千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463438

作品紹介・あらすじ

ドゥルーズ/ガタリによる極限的な思考の実験。中巻では顔貌性、そして逃走線の考察から生成変化をめぐりつつ、宇宙の時を刻むリトルネロへ向かい、絶対的な脱領土化の果ての来たるべき生、来たるべき民衆を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 記号の発生から、記号を脱したアナーキーな領域の多様性までを語る『千のプラトー』シリーズの中巻。脱記号化と、カオスからの非記号的なものの発生を語るパート。
    単に記号的なものを否定的に語るだけじゃなく、記号そのものの成立と非記号的なものの成立自体を描き出すことによって記号に対して批判的な立場を取るというやり口は、ドゥルーズの面白いところ。おそらく、そういう仕方で対象を肯定することこそが、もっとも批判的でありうるのだと思う。寄り添い存在することはそれ自体差異の共存であり、批判的創造的なんだろう。(そうした存在性について述べられるのが下巻)

  • [ 内容 ]
    <上>
    ドゥルーズとガタリによる最大の挑戦にして未だ読み解かれることない比類なき名著。
    リゾーム、アレンジメント、抽象機械、リトルネロ、戦争機械など新たな概念を創造しつつ、大地と宇宙をつらぬいて生を解き放つ多様体の思考。
    器官なき身体/存立平面から“機械圏”へ―来たるべき民衆のための巨大な震源。

    <中>
    ドゥルーズ/ガタリによる極限的な思考の実験。
    中巻では顔貌性、そして逃走線の考察から生成変化をめぐりつつ、宇宙の時を刻むリトルネロへ向かい、絶対的な脱領土化の果ての来たるべき生、来たるべき民衆を問う。

    <下>
    遊牧民が発明した「戦争機械」は国家の外部にあり、国家をたえず危機に陥れる。
    「国家装置」はそれを捕獲し、労働を発明し、やがて資本主義の公理系と結び合う。
    しかし戦争機械とマイノリティの革命的な生成変化がやむことはない。
    かつてない国家、戦争、技術、資本への問いから、平滑空間/条里空間の考察を経て非有機的生に向かう壮大な歴史哲学。

    [ 目次 ]
    <上>
    1 序―リゾーム
    2 一九一四年―狼はただ一匹か数匹か?
    3 BC一〇〇〇〇年―道徳の地質学(地球はおのれを何と心得るか)
    4 一九二三年十一月二〇日―言語学の公準
    5 BC五八七年、AD七〇年―いくつかの記号の体制について
    6 一九四七年十一月二八日―いかにして器官なき身体を獲得するか

    <中>


    <下>
    一二二七年―遊牧論あるいは戦争の機械(国家の二つの極;戦争機械の外部性と還元不可能性;戦士 ほか)
    BC七〇〇〇年―捕獲装置(旧石器時代の国家;原始的集団、都市、国家、世界的な組織;先取りする、祓いのける ほか)
    一四四〇年―平滑と条里(技術的モデル(繊維製品) 音楽モデル 海洋モデル ほか)
    結論―具体的規則と抽象機械

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「私と言うか言わないかがもはや重要でない地点に到達することだ」ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ『千のプラトー』
    中途半端を認められれば、立派なドゥルーズ派か。アイデンティティなど存在しない、変態が全てと言い切る御大よ思想を学びたい。

  • 「生成変化」「リトルネロ」および、既出ではあるが幾度もリロードされアップデートされる「(脱/再)領土(化)」の3つの概念が中巻においては差し当たり極めて重要。その周囲に彼らの独創的ではっとするようなテリトリーがあり、おそらく彼らの予想を越えた含蓄がある(その予感が「文学をひきあいにだしすぎる」と非難されながらも[上p ]、文学性に近づけた動因ではないだろうか。その美しい表現は、まわりくどく曖昧ないいかただととらえることもできるだろう。しかし、「すべてを曖昧にしておくのは容易だなどと考えないでほしい。」[p64])。

    第7-9章は、それらの重要な概念をもちいた実践例。「顔貌性」や「切片性」といった概念は触発される美しい概念ではあるが、周辺機器であり、実践の結果細分化されたもの。ただし、「此性 hecceite」は散発的で短命(※その前後で表立たない)だが、重要[p208「人称や主体、あるいは事物や実体の個体化とはまったく違った個体化の様態がある。われわれはこれを指して<此性>hecceiteと呼ぶことにする。」]。そうはいっても、ひとによって、気分によっては有用性がありうる。

    馴染みがないひとは、事前に「原子」「分子」「モル(状)」「質量[料]」「コード(化)」「強度」「速度」などについて調べて、自分なりに考えておくとつまずかない。メタファーに馴れないと翻弄される。こんな絵画的な書物はない。いや、地図的な書物だ。たとえば、「存立平面」「緯度」「経度」といったなぞらえは、「地図化すること」に基づいて理解できる[p207「存立平面の上では、一つの身体はもっぱら経度と緯度によって定義されるのだ。」]。地図はつかうことができる(車のナビ…)。それはリゾームともたとえられる。それが「千のプラトー」全体を貫く原理であり、この書物が目指された姿。

  • 【目次】


    7. 零年──顔貌性
     ホワイト・ウォール[白い壁]、ブラック・ホール[黒い穴]、顔貌性抽象機械──身体、頭部、顔──顔と風景──宮廷愛小説(ロマン・クルトワ)──脱領土化の定理──顔の社会的機能──顔とキリスト──顔の二つの形象。正面、横顔、背け合い──顔を解体する

