  • 独特な味わいのあるショートショート。
    くすりと笑える描写と、彼にしかできない解決方法。ユーモアと毒。
    なるほど、Cardula探偵はアナグラムなのね。

  • ミルウォーキーに事務所を構え生活のために夜のみ営業する腕利きの私立探偵カーデュラ。大きな身体に怪力の持ち主、暴漢は頭上に持ち上げて数メートル先へ投げ飛ばし、素手で首をへし折る、鉄砲で撃たれても平気、どんな場所にも簡単に忍び込む。しかし彼は日光アレルギーで夜しか活動できない弱点がある。彼は誰が読んでも吸血鬼なのだが、作者含めてそこは言わない、認めないお約束になっている。そしてカーデュラは正義漢なのだ。悪人を裁く時は容赦を知らない化け物なのである。短編の名手ジャックリッチーだからトリックよりもユーモアや結末のひねりを堪能したい。そこがリッチーの真骨頂である

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著者プロフィール

1922‐1983。ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1950年代から80年代にかけて《ヒッチコック・マガジン》《マンハント》《EQMM》などの雑誌に、350篇もの作品を発表した短篇ミステリの名手。軽妙なユーモアとツイスト、無駄をそぎ落とした簡潔なスタイルには定評がある。「エミリーがいない」でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。邦訳短篇集に『クライム・マシン』(晶文社)がある。

「2010年 『カーデュラ探偵社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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