[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.79
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本棚登録 : 118
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463469

作品紹介・あらすじ

自殺志願の男、女優を夢見る女、偏見を抱いた弁護士、世間を恐れる司書、未亡人と三歳の息子。下宿屋に集う者たちに、奇蹟の夜が訪れる-表題作の中篇他、「帰り道」「必要」「火星人と脳なし」など全六篇。ときに感動的に、ときにユーモラスに、ときに奇妙に、孤高の天才作家が描きつづけたさまざまな愛のかたち。

感想・レビュー・書評

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  • 初めてスタージョンを読む。かなり好み。特に表題作と「必要」が良い。「必要」の方がまとまりはある。「ウィジェット…」の方は話の筋自体は単純だと思うのだが、描写力というか、叙述の力によって大幅に物語世界が豊かなものになっている。全編通して人類愛に満ちており、読後ポジティブな気持ちになった。大好きな映画「アメリカンビューティー」を観たときの感触に近い。

  • 2010-11-27

  • スタージョンはSF作家というわけでないことを、改めて知る短編集。SFも入ってるけど。
    『必要』が一番好き。

  • 『必要』がよかった。他人の必要とするものがわかってしまう性格の悪い男ゴーウィングと、その友人で醜くも心優しいよろず屋の男Gノート。二人を中心とした、互いの必要を充足する人々の輪の物語。そして奇形たる超能力者の葛藤と安息。

  • 2015/10/23購入
    2016/7/3読了

  • スタージョンやっと3冊目。
    既読は『きみの血を』『一角獣・多角獣』なので、
    この作品集にも、ある種のドス黒さ(笑)を期待していたのだが、
    いい意味で裏切られた。
    予想外にハートウォーミングでグッと来てしまった。
    以下、収録作1点ごとにコメント。

    ■帰り道(A Way Home)
     a way home ←→ away home ……なるほど。
     頭の中を悶々させながら行ったり来たりしているのかな。

    ■午砲(Noon Gun)
     理想と現実のギャップに歯噛みする青年。
     でも、一つのインシデントを経て、素直になれそう――という、意外に普通の小説。

    ■必要(Need)
     口汚くて態度の悪い、物凄く嫌なヤツが、実は特殊な能力の持ち主で、
     悪態をつきながら人助けに奔走する。
     それは彼が善人だからではなく、ある人が必要とするものを差し出すことが
     彼にとって生理的にと言うにも等しい、どうしても必要な行為だから、なのだった。
     この特異な発想がスタージョン作品の妙味だろうか。
     素晴らしい。

    ■解除反応(Abreaction)
     胡蝶の夢。
     記憶って一体何なのだろう?
     で、タイトル"abreaction"の意味はそのまんま精神分析用語の「解除反応」。
     不快さのため、抑圧されて意識の表面に出なかったことが、
     精神療法あるいは薬品の作用によって言語などの形で現出すること。

    ■火星人と脳なし(The Martian and the Moron)
     火星人は格別空っぽなオツムをジャックして地球人とコンタクトを図ろうとしているそうです(笑)

    ■[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ(The[Widget],the[Wadget],and Boff)
     異星人による、とある下宿屋に身を寄せる人々の観察を通した地球人の生態レポート。
     まさかこんなに感動するとは思わなかった(笑)

  • ブルドーザがたくさん出てくる。21トンの鉄塊。マッチョだね。

    体裁はSFだが、力点は人間という作品ばかり。

    解説にもあるように、表題作は確かに説教臭い。
    誘導的で、結論も落ち着くところに落ち着いている。

    それに比べて前半3作が最高。スタジョーンは短編に限る。
    理想と現実との葛藤、理想に向かうために踏み出す勇気とその顛末。
    それでもなお親しみのある日常の温かみ。

  • 『必要』
    欲しいと思うことと必要とは違うことを
    『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』 のように
    なぜ自問していないのだろう。

    外れているという『夢見る宝石』のような劣等感や
    人類の超越者のような存在が
    個人の限られた能力と制限の中で生きる個別の人間と
    個人ではなく、集団としての『人間以上』ともつながる
    人類という集団としての存在での意識や価値を
    決して生み出すことがないだろうと思える現実の社会は
    空想や理想の世界より歩みが重くて、個人が生きている
    という感じが強くする。

    明確なオチがお望みなら『火星人と脳なし』
    ネタはすぐに分かっても
    『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』

  • うわ、スタージョンの作品ってハートウォーミング! えっそうやったの? って感じ。『海を失った男』『不思議のひと触れ』も読んでるはずなのに、気づかんかった……。

  • 読みたい本。
    好きな作家なので。
    中身についてはよくわからない。

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著者プロフィール

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon):1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』(1953年)で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」(1970年)はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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