    8. 一八七四年──ヌーヴェル三編、あるいは「何が起きたのか?」
     ヌーヴェルとコント。秘密──三本の線──切断、亀裂、断絶──対、分身、地下潜行者

    9. 一九三三年──ミクロ政治学と切片性
     未開および文明化の切片性──モル状および分子状の切片性──ファシズムと全体主義──切片をもつ線、量子をもつ流れ──ガブリエル・タルド──群衆と階級──抽象機械。突然変異と超コード化──権力の中心とは何か──三通りの線とそれぞれの危険──恐怖、明晰さ、権力、死

    10. 一七三〇年──強度になること、動物になること、知覚しえぬものになること・・・・・・
     生成変化──魔術の三つの側面。多様性、変則者あるいは局外者、変換──固体化と〈此性〉。夕べの五時・・・・・・──経度、緯度、 存立平面──二つのプランあるいはウランについての二つの考え方──女性への生成変化、子供への生成変化、動物への生成変化、分子状生成変化。近傍域──知覚しえぬものへの生成変化──分子状知覚──秘密──マジョリティ、マイノリティ、マイナー性──生成変化のマイナー性と非対称性。二重の生成変化──点と線、記憶と生成変化──生成変化とブロック──点状システムと多線状システムの対立──音楽、絵画、生成変化──リトルネロ──脱領土化の定理、続き──生成変化対模倣

    11. 一八三七年──リトルネロについて
     暗闇で、わが家で、世界へ向かって──環境とリズム──立札と領土──スタイルとしての表現。リズムの顔、メロディーの風景──鳥の鳴き声──領土性、アレンジメント、相互的アレンジメント──領土と大地、〈生まれ故郷〉、存立性の問題──機械状アレンジメントと抽象機械──古典主義と環境──ロマン主義、領土、大地、民衆──近代芸術と宇宙──形相と実質、緒力と素材──音楽とリトルネロ、大いなるリトルネロ


    原注

    *****

  • 【目次】


    7. 零年──顔貌性
     ホワイト・ウォール[白い壁]、ブラック・ホール[黒い穴]、顔貌性抽象機械──身体、頭部、顔──顔と風景──宮廷愛小説(ロマン・クルトワ)──脱領土化の定理──顔の社会的機能──顔とキリスト──顔の二つの形象。正面、横顔、背け合い──顔を解体する

    8. 一八七四年──ヌーヴェル三編、あるいは「何が起きたのか?」
     ヌーヴェルとコント。秘密──三本の線──切断、亀裂、断絶──対、分身、地下潜行者

    9. 一九三三年──ミクロ政治学と切片性
     未開および文明化の切片性──モル状および分子状の切片性──ファシズムと全体主義──切片をもつ線、量子をもつ流れ──ガブリエル・タルド──群衆と階級──抽象機械。突然変異と超コード化──権力の中心とは何か──三通りの線とそれぞれの危険──恐怖、明晰さ、権力、死

    10. 一七三〇年──強度になること、動物になること、知覚しえぬものになること・・・・・・
     生成変化──魔術の三つの側面。多様性、変則者あるいは局外者、変換──固体化と〈此性〉。夕べの五時・・・・・・──経度、緯度、 存立平面──二つのプランあるいはウランについての二つの考え方──女性への生成変化、子供への生成変化、動物への生成変化、分子状生成変化。近傍域──知覚しえぬものへの生成変化──分子状知覚──秘密──マジョリティ、マイノリティ、マイナー性──生成変化のマイナー性と非対称性。二重の生成変化──点と線、記憶と生成変化──生成変化とブロック──点状システムと多線状システムの対立──音楽、絵画、生成変化──リトルネロ──脱領土化の定理、続き──生成変化対模倣

    11. 一八三七年──リトルネロについて
     暗闇で、わが家で、世界へ向かって──環境とリズム──立札と領土──スタイルとしての表現。リズムの顔、メロディーの風景──鳥の鳴き声──領土性、アレンジメント、相互的アレンジメント──領土と大地、〈生まれ故郷〉、存立性の問題──機械状アレンジメントと抽象機械──古典主義と環境──ロマン主義、領土、大地、民衆──近代芸術と宇宙──形相と実質、緒力と素材──音楽とリトルネロ、大いなるリトルネロ


    原注

    *****

  • ついに中が発売!

    僕がこの本を読む理由は、難物にぶつかれという寺山さんの意志をついでいるからなのです。また、カオスから身を守るための哲学としてドゥルーズを利用したいのです。

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著者プロフィール

(Gilles Deleuze)
1925年生まれ。哲学者。主な著書に、『経験論と主体性:ヒュームにおける人間的自然についての試論』『ベルクソニズム』『ニーチェと哲学』『カントの批判哲学』『スピノザと表現の問題』『意味の論理学』『差異と反復』『ザッヘル゠マゾッホ紹介:冷淡なものと残酷なもの』『フーコー』『襞:ライプニッツとバロック』『フランシス・ベーコン:感覚の論理学』『シネマ1・2』『批評と臨床』など。フェリックス・ガタリとの共著に、『アンチ・オイディプス』『カフカ:マイナー文学のために』『千のプラトー』『哲学とは何か』など。1995年死去。

「2021年 『プルーストとシーニュ〈新訳〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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