エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 ---憑かれた鏡 (河出文庫)

制作 : エドワード ゴーリー 
  • 河出書房新社
3.59
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本棚登録 : 539
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463742

作品紹介・あらすじ

典型的な幽霊屋敷ものから、悪趣味ギリギリの犯罪もの、秘術を上手く料理したミステリまで、奇才が選りすぐった怪奇小説アンソロジー。全収録作品に描き下ろし挿絵が付いた決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 一夏かけて少しずつ読んだ。
    エドワード・ゴーリーが選び扉絵を描いた怪談12編。
    けれどもちょっと予想してたけど、ほとんどがあまり怖くなかった。

    しかしひとつゾッとする怪談があった。
    作者はあのチャールズ・ディケンズ。タイトルは『信号手』。これは怖かった。
    「おーい! そこの人!」
    というセリフがトラウマになりそう。

    信号手が幽霊を目にすると、必ず何らかの鉄道での事故が起きる。信号手はそのことで悩んでいる。語り手はその相談を受けてやるのだったが……
    幽霊でさえ制御しきれない鉄道というむき出しの科学的暴力もまた、ゾッとするものに思われてくる。

  • ホラーって読みにくかったり難しいイメージがあるけれど…この本はすごく読みやすかった。
    それにゾクゾク、鳥肌が立つ怖い話がいっぱいです!

  • 全ての作家が19世紀生まれなので、かなりクラシックなホラー作品ばかりで、今のホラーと比べると怖さの点では大したことはない。
    最初の「空家」なんて、正統派すぎて、これでいいの?という感じさえする。変わり者の叔母と甥が百年前(そんなに前か!)人殺しのあった、幽霊が出るという噂の空家に、夜中に忍びこんで、その殺人に立ち会う(音だけ)という話。でも、昔はこれが十分怖かったのだろうし、なかなか緊迫感のある描写である。
    ディケンズ、スティーブンスン、ブラム・ストーカーなど長編で世界文学史に名を残す作家の短編が読めるのも嬉しい。

    前にも何度も読んだ作品「猿の手」「八月の炎暑」「信号手」も入っているので既視感もあるが、柴田元幸さんの「猿の手」はやはり名訳だと思う。
    何度も読んだ「猿の手」「八月の炎暑」「信号手」を除き、よかったのはスティーブンスンの「死体泥棒」。スティーブンスンは「ジキル博士とハイド氏」が有名で、あれはジョン・ハンターがモデルなのではと言われているが、これもジョン・ハンターのような医者が出てくる。主人公ではないが。解剖学が最もアツかった頃、あまりに学生が熱心に解剖するので解剖用の死体が不足して…となればあとはもう想像つく感じだが、評価の高い医学教師がなぜ高いかというと死体を切らさないから、というのが面白い。時代の雰囲気が伝わる作品だった。
    ブラム・ストーカーの「判事の家」も、邪悪な判事が死後も強烈な力を持ち、知的で理性的な主人公が精神的に追い詰められていく描写が上手い。
    ウィルキー・コリンズの「夢の女」は外し方が絶妙な味わい。
    今時はトラウマになりそうなホラー小説もあるけど、これくらいがちょうどいい気もする。
    ゴーリーは、挿絵としての能力も高いのだなと感心した。

  • ホラーの短編集。
    ふむ、私が読解力が足りないのかそこまで恐怖は感じなかった。所々、現代の社会の問題にも障るように感じた。
    また数年後に読んで感じ方を確認しようと思う。

  •  幽霊から呪いまで。

     怪談が12編。一つ一つは短いのでさくっと読める。解説にもあったけど、ゴーリーが選んだわりには普通な怪談ばっかりだなぁ、という気も。まあそれぞれ面白かったけど。
     「八月の炎暑」がめちゃくちゃ好き。こういう終わり方、大好き。「大理石の軀」と「猿の手」も好きです。
     挿絵を見るという習慣がないものだから、一通り読み終わったあと、そういやゴーリーが描いてるんだった、ともっかい頭から表紙絵を見直しました。

  • 読んで、何故か懐かしい感じがしました。子供のころに初めて読んだシャーロックホームズの小説みたいな、ちょっと怪しい、ヴィクトリア朝的な雰囲気が。

    今読むと、小説としては古く感じてしまうというか、オチが分かってしまう短編も多かったのですが、それでも色褪せないおどろおどろしさ(変な言い回しですね)を楽しみました。

    • ふみさん
      (笑)そんなに怖くないですよー(*^_^*) なんて、感じ方はそれぞれなので、怖がりさんには薦めないでおきます(^◇^;) 私はなぜか日本の...
      (笑)そんなに怖くないですよー(*^_^*) なんて、感じ方はそれぞれなので、怖がりさんには薦めないでおきます(^◇^;) 私はなぜか日本のホラーだと怖くてダメです。
      2013/01/15
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「私はなぜか日本のホラーだと怖くてダメです。」
      西洋とは感じ方考え方が全然違いそうですものね(って判った風なコトを書いたりして)、情念とかを...
      「私はなぜか日本のホラーだと怖くてダメです。」
      西洋とは感じ方考え方が全然違いそうですものね(って判った風なコトを書いたりして)、情念とかをズシっと感じるからでしょうか?
      2013/01/17
    • ふみさん
      >情念
      多分それです!なんだか本当に呪われちゃいそうな気がするのです(>_<)
      >情念
      多分それです!なんだか本当に呪われちゃいそうな気がするのです(>_<)
      2013/01/18
  • 18.05.2013 読了

  • 怪奇小説で、背筋も凍るような怖さを感じる事は無い。
    怪奇小説よりゾッとするような話なら実話怪談の方が、よっぽど恐い。
    怪奇小説は何となく恐そうな雰囲気を楽しむものだ。
    恐怖は、長編で語るより短編の方が恐いものだ。
    この短編集でも、まだ長い。だから殆ど恐い事は無いが、「猿の手」だけは、やっぱり凄い。
    10代の頃から何度か読んだ事も有るし、海外ドラマや映画でも、放送されてるし、「世にも不思議な物語」でも放送されてストーリーは覚えているけど、新たに読んでも結末が分かっていても、何とも言えない。
    これだけでも読む価値は有る。
    実際、恐い訳では無いが、退屈しない程度に各作品とも面白みが有る。

  • 『空き家』A・ブラックウッド
    『八月の炎暑』W・F・ハーヴィ
    『信号手』C・ディケンズ
    『豪州からの客』L・P・ハートリー
    『十三本目の木』R・H・モールデン
    『死体泥棒』R・L・スティーヴンスン
    『大理石の軀』E・ネズビット
    『判事の家』B・ストーカー
    『亡霊の影』T・フッド
    『猿の手』W・W・ジェイコブズ
    『夢の女』W・コリンズ
    『古代文字の秘宝』M・R・ジェイムズ

  • ディケンズやスティーヴンスンも名を連ねるクラシック・ホラーの短編集。物語自体にはあまりひねりはないが、品がある。全体のまとめ役となっているゴーリーの暗い線画がどれもよい。

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